長田暁二
長田 暁二︵おさだ ぎょうじ、1930年︿昭和5年﹀3月19日[1] - ︶は、日本の音楽文化研究家、音楽プロデューサー。
ポリドール・レコード学芸部長、徳間音楽工業常務取締役、テイチクエンタテインメント顧問を歴任。
来歴・人物[編集]
岡山県笠岡市生まれ[1][2]。笠岡市の禅寺威徳寺の次男として育つ[3]。1953年、駒澤大学英米文学科卒業。 大学在学中からコロムビアレコードでアルバイトをし、レコード業界に出入り[4]。卒業後、同年キングレコード入社[2]。童謡担当ディレクターを振り出しに22年間ディレクターを務めた。 1968年、芸術祭賞受賞︵児童のための音楽入門レコード﹃チュウちゃんが動物園へいったお話﹄︶に始まり、同奨励賞3回、批評家選賞1回。日本レコード大賞企画賞3回、特別賞4回、童謡賞は﹁ちいさい秋みつけた﹂をはじめとして7回。新人賞は﹁下町の太陽﹂で倍賞千恵子、作曲賞は﹁さよならはダンスのあとに﹂で小川寛興など。1966年度、ADFレコード大賞﹃イタリア古典歌曲集﹄、1974年度、フランスのACCディスク大賞︵世界で最も権威あるレコード大賞︶を﹁ピアノと鳥とメシアンと﹂︵ピアノ木村かをり・指揮岩城宏之︶で受賞。企画制作した担当レコードの受賞多数[5]。 1975年にポリドール・レコードに移り[2]、のち学芸部長。その後徳間音工常務取締役、テイチクエンタテインメント顧問を歴任。1982年フリーになり、10月に音楽制作会社﹁明治音楽企画﹂を設立し代表取締役に就任[6]。同月に出家して仏門に帰依した[7]。 童謡、民謡、軍歌、なつメロ、歌謡曲、歌曲、オペラなど活動範囲は幅広く、特に抒情歌に造詣が深い[8]。 著書に﹁流行歌20世紀﹂﹁日本民謡事典﹂他、著作は約500冊にも上る[9]。他にもCDのライナーノーツ、新聞、雑誌への寄稿、コンサートなどの舞台構成、演出、司会、TV・ラジオの台本、出演、音楽文化講演の講演活動も多い。 2015年6月﹃戦争が遺した歌 - 歌が明かす戦争の背景﹄︵全音楽譜出版社︶を刊行[10]。﹁歌の視点から戦争と平和を問うた大著﹂と評される[11]。 同年、JASRAC音楽文化賞を受賞[12][13][14]。 ●3歳の時に汽車にひかれ入院。退院して痛みで泣いてばかりいると、父親がポータブル蓄音機を買ってくれた。一人でも聴けるようにと針の落とし方を何回も練習させられ、一日中それを聴いていた。字が読めない頃、それで自然と音楽に親しむ。 ●学校に行くようになってもうまく歩けずに、周りから杖を取り上げられたりといじめられ友達もできず。変われたきっかけは、音楽の時間に﹁せいくらべ﹂を歌った時、先生が﹁お前は耳が良い﹂と褒めてくれた。それからは授業で新しい曲を練習するたびに、まず﹁長田、歌え﹂と言ってくれて、そのことが自信につながる。 ●大学で英文科に入った理由は仏典の英訳をしたいと思ったから。 ●大学での部活は児童教育部に所属。後にCDアルバム﹁佛教讃歌集﹂編集では600人の同窓会員が投票して25曲を選んだ。 ●お坊さんになるつもりで得度を2度した。最初は小学3年時、岡山県の永祥寺︵那須与一の墓がある︶にて。2回目は1982年に徳間ジャパンを辞めた際。修行し直してお寺へ帰ろうと思い、静岡県袋井市の寺院可睡斎で。 ●コロムビアレコードのバンドボーイのバイトでは美空ひばりや藤山一郎、霧島昇らのレコーディングの準備や片付けを経験。著書[編集]
●日本抒情歌大全集<第1集~第4集>ピアノ伴奏・解説付き︵ドレミ楽譜出版社︶ ●世界抒情歌全集 <第1集~第3集> ピアノ伴奏・解説付︵ドレミ楽譜出版社︶ ●日本唱歌名曲集︵全音楽譜出版社︶ ●日本童謡名曲集 伴奏付 付録・日本童謡発達小史︵全音楽譜出版社︶ ●流行歌20世紀︵全音楽譜出版社︶ ●わたしのレコード100年史︵英知出版︶ ●童謡歌手からみた日本童謡史︵大月書店︶ ●知っているようで知らない音楽おもしろ雑学事典︵ヤマハミュージックメディア︶ ●四季の歌暦366︵ヤマハミュージックメディア︶ ●絵でとく日本の歌 見て読む本︵ヤマハミュージックメディア︶ ●歌に潜む仏教のこころ︵国書刊行会︶ ●世界の愛唱歌 ハンドブック 1000字でわかる名曲ものがたり︵ヤマハミュージックメディア︶ ●あの歌この歌こぼれ話︵全音楽譜出版社︶ ●改訂増補平成版日本民謡全集 解説・楽譜付き︵千藤幸蔵と共著︶ ●見て読む本・絵でとく日本の歌︵ヤマハミュージックメディア︶ ●日本民謡選集︵千藤幸蔵と共著︶︵ドレミ楽譜出版社︶ ●懐かしのうたごえヒット集 歌詞・解説付︵自由現代社︶ ●歌でつづる20世紀 あの歌が流れていた頃 1901〜2000︵ヤマハミュージックメディア︶ ●サトウハチローのこころ ことばの花束︵佼成出版社︶ ●日本のうた大全集 詩と解説︵自由現代社︶ ●心にのこる日本の歌101選︵ヤマハミュージックメディア︶ ●ゼンオン歌謡ギター名曲選1簡単に弾けるタブ譜つき︵全音楽譜出版社︶ ●ゼンオン歌謡ギター名曲選2簡単に弾けるタブ譜つき︵全音楽譜出版社︶ ●ゼンオン歌謡ギター名曲選3簡単に弾けるタブ譜つき︵全音楽譜出版社︶ ●よみがえる歌声喫茶名曲集75曲の歌詞と25曲のカラオケCD付き︵英知出版社︶ ●日本民謡事典︵全音楽譜出版社︶ ●歌謡曲おもしろこぼれ話︵社会思想社︶2002.2 ●詩と解説 日本のうた大全集 ︵改訂版︶︵自由現代社︶2003.2 ●1冊でわかるポケット教養シリーズ 音楽ものしり事典︵ヤマハミュージックメディア︶2013.11 ●昭和歌謡 - 流行歌からみえてくる昭和の世相︵敬文舎︶2017.10 順不同、著作は約500冊。出演[編集]
- あいうえ歌謡曲 (NHKラジオ第1放送・2003年10月4日~2008年3月28日、全147回)
- 昭和歌謡ショー(NHKラジオ第1放送 2011年~ 不定期出演)
- 上記以外にも、NHKのテレビ、ラジオの音楽番組に多数ゲスト出演、解説を務めている。
- CBCサンデースペシャル・なんだかんだで生放送!! (CBCラジオ・1986年5月25日~1989年12月3日) - メインパーソナリティ[1]。番組内では「歩く歌謡情報誌」という異名をとった。共演は村井秀樹アナウンサー(当時)[1]。
その他[編集]
- 各レコード会社のCD監修、解説、通信販売会社のCD、ビデオ大全集の監修、解説もおこなっている。
受賞[編集]
脚注[編集]
(一)^ abcd﹃DJ名鑑 1987﹄三才ブックス、1987年2月15日、116頁。
(二)^ abc﹁著者略歴﹂﹃私のレコード100年史﹄英知出版、1978年5月10日、287頁。
(三)^ 朝日新聞・夕刊: p. 3. (1994年12月20日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
(四)^ 仏教企画. “秋彼岸特集 長田暁二さんに聞く”. 2020年2月12日閲覧。
(五)^ 紀伊国屋書店. “自由現代社2003.2著者紹介”. 2020年2月12日閲覧。
(六)^ 産経新聞. “長田暁二さん﹁戦争が遺した歌﹂刊行 軍歌や軍国歌謡…時代の背景考察 2015.7.31”. 2020年2月12日閲覧。
(七)^ 紀伊国屋書店. “著者紹介”. 2020年2月12日閲覧。
(八)^ 朝日新聞. “ホームソング、優しく新しく 作曲家・大中恩さんを悼む 音楽文化研究家・長田暁二さん 2018年12月12日”. 2020年2月12日閲覧。
(九)^ 中外日報. “﹁音楽は世相を反映する﹂と語る音楽文化研究家 長田暁二さん︵89︶2020年2月3日”. 2020年2月12日閲覧。
(十)^ 紀伊国屋書店. “著書”. 2020年2月12日閲覧。
(11)^ 全音楽譜出版社. “﹁戦争が遺した歌﹂著者の長田暁二氏がJASRAC音楽文化賞受賞”. 2020年2月12日閲覧。
(12)^ 日本音楽著作権協会. “第2回JASRAC音楽文化賞 2015年11月”. 2020年2月12日閲覧。
(13)^ 日本音楽著作権協会. “第2回JASRAC音楽文化賞 2015年11月”. 2020年2月12日閲覧。
(14)^ “音楽文化研究家の長田暁二氏らに音楽文化賞”. 日刊スポーツ (2015年11月18日). 2015年11月19日閲覧。