佐竹本三十六歌仙絵巻

鎌倉時代に制作された絵巻物

13[1][1]

21836191981220[1][1]

概要

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966  104111363618

技法・寸法

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紙本著色。元は巻子装で上下2巻からなっていたが、上述のように1919年、上巻は18枚、下巻は19枚に分割され、計37幅の掛幅装に改装されている[2]。寸法は縦が約36センチメートル、横は各幅によって差があり一定しないが、60 - 80センチメートル前後である。

雲母の粉を散らすことで光沢が映える雲母摺り(きらずり)料紙に、画の部分は金泥・銀泥や発色の良い絵具を使って描かれている[1]

画風・作者・年代

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住吉明神(東京国立博物館蔵)
 
壬生忠岑像(東京国立博物館蔵)
 
源順像(サントリー美術館)

12

 - 麿

 - 

1176 - 12651169 - 120613312調13[3]

10姿調36531姿

姿18姿7姿2姿22[4]調


伝来

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旧久保田藩主・佐竹侯爵家に伝来したことから「佐竹本」と呼ばれる。大坂在住の文人木村蒹葭堂(1736年 - 1802年)の『蒹葭堂雑録』によると、元は下鴨神社に伝来したものである。

絵巻の分割と所有者の変転

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平兼盛像(MOA美術館蔵)
 
益田孝(鈍翁)



19165[1]19176115300西935312111貿

2191981:::37

191981220殿1222 1[1]

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[5]1221

3719845911336NHK19866125 3720[6]2920[1]

20191012 - 1124100 3731[7]

佐竹本三十六歌仙絵巻断簡の一覧

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分割が行われた1919年(大正8年)当時の所有者と現所蔵先は、注記を除いて、主に参考文献に挙げた『秘宝三十六歌仙の流転 絵巻切断』による。

歌仙名 1919年当時所有者 現所蔵先 文化財指定 備考
柿本人麿 森川勘一郎 出光美術館 重要文化財
凡河内躬恒 横井庄太郎(古美術商) 個人蔵 未指定 江戸時代の補作(狩野探幽筆)
大伴家持 岩原謙三芝浦製作所社長) 個人蔵 重要文化財
在原業平 馬越恭平大日本麦酒社長) 湯木美術館 重要文化財 重文指定は2000年
素性法師 野崎廣太中外商業新報社長) 個人蔵[8] 重要文化財
猿丸大夫 船橋理三郎(株屋 個人蔵 未指定
藤原兼輔 染谷寛治(鐘淵紡績重役) 個人蔵 重要文化財
藤原敦忠 團琢磨三井合名会社理事長) 個人蔵 重要文化財
源公忠 藤田彦三郎(藤田組 相国寺承天閣美術館 重要文化財
斎宮女御 益田孝三井物産社長) 個人蔵 重要美術品
源宗于 山本唯三郎(松昌洋行社長) 個人蔵 重要文化財
藤原敏行 関戸守彦 個人蔵 重要文化財
藤原清正 藤田徳次郎(藤田組) 個人蔵 未指定
藤原興風 大辻久一郎 メナード美術館 重要文化財
坂上是則 益田英作(益田孝の弟) 文化庁保管 重要文化財
小大君 原富太郎生糸貿易商) 大和文華館 重要文化財
大中臣能宣 高橋彦次郎(相場師 サンリツ服部美術館 重要文化財
平兼盛 土橋嘉兵衛(古美術商) MOA美術館 重要文化財
住吉明神 津田信太郎 東京国立博物館 重要文化財
紀貫之 服部七兵衛(古美術商) 耕三寺博物館 重要文化財 詞の部分は後補
伊勢 有賀長文(三井合名会社理事) 個人蔵 重要文化財
山部赤人 藤原銀次郎王子製紙社長) 個人蔵 未指定
僧正遍照 小倉常吉(小倉石油社長) 出光美術館 重要文化財
紀友則 野村徳七野村財閥創始者) 野村美術館 重要文化財
小野小町 石井定七(相場師) 個人蔵(東京国立博物館寄託 重要文化財
藤原朝忠 小林寿一 個人蔵[8] 重要文化財
藤原高光 児島嘉助(古美術商) 逸翁美術館 重要文化財
壬生忠岑 西川荘三 東京国立博物館 重要文化財
大中臣頼基 益田信世(益田孝の子) 遠山記念館 重要文化財
源重之 嶋徳蔵(大阪株式取引所理事長) リードケミカル株式会社秋水美術館の母体) 重要文化財
源信明 住友吉左衛門(15代)(住友銀行創設者) 泉屋博古館 重要文化財
源順 高橋義雄三越呉服店理事) サントリー美術館 重要文化財
清原元輔 高松定一(3代)(名古屋商工会議所会頭) 五島美術館 重要文化財
藤原元真 嘉納治兵衛(7代目)(白鶴醸造 文化庁保管 重要文化財
藤原仲文 鈴木馬左也住友総理事) 北村美術館 重要文化財
壬生忠見 塚本與三次 個人蔵 重要文化財
中務 山田徳次郎 サンリツ服部美術館保管[9] 重要文化財

参考文献

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  • 馬場あき子、NHK取材班『秘宝三十六歌仙の流転 絵巻切断』、日本放送出版協会、1984
  • サントリー美術館『開館25周年記念展 三十六歌仙絵 佐竹本を中心に』(特別展図録)、サントリー美術館、1986
  • 伊藤敏子「佐竹本三十六歌仙絵巻の成立をめぐって」、『秘宝三十六歌仙の流転 絵巻切断』、日本放送出版協会、1984所収
  • 真保亨「三十六歌仙絵の展開」、『開館25周年記念展 三十六歌仙絵 佐竹本を中心に』(特別展図録)、サントリー美術館、1986所収
  • 『鈍翁の眼 益田鈍翁の美の世界』(特別展図録)、五島美術館、1998

脚注

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(一)^ abcdefghi100 201910528-29

(二)^ 1919

(三)^ 1984

(四)^ 1986

(五)^ 100 20191021

(六)^ 20麿

(七)^ 2019106

(八)^ ab2019調100 

(九)^ PDF2019618

関連項目

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