アリバイ
アリバイ︵英: alibi[1]︶とは、犯罪などで被疑者・被告人が犯行に関わっていないことを推認させる間接事実の一つ。現場不在証明︵げんじょうふざいしょうめい︶とも訳される。
ラテン語の副詞 alibī に由来し、これは alius ibī︵alius = 他の、ibī = 場所に︶の合成語である。
倣︵ 行っている。作品例は、﹃マジックミラー﹄︵講談社文庫︶の﹁文庫版のためのあとがき﹂に紹介されているものである。
1.証人に悪意がある場合
証人が嘘をついていた場合
例‥﹃ナイルに死す﹄︵アガサ・クリスティ︶、﹃不連続殺人事件﹄︵坂口安吾︶
2.証人が錯覚している場合
a.時間を錯覚している場合
証人が見る時計の針に細工をする、日にちを間違わせる、曜日を間違わせる、など。
例‥﹃ウィスタリア荘﹄︵コナン・ドイル︶[3]
b.場所を錯覚している場合
証人が犯人と一緒にいる場所︵アパート、新幹線、山や川など︶を間違わせる、など。
c.人物を錯覚している場合
犯人が替え玉を使った場合。
例‥証人がa、b、cすべてを錯覚している場合の作品 - ﹃人それを情死と呼ぶ﹄︵鮎川哲也︶
3.犯行現場に錯誤がある場合
例えば実際の犯行現場はA市の山林で、後で死体をB市の雑木林に移動させてB市を犯行現場と思わせるもの。
4.証拠物件が偽造されている場合
写真トリック︵合成写真︶が典型。
例‥﹃フレンチ警部の多忙な休暇﹄︵F・W・クロフツ︶
5.犯行推定時間に錯誤がある場合
a. 実際よりも早く偽装する場合
例えば3時に殺された被害者が、2時には既に死んでいたように見せかけ、2時のアリバイを用意するというもの。
b.実際よりも遅く偽装する場合
例えば3時に殺された被害者が、4時まで生きていたと思われるよう細工して、4時のアリバイを用意するというもの。
例‥2件の事件でaとbのそれぞれを用いている作品 - ﹃鍵孔のない扉﹄︵鮎川哲也︶
A.医学的トリック
死体を冷やしたり熱したり、胃の消化物を加工したりして、死亡推定時刻の判定を狂わせるもの。
B.非医学的トリック
医学的トリック以外の方法で、aとbの例に挙げたような細工をするもの。
※AとBにそれぞれaとbがある。
6.ルートに盲点がある場合
例えば移動するのに1時間かかる2地点間を、意外なルートを使って30分で移動するというもの。
時刻表を使った鉄道ミステリに作品例が多いが、例えば歩いて1時間かかる山道を断崖の上からパラシュートで数分で下ったというものも該当する。
例‥﹃シタフォードの謎﹄﹃ゼロ時間へ﹄︵アガサ・クリスティ︶
7.遠隔殺人
a.機械的トリック
時限装置によって発射される拳銃や時限発火装置など。
b.心理的トリック
催眠術をかけた相手や夢中歩行癖のある相手に、危険な行為をさせるというもの。
例‥﹃空白の起点﹄﹃炎の虚像﹄他︵笹沢佐保︶
8.誘導自殺
相手に精神的に大きなショックを与えて、自殺に追いやるもの。
例‥﹃暗い傾斜﹄他︵笹沢佐保︶
9.アリバイがない場合
犯人が訴えるアリバイが、実はアリバイでも何でもなく、読者にアリバイがあると思い込ませるもの。
例‥﹃真昼に別れるのはいや﹄他︵笹沢佐保︶
なお、鯨統一郎は﹃九つの殺人メルヘン﹄︵2001年︶において、有栖川有栖の﹁アリバイ講義﹂におけるアリバイトリックの9つの分類に対応する9つの短編を著している。