日本語教育(読み)ニホンゴキョウイク

デジタル大辞泉 「日本語教育」の意味・読み・例文・類語

にほんご‐きょういく〔‐ケウイク〕【日本語教育】

外国人など、日本語を母語としない者に対して行う、日本語の教育。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本語教育」の意味・わかりやすい解説

日本語教育
にほんごきょういく


4

(1)Japanese as a foreign language 

(2)Japanese as a second language 

(3)Japanese as the heritage language 

(4)Japanese as the national language 

 (1)


沿革


使使19331943Bernard Bloch190765使192890

 200921302020


国内の日本語教育




(1)

(2)2010227

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

 NHK()

 16663172008調

 1984592008201092474498102010

 19866119891

 1948232001132007

 


海外の日本語教育

海外の日本語学習者人口は年々増加の傾向をたどり、1990年時点では100万人に満たなかったが、1990年代末には210万人を超え、2006年(平成18)には298万人に達した。日本語学習者が多い国・地域は、韓国(91万0975人)、中国(68万4366人)、オーストラリア(36万6165人)、インドネシア(27万2719人)、台湾(19万1367人)、アメリカ(11万7969人)、タイ(7万1083人)、ベトナム(2万9982人)、ニュージーランド(2万9904人)の順である。欧米やオセアニアの大学では、早くから外国語としての日本語の研究と教育が行われ、優れた専門家を輩出している。

 海外の日本語教育は長い間、(1)大学・大学院における日本研究者養成、(2)大学における外国語科目、(3)仏教寺院等による日系人子弟向けの母国語教育、(4)在外公館日本語講座による日本文化の広報活動、などが中心であった。しかし、1980年代以後の著しい傾向として、初等・中等教育機関における学習者の急増がみられる。初等・中等教育機関での学習者が多い国は、韓国(約77万人)、オーストラリア(約35万人)、インドネシア(約24万人)、中国(約8万人)、台湾(約6万人)、アメリカ(約6万人)、タイ(約3万人)、ニュージーランド(約3万人)などとなっている。とくに、オーストラリアとニュージーランドでは、日本語学習者の90%以上を初等・中等教育機関の学習者が占める(データはすべて2006年、国際交流基金調べ)。そのため、従来の大学レベルにおける日本語教材に加えて、年少者のための母語別日本語教材および指導法の開発が急務である。海外の日本語教育は日本国内の場合と違って、学習者の母語が均質であることから、教室の媒介言語として学習者の母語を活用し、現地のニーズ(要求)にあった日本語教育の体系化と充実を図りやすい。

 21世紀に入り、アニメや漫画の日本語を通して、学校教育によらずに独学で日本語・日本文化を習得しようとする学習者が世界各地に増えている。さらに、アメリカ人のリービ英雄(1950― )や中国人の楊逸(ヤンイー)(1964― )のように日本語を母語としない人たちが日本で作家活動を行ない、主要な賞を受賞するケースもみられる。早い時期から積極的に日本語を学んだ結果であるといえる。

 海外での日本語教育振興を支援する機関として、国際交流基金、国際協力機構(青年海外協力隊)などがある。また、アメリカ、ヨーロッパ各国、オーストラリア、中国、韓国、台湾などには日本語教師の学会があり、日本語教育学会と連携して2004年(平成16)以降、隔年で国際日本語教育学会が開催されている。

 なお、1995年ころからアメリカで日本語の教育・学習方法、学習成果の評価の基準を決める日本語教育スタンダードの開発が始まり、その後、EU各国や日本の国際交流基金でも同様の研究が進められている。

[奥田邦男]

課題

今後の日本語教育の課題としては、(1)多様な学習者のニーズに対応できる日本語教員の養成、現職教員の再教育体制の確立、(2)日本語教育の内容・方法の研究、(3)日本語教員の知識・能力水準の審査、認定を目的とした「日本語教育能力検定試験」の整備充実、(4)日本語学習者の日本語能力を総合的に評価する「新日本語能力試験」の充実、国内および海外で実施されている日本留学のための「日本留学試験」の整備充実、(5)母語別、レベル別、専門領域別、学習目的別の教材およびカリキュラムの開発、(6)IT(情報技術)を活用した日本語教育の促進、(7)国際語としての日本語の普及、(8)多言語・多文化社会における共生を目ざして、日本語教育による学習者の母語・母文化の喪失を防ぎ、バイリンガル教育の充実を図ること、(9)外国人とのコミュニケーションを通じた日本人の国際化、などがあげられる。

[奥田邦男]

『寺村秀夫著『日本語のシンタクスと意味』全3巻(1982~1991・くろしお出版)』『宮地裕他編著『講座 日本語と日本語教育』全16巻(1989~1991・明治書院)』『奥田邦男編著『日本語教育学』(1992・福村出版)』『青木直子・尾崎明人・土岐哲編『日本語教育学を学ぶ人のために』(2001・世界思想社)』『北原保雄編『問題な日本語』(2004・大修館書店)』『日本語教育学会編『日本語教育事典』新版(2005・大修館書店)』『縫部義憲監『講座・日本語教育学』全6巻(2005~2006・スリーエーネットワーク)』『酒入郁子他著『外国人が日本語教師によくする100の質問』新装版(2007・バベルプレス)』『国際交流基金編著『海外の日本語教育の現状――日本語教育機関調査・2006年』改訂版(2008・凡人社)』『国立国語研究所編『日本語教育年鑑』各年版(くろしお出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「日本語教育」の意味・わかりやすい解説

日本語教育 (にほんごきょういく)


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16

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2


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百科事典マイペディア 「日本語教育」の意味・わかりやすい解説

日本語教育【にほんごきょういく】

外国人に対する日本語の教育。日本人に対する国語教育と対比させたもの。明治以後の日本語教育は,国内では外国人宣教師,外交官,中国人留学生に対して,国外では,植民政策の一部として朝鮮半島,台湾,旧満州で,第2次大戦中には中国大陸,東南アジアでも実施された。しかしこれは敗戦で断絶し,1955年頃から新たに復活した。1980年代には海外で日本語を学ぶ人は58万を超え,国内の学習者も約2万人から年々増加し2倍以上に増えたが,1990年代に入ってからは国内の学習者数は横ばい・減少傾向である。国内では日本の大学で勉学するための学習者と,外国人子弟のための学校で教育を受けているものがもっとも多い。近年需要が急増し,また学習者の要望も多様化しているため,それに対応した施設の整備,適切で効果的な指導のできる教師の供給,教材・教具などの開発が課題となっている。なお,1984年には外国人のための日本語能力試験,1988年には日本語教師のための日本語教育能力検定試験が開始された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本語教育」の意味・わかりやすい解説

日本語教育
にほんごきょういく

日本語以外の言語を母語とする人を対象として日本語を教えること。日本語を母語とする人に対する国語教育とは目的・内容・教授法などの点で大きく異なっている。第2次世界大戦前・戦中の日本語教育は植民地支配の手段としての意味合いが強かったが,戦後は日本の国際的な地位向上に伴い,多種多様な目的で日本語を学ぶ人が急増している。学習者数の増加に伴い,学習者の国籍・母語・年齢・学歴・日本語能力・学習目的などがきわめて多様化しており,教材開発や教授法の考案にきめ細かい対応が要求されるが,それと同時に日本語教師の養成も重要な課題となっている。学習者のほとんどは外国人であるが,最近では中国残留孤児やいわゆる帰国子女など日本国籍を持つ人も現れ,外国語ではなく,第二言語としての日本語教育に対する対応も迫られている。

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