消（読み）ショウ

デジタル大辞泉 「消」の意味・読み・例文・類語

しょう【消】［漢字項目］

 
﹇音﹈ショウ︵セウ︶︵呉︶︵漢︶　﹇訓﹈きえる　けす
﹇学習漢字﹈3年
1 きえてなくなる。なくす。けす。﹁消火・消化・消(しょ)耗(うこう)・消(しょ)耗(うもう)・消失・消息・消毒・消費・消滅／解消・費消・抹消・霧消﹂
2 月日を送る。過ごす。﹁消光﹂
3 気落ちする。﹁消魂・消沈﹂
4 控え目にする。﹁消極﹂
5 ︵﹁銷﹂の代用字︶しのぐ。﹁消夏・消暑﹂
﹇難読﹈魂(たま)消(げ)る・雪(ゆき)消(げ)  
 

く︻▽消︼

 
﹇動カ下二﹈消える。
﹁降り置ける雪の常夏にけずて渡るは﹂︿万・四〇〇四﹀
﹁梅の花早くな散りそ雪はけぬとも﹂︿万・八四九﹀
﹁立山の雪しくらしも﹂︿万・四〇二四﹀
[補説]﹁消ゆ﹂に先行する上代語とされるが、活用形は大半が連用形である。終止形の例とされる﹁四〇二四﹂を﹁来らし﹂とする説もあり、また、未然・連用形の﹁け﹂は﹁消ゆ﹂の未然・連用形﹁きえ﹂の音変化とする説もある。  

け【▽消】

動詞「く（消）」の未然・連用形。→く（消）

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精選版 日本国語大辞典 「消」の意味・読み・例文・類語

け【消】

 

(一)( 動詞﹁きゆ︵消︶﹂の未然形および連用形﹁きえ﹂の変化したものか。用例の大半は連用形 )
 (二)① 消える。消滅する。
(一)[初出の実例]﹁残りたる雪にまじれる梅の花早くな散りそ雪は消(け)ぬとも﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶五・八四九)
 (二)﹁風どと吹落て小とほしの火はたとけぬ﹂(出典‥俳諧・蕪村真蹟‐馬提灯︵1764‐72頃︶)
 (三)② しぼむ。
(一)[初出の実例]﹁朝(あした)咲き夕(ゆふべ)は消流(けぬる)月草の可レ消(けぬべき)恋も吾はするかも﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一〇・二二九一)
 (四)③ 死ぬ。比喩的表現で、露、霜、雪などの語を含む枕詞を受けることが多い。
(一)[初出の実例]﹁朝露の既(ケ)やすき我が身他(ひと)国に過ぎかてぬかも親の目を欲(ほ)り﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶五・八八五)
 (二)﹁花にさき実になりかかる世をすててうきばの露と我ぞけぬべき﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶中)
 (五)④ ( 他動詞的に用いて ) 消えるようにする。消す。
(一)[初出の実例]﹁恋ひわびて死ぬる薬のゆかしきに雪の山にや跡をけなまし﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶総角)

消の補助注記


(1)終止形を﹁けゆ﹂とし、﹁け﹂をその未然・連用形﹁けえ﹂の変化とする説がある。
(2)﹁万葉‐四〇二四﹂の﹁立山の雪し久(ク)らしも﹂の﹁く﹂を終止形と認め、カ行下二段に活用したとする説もある。
  
 

けし︻消︼

 

(一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁けす︵消︶﹂の連用形の名詞化 )
 (二)① 消すこと。ないものとすること。また、文字などを消したしるし。
(一)[初出の実例]﹁国元へ遣る見舞の状を書かけ、消(ケ)しの出来たのを引裂いて二度の文言を案じる間に﹂(出典‥油地獄︵1891︶︿斎藤緑雨﹀五)
 (三)② 貸し借りの清算。帳消しにすること。また、支払うこと。
(一)[初出の実例]﹁消(ケ)しに困って客人から、預り物を典物(てんぶつ)して集めの者に桟敷代を、払った茶屋もあったさうだ﹂(出典‥歌舞伎・月梅薫朧夜︵花井お梅︶︵1888︶二幕)
 (四)③ めっきをすること。︹日葡辞書︵1603‐04︶︺
 (五)④ 江戸時代、大坂堂島の米市場での帳合米(ちょうあいまい)売買で、四つ︵午前一〇時︶過ぎ、または昼過ぎに売買を中止したこと。
 (六)⑤ 囲碁で、相手の模様がそのまま地にならないように、中央方向から手段を求める着手。
  
 

きえ︻消︼

 

(一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁きえる︵消︶﹂の連用形の名詞化 )
 (二)① 消えること。とくに、死ぬこと。
(一)[初出の実例]﹁ややもせばきえを争ふ露の世に後れ先だつ程経ずもがな﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶御法)
 (三)② 昼時をいう。大坂堂島の米市場での用語。
(一)[初出の実例]﹁火縄のきへに碁象戯の気散じは、実(げに)も日本国を胸にたたんで﹂(出典‥洒落本・北華通情︵1794︶)
  

く【消】

  1. 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ⇒け（消）

消の補助注記

「万葉‐四〇二四」の「立山の雪し久(ク)らしも延槻(はひつき)の川の渡瀬鐙(あぶみ)浸(つ)かすも」の「久(ク)」を「け（消）」の終止形とみる説があるが、「来らしも」とも考えられ、決定しがたい。

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