出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
|
105行目: |
105行目: |
|
*ラストの夕焼け空にはハリウッドから輸入した「サイレント・フロスト」というコンピュータ制御のシステムが使われている。この夕焼け空は「雲名人」ともいわれる島倉二千六の手によるものである。 |
|
*ラストの夕焼け空にはハリウッドから輸入した「サイレント・フロスト」というコンピュータ制御のシステムが使われている。この夕焼け空は「雲名人」ともいわれる島倉二千六の手によるものである。 |
|
*[[ビートたけし]]が黒澤に「自分は映画には使わないのか?」と訊いたところ、「おまえ言うこと聴かないじゃないか」とあしらわれたという。そこでたけしが「所使ったじゃないですか」と言うと、「あいつは役者じゃないじゃないか!」と返事をした。たけしによると黒澤は猫と同じ感覚で所を起用したのだという。そのことをたけしが所に言うと「それで俺のとき何にも文句言わなかったんだ」と納得したという。 |
|
*[[ビートたけし]]が黒澤に「自分は映画には使わないのか?」と訊いたところ、「おまえ言うこと聴かないじゃないか」とあしらわれたという。そこでたけしが「所使ったじゃないですか」と言うと、「あいつは役者じゃないじゃないか!」と返事をした。たけしによると黒澤は猫と同じ感覚で所を起用したのだという。そのことをたけしが所に言うと「それで俺のとき何にも文句言わなかったんだ」と納得したという。 |
|
*劇中で登場人物が歌ったり、街頭スピーカーから流れてきたりする以外の音楽としてはヴィヴァルディの「[[調和の霊感]]」第9番の第2楽章が使われているのみだが、この演奏(CD録音)を指揮している[[クラウディオ・シモーネ]]は、『乱』以降の作品で助監督のひとりとして参加している、イタリア人ヴィットリオ・ダル・オレ伯爵の伯父である<ref>{{Cite web|url=http://www.tokyo-calendar.tv/art_culture/0902a_01.html|title=永遠のシネマティーク 黒澤明未発表インタビュー|archiveurl=http://web.archive.org/web/20100113032547/http://www.tokyo-calendar.tv/art_culture/0902a_01.html|archivedate=2010-01-11|accessdate=2015-01-11}}</ref>。 |
|
*劇中で登場人物が歌ったり、街頭スピーカーから流れてきたりする以外の音楽としては[[アントニオ・ヴィヴァルディ|ヴィヴァルディ]]の「[[調和の霊感]]」第9番の第2楽章が使われているのみだが、この演奏(CD録音)を指揮している[[クラウディオ・シモーネ]]は、『乱』以降の作品で助監督のひとりとして参加しているヴィットリオ・ダル・オレ伯爵の伯父である<ref>{{Cite web|url=http://www.tokyo-calendar.tv/art_culture/0902a_01.html|title=永遠のシネマティーク 黒澤明未発表インタビュー|archiveurl=http://web.archive.org/web/20100113032547/http://www.tokyo-calendar.tv/art_culture/0902a_01.html|archivedate=2010-01-11|accessdate=2015-01-11}}</ref>。 |
|
|
|
|
|
== 註 == |
|
== 註 == |
127行目: |
127行目: |
|
[[Category:実在の作家を題材とした作品]] |
|
[[Category:実在の作家を題材とした作品]] |
|
[[Category:教師を主人公とした映画・オリジナルビデオ]] |
|
[[Category:教師を主人公とした映画・オリジナルビデオ]] |
|
[[Category:絶筆作品の映画]] |
|
|
[[Category:所ジョージ]] |
|
[[Category:所ジョージ]] |
2017年7月15日 (土) 05:55時点における版
﹃まあだだよ﹄は、黒澤明監督による1993年公開の日本映画。大映が製作し、東宝の配給により公開された。
概要
内田百閒の随筆を原案に、戦前から戦後にかけての百閒の日常と、彼の教師時代の教え子との交流を描いている。黒澤作品の前・中期に見られる戦闘・アクションシーン等は皆無で、終始穏やかなトーンで話が進行する。
キャッチ・コピーは﹁今、忘れられているとても大切なものがここにある。﹂
黒澤明の監督生活50周年・通算30作目の記念作品として大きな期待を集めたが、同時期に公開された﹃ロボコップ3﹄や﹃許されざる者﹄などのヒット作に押され、興行的には失敗となった[1]。
この作品の公開後、次回作の脚本[2]を書いている矢先、骨折。闘病後1998年9月6日に黒澤は脳卒中により逝去し、本作が半世紀以上の監督生活を全うした黒澤の遺作となった。
2012年現在、日劇東宝︵現‥TOHOシネマズ日劇スクリーン2︶系列で4月期に封切られた最後の実写映画である[3]。
あらすじ
法政大学のドイツ語教師・百閒先生は随筆家としての活動に専念するため学校を去ることになり、学生たちは﹃仰げば尊し﹄を歌って先生を送る。職を辞したのちも、先生の家には彼を慕う門下生たちが集まり、鍋を囲み酒を酌み交わす。先生には穏やかな文士生活が訪れるはずであった。しかし時代は戦争の只中、先生も空襲で家を失ってしまう。妻と2人、先生は貧しい小屋で年月を過ごすことを余儀なくされるが、戦後門下生たちの取り計らいで新居を構えることを得る。
昭和21年、彼らは先生の健康長寿の祝いのために﹁摩阿陀会﹂なる催しを開く。なかなか死にそうにない先生に﹁まあだかい?﹂と訊ね、先生が﹁まあだだよ!﹂と応える会である。月日は経ち、17回目の﹁摩阿陀会﹂は先生の喜寿のお祝いも兼ねて盛大に開かれる。門下生たちの頭にも白いものが交り、彼らの孫も参加したこの会で、先生は突然体調を崩してしまう。大事をとって帰ることになるが、かつての教え子たちは昔と同じように﹃仰げば尊し﹄を歌って会場を後にする先生を送るのだった。
その夜、付き添った門下生たちが控える部屋の奥で、先生はおだやかに眠る。夢の中、かくれんぼをしている少年は、友達に何度も﹁まあだだよ!﹂と叫ぶ。少年が見上げた夕焼けの空が、やがて深く彩られ、夜になっていくところで映画は幕を閉じる。
キャスト
●内田百閒‥松村達雄
●奥さん‥香川京子
●高山‥井川比佐志
●甘木‥所ジョージ
●桐山‥油井昌由樹
●沢村‥寺尾聰
●小林(百閒の主治医)‥日下武史
●亀山(百閒の学友、和尚)‥小林亜星
●多田‥平田満
●古谷‥渡辺哲
●北村‥頭師孝雄
●三井‥松井範雄
●平野‥林昭夫
●村山‥冷泉公裕
●太田‥岡本信人
●石川‥竹之内啓喜
●高山の息子‥吉岡秀隆
●地主:山下哲夫
●土地を買った男‥草薙幸二郎
●肉屋の親父‥谷村昌彦
●馬丁‥久世浩
●猫を抱いたお婆さん‥本間文子
●魚屋の娘‥鈴木美恵
●酒屋の御用聞き‥頭師佳孝
●内田百閒の少年時代:西亨大
●巡査‥桜金造、板東英二
●駅長‥加藤茂雄
●馬方‥都家歌六
スタッフ
●監督・脚本・編集‥黒澤明
●原作‥内田百閒
●製作‥山本洋、入江洋三
●ゼネラルプロデューサー‥徳間康快、小暮剛平
●プロデューサー‥黒澤久雄
●アソシエイトプロデューサー‥飯泉征吉
●撮影‥斎藤孝雄、上田正治
●音楽‥池辺晋一郎
●衣装‥黒澤和子
●演出補佐:本多猪四郎
●助監督‥小泉堯史
●プロダクションマネージャー:野上照代
●題字‥今井凌雪
映画の登場人物について
百閒が﹁摩阿陀会﹂について記した著作の中には、多くの人物が実名で登場する。しかし、本映画の登場人物は、百閒の著作に出てくる人物とは一致しない。以下の2人は百閒の著作中にも見られる名前だが、彼らも百閒の著作と映画中の役回りは異なっている。
●北村…百閒の記述によると﹁摩阿陀会﹂の肝煎の一人であるが、映画では一般の出席者になっている。
●甘木…百閒の著作によく登場する名前であるが、特定の人物を指したものではない。﹁甘木﹂は﹁某﹂の字を分解したもので、百閒が個人名を出したくない時に使った符牒である。
この他、実際には﹁摩阿陀会﹂の肝煎(幹事)は多田基、北村孟徳、平山三郎の3人であるが、映画では4人となっている。
ただし、映画の肝煎が4人になっているのは、百閒宅の近所に住み、﹁摩阿陀会﹂開催時に百閒を会場にエスコートする役を担っていた﹁平井﹂という人物を含めているものとも考えられる。この平井は、百閒の随筆﹁ノラや﹂の中で、ノラが行方不明になった時に、新聞に折込広告を入れることを提案した人物でもある︵映画では桐山が提案している︶。
エピソード
●スタッフの野上照代は、東京で出版社に勤めていた時に原稿を受け取りに内田百間の家を訪れ、本人と面会したことがある。おみやげの日本酒を見せると、急に態度が変わり、ご機嫌になったという[4]。
●黒沢清監督は﹁黒澤明では﹃まあだだよ﹄が好き。あっこ︵あそこ︶まで行ったら最早凄いよね﹂と語っている。
●この作品にからめて黒澤は周囲に対し、﹁これが最後の作品ですかね?﹂﹁まあだだよ﹂などと冗談をいっていたという[5]。
●香川京子の演技があまりに見事だったので、脚本でも指示がなく、指導もしていない。監督は現場でもほとんど見ていないという[6]。
●登場する猫は重たかったので抱くときは苦労したという。また、暴れることもあったので眠くなるような薬を飲ませて撮影したらしい[7]。
●馬鹿鍋のシーンでは本物の馬肉と鹿肉が用意された。黒澤は﹁わからないから、他の肉でもいい﹂とこだわらなかったのだが、助監督の配慮である。井川比佐志は馬肉と鹿肉は食べられないということで、助監督に頼んでわざわざ自分用に他の肉を用意してもらったものの、鍋の中に入れると、どれがその肉かわからなくなってしまい結局、ごぼうしか食べられなかったという。
●ラストの夕焼け空にはハリウッドから輸入した﹁サイレント・フロスト﹂というコンピュータ制御のシステムが使われている。この夕焼け空は﹁雲名人﹂ともいわれる島倉二千六の手によるものである。
●ビートたけしが黒澤に﹁自分は映画には使わないのか?﹂と訊いたところ、﹁おまえ言うこと聴かないじゃないか﹂とあしらわれたという。そこでたけしが﹁所使ったじゃないですか﹂と言うと、﹁あいつは役者じゃないじゃないか!﹂と返事をした。たけしによると黒澤は猫と同じ感覚で所を起用したのだという。そのことをたけしが所に言うと﹁それで俺のとき何にも文句言わなかったんだ﹂と納得したという。
●劇中で登場人物が歌ったり、街頭スピーカーから流れてきたりする以外の音楽としてはヴィヴァルディの﹁調和の霊感﹂第9番の第2楽章が使われているのみだが、この演奏︵CD録音︶を指揮しているクラウディオ・シモーネは、﹃乱﹄以降の作品で助監督のひとりとして参加しているヴィットリオ・ダル・オレ伯爵の伯父である[8]。
註
外部リンク
|
---|
1940年代 |
|
---|
1950年代 |
|
---|
1960年代 |
|
---|
1970年代 |
|
---|
1980年代 |
|
---|
1990年代 |
|
---|
カテゴリ |