二見書房
二見書房 | |
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正式名称 | 株式会社二見書房 |
現況 | 事業継続中 |
法人番号 | 3010001028706 |
代表者 | 堀内速人(代表取締役社長) |
本社郵便番号 | 101-8405 |
本社所在地 | 東京都千代田区神田三崎町2丁目18-11 堀内三崎町ビル |
資本金 | 8,000万円 |
従業員数 | 40名 |
関係する人物 |
堀内文治郎(創業者) 堀内俊宏(元社長) 堀内誠人(前社長) |
外部リンク | https://www.futami.co.jp/ |
二見書房︵ふたみしょぼう︶は、日本の出版社。
概要[編集]
サブカルチャー系の書籍、海外翻訳小説などに強く、またいくつかの社内カンパニー、レーベルにより特性の異なった出版を行っている。またジョルジュ・バタイユの全集が良く知られている。沿革[編集]
1941年︵昭和16年︶に堀内印刷所[注釈 1]が出版業として千代田区に創業。印刷と出版の二つを見るという意味を込めて﹃二見書房﹄と命名された。ロダンの﹃フランスの聖堂﹄、森銑三の﹃学芸史上の人々﹄、モーパッサンの﹃女の一生﹄などを刊行するが、第二次世界大戦中の空襲により全焼し中断する。 再開したのは1960年︵昭和35年︶1月で、ベビーブームの最中に出版した吉岡専造の写真集﹃人間零歳﹄は大きく反響を呼んだ。続くノン・フィクション・シリーズ、NHK特別報道班の﹃アフリカ大陸を行く﹄、﹃中近東を行く﹄、﹃中南米を行く﹄などは当時のベストセラーとなった。その後、南海の島で発見された元日本兵の手記﹃グアム島﹄︵1960年︶は、英、仏、独、オランダなど海外6ヵ国で﹃天皇の最後の兵隊﹄として出版された。 佐藤得二の小説﹃女のいくさ﹄︵1963年︶は直木賞を受賞し[2]、3か月間、全国ベストセラー第1位を続けた。<山の遭難シリーズ>の﹃この山に願いをこめて﹄群馬県警察本部編につづき﹃この山なみのこえ﹄信濃毎日新聞社編が注目を集め、1969年︵昭和44年︶には、﹃素顔の日本﹄﹃エマニエル夫人﹄を出版し、ともに異色な出版物として世評を沸かせベストセラーとなる。この年﹃ジョルジュ・バタイユ著作集﹄の発刊を開始。 日本中を驚かせた﹃白い本﹄は1972年︵昭和47年︶に登場、発売と同時に売り切れ店続出し各書店でベストセラーを独占した。また、世界中で話題となった﹃チビっ子猛語録﹄の翻訳も発売され、中・高校生の間で人気となり、年度後半のベストセラーになった。 1974年︵昭和49年︶には新書版分野へ進出し、新企画として﹃刑事コロンボ﹄シリーズ︵全36巻・別冊2巻︶や﹃コックリさんの秘密﹄などがヒット。児童向けの新しいミニ判が人気となり、なかでも、ニッポン放送の番組から採録した﹃なぞなぞの本﹄︵昭和50年︶は、ベストセラーとなる。 1978年から1979年にかけてのウルトラマンシリーズ第3次ブームのときには、﹃ウルトラマンブック﹄﹃ウルトラ怪獣ブック﹄﹃ウルトラ大怪獣カード﹄を刊行した。売れ行きは良く、1992年ごろまで刊行は続いた。その後1993年から1994年にかけては、謎本の﹃ウルトラマン99の謎﹄﹃ウルトラ怪獣99の謎﹄﹃ウルトラマン特撮99の謎﹄が刊行された。 1976年︵昭和51年︶、テレビの人気番組﹃まんが日本昔ばなし﹄を出版。全30巻累計800万部をこえるミリオンセラーとなる。2005年︵平成17︶年10月からテレビ放映されリニューアル発売を開始。 1978年には近未来小説のさきがけとなった﹃第三次世界大戦﹄を出版。ヨーロッパ・日本でベストセラーとなる。 1980年︵昭和55年︶、新社屋が完成し三崎町から文京区音羽に移転。同年、ゲイ・タリーズの﹃汝の隣人の妻﹄上下2冊をアメリカと同時出版すると世界的に話題となる。﹃ペントハウス・ペット690﹄は高額な定価にかかわらず初版6万部を1ヵ月で完売する。人類の火星移住計画を暴いた﹃第三の選択の謎﹄︵1982年︶は、3か月で40万部を売り、上半期でのベストセラーとなった。 日本テレビアナウンサー小林完吾の﹃愛、見つけた﹄︵1983年︶は、全国の人々に感動を与えた。1984年には、手芸テキスト﹃ソープバスケット﹄を50万部売り、この年のベストセラーとなる。 ファミコン・ブームにのり﹃裏ワザ大全集﹄シリーズの﹃スーパーマリオブラザーズ﹄は100万部を突破。裏技ブームの一助を担った。この年から、オトナの文庫﹁マドンナメイト﹂の毎月定期刊行を開始。 1986年︵昭和61年︶には、アーヴィング・ウォーレスの﹃第七の機密﹄、ローレンス・ブロックの﹃聖なる酒場の挽歌﹄など、海外ミステリ専門文庫﹃ザ・ミステリ・コレクション﹄がスタートした。その後グレン・ミードの﹃雪の狼﹄︵1997年︶は、日本冒険小説協会大賞<外国部門>を受賞しベストセラーとなる。アイリス・ジョハンセンの﹃スワンの怒り﹄︵1997年︶、リンダ・ハワードの﹃二度殺せるなら﹄︵1999年︶など、ロマンス&サスペンスの傑作がベストセラーを続ける。 また、映画﹃プラトーン﹄の原作、デイル・A・ダイの同名の小説︵1987年︶が30万部突破のベストセラーとなる。その後も、ノストラダムス物の﹃ノストラダムス全予言﹄、豆本﹃10回10回クイズ﹄︵ともに1988年︶など、ベストセラーとなる。 帯津良一の﹃ガンを治す大事典﹄︵1997年︶などのガン治療関連図書をはじめ、南山宏の﹃オーパーツの謎﹄︵1993年︶、爆笑問題の﹃天下御免の向こう見ず﹄、﹃ヒレハレ草﹄、﹃三三七拍子﹄︵1997年 - ︶、福知怜の﹃タイタニック号99の謎﹄︵1998年︶、三浦佑之の﹃童話ってホントは残酷﹄︵1999年︶などがベストセラー、ロングセラーとなった。 2003年︵平成15年︶に文京区音羽から千代田区神田神保町に移転した。韓流ブームのきっかけとなった冬のソナタの関連本﹃冬のソナタをもっと楽しむ本﹄︵2003年︶、ジャンボ旅客機の機体に秘められた驚きの秘密を公開した﹃ジャンボ旅客機99の謎﹄︵2004年︶、また﹃二見時代小説文庫﹄︵2006年︶の定期刊行を開始し、ともにベストセラー、ロングセラーとなる。 2008年︵平成20年︶、本社を二見書房発祥の地、千代田区神田三崎町に移転[3]。同年発行された﹁読めそうで読めない間違いやすい漢字﹂が未曽有の大ブームとなり、シリーズ累計170万部を超え、翌年オリコンで年間販売数1位を獲得。 ﹃事故物件怪談 恐い間取り﹄︵2018年︶が話題となり、第2弾発売と同時に映画化され、ともに大ヒットを記録。また、世相を反映して﹃自分でできる遺言書﹄﹃もしものときのエンディングノート﹄﹃高齢ドライバー脳活ドリル﹄などの実用書がロングセラーとなっている。 レーベルとして、﹁ハニー文庫﹂︵平成26年︶、﹁二見レインボー文庫﹂︵平成27年︶、﹁二見サラ文庫﹂︵平成30年︶、﹁二見ホラー×ミステリ文庫﹂︵令和3年︶などを創刊し、さまざまなジャンルでの定期刊行を行っている。二見書房の社内カンパニー・レーベル[編集]
サラ・ブックス︵サラブレッド・ブックス︶ 1974年から出版開始。﹁刑事コロンボ﹂シリーズ︵ノヴェライズ小説︶が大半を占める。現在は絶版だが、出版されなかった﹁愛情の計算﹂以外は、後述の﹁二見文庫﹂で再発行されている。 他にNBCミステリー・ムービーシリーズ︵﹁警部マクロード﹂﹁マッコイと野郎ども﹂﹁ミセス・コロンボ﹂︶﹁エマニエル夫人﹂﹁ロッキー﹂など映画のシリーズ小説︵原作またはノヴェライズ︶、ユリ・ゲラーやノストラダムスの超能力・予言もの、﹁景気の波﹂などビジネス書も発行された。 マドンナ社 従来﹁サラ・ブックス﹂シリーズで刊行していた官能小説を分離、﹁マドンナメイト﹂で発行する。この﹁マドンナメイト﹂シリーズは、1985年に創刊され、文庫本のマドンナメイト、マドンナメイト写真集、AV女優の喋り・歌・テレホンセックス風のよがり声から成る﹁マドンナメイト・カセット﹂、アダルトビデオ﹁マドンナメイト・ビデオ﹂より構成されていた。 1980年代から90年代にかけて﹃犯された教室﹄﹃女子高生 あぶない体操着﹄﹃セーラー服 快感の口淫﹄などを上梓した﹁麻耶十郎﹂はスタジオジブリ製作の長編アニメーション映画﹃コクリコ坂から﹄原作者の佐山哲郎のペンネームであったことが、2011年に明かされた。また、無名時代の姫野カオルコが1作だけ書いている︵﹃令嬢嬲り﹄︶。 2005年から2006年にかけて、当時の﹁萌え﹂ブームに乗る形で、ジュブナイルポルノレーベル﹁二見ブルーベリーシリーズ﹂を刊行していた。 リヨン社 健康に関する本、詩集、エッセイなどを主に発行する。 シャレード ボーイズラブ小説を主に出版する。 ハニー文庫 男女の恋愛をテーマにし、現代ものを含まない、ラブシーンのある読切作品。ティーンズラブ小説を主に出版する。 すずらんコミックス 成人向けマンガを主に発行する。二見ブルーベリーシリーズと同系。2006年5月末から新刊発行なし。その他[編集]
かつて営業車にダイハツ・シャレードを使用しており、リアガラス付近に﹁Charade﹂のロゴが入ったステッカーが貼られていた。
二見文庫
﹁ザ・ミステリー・コレクション﹂、﹁官能小説シリーズ﹂他を刊行中。金曜プレステージにて、﹁女医・倉石祥子﹂シリーズ既刊2作が、片平なぎさ主演でドラマ化された。
ザ・ミステリ・コレクション
1986年︵昭和61年︶創刊。リンダ・ハワード、アイリス・ジョハンセンなどのロマンス&サスペンス、トム・クランシー、ローレンス・ブロックなどのミステリ等、海外の翻訳小説を多数刊行。
二見時代小説文庫
2006年創刊。﹁剣客相談人﹂、﹁公事方裏始末﹂、﹁与力・仏の重蔵﹂の各シリーズ他を刊行中。
二見レインボー文庫
2015年に創刊された雑学、実用を中心としたレーベル。
﹁︻文庫版︼読めそうで読めない間違いやすい漢字﹂﹁童話ってホントは残酷﹂﹁子どもって、どこまで甘えさせればいいの?﹂などを刊行。
二見サラ文庫
1970年代に創刊された﹁サラ・ブックス﹂の理念を受け継ぎ、2018年に新レーベル﹁二見サラ文庫﹂として創刊。エンターテインメント作品を中心に刊行。
二見ホラー×ミステリ文庫
2021年創刊。﹁わざわざゾンビを殺す人間なんていない。﹂﹁ふたりかくれんぼ﹂﹁宵坂つくもの怪談帖﹂などホラー小説、ミステリ小説を刊行していた。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 沿革:堀内印刷所. 2022年4月22日閲覧
- ^ 佐藤得二(さとう とくじ)-直木賞受賞作家|直木賞のすべて. 2022年4月22日閲覧
- ^ 「二見書房の沿革・歴史」 二見書房公式HP 会社情報より
参考文献[編集]
- 堀内俊宏『おかしな本の奮戦記』(二見書房 1987年)