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「官能小説」の版間の差分

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{{性的}}

{{性的}}

{{otheruses|文学のジャンル|日本の[[漫画]]及びそれを原作とした[[2007年]]の映画|官能小説 (漫画)}}

{{otheruses|文学のジャンル|日本の[[漫画]]及びそれを原作とした[[2007年]]の映画|官能小説 (漫画)}}


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広義には[[ジュブナイルポルノ]]や[[ボーイズラブ]]小説・[[ティーンズラブ]]小説なども含まれるが、この項ではこれらを除いた成人男性向けに書かれた官能小説(狭義の官能小説)について主に述べる。

広義には[[ジュブナイルポルノ]]や[[ボーイズラブ]]小説・[[ティーンズラブ]]小説なども含まれるが、この項では、日本における、これらを除いた成人男性向けに書かれた官能小説(狭義の官能小説)について主に述べる。



== 概説 ==

== 概説 ==

近代的な小説のジャンルとして、読者の性欲を刺激することを目的に据え、性愛を描いた作品は明治時代から存在した。しかし、これらの作品が当時「官能小説」の名前で呼ばれていたわけではなかった。官能小説評論家の[[永田守弘]]によれば、[[第二次世界大戦後]]には「エロ小説」の名で、[[1960年代の日本|1960年代]]に入ると「ポルノ小説」と呼称されるのが一般的であった。そのうえで、永田によれば、このジャンルが「官能小説」として定着したのは、20世紀後半になってからのことであるとしている{{Sfn|永田|2007|pp=9-10}}。


専門のレーベルから出版されることが多いが、これは出版社が世間体を気にしているためである。わざわざ別会社を設立して販売している例もある。

専門のレーベルから出版されることが多いが、これは出版社が世間体を気にしているためである。わざわざ別会社を設立して販売している例もある。



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昨今ではレーベルによってはまず携帯電話等への配信で徐々に値段が下がる傾向にあり、以前からのノウハウを生かして「すぐに手に入る」ためだけ、単純に販路を増やすだけの配信方法から、より読者の要望にあわせた電子出版に変わっていく事が期待されている。

昨今ではレーベルによってはまず携帯電話等への配信で徐々に値段が下がる傾向にあり、以前からのノウハウを生かして「すぐに手に入る」ためだけ、単純に販路を増やすだけの配信方法から、より読者の要望にあわせた電子出版に変わっていく事が期待されている。


== マーケティング ==

1980年代から90年代にかけては、実写系の[[メディアミックス]]作品として、[[アダルトビデオ]]や[[ピンク映画]]の女優をヒロインとしグラビアを挿絵とした官能小説があった。また、(小説の範疇から外れるが)女優が官能小説を朗読するカセット集等も存在した。ただし、これらはキワモノ的な企画であることが多く、イメージのギャップや表現の限界もあって現在に至るまで主流とはなっていない。とはいえ現在でもインターネット上でこういったコンテンツを配信している企業も存在する


なお、官能小説では映像化・漫画化に関しては成功しているものが少ない。これは官能小説が読者の想像力に委ねられる部分が多く、映画化や漫画化はその読者の裁量の部分を埋め立ててしまう事が多いからと考えられる。また、これは規制にも掛かる事であるが、官能小説における表現は主観的な事が多く(例:ヒロインの心情描写など)、客観的にならざるをえない映像や漫画では力不足になってしまう事も大きい。ただ、近年では[[エロ漫画]]家によるイラストや雑誌掲載時のイラストを同時収録している作品も販売されている。



==表紙の装丁==

==表紙の装丁==

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SF[[|]][[]][[]][[]][[|]]

SF[[|]][[]][[]][[]][[|]]


近年のメジャー系出版社で刊行される小説は[[サスペンス]]や[[青春小説]]の要素が強い物が多い。逆にある程度マニア傾向にある出版社で刊行される作品はストーリーそのものは単純で下記のようなジャンルをはっきりと書く作品が多い。

近年のメジャー系出版社で刊行される小説は[[サスペンス]]や[[青春小説]]の要素が強い物が多い{{いつ|date=2022年1月19日 (水) 07:15 (UTC)}}。逆にある程度マニア傾向にある出版社で刊行される作品はストーリーそのものは単純で下記のようなジャンルをはっきりと書く作品が多い。



こうした官能小説のうち数少ない例外として、[[三島由紀夫]]や[[渋沢龍彦]]が賞賛した[[沼正三]]『[[家畜人ヤプー]]』がある(ただし、内容から官能小説ではなく[[SF小説]]の一種とする向きもある)。

こうした官能小説のうち数少ない例外として、[[三島由紀夫]]や[[渋沢龍彦]]が賞賛した[[沼正三]]『[[家畜人ヤプー]]』がある(ただし、内容から官能小説ではなく[[SF小説]]の一種とする向きもある)。


=== 視点 ===

ほとんどの官能小説は[[三人称]]で描かれるが、一部の作品や下記の告白本・実話物では[[一人称]]が使われる事がある。一人称の場合はヒロインからの視点がほとんどであり、男性主人公からの視点の作品は少ない([[睦月影郎]]の初期の作品や[[佐山哲郎|麻耶十郎]]、[[綺羅光]]の一部の作品にある程度)。稀に第三者からの視点の作品もある。



===独特な用語===

===独特な用語===

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2006年には[[ちくま文庫]]から官能小説の用語や表現を集めた辞典が刊行されている<ref>[https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480422330/ 筑摩書房 官能小説用語表現辞典 / 永田 守弘 著]</ref>。

2006年には[[ちくま文庫]]から官能小説の用語や表現を集めた辞典が刊行されている<ref>[https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480422330/ 筑摩書房 官能小説用語表現辞典 / 永田 守弘 著]</ref>。



また、近年の作品では[[オノマトペ]]が多用される傾向にある。

また、近年の作品では[[オノマトペ]]が多用される傾向にある{{いつ|date=2022年1月19日 (水) 07:15 (UTC)}}



==規制==

==規制==

性的な主題を扱った他のジャンルと同様に、官能小説にも検閲・規制の問題があり、[[表現の自由]]等をめぐって様々な論争があった。中でも

性的な主題を扱った他のジャンルと同様に、官能小説にも検閲・規制の問題があり、[[表現の自由]]等をめぐって様々な論争があった。中でも

*『[[チャタレイ夫人の恋人]]』をめぐる一連の裁判([[チャタレー事件]])

*『[[チャタレイ夫人の恋人]]』をめぐる一連の裁判([[チャタレー事件]]){{Sfn|永田|2006|p=17}}

*[[悪徳の栄え事件]]

*[[悪徳の栄え事件]]

*[[四畳半襖の下張事件]]

*[[四畳半襖の下張事件]]{{Sfn|永田|2007|p=20}}

などは有名である(これらが官能小説にあたるかどうかも異論がある)。

などは有名である(これらが官能小説にあたるかどうかも異論がある)。 しかし、その是非とは別に、摘発や規制がかえって官能小説独特の[[比喩]]などの表現方法を発展させたという事実もある。近年では[[アダルトビデオ]]や[[成人向け漫画]]など、より刺激の強いメディアが登場したこともあり、小説の性描写が問題になる事はごく稀である。

しかし、その是非とは別に、摘発や規制がかえって官能小説独特の[[比喩]]などの表現方法を発展させたという事実もある。

近年では[[アダルトビデオ]]や[[成人向け漫画]]など、より刺激の強いメディアが登場したこともあり、小説の性描写が問題になる事はごく稀である。



ただし、[[スポーツ新聞]]・[[週刊誌]]などでの掲載においては、性描写が[[表現の自主規制]]で厳格に管理されている。

ただし、[[スポーツ新聞]]・[[週刊誌]]などでの掲載においては、性描写が[[表現の自主規制]]で厳格に管理されている。


== 歴史 ==

{{節スタブ|総合的な歴史とサブジャンルについて|date=2022年1月}}<!-- 小説ジャンル・またその作家についての歴史に焦点を当てて記述します。 -->


1950年代から60年代にかけて、雑誌『[[奇譚クラブ]]』に連載された、団鬼六の『[[花と蛇]]』が連載される{{Sfn|永田|2007|p=23}}。


1970年代に入ると、[[館淳一]]が『凶獣は闇を撃つ』でデビュー。官能小説の側でも、SMものを中心に、下着や女装といった多彩な分野が描かれるようになる{{Sfn|永田|2007|p=29}}。最終的にこの流れは出版社側にも変化を及ぼし、1985年にフランス書院文庫やマドンナメイト文庫、グリーンドア文庫([[官能小説#関連項目|関連項目]]参照)が発刊されるなど、官能小説とマニア向け小説の融合が続くこととなる。



70[[1978]][[]][[]][[]]{{Sfn||2007|p=33}}801989[[]]{{Sfn||2007|p=35}}1992[[]]{{Sfn||2007|p=36}}


==ジャンル==

==ジャンル==

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また、最近では[[ライトノベル]]や[[同人誌]]の隆盛に伴って、女性向けの官能小説([[ティーンズラブ#小説|ティーンズラブ小説]])、少年向けの官能小説([[ジュブナイルポルノ]])が出版されることも増えている。

また、最近では[[ライトノベル]]や[[同人誌]]の隆盛に伴って、女性向けの官能小説([[ティーンズラブ#小説|ティーンズラブ小説]])、少年向けの官能小説([[ジュブナイルポルノ]])が出版されることも増えている。


1980年代から90年代にかけては、実写系の[[メディアミックス]]作品として、[[アダルトビデオ]]や[[ピンク映画]]の女優をヒロインとしグラビアを挿絵とした官能小説があった。また、(小説の範疇から外れるが)女優が官能小説を朗読するカセット集等も存在した。ただし、これらはキワモノ的な企画であることが多く、イメージのギャップや表現の限界もあって現在に至るまで主流とはなっていない。

とはいえ現在でもインターネット上でこういったコンテンツを配信している企業も存在する。


なお、官能小説では映像化・漫画化に関しては成功しているものが少ない。これは官能小説が読者の想像力に委ねられる部分が多く、映画化や漫画化はその読者の裁量の部分を埋め立ててしまう事が多いからと考えられる。また、これは規制にも掛かる事であるが、官能小説における表現は主観的な事が多く(例:ヒロインの心情描写など)、客観的にならざるをえない映像や漫画では力不足になってしまう事も大きい。ただ、近年では[[エロ漫画]]家によるイラストや雑誌掲載時のイラストを同時収録している作品も販売されている。


ほとんどの官能小説は[[三人称]]で描かれるが、一部の作品や下記の告白本・実話物では[[一人称]]が使われる事がある。一人称の場合はヒロインからの視点がほとんどであり、男性主人公からの視点の作品は少ない([[睦月影郎]]の初期の作品や[[佐山哲郎|麻耶十郎]]、[[綺羅光]]の一部の作品にある程度)。稀に第三者からの視点の作品もある。



===告白本・実話物===

===告白本・実話物===

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{{脚注ヘルプ}}

{{脚注ヘルプ}}

{{Reflist}}

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== 参考文献 ==


* {{Cite book|和書|title=官能小説用語表現辞典|date=2002-01-01|year=2002|publisher=[[マガジンハウス]]|isbn=978-4838713592|author=[[永田守弘]]|ref={{SfnRef|永田|2002}}}}

* {{Cite book|和書|title=官能小説の奥義|date=2007-12-18|year=2007|publisher=[[集英社]]|edition=1|author=永田守弘|ref={{SfnRef|永田|2007}}|isbn=978-4-08-720410-0}}



== 関連項目 ==

== 関連項目 ==


2022年1月19日 (水) 07:15時点における版


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196020[2]





使使






1.5



198090



西JPEGCD-ROM



使






SF

SM

SF

[?]

SF


使


使







 



2006[3]

[?]




[4]



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歴史


195060[6]

1970SM[7]1985

701978[8]801989[9]1992[10]
















SM調































OL









AV - 



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SF













稿稿

ジュブナイルポルノ

ジュブナイルポルノとは、1980年代後半に勃興した、ライトノベルに近似した様式で制作された若年層向けの官能小説を分類して指したもの。

ジュブナイルポルノでは、大半のレーベルでライトノベルと同様に巻頭カラーイラストがあり、本文中にも挿絵がページ単位で挿入されているなど、従来の官能小説とはだいぶ異なる体裁を持っているが、最大の特徴は狭義の官能小説ではタブーとされるSFやファンタジーの要素が小説の世界観としてにふんだんに利用されていることにある。これは対象としている読者層がライトノベルの読者中の成人層やアダルトゲームのプレイヤーであり、そのような世界観についての予備知識をある程度持っていることを前提としているためである。また、ジャンルの歴史という面から見ても、最初期のレーベルである富士見書房の富士見文庫(富士見美少女文庫)では、アダルトアニメくりいむレモン』シリーズのノベライズ作品を主力ラインナップとしていたことなど、1980年代の時点で既に他のメディアとの連動が意識されており、SFやファンタジーの要素がふんだんに含まれた作品が多数出版されていたことが挙げられる。この巻頭カラーイラストや本文中に挿入した挿絵の多くの割合を性描写に割く富士見美少女文庫のスタイルは1990年代に入って次々と勃興した後続レーベルの方向性にも大きな影響を与え、アダルトゲームの普及と共に、多くのアダルトゲームが利用するファンタジー調の世界観や設定をジュブナイルポルノの読者層へ受容させるための礎となっていった。

業界が本格的な発展を遂げた1990年代以降、ジュブナイルポルノ、アダルトゲーム、アダルトアニメの三業界は本文・イラストの人材面も含めて相互に高い関連性を持つようになり、この三者のいずれかが原作となってのアニメ化・ゲーム化・ノベライズは相互に多数制作されている。

脚注


200211ISBN 978-4838713592 

120071218ISBN 978-4-08-720410-0 




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 - 1980-90

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