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急性胃腸炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

: acute gastroenteritis


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便便



便38

1 尿

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1便退



使

使尿

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便

急性胃腸炎の原因となり得る主な病原体の早見表[編集]

急性胃腸炎の原因となり得る主な病原体
病原体 腸炎ビブリオ サルモネラ カンピロバクター O157などの腸管出血性大腸菌(EHEC) 病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌を除く) 赤痢菌 コレラ菌 ノロウイルス ロタウイルス
病原因子 耐熱性溶血毒(TDH) 腸管上皮細胞侵入 腸管上皮細胞侵入 ベロ毒素志賀毒素 腸管病原性大腸菌(EPEC)と腸管侵入性大腸菌(EIEC)は腸管上皮細胞侵入。
毒素原性大腸菌(ETEC)はコレラトキシンに似た毒素を産生。
腸管上皮細胞侵入、ベロ毒素(志賀毒素) コレラ毒素(コレラトキシン) 腸管上皮細胞侵入 腸管上皮細胞侵入
感染源 魚介類 ネズミ家畜 家畜 家畜ネズミ、感染者の糞便 感染者の糞便 飲料水、感染者の糞便、サル 魚介類、飲料水、感染者の糞便 飲食物、感染者の糞便 感染者の糞便、おむつ
原因食品 生の貝類など 生肉鶏卵サラダ 鶏肉豚肉牛肉 種々の食品。特に生の牛肉が原因となることが多い。 種々の食品 飲料水、種々の食品 魚介類、種々の食品 種々の食品 食品からの感染は少ない。
潜伏期間 12-24時間 1-2日 2-11日 3-8日 12-72時間 1-5日 12時間-5日 24-48時間 1-3日
主な症状 上腹部痛、下痢嘔吐 発熱腹痛、下痢、嘔吐 頭痛、腹痛、下痢、嘔吐 出血性大腸炎(下腹部痛、下痢、血便風邪様症状) 腹痛、下痢、嘔吐、発熱 下腹部痛、下痢、血便、発熱 水様性下痢、嘔吐、脱水症状 上腹部痛、嘔気、嘔吐、下痢 水様性下痢、嘔吐、発熱、脱水症状
腹痛 上腹部で強い へそ周辺で強い へそ周辺で強い 下腹部で強い EPECはへそ周辺で強い。EIECは下腹部で強い。ETECでは軽い。 下腹部で強い。ときに渋り腹(テネスムス)もあり。 軽い 上腹部で強い 上腹部で強い
下痢便の性状 水様便、重症例では粘血便 水様便または粘血便 水様便または粘血便 はじめ水様便、のちに血便 EPECでは水様便が多い。EIECでは粘血便となることが多い。ETECでは真っ白い水様便が大量に出ることも。 はじめ水様便、のちに膿粘血便 のとぎ汁」と形容されるほどの真っ白な水様便 水様便 水様便。重症例では真っ白い水様便が大量に出ることも。
血便(下血) 重症例ではあり あり あり 特に顕著に現れる。典型例では「糞便成分がほとんどなく、真っ赤な血液そのもの」といった状態で出てくる。 EIECでは多い。EPECでも重症例ではあり。 顕著。血液だけでなく粘液も混じる。典型例では糞便成分がほとんどなく、血液、膿、粘液のみを頻回に排泄するようになる。 胃腸炎自体ではなし。合併症として腸重積症を起こした場合はあり。
嘔吐 多い あり あり あり 多い 激しい 多い
発熱 ない、または軽度(37℃台) 多い、ときに38℃以上の高熱になることも あり 軽度(37℃台)であることが多い EPEC、EIECでは多い。ETECでは稀。 あり ない、または軽度(37℃台) 多い
合併症 稀に心臓障害を起こすことがある 敗血症髄膜炎 敗血症、ギラン・バレー症候群 溶血性尿毒症症候群(HUS)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 溶血性尿毒症症候群(HUS)、ライター症候群 脱水症状 脱水症状、腸重積症肝炎心筋炎脳炎ウイルス性急性脳症腎不全
二次感染(ヒトからヒトへの伝染) あり あり あり あり 多い あり 多い 多い
予防法 魚介類の生食を避ける、食前加熱 ネズミの駆除、鶏卵の生食を避ける、食前加熱、冷蔵冷凍、食前の手洗い 肉類の生食を避ける、食前加熱、冷蔵冷凍、食前の手洗い 肉類の生食を避ける、食前加熱、冷蔵冷凍、食前の手洗い、二次感染の防止 ネズミの駆除、加熱殺菌 生ものや生水を避ける、加熱殺菌、冷凍冷蔵 生ものや生水を避ける、加熱殺菌、冷凍冷蔵 食前加熱、手洗い、うがい、二次感染の防止 ロタウイルスワクチン接種
感染症法での扱い 五類感染症 五類感染症。一部の菌株は三類感染症(腸チフスパラチフス)。 五類感染症 三類感染症(腸管出血性大腸菌感染症) 五類感染症 三類感染症(細菌性赤痢 三類感染症(コレラ 五類感染症 五類感染症、基幹定点
備考 コレラ菌と同じビブリオ属に分類される細菌である。 腸チフスおよびパラチフスを起こす菌株は感染症法で三類感染症に指定される。 合併症のHUSは致死率が高く、後遺症が残ることもある。 感染力が非常に強く、ごく少量の菌数でも感染が成立する。 腸炎ビブリオと同じビブリオ属に分類される細菌である。 乳幼児の重症胃腸炎の原因として重要な病原体。