デジタル大辞泉
「コンドロイチン硫酸」の意味・読み・例文・類語
コンドロイチン‐りゅうさん〔‐リウサン〕【コンドロイチン硫酸】
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精選版 日本国語大辞典
「コンドロイチン硫酸」の意味・読み・例文・類語
コンドロイチン‐りゅうさん‥リウサン【コンドロイチン硫酸】
(一)〘 名詞 〙 ( [英語] chondroitin sulfate の訳語 ) ムコ多糖の代表的な一種。骨、軟骨、角膜、血管壁など結合組織に分布する。生体内でたんぱく質と結合して、結合組織の抗張力、弾力のもとになる。
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コンドロイチン硫酸
こんどろいちんりゅうさん
N-アセチルガラクトサミン︵糖タンパク質やムコ多糖を構成する糖の一つ︶、ウロン酸︵グルクロン酸またはイズロン酸︶、硫酸からなる多糖類の一種で、軟骨の主成分として知られる。また、皮膚、臍帯(さいたい)、肉芽など各種の結合組織にも含まれる。ブタの鼻の軟骨の乾燥重量で、その約4割はこれである。ウロン酸の種類と硫酸基の結合位置によってA、B、C、D、Eなどの型に分けられる。1980年代から90年代にかけて、A、B、Cはそれぞれコンドロイチン-4硫酸、デルマタン硫酸︵ムコ多糖症に関与する︶、コンドロイチン-6硫酸とよばれるようになってきた。コンドロイチン硫酸の構造は、繰り返し単位が100個程度結合したものであると考えられてきたが、繰り返し単位とは異なる構造もいくつか組み込まれていることがわかってきた。組織中ではプロテオグリカン︵ムコ多糖タンパク質︶とよばれるタンパク質と結合した形で存在し、1本のタンパク質の鎖に数十本のコンドロイチン硫酸の鎖が結合している。プロテオグリカンはさらにヒアルロン酸、コラーゲンと巨大な分子集合体を形成し、高等動物の細胞間質︵基質︶を構成している。
﹇村松 喬﹈
﹃ジェーソン・セオドサキスほか著、橋本三四郎訳﹃続・こうすればひざ痛は治せる!﹄︵1999・同朋社、角川書店発売︶﹄▽﹃高橋周七著﹃肌と関節が若くなるコラーゲン料理健康法﹄︵1999・同文書院︶﹄▽﹃健康生活プロジェクト編﹃健康主義者の正しい食べ方――体に効く、体を変える食品の力﹄︵2003・はまの出版︶﹄
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コンドロイチン硫酸
コンドロイチンリュウサン
chondroitin sulfate
動物の結合組織の基質成分であるコンドロイチンの種々の硫酸エステルの総称.最初に軟骨中にはAとCが,また皮膚にはBが存在することが見いだされた(1951年).A,Cに含まれるウロン酸がD-グルクロン酸であるのに対し,Bはウロン酸がL-イズロン酸であることから,デルマタン硫酸とよばれるようになった.AとCは二糖単位,N-アセチルコンドロシン当たり1mol の硫酸エステル基をもつが,結合位置を異にする.︻Ⅰ︼コンドロイチン硫酸A(コンドロイチン4-硫酸)‥クジラや,ウシの鼻や気管の軟骨では乾燥重量の20~40% を占めており,タンパク質を消化,除去したのち,カルシウム塩としてエタノールで沈殿させると得られる.分子量3万~5万,
-28~32°(水).固有粘度0.2~1.0.アキシアルC-O-Sによる928 cm-1,850 cm-1 の赤外線吸収を示す.リポタンパク過剰血症に用いる.
︻Ⅱ︼コンドロイチン硫酸C(コンドロイチン6-硫酸)‥心臓弁,へそ,腱などの結合組織に多く含まれる.分子量3×104~5×104.
-16~-22°(水).エカトリアルC-O-Sによる820 cm-1,1000 cm-1 の赤外線吸収を示す.
︻Ⅲ︼そのほか‥サメの軟骨からのコンドロイチン硫酸D(SO4/GalN = 1.3~1.5),スルメイカの軟骨からのコンドロイチン硫酸E(SO4/GalN = 1.55),カブトガニの軟骨からのコンドロイチン硫酸K(SO2/GalN = 1.6)などが知られており,それぞれ硫酸基の結合位置の異なる二糖二硫酸残基を含んでいる.
生体内では,これらのコンドロイチン硫酸はタンパク質と共有結合しており,多糖類とタンパク質との間には三糖Galp(β1→3)Galp(β1→4)Xylpが存在し,このキシロースとセリンとの間でO-グリコシド結合している.コンドロイチン硫酸は動物種,部位,疾患などによって種類や含量が異なり,ヒトの血清や尿中にも含まれている.[CAS 9007-28-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
コンドロイチン硫酸 (コンドロイチンりゅうさん)
chondroitin sulfate
酸性多糖の一種。ウロン酸とN-アセチルガラクトサミンが結合した2糖の繰り返しを基本構造としたムコ多糖で,分子量約2万。ウロン酸の種類,硫酸基の結合位置によって,主として三つの種類のコンドロイチン硫酸が知られている。すなわち,コンドロイチン硫酸A,コンドロイチン硫酸B︵デルマタン硫酸ともいう︶,コンドロイチン硫酸Cである。コンドロイチン硫酸Aは骨,角膜,Bは皮膚に特に多く存在する。また軟骨はAとCを持つ。コンドロイチン硫酸の研究は,名古屋大学の鈴木旺らが開発した特異的分解酵素コンドロイチナーゼを使用することによって急速に進んだ。この多糖鎖は遊離の形ではなく,タンパク質と共有結合したプロテオグリカンとして組織中に存在している。糖部分とタンパク質部分の結合はキシロースとセリンのO-グリコシドであり,弱アルカリ処理によって解裂する。プロテオグリカンのタンパク質部分は分子量20万強で,これに100本程度のコンドロイチン硫酸鎖,さらにいくつかのケラタン硫酸鎖が結合していて,分子全体としては平均200万の分子量を持つことになる。プロテオグリカンは主として細胞間の基質として存在するが,その場合プロテオグリカン分子は,直鎖状のヒアルロン酸を軸にムカデの足状に集合し,プロテオグリカン集合体となる。プロテオグリカン集合体はさらにコラーゲン繊維と相互作用して網目構造を作っている。プロテオグリカン集合体とコラーゲンを結びつけているのはフィブロネクチンと呼ばれる糖タンパク質である。プロテオグリカンの生合成は細胞の状態によって大きく影響を受ける。たとえば,老化agingが進むとコンドロイチン硫酸の占める割合が減少し,成長ホルモンは硫酸化多糖の生合成を促進する。
![](/image/dictionary/sekaidaihyakka/block/20504601.png)
執筆者‥村松 喬
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食の医学館
「コンドロイチン硫酸」の解説
こんどろいちんりゅうさん【コンドロイチン硫酸】
軟骨(なんこつ)や椎間板(ついかんばん)、関節の滑液(かつえき)に多く含まれるムコ多糖類(たとうるい)という物質の一種で、水溶性の食物繊維の仲間でもあります。細胞の健康を保つうえで、数多くの重要な働きをはたしており、その効用は、早くも20世紀の前半から注目されていました。
コンドロイチン硫酸(りゅうさん)は、コラーゲンとともに体内の結合組織を形づくっており、組織に保水力や弾力性を与える、栄養分の消化吸収や代謝(たいしゃ)をうながすなどの作用があります。それによって肌の健康維持や若返りに効果を発揮。目の角膜(かくまく)や水晶体の透明度の維持、関節の円滑な動き、じん帯の弾力維持にも役立ちます。
そのほか、カルシウムの代謝にかかわって骨の成長をうながし、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防する、血中のコレステロールや過酸化脂質の除去に働いて、動脈硬化(どうみゃくこうか)や高血圧を予防する、細胞の増殖を促進し、精子の数をふやすといった効果もあります。
こうしたコンドロイチン硫酸の働きは、医薬品としてもすでに広く利用されており、日本では腎炎(じんえん)、ネフローゼ症候群、リウマチ、神経痛、腰痛(ようつう)、肩こり、目の疾患、脱毛症(だつもうしょう)、夜尿症(やにょうしょう)などの薬に用いられています。
コンドロイチン硫酸は成長期の若い人であれば、体内でも生成されるのですが、年をとるとともに生成能力が落ちていきます。
そのため、シワや肌のかさつきが現れるわけです。
コンドロイチン硫酸を多く含む食品は、納豆、ヤマノイモ、オクラ、海藻、スッポン、サメの軟骨、スジ肉などがあります。体内での利用効率は動物性のものに分がありますが、いずれにしても含有量は多くありません。ネバネバ、トロトロした食品に多く含まれるので、これらを常食するといいでしょう。
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百科事典マイペディア
「コンドロイチン硫酸」の意味・わかりやすい解説
コンドロイチン硫酸【コンドロイチンりゅうさん】
N-アセチルガラクトサミン,ウロン酸(グルクロン酸,イズロン酸など),硫酸からなる酸性ムコ(粘質)多糖類。ウロン酸の種類や硫酸基の結合位置から,コンドロイチン硫酸A,B,C,D,Eなどがある。軟骨の主成分で,また皮膚,臍帯(さいたい),腱(けん),動脈管,心臓弁などにも広くみられる。組織中ではタンパク質と結合したプロテオグリカンの形で存在する。
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コンドロイチン硫酸
コンドロイチンりゅうさん
chondroitin sulfuric acid
グルクロン酸,硫酸を含む酸性ムコ多糖類の一つ。骨,軟骨,結合組織などに含まれる。組織では蛋白質と結合し,遊離の形では存在しない。コラーゲンとともに細胞間マトリックスの主成分になっている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
コンドロイチン硫酸
デルマタン硫酸ともいう.軟骨,結合組織,粘液などに含まれる糖タンパク質の配合体.A,B,C,D,Eなどの種類がある.ナトリウム塩を食品添加物として用いる.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のコンドロイチン硫酸の言及
【ウロン酸】より
…天然にはこれら3種のウロン酸が存在し,多糖類の成分として分布している。たとえば,高等動物の各種の組織にはヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸,ヘパリンなどの酸性多糖があって,組織の構築に関与しているが,グルクロン酸はこれらの多糖の重要な構成成分である。また,植物の細胞壁構成成分であるペクチンにはガラクツロン酸が,褐藻の粘質物であるアルギン酸には多量のマンヌロン酸が含まれる。…
※「コンドロイチン硫酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」