為房卿記
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為房卿記︵ためふさきょうき︶は、後三条・白河・堀河・鳥羽天皇に蔵人・蔵人頭として仕え、大蔵卿・参議として活躍した藤原為房の日記で、﹁大記﹂﹁大御記﹂﹁大府記﹂とも呼ばれる。
延久2年︵1070年︶から永久2年︵1114年︶までの記録があるが、治暦年間︵1065年-1068年︶頃から記していたとも言われるが、京都大学文学部所蔵の自筆1巻を残し、ほとんどが散逸する。ただ、鎌倉期の古写本が京都大学や陽明文庫・宮内庁書陵部などに残る。院政政治についての内容が現存しているが、一年分を完備した年はなく断続的である。また、永保元年︵1081年︶秋の熊野詣の記事は特に﹁為房卿熊野参詣日記﹂として取り上げられることがある。 当時の政治や社会状況を知る上では重要な歴史資料。刊本としては、部分的ではあるが、﹃大日本史料﹄第3編や﹃歴代残闕日記﹄第7冊、﹃翻刻為房卿記﹄︵﹃史聚﹄第10号︶に掲載。
参考文献[編集]
- 田島公「為房卿記」(日本歴史古記録総覧上巻、新人物往来社、1989年)
- 河野房雄「白河・鳥羽両院政下の内蔵頭」(『平安末期政治史研究』、東京堂出版、1979年)
- 所功「筆者為房の略伝」(『史聚』10号、1979年)
- 木本好信「藤原為房-その生涯と日記『大府記』-」(『平安朝官人と記録の研究』、おうふう、2000年)
出典[編集]
●朝尾直弘・宇野俊一・田中琢 編﹃角川 新版 日本史辞典﹄角川書店、東京、1996年。ISBN 978-4040320007。 ●“摂関期古記録データベース”. 国際日本文化研究センター. 2024年6月12日閲覧。