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この項目では、鉄道の施設について説明しています。
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プラットホーム︵英: platform、独: Bahnsteig︶とは、鉄道駅において旅客の列車への乗降、または貨物の積み下ろしを行うために線路に接して設けられた台である。プラットフォーム、乗降場︵じょうこうじょう︶とも称する。
日本語では、略してホームと呼ばれることが多いが、これは和製英語である。英語では﹁platform﹂を﹁form﹂と略すことはない。
ここではプラットホームと線路の数を表現するのに﹁○面○線﹂という表現を用いる。﹁面﹂はプラットホームの数、﹁線﹂はそれに接する線路の数である。例えば単式ホームは1面1線、島式ホームが1つで線路が2つならば1面2線、相対式ホームが2つで線路が1つならば2面1線とする。
高さは旅客ホームの場合は乗降に最も便利かつ安全な高さが必要なので、日本国有鉄道の場合は、1958年時点で以下のように種類別に規定が存在した(単位はmm)[1]。
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電車用 |
列車用 |
電車列車併用 |
気動車用 |
手荷物車用
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車両の踏段高 |
1200-1275 |
907-954 |
- |
925-970 |
1007
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車両の床面高 |
1200-1275 |
1185 |
- |
1185-1250 |
1185
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乗降場床面 |
1100 |
760 |
920 |
760 |
760
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- (「列車」は客車列車の意。高さはいずれも軌条面上からの測定。)
乗降場の高さが地面に近い場合は路面電車やバスなどのように車両の踏段を低くする場合が多い[注釈1]が、外国では乗降客の少ない所ではホームの高さを低くして列車の着発のたびに移動できる踏段︵"step box"︶を用意して乗降させている場所もある[注釈2]。しかし、日本では踏段や床面が高いので列車の停車時間を減らし乗客の安全のため車両の床面や階段と乗降場の床の高さの差を小さくした乗降場が用いられている[1]。
貨物の場合は荷役積卸床面が貨車床面とほぼ同じ高床︵ムと、地面と同じかそれ以下の低床︵に分けられる[2]。なお、貨車床面より低いがある程度の高さの床面がある﹁直扱ホーム﹂という物もあり、こちらはトラックもしくはトレーラーでホームに乗り入れ、貨車にこれらの貨物自動車を直付けして荷役を行うもので、トラックなどの荷台床面と貨車の床面が同一になるようにホーム高さが設けられている[3]。
古い時代の貨物ホームは高床ホームが基本で軌条上面から960mm︵小口・宅口専用の場合は1020mm︶の高さがあり[4]、荒荷・散荷など用の地面から直接荷役する場合はホームではなく﹁地平積卸場﹂と呼ばれてたが、後にこれに貨物上屋が付いている物が出るようになり、こうしたものは貨物ホームの扱いを受けて﹁低床ホーム﹂と呼ばれるようになっている[5]。
こうしたホーム高さは、日本の官営鉄道開通時点では規定はなく、イギリス人技師の判断でホーム高さを決めていたが、私鉄との直通が行われるようになると構造物の大きさや車両の大きさに規定が必要になり、1900年の﹁鉄道建設規定︵1900年8月10日逓信省第33号︶﹂でドイツ︵当初はイギリスの規定を適用しようとしたが適当なものがなかった︶の規定を参考にホームの高さを幅を定め、この数値は原文はフィート・インチ系だが、現在のメートル法に換算すると高さがレール面から457-610mmだった。
これ以後の法規では1919年の﹁地方鉄道建設規定﹂では高さ規定が明記されておらず、1921年の﹁国有鉄道建設規定﹂では客車用が760mm・電車用が960mm[注釈3]となり、1927年の改正では客車用は据え置かれたが電車用は1100mmとなり、電車・客車両用は920mmとされ、国有鉄道建設規定は戦後﹁日本国有鉄道建設規定﹂と名前が変わり、1966年[6]には電車化の進行でプラットホームの高さ規定は1100mmと960mmとなった。
なお、私鉄は1919年以前のもの︵官営鉄道と同じ規定だった︶を除き、ホーム高さの基準がない﹁地方鉄道建設規定﹂が適用されていたが、1956年の改正[7]でホーム高さそのものの規則ではないが、車両・建築限界の適用でホーム高さが914mm未満の場合は、軌道中心からプラットフォームまでの距離がそれ以上より50mm小さくされた︵自動的に車両限界も縮小される︶。
その後1987年の﹁普通鉄道構造規則[8]﹂により、JR・私鉄と共に高さ規定自体はなくなった︵このためJRグループや私鉄では会社や路線・駅によって異なり、同じ駅でもホームによって高さが違う場合もある[注釈4]︶ものの、﹁安全かつ円滑な乗降を妨げない場合を除き旅客用乗降口をプラットホームの高さ以上﹂ということにされたが、2003年の解釈基準の改正[9]に伴いこの制限もなくなっている。路面電車では基本的に安全地帯と呼ばれる道路上に僅かに嵩上げ、または枠線で囲っただけの場所から乗降する場合や、低めのホームを用いる。
他国の場合
鉄道開業の始まったイギリスでは客車の床面と段差の小さいホーム高さを基本としたため、客車に昇降用ステップがないのが普通[注釈5]で、逆にヨーロッパ大陸諸国やアメリカなどでは基本的に地面に近い高さのホームを使用している[11][注釈6]。
- ドイツ 標準軌の鉄道には「鉄道建設・運転規則」(略称、EBO)でホーム高さが定められている[12]。
- 「Sバーン専用」:96cm
- 「一般用」:76cm(実際は38 - 96cmまで様々なものがある)
- 路面電車は別の法規のため、この規定は適用されない[注釈 7]。
プラットホームの長さは一般に停車列車より長い。日本では法令により停車する列車より長いことが必要で、不足する場合には一部車両におけるドアの締め切り︵ドアカット︶や、列車の解結が行われる。日本国外では列車の停止位置が不定であるため、到着する列車の長さに対してホームが異様に長いケースも見られる。なお、ホームに列車を停車させた際、旅客の乗降ができるだけの長さを有効長と呼ぶ。
列車長に比べ長さの短いプラットホームを設けた旅客駅では、列車を停車させる際に乗降させる車両のドア前にプラットホームが来るように速度を調整する。逆に列車長に比べてホームが非常に長い場合、利便性や保安装置の関係上︵例えば非自動閉塞方式ではタブレット等の授受において列車が駅本屋などに近い方が効率が良い︶、階段や改札に近いところに停車することが多い。貨物駅では長編成の貨物列車であっても1両ごとに積み込み積み出しを行うことがあるため、必ずしも列車の長さにあったプラットホームは必要ない。
世界で最も長いプラットホームはインド・カルナータカ州のフブリジャンクション駅︵英語版︶のもので、1,366メートルである。日本で最も長いプラットホームは京都駅の0番・30番のりばの558メートルであるが、一部が切り欠きとなっているため乗り場としては0番と30番のりばの二つに分かれている。
1つの駅にプラットホームが複数ある場合は、数字やアルファベットを付けて区別することが多い。プラットホームの呼称は「○番線」「○番のりば」「○番ホーム」「○号線」「プラットホーム○」など国や地域、鉄道会社や駅によって異なる。また、数字やアルファベットを用いず、「○○方面ホーム」とする場合や、単式ホームのみの駅では呼称自体がない例も存在する。櫛形ホームなどの降車用ホームには、数字が振られている場合と振られていない場合が両方ともある。
プラットホームからの転落や走行中の列車との接触はしばしば重大な事故につながるため、プラットホームにはこれらを予防するための対策が施されている。
プラットホーム端から一定の距離に、列車との接触を防止するための目印として白線や黄色い線が引かれている。日本では視覚障害者向けに黄色い点字ブロックを並べていることが多い。
プラットホーム内側と線路を隔てるもの。プラットホーム端のように列車が停車しない部分や、停車する部分であっても車両に扉などがなく乗降や業務に支障のない部分に柵を設置することで、転落・接触事故の防止が図られる。コストも安く、後述のホームドアで掲げられた問題点も少ないことから、特に乗降客の多い駅で設置される例がある。
プラットホームと線路を隔てるホームドアにより転落・接触を防ぐ。ドアの形状が腰高程度までのものは正式名称が「可動式ホーム柵」であり、「ホームゲート」とも呼ばれる。
プラットホームの柵と光センサーを利用した「ホームセンサー」によって転落時の事故防止を図る。または、赤外線を使用した障害物検知装置が設置されている。
これは、プラットホーム上の列車停車位置の先頭と末端および連結部のプラットホーム端部に赤外線発射装置と受光器を設置し、列車の入線・発車時にプラットホームより外側に出ているものを検知して、自動的に列車にブレーキをかけたり、発車ができないようにするものである。
プラットホーム下に設けられた作業用通路兼用の退避スペース
(東海道新幹線
名古屋駅)
可動式ホーム・ギャップフィラー
(ニューヨーク地下鉄)
●非常通報ボタン‥転落などに気づいた乗客が押し、乗務員や駅員に知らせると共に列車の入線や発車を止める。
●退避スペース‥転落した際の退避スペースをプラットホーム下に設ける。
●線路脱出ステップの設置‥線路に転落しても昇りやすいよう、プラットホーム側壁に昇降ステップを設けたもの。関係者専用の構内踏切からホームに上がるためのステップを兼ねていることがある。
●転落検知マット‥特に急カーブ上にホームがある場合、プラットホーム下部の線路横に転落感知マットを設けて人が転落したことを知らせるもの。退避スペースがない箇所にあることもある。
●道床の低床化‥道床を低くし、レールとの間に空間をあけ、転落者を道床に落として轢断しにくくする。ロンドン地下鉄などで採用されている。
●転落事故や接触事故を防ぐ目的で大規模駅やカーブによりホームと車両の間に隙間がある駅では、視覚的にわかるように列車が接近する際にホームに設置された発光部や回転灯が光るようになっている場合がある。また視覚障害者のために足元への注意を喚起するアナウンスが常時流れていることもある。
●可動式ホーム・ギャップフィラー‥列車が到着すると同時に、プラットホーム端部が伸び、プラットホームと列車との隙間を極力減らす。
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