デジタル大辞泉 「一番」の意味・読み・例文・類語 いち‐ばん【一番】 ﹇名﹈ 1 順序・番号の最初。また、最初のもの。﹁一番電車﹂ 2 最も優れているもの。また、最も大切なこと。﹁一番の成績﹂﹁何よりも健康が一番だ﹂ 3 歌合わせ・碁・相撲・剣道などの勝負の組み合わせ。一勝負の組み合わせ。﹁この一番が見ものだ﹂﹁結びの一番﹂ 4 謡・能・歌舞などの一曲。﹁謡を一番あげる﹂ ﹇副﹈ 1 この上なく。最も。﹁君が一番上手だ﹂ 2 ためしに。思いきって。ひとつ。﹁できるかどうか、ここで一番試してみよう﹂ ﹇アクセント﹈と2はイチバン、1はイチバン。 [類語]︵1︶第一・真っ先・最初・初発・先頭・いの一番・トップ・初め・一次・原初・嚆(こう)矢(し)・手始め・事始め・まず・優先・初(しょ)っ端(ぱな)・先立ち・当初・初期・初頭・始期・早期・劈(へき)頭(とう)・冒頭・出(で)出(だ)し・滑り出し・初手・出(では)端(な)・端(はな)・端(はし)・口開け・取っ付き・頭(あたま)・のっけ・スタート・取り敢えず・差し当たり・ひとまず・当座・序の口・皮切り・第一歩・第一声・始まり・始まる・始める・発端・端緒・濫(らん)觴(しょう)・権(けん)輿(よ)・起こり・緒・とば口・取っ掛かり・開始・幕開き・開幕・立ち上がり・口切り・最優先・何をおいても・何はさておき・何はともあれ・口火を切る・先ず以て/︵2︶一等・一級・無上・至上・至高・最高・最上・最良・最善・随一・ぴか一・白(はく)眉(び)・ベスト・ナンバーワン・トップ・最も ひと‐つがい〔‐つがひ〕【一▽番】 雌雄一対。「一番の小鳥」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「一番」の意味・読み・例文・類語 いち‐ばん【一番】 (一)[1] 〘 名詞 〙 (一)① 二人またはそれ以上が一組となること。 (一)(イ) 一組。一つがい。 (一)[初出の実例]﹁凡車駕行幸者、舎人四番︿以二十二人一為二一番一﹀供奉﹂(出典‥延喜式︵927︶一三) (二)(ロ) 歌合・相撲・競べ馬などの勝負の第一組。 (一)[初出の実例]﹁一番郭公 左勝﹂(出典‥類従本民部卿行平歌合︵885‐887頃︶) (二)﹁競馬有けるに、一番に尾張兼時・下野の敦行乗りたりける﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶二三) (二)② 一回。一度。 (一)(イ) 舞、能、狂言などの一曲。 (一)[初出の実例]﹁舞も定めて能かるらん。一番見んぞや﹂(出典‥平松家本平家︵13C前︶一) (二)(ロ) 碁、将棋、相撲、賭博などの一勝負。 (一)[初出の実例]﹁碁盤とりよせ︿略﹀、一番がほどに例ざまにならせ給ける﹂(出典‥今鏡︵1170︶九) (二)﹁今一番取らうと仰せらるる﹂(出典‥虎寛本狂言・文相撲︵室町末‐近世初︶) (三)(ハ) 一般に、一回の試み、また一度の行為や作用。 (一)[初出の実例]﹁時宗の坊主、比丘尼と一ところにて、雨の中寂しさに、一ばんと思ひ﹂(出典‥咄本・昨日は今日の物語︵1614‐24頃︶上) (二)﹁一番ごっきりで義興めを、川中でぐはんと云はせた﹂(出典‥浄瑠璃・神霊矢口渡︵1770︶四) (三)③ 順序の最初。最上位。第一。 (一)(イ) 最初。まっ先。先頭。 (一)[初出の実例]﹁其貢進之次、以二左近一為二一番一﹂(出典‥延喜式︵927︶二〇) (二)﹁一番に馳せ参ずべし﹂(出典‥車屋本謡曲・鉢木︵1545頃︶) (二)(ロ) 最もすぐれていること。最も大切なこと。程度が最も大であること。 (一)[初出の実例]﹁良弁僧正と云は、東大寺一番の別当也﹂(出典‥九冊本宝物集︵1179頃︶六) (二)﹁一ばんの桶さア買てきなさろ﹂(出典‥滑稽本・東海道中膝栗毛︵1802‐09︶六) (三)(ハ) その日の最初に出る汽車や電車、船などの乗り物。 (一)[初出の実例]﹁恐らく明日の朝一番で出るだらう﹂(出典‥泊客︵1903︶︿柳川春葉﹀一) (四)④ 劇場や寄席での鳴り物の名。→一番太鼓。 (一)(イ) 芝居で下座の合方が鳴り物として、打込みにたたく大太鼓。初めは縁(ふち)を回してたたき、後、どどんどんどんとたたくもの。 (二)(ロ) 寄席で、開場と同時に大太鼓を長桴(ながばち)で打ち込むこと。 (二)[2] 〘 副詞 〙 (一)① こころみに一度。ためしにちょっと。また、﹁緊褌一番﹂などの形で、ひとつ思い切っての意を表わす。 (一)[初出の実例]﹁こっちも一番いうた跡は、モウいざこざはないわいの﹂(出典‥浄瑠璃・妹背山婦女庭訓︵1771︶四) (二)﹁チルチルなるもの、感奮一番せざるを得ない﹂(出典‥日の出前︵1946︶︿太宰治﹀) (二)② 最も。何より。別して。 (一)[初出の実例]﹁一ちばんすきなしたみ酒﹂(出典‥咄本・無事志有意︵1798︶拳酒) (二)﹁一番先に見付けたものが﹂(出典‥吾輩は猫である︵1905‐06︶︿夏目漱石﹀一) ひと‐つがい‥つがひ【一番】 〘 名詞 〙① 動物の雌雄一対。[初出の実例]「ひとつがひ侍けるつるのひとつがなくなりにければ」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)哀傷・一四二三・詞書)② 番舞(つがいまい)で、左方と右方とが各一曲ずつ奏すること。〔楽家録(1690)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例