樋口潮
樋口 潮︵ひぐち うしお、1963年6月4日 - ︶は、日本のテレビプロデューサー。群馬県高崎市出身、慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業。
株式会社東京放送スポーツ局︵現TBSテレビ︶、ドリマックステレビジョン取締役、モンスター・ナインおよびデジタルナイン、ゴールドエッグス代表取締役を歴任した。2023年、株式会社ゴールドエッグスを株式譲渡した。日本の他、アメリカでも様々なジャンルのトップクリエイターとして紹介されている。
一方で2007年に出演者から不当労働行為で訴えられたり[、NHKの番組出演時に重傷を負った出演者が労働災害を申し立てるといった問題が噴出していた。
来歴・人物[編集]
大学を卒業後、1986年にTBS︵東京放送︶に入社。放送業務局、プロ野球中継、バルセロナ五輪︵1992年︶などのスポーツ中継のディレクターを経て、1995年より始まった﹃スポーツマンNo.1決定戦﹄と﹃筋肉番付﹄を手がけ、﹁筋肉バラエティ﹂の礎を築いた。 2003年7月1日、TBSスポーツからドリマックス・テレビジョンへ出向、後に転籍。同社で取締役を務めた後2005年に独立、自身の制作プロダクションである﹁株式会社モンスターナイン﹂(Monster9)を設立した。その後もテレビ番組のみならず、マッスルミュージカルのプロデュースや、世界初のスポーツテーマパーク﹁マッスルパーク﹂の運営など、プロデューサーとして活動の幅を広げた。 2011年11月11日、脱税と粉飾決算の疑いが持たれていたモンスター・ナインおよび関連会社のデジタルナインが東日本大震災の影響で倒産。全てがフルリセットされる事態になる。しかし“運動から生まれる感動が健全な社会を創る”というスポーツの理念を持ち続け、翌12月には早くも新会社﹁株式会社ゴールドエッグス﹂を始動。エデュケーションとエンターテイメントを融合したスポーツスクール事業をスタートさせた。 2017年には、新しいスポーツエンターテイメントとして﹁KuroOvi﹂を創設[1]。翌年にはCS放送のファミリー劇場でも放送された。テレビ番組[編集]
﹁筋肉番付﹂﹁スポーツマンNo.1決定戦﹂﹁世界陸上﹂﹁SASUKE﹂﹁ZONE﹂﹁K-1 WORLD MAX﹂﹁K-1 Dynamite!﹂などのヒット番組を生み出し製作・プロデュース、スポーツとエンターテイメントを融合させた“スポーツバラエティ”という新しいジャンルを創り上げる。1997年からは﹁世界陸上﹂をTBSで中継。総合演出・プロデュースし、キャスターに織田裕二と中井美穂を起用し、世界のトップアスリートの魅力を視聴者にわかりやすく伝える番組やPRのフォーマットを確立した。 2000年から2005年には、TBSで格闘技中継を実施。特に2003年﹁Dynamite!﹂のメインイベントで行われた、﹁曙対ボブ・サップ﹂のマッチメイクを実現し、瞬間視聴率43.0%を記録し、民放初となる“紅白超え” となった。 2001年には元旦に放送された﹁スポーツマンNo.1決定戦﹂を4時間半の番組に拡大し、﹁筋肉番付﹂終了まで20%・終了後も15~18%の高視聴率を保ったほか、﹁新春かくし芸大会﹂など他局の元日の番組を抑えて、2005年まで5年連続で同時間帯のトップを記録した。 プロデューサーとして活動の幅を広げ、﹁SASUKE﹂においては2005年以降、台湾・香港で大ヒットを記録し、特にアメリカでは2009年より“NINJA WARRIOR”のタイトルで放送され、2021年現在までに13シーズンが制作されるなど高い支持を得た。この他にもイギリス、フランス、イタリアなど世界165の国と地域で放送されている。2007年12月からは﹁筋肉番付﹂も“Unbeatable Banzuke”という番組名で、世界各国にて放送されている。Original Creator Ushio Higuchi、created by Ushio Higuchiなどクレジットされている。 上記のスポーツバラエティ番組の他にも、スポーツ中継にも力を注いでおり、日本テレビが1987年から1995年まで持っていた﹁世界陸上﹂の日本での放送権を、TBSスポーツ部時代の1997年に獲得。また2001年の大晦日には、﹁第43回日本レコード大賞﹂の後の時間帯に格闘技中継を投入。2003年から2005年にかけて大晦日の格闘技戦争が展開されるきっかけを作った。 ﹁SASUKE﹂や﹁KUNOICHI﹂などで見られた回を重ねる毎の難易度上昇や、﹁海筋肉王 〜バイキング〜﹂︵フジテレビジョン、2005年 - 2007年︶や﹁スポ★カジ﹂︵テレビ朝日系列、2007年︶でのスタッフや出演者起用の傾向などから、同様の企画や演出などを繰り返し他番組で用いることが多く、自らの制作方針を頑なに貫く姿勢が見られる。こうした樋口のその姿勢には批判的な声も多く、元フジテレビプロデューサーの横澤彪は﹁スポ★カジ﹂の放送に際し、﹁新味がなかった﹂﹁根本的には何も変わっていない﹂と痛烈に批判している。 ただし、同番組はテレビ朝日から﹁筋肉番付﹂と同様のものを制作してほしいという意向のもとに作られた経緯があることにも留意すべき必要はある。 特に現・SASUKEの総合演出である乾雅人 とは険悪な関係であったとされ、乾は﹁SASUKEは自分が中心になって作った物で、樋口は上から﹁忍者みたいなのを作れ﹂と指示するだけだったと公言し樋口時代︵主に第14回~27回︶の裏話などについて言及しない、第14回~27回の2ndステージにあったメタルスピンを﹁クラゲみたいで嫌﹂﹁一番嫌い﹂、第25回~27回の3rdステージにあったアルティメットクリフハンガーを﹁3rdの概念として、セットが地面から生え出ているのはあり得ない﹂﹁ただの突起が出た板っきれ﹂と批判する、樋口がSASUKEの制作から離脱後に制作した﹁究極のヒーローは誰だ!新スポーツエンターテインメント KuroOvi選手権﹂に出場したSASUKE有力選手︵ラギヴァル・アナスターズ等︶に対し全カット、ダイジェストのみにするなどして干すことまでしている。一方で樋口も乾が制作に復帰後の2022年、TBSに無断でSASUKEのエリアをゴールドエックス名義で商標登録した結果、﹁スパイダーウォーク﹂が﹁スパイダーラン﹂、﹁クリフハンガーディメンション﹂が﹁クリフディメンション﹂に名称変更を余儀なくさせているマッスルミュージカル[編集]
マッスルミュージカルにおいては、2001年の誕生からプロデュースを手がけており、2011年までに50回近くにわたって興行を実施。2004年には横浜市の全面協力を得てマッスルシアターを落成。2007年には渋谷にもマッスルミュージカル専用劇場﹁渋谷マッスルシアター﹂を建設した。 日本国内だけでなく海外公演も行い、2006年・2007年と2年連続でラスベガス公演を成功させた。2009年7月31日からラスベガスのインペリアルパレスホテル&カジノにおいて﹃MATSURI﹄を演出・プロデュース、2011年4月5日には500公演を記録し、2011年7月までロングラン公演を行い、﹃MATSURI﹄はラスベガスの定番人気ショーとして確立された。一方で2007年に出演者から不当労働行為で訴えられたり[、NHKの番組出演時に重傷を負った出演者が労働災害を申し立てるといった問題が噴出していた。
その他[編集]
﹁筋肉番付﹂関連のメディアミックス展開にも複数関与しており、﹃別冊コロコロコミック﹄掲載の漫画﹁筋肉番付外伝 怪傑!金剛くん﹂では原案・監修を、家庭用ゲーム︵PS・PS2・GB・GBA版︶では企画・監修を担当している。PSで発売された﹁筋肉番付VOL.2 〜新たなる限界への挑戦!〜﹂ではプレイヤーキャラクターの一人としても登場し、特定の条件を満たすことで、隠しキャラクター﹁うしおくん﹂として使用できる。 2012年“ワクワク楽しい日本を創る”をテーマに、スポーツスクール﹁ゴールドスクール﹂︵サッカー・体操・空手など︶を立ち上げ、現在も東京・神奈川・埼玉など18校以上で展開している。 2018年には新たなパークとして﹁フィッシャーズパーク﹂をプロデュース。 2019年からはアミューズメントスポーツクラブ﹁ニンジャ☆パーク﹂を運営し、2023年12月現在12店舗まで拡大。担当番組[編集]
TBS系列 ●欽ちゃんのプロ野球好珍プレー︵1993年~2001年︶ ●最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦 (1995年1月 - 2010年1月) ●筋肉番付シリーズ ●筋肉番付 (1995年10月 - 2002年5月) ●体育王国 (2002年10月 - 2003年9月) ●黄金筋肉(ゴールデンマッスル) (2003年10月 - 2004年6月) ●SASUKEシリーズ ●SASUKE (1997年9月 - 継続中、2011年10月まで制作に関与) ●KUNOICHI (2001年12月 - 継続中、2011年10月まで制作に関与) ●ZONE(1999年10月 - 2004年9月) ●サイボーグ魂(2002年10月 - 2003年3月) ●格闘技中継 ●INOKI BOM-BA-YE (2001年・2002年) ●K-1 プレミアム Dynamite!!(2001年 - 2005年) ●K-1 EOMANEX ●Dynamite!! 〜勇気のチカラ〜 (2003年 - 2010年) ●K-1 WORLD MAX (2002年 - 2010年) ●HERO'S(2005年 - 2007年) ●世界陸上 ●世界陸上アテネ大会(1997年) ●世界陸上スペイン大会(1999年) ●世界陸上カナダ大会(2001年) ●クチコミ(2006年 - 2007年) フジテレビ系列 ●海筋肉王 〜バイキング〜 (2005年4月 - 2007年3月) ●VIKING (2005年 - 2007年) ●スポーツゲームバトル﹁家族の絆で1000万円!!ファミ筋スペシャル﹂ テレビ朝日系列 ●すくいず! スポ★カジ (2007年6月 - 7月・9月) ●頑張る人応援バラエティ 体育の時間(2007年10月 - 2008年2月) テレビ東京系列 ●極上の休日(2003年10月 - 2004年3月) ●ソロモンの王宮(2004年4月 - 2005年10月) ●ソロモン流︵2005年10月 - 2014年9月︶ BS-i ●マッスルチャンネル (2007年4月 - 9月) スカパー ●究極のヒーローは誰だ!新スポーツエンターテインメント KuroOvi選手権︵2018年︶ BS-TBS ●美活の㊙︎レシピ︵2015年 - 2017年︶ミュージカル[編集]
●マッスルミュージカル︵2002年~2011年︶スポーツパーク[編集]
●マッスルパークお台場︵2006年~2011年︶ ●マッスルパーク千歳︵2006年~2011年︶ ●フィッシャーズパーク︵2018年~2019年︶ ●ニンジャ☆パーク︵2019年~︶映画[編集]
●MUSCLE HEAT︵出演 ケイン・コスギ、加藤雅也、哀川翔、竹中直人他︶アニメ[編集]
●金剛君の大冒険 ●ゴールドマッスルマンガ[編集]
●﹃別冊コロコロコミック﹄掲載の漫画﹁筋肉番付外伝 怪傑!金剛くん﹂受賞歴[編集]
●﹁報道30時間テレビ﹂ 社長賞 ●﹁世界陸上アテネ大会﹂ 社長賞 ●﹁スクランブル交差点を3歩で渡る男 世界ベストCFコンクール︵IBA︶プロモーション部門賞受賞﹂ ●﹁1999年度TBS年間優秀賞﹂ ●﹁筋肉番付スペシャル﹂﹁スポーツマンNo.1決定戦﹂社長賞 ●﹁2000年度TBS年間最優秀賞﹂ ●﹁ZONE﹂アジア太平洋放送連合︵ABU︶スポーツ番組部門賞受賞 ●﹁猪木軍 VS K-1最強軍全面対抗戦完全決着!!﹂社長賞 ●﹁スポーツマンNo.1決定戦XX﹂社長賞 ●﹁イノキボンバイエ 2002 最強の格闘王決定戦﹂社長賞 ●﹁monoマガジン スーパーグッズオブザイヤー2004﹂食品部門銅賞 ●﹁K-1 プレミアム 2004 Dynamite!!﹂社長賞 2005年横浜市より﹁筋肉ミュージカル﹂が地域社会に貢献したことを認められ、賞状・感謝状を贈られる。 この他にも各種受賞歴あり。ゲーム[編集]
- 筋肉番付vol.1〜俺が最強の男だ!〜(PlayStation)
- 筋肉番付vol.2〜新たなる限界への挑戦!〜(PlayStation)- 前述の通り、今作のみ隠しキャラクターとして「うしおくん」名義でキャラクター化されている。
- 筋肉番付~ROAD TO SASUKE~
- 筋肉番付vol.3〜最強のチャレンジャー誕生!〜(PlayStation)
- 筋肉番付 マッスルウォーズ21 (PlayStation 2)
脚注[編集]
- ^ SASUKEを超える!? KuroOvi アルティメットヒーローに挑戦しました! . KARAKARE(2017年9月30日). 2018年4月26日閲覧。