露出狂
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露出狂︵ろしゅつきょう︶は、自ら裸体、性器など通常は衣服で覆われていて見えない身体の一部を晒すことを好む性的倒錯者を示す言葉である。窃視症はほぼ反対の概念である。日本の法律では﹁性器の露出﹂は公然わいせつ罪、または軽犯罪法1条20号︵身体露出の罪︶違反になる[1]。
「露出症」も参照
露出行為の定義[編集]
身体露出の﹁どこまでが違法行為で、どこからがそうでないか﹂あるいは﹁社会通念上許される行為か否か﹂の境界は、宗教や国、社会通念、その場の状況によって判断が左右され、極めて曖昧である。
例えばイスラム教圏では女性は肌を晒すことを禁じられていため、Tシャツやホットパンツの着用だけでも不謹慎とされる。一方でアメリカ合衆国や南米の国々においては、海水浴や日光浴において女性であっても上半身を露出すること︵いわゆるトップレス︶は特に問題とならないことがある。また、発展途上国の限られた地域ではあるが、現在でも男女ともに全裸で生活する種族も存在する。ドイツでは裸体主義、あるいは﹁フライエ・ケルパー・クルトューア︵FKK︶﹂という言葉があり、公共の場で全裸になることは抗議やその他の重要な意思表示の手段になっており、法的には、誰かが苦情を訴えない限り、公共の場所で裸になることは違法にはならず、ブランデンブルクで全裸でバイクに乗っていた男性が警察官に制止されたものの、後に警察が違法ではなかったと発表した[2]。
日本では、男性が上半身を露出することは違法行為にはあたらず、問題になることはない。男性の水着は上半身を覆うタイプのものも存在するが、一般的には上半身は覆わないタイプのものが主流である。スポーツや炎天下での作業などでは、上半身裸で作業する男性もいる。また、男性に限り、褌を着用すれば臀部を女性に晒しても露出行為にはあたらない。例えば大道芸人ギリヤーク尼ヶ崎は公共の場所で赤ふんどしだけの姿でパフォーマンスを行い社会に受け入れられているほか、公共の場所でほぼ全裸で体中に金粉を塗って踊る﹁金粉ショー﹂のパフォーマンスを行う舞踏集団大駱駝艦などもあり、一般にそれがわいせつ目的ではなく芸術目的であれば社会的に受け入れられる場合がある。
一方、女性が上半身だけであっても公共の場で晒すことは問題となる。しかし、戦前の時代までは、汽車の中など他人の男性もいる所で、母親が乳児に授乳する光景は普通にあった。このように同じ国でも時代によって変化する場合がある。乳房の露出は、日本の刑法では軽犯罪法︵身体露出の罪︶にあたり、軽犯罪法1条20号には以下の通り規定されている[1]。
軽犯罪法1条20号
公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者[1]
公衆にけん悪の情を催させるかどうかは、行為を行った主体の性別、年齢、露出される部分、状況、行為の場所、行為の態様などを総合的に勘案して決められる。よって、乳房を露出する行為であっても、﹁授乳室で露出﹂するのと﹁電車内で露出﹂するのとでは、当然に後者の方が﹁公衆にけん悪の情を催させる﹂程度は大きいといえる[1]。
前述のように国や宗教によって大きな差があるものの、一般的には男女ともに性器を衆目に晒すことが、︵狭義の︶露出狂と認知されることが多い。日本の刑法では、このほかしり、ももその他身体の一部をみだりに露出することは軽犯罪法1条20号で身体露出の罪と規定している。﹁その他身体の一部﹂とは、通常、人が衣服などで隠している部分をいい、乳房、尻、ももなどのほか、へそ、わき腹などがこれに該当しうる。法的には﹁露出する﹂とは、肌そのものを人目に触れ得る状態におくことをいう[1]。
しかし、乳房[3]が性器かどうかは意見の分かれるところである。法律上は性器と扱われていないことが多い。一方で、男性が上半身のみ裸になる場合であっても、女性から見ると男性の上半身を見せられることも︵個人差があるが︶恥ずかしい場合や不快感を催す場合があり、逆に男性側も上半身のみ裸になる事を恥ずかしがったり嫌がる者も一部ではあるが存在しており、何を不快に感じるかは個人によりばらつきがあるため一様ではない。
一般に、露出狂の露出の対象は、性的好奇心および羞恥心を喚起する身体の一部であることが通常である。さらには、衣服等を着用していた場合でも、︵広義の︶露出と評価される場合がある。これは、シースルー等の透ける素材の衣服を着用して性器や乳房が見えるようにした場合が代表的である。また、公営プール等で、一般的なものよりも肌が見える水着︵マイクロビキニ・Tバックなど︶を着用している場合、さらには、透けていなくとも、肌に密着した衣服を着用して、性器の存在︵いわゆる男性のモッコリや女性のメコスジ︶を強調した場合も、同様に評価される場合がある。
また、このような評価は、場所や状況によって大きく異なる。例として、プールや海水浴場、あるいはファッションショー等で、水着を着用して歩行することは露出行為とはいえないが、それ以外の公共の施設や路上において、水着のみを着用して歩行した場合、広義の露出に該当する[4]。
露出度の高低、露出者の羞恥は、露出者と衆人との差異による。ゆえに、例として透けたハイレグ水着を着用する場合、プールでは衆人との衣装の差異が小さいために羞恥が小さく、街中では差異が大きいため同じ衣装でも大きな羞恥を浴びることができる。
また、性器が他人に晒されることが予め分かっているような状況では、異性に性器を見せても露出狂には該当しない。例えば泌尿器科で女性医師に、または産婦人科で男性医師に性器を露出しても、相手は性器が見えることを予め分かっているから驚いたり不快になることは無いからである。