核家族
核家族︵かくかぞく︶とは社会における家族の形態の一つ。拡大家族、大家族、複合家族と対になる表現である。
米国の人類学者であるジョージ・マードックが人類に普遍的ですべての家族の基礎的な単位という意味で用い始めた"nuclear family"という用語の和訳であり[1]、夫婦や親子だけで構成される家族のことである。
なお、核家族は親族世帯の一形態であり、一人暮らし世帯である単身世帯︵単独世帯︶とは区別される[2]。
イヌイットの核家族。母親と父親と子供︵1929年︶
"nuclear family"という用語について、メリアム=ウェブスター[3]は1941年を初出とする。日本では第二次大戦後、アメリカがビキニ環礁で核実験を行った頃から流通し始めたとされている。
核家族とは具体的に以下のような形態を指すことが多い[2]。
(一)一組の夫婦のみ
(二)一組の夫婦とその子ども
(三)父親または母親とその子ども︵父子世帯や母子世帯︶
(四)︵子供からみて︶両親または父母のどちらか一方と未婚の兄弟姉妹
のいずれかからなる家族を指す。若者の一人暮らしや高齢者の一人暮らしは親族世帯ではなく単身世帯︵単独世帯︶に分類される[2]。
核家族そのものは人類の普遍的な家族形態とされる[4]。古来の核家族は、周囲に血縁関係のある人々が住み、大家族的な生活を営んでいた[4]。これに対して、現代の核家族、特に都市で新たに世帯を構える核家族は、近隣に血縁者が存在しない孤立した核家族である[4]。この点が古来の核家族と異なり、孤立した子育てなど新たな課題を抱えている[4]。
大家族に比較して、転居や住居の改造など居住に関するフレキシビリティーが高く、親類間のプライバシーが維持しやすいが、多人数で同居する大家族と比べて、親子三世代による家事労働や育児、家内労働の分担がしづらくなる。