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言語学における極性︵きょくせい︶とは、言語表現における肯定と否定、つまりある陳述︵文またはその一部︶が真・偽いずれであるかという文法上の区別であり、文法範疇の一つである。
表現形式[編集]
英語では副詞"not"の有無により否定か肯定かが示される。他の多くの言語でも否定にはこれに当たる否定詞が用いられ︵言語により動詞の前、後、あるいは動詞を囲むように接続する︶、肯定は無標となる。ただし英語では直説法現在・過去の否定にはさらに助動詞"do"を加えて"do not"にしなければならないという点が特異である。"not"は動詞または文を否定する他に、副詞、形容詞や句の否定にも用いられる。名詞︵句︶の否定には限定詞の"no"が用いられる︵この"no"を含む文も否定文である︶が、日本語にはこれに当たる表現はない。
否定が動詞の変化等により示される法︵否定法︶として示される言語も多い。
﹁はい﹂﹁いいえ﹂のように、疑問に対する答の文を肯定・否定だけを示す形で言い換える語︵Pro-sentence‥文代用形︶も多くの言語にある︵例外もある︶。しかしその使い分けは言語によって異なる。否定疑問文に対する肯定の答は、日本語では疑問文を否定する文であるという意味で﹁いいえ﹂となるが、英語では文法的に肯定文であるという意味で"yes"となる。ドイツ語やフランス語では否定疑問文に対する肯定の答専用の語︵Doch、Si︶を使う。
極性項目[編集]
肯定・否定の一方のみと共起する︵一致する︶語や表現を極性項目︵Polarity item︶という。例えば英語の"any"、"ever"や、日本語の﹁~しか﹂﹁滅多に﹂﹁必ずしも﹂などは、普通は否定にのみ使われる否定極性項目であり、﹁必ず﹂は肯定極性項目である。ただしそれ以外の用法もあり、例えば英語の"any"は、文法的な否定ばかりでなく、否定的な意味の文︵あるいは単純な肯定ではない文︶、すなわち疑問文、条件文、比較︵than︶、too...to構文、疑い・意外感を表す語︵doubt、be surprised︶や限定を表す語︵only、few︶を用いた文などにも広く使える。