対（読み）タイ

デジタル大辞泉 「対」の意味・読み・例文・類語

たい【対〔對〕】［漢字項目］

 
﹇音﹈タイ︵呉︶︵漢︶　ツイ︵唐︶　﹇訓﹈むかう　こたえる
﹇学習漢字﹈3年
︿タイ﹀
1 向かい合う。二つが向き合う。﹁対岸・対決・対抗・対座・対策・対象・対比・対面・対立／絶対・相対・敵対・反対﹂
2 相手になって受け答えする。﹁応対・接対﹂
3 二つで一組のもの。﹁対偶﹂
4 対(つし)島(ま)国。﹁対州﹂
︿ツイ﹀の3に同じ。﹁対句／一対﹂  
 

つい︻対︼

 
﹇名﹈
1
㋐二つそろって一組みとなること。また、そのもの。﹁対になっている置き物﹂
㋑素材や模様・形などを同じに作って、そろえること。また、そのもの。﹁対の着物﹂
2 ﹁対(つい)句(く)﹂に同じ。
﹇接尾﹈助数詞。
1 二つで一組みになっているものを数えるのに用いる。﹁一対の夫(めお)婦(とぢ)茶(ゃわ)碗(ん)﹂
2 衣服・調度など、ひとそろいのものを数えるのに用いる。﹁三(さん)幅(ぷく)対﹂
﹁竜虎梅竹唐絵一―﹂︿庭訓往来﹀
[類語]ペア・双・組み・揃(そろ)い・一揃い・一(いっ)対(つい)・番(つが)い・一式・セット  
 

たい︻対︼

 
1対照をなすこと。また、反対の関係にあること。﹁男の対は女﹂
2 互いに相手関係にあること。﹁巨人対中日戦﹂
3 数を表す語の間に入れて、数量の比例・割合を表す語。﹁三対二の割でまぜる﹂
4 同等の力量・資格であること。﹁対で碁を打つ﹂
5 二つで一組みとなるもの。つい。
﹁ある時宣宗が一句を得て―を挙(きょ)人(じん)中に求めると﹂︿鴎外・魚玄機﹀
6 ﹁対の屋﹂の略。
﹁ひんがしの―の西の廂﹂︿枕・八﹀
7 名詞などの上に付けて、比較・交渉・戦いなどの相手であることを表す。﹁対前年比﹂﹁対欧州貿易﹂
[類語]相対・差し向かい・差し・真向かい・反対  

つい【対／堆】［漢字項目］

〈対〉⇒たい
〈堆〉⇒たい

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精選版 日本国語大辞典 「対」の意味・読み・例文・類語

たい【対】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 向かい合うこと。相手になること。
(一)(イ) 対比すること。比較すること。
(一)[初出の実例]﹁大人対(タイ)子供としての関係の方が、深く私の頭に浸み込んでゐる﹂(出典‥硝子戸の中︵1915︶︿夏目漱石﹀三六)
 (二)(ロ) 試合や勝負などの組み合わせや点数の対照を表わすことば。vs.
(一)[初出の実例]﹁あれでもやはりお客さまよ。しかも向うは三人で送るといふのよ、三対一よ﹂(出典‥残夢︵1939︶︿井上友一郎﹀)
 (三)(ハ) 相対すること。また、反対のもの。
 (四)(ニ) ( 接頭語的に用いる ) 働きかけ、交渉、対抗などの相手であることを示すことば。
(一)[初出の実例]﹁却って﹃毎日﹄の如き無勢力な新聞を生さず殺さずして置く方が︿略﹀最良の手段であると云ふのが此人の対﹃毎日﹄観であった﹂(出典‥菊池君︵1908︶︿石川啄木﹀四)
 (三)② 数量などの比率、割合を表わすことば。﹁三対二の比率﹂
 (四)③ 双方に優劣、高下の差がないこと。また、その差をつけないこと。対等であること。
(一)[初出の実例]﹁実(まこと)には御製と文時が詩と対(たい)に御座(おはします)﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶二四)
 (五)④ 二つそろって一組となるもの。ペア。つい。
(一)[初出の実例]﹁詞の林、筆の海など、対(タイ)にたとへたり﹂(出典‥諷謌鈔︵1600頃︶七)
 (六)⑤ ﹁たいのや︵対屋︶﹂の略。
(一)[初出の実例]﹁東の五条に大后の宮おはしける、西のたいに住む人有りけり﹂(出典‥伊勢物語︵10Ｃ前︶四)
 (七)⑥ ⑤に住む人、その屋敷のあるじの夫人。
(一)[初出の実例]﹁たいに聞き置きて常にゆかしがるを﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶薄雲)
  
 

つい︻対︼

 

(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 二つの物が同類であること。あるいは、一組のものとして対応すること。同じ材料・模様・性質・形などを持っていること。また、そのもの。
(一)[初出の実例]﹁コレワ tçuigia(ツイヂャ)﹂(出典‥日葡辞書︵1603‐04︶)
 (二)﹁二個の湯呑は、夫婦別々の好みにて、対(ツヰ)にあらず﹂(出典‥化銀杏︵1896︶︿泉鏡花﹀一)
 (二)② ＝ついく︵対句︶
(一)[初出の実例]﹁又、ことばの飾りを求めて対を好み書くべからず﹂(出典‥無名抄︵1211頃︶)
 (二)[2] 〘 接尾語 〙
(一)① 衣服・調度などの一そろいを数える場合に用いる。また、絵などのそろいになるものを数える場合にもいう。
(一)[初出の実例]﹁龍虎梅竹唐絵一対﹂(出典‥庭訓往来︵1394‐1428頃︶)
 (二)[その他の文献]︹白居易‐酔中得上都親友書詠而報之詩︺
 (二)② 二つで一組になるものを数える場合に用いる。︹コリャード日本文典︵1632︶︺
(一)[初出の実例]﹁仲の好い夫婦の一対(ツヰ)であった﹂(出典‥こゝろ︵1914︶︿夏目漱石﹀上)
  

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世界大百科事典（旧版）内の対の言及

【寝殿造】より


…完成形または典型をどのようにとらえるかは異論もあるが，現在までは次のような説が有力である。まず敷地は方一町(約120m四方)で，主屋である寝殿を中心に，東および西，場合によっては北，北西，北東などに副屋である対︵たい︶(対屋︵たいのや︶)を置き，これを廊(渡殿︵わたどの︶)で結ぶ。東西対からは南に細長い中門廊が延び，その南端には釣殿を建てる。…

【数】より


…とくにヨーロッパでは，三平方の定理に関連して，ピタゴラスはという無理数の存在を知ったが，当時線分の長さは，それに含まれる点の数に比例するという信仰があり，が分数で表せないことの意味がわからなくて苦しんだという。︿ゼノンのパラドックス﹀(二つあり，一つはアキレウスはカメを追いぬくことができない，他は矢は飛ばないというもの)も，上記信仰に対するパラドックスであるという。ユークリッド(エウクレイデス)が整数でない実数をあまり扱わず，整数と図形とに力を注いだのも，ピタゴラスと同じ悩みをもち，それに明確な答えが得られなかったからであるという説もある。…

※「対」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」

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