知能(読み)チノウ(英語表記)intelligence

翻訳|intelligence

デジタル大辞泉 「知能」の意味・読み・例文・類語

ち‐のう【知能/×智能】

物事を理解したり判断したりする力。「―の高い動物」
心理学で、環境に適応し、問題解決をめざして思考を行うなどの知的機能。
[類語]頭脳メンタル心的内的精神的内面的観念的心理的心理精神力メンタリティースピリチュアル精神こころ知情意心神内心心情心魂内面マインドハートスピリットエスプリ精魂気迫神気気概気力意力意志神経気構え気持ち理念思想気風気性きしょう心性さが

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精選版 日本国語大辞典 「知能」の意味・読み・例文・類語

ち‐のう【知能・智能】

 

(一)  
(二) 
(一)[]殿(11)
(二)[]
(三) 
(一)[](1963︿)
 

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最新 心理学事典 「知能」の解説

ちのう
知能
intelligence

 
Boring,E.G.1923

 2000Platon19Binet,A.Simon,T.1905

 Golton,F.Darwin,C.Cattell,J.M.5010

Binet's intelligence scale 1890Matarazzo,J.E.1972101904190530190831358mental ageMA191131555

 1916Terman,L.M.Stern,W.1912-Stanford-Binet intelligence scaleintelligence quotientIQchlonological ageCA100IQ1937219733198642003519864使IQIQ15

Wechsler's intelligence scale Wechsler,D.-Wechsler-Bellevue Intelligence Scale19391955WAISWechsler Adult Intelligence Scale1949WISCWechsler intelligence scale for childrenWPPSIWechsler preschool and primary scale of intelligence1967

 IQIQdeviation IQDIQ100115IQ90109502702.22.2IQverbal IQVIQIQperformance IQPIQ

 1group intelligence test

 1013

 WAIS1981WAIS-R1997WAIS-WAIS-IQIQ2008WAIS-IQverbal comprehensionperceptual reasoningworking memoryprocessing speedindex scoreWISC1974WISC-R1991WISC-2003WISC-WAIS-IQ

 ---2003213IQ14213100116

 WAISWISCWAIS-2006WISC-2010WPPSIWPPSI-WPPSI-

 Raven's colored progressive matrices testRCPMCPM1993

 psychometricsfactor analysis

 Spearman,C.E.1904general intelligenceg factor general intelligence factor g

 Thurstone,L.L.1938L.L.T.G.194157multiple-factor theory

 Guilford,J.P.1967structure-of-intellect modelSOI45654×6×5120150

 Cattell,R.B.1941fluid intelligencefluid abilityGf退crystallized intelligencecrystallized abilityGcHorn,J.L.19651968

 Carroll,J.199316broad abilitynarrow abilityGfGcGqGrwGsmGvGlrGs-GtCHCCHC theory

 academic intelligence

 Gardner,H.19831999theory of multiple intelligences1999-

 Sternberg,R.J.1985triarchic theory of intelligencecomponential subtheoryexperiential subtheorycontextual subtheoryanalytical intelligencecreative intelligencepractical intelligence3

 IQFlynn,J.R.1984IQ0.3調14Flynn19872003Flynn effect

 behavioral genetics

 sex difference使使IQ  
    

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「知能」の意味・わかりやすい解説

知能
ちのう
intelligence 英語
intelligence フランス語
Intelligenz ドイツ語

定義

知能には種々の定義があるが、比較的広く受け入れられているものを類型化すると、次の六つに大別される。

(1)抽象的思考力を重視するもの
(2)学習する能力とみなすもの
(3)新しい環境に対する適応性を強調するもの
(4)包括的に定義しようとするもの
(5)操作的定義
(6)情報処理の能力
(1)はターマンの「抽象的思考を行いうる程度に比例して、その人は知能的である」という定義や、スピアマンが認識の原理として掲げた経験の認知、関係の抽出、相関者の抽出の三つのなかの、関係の抽出と相関者の抽出を知能の本質とみた見解によって代表される。(2)はディアボーンW. F. Dearborn(1878―1955)の「学習する能力、または経験によって獲得していく能力である」という定義によって代表される。(3)の定義の代表としてはシュテルンの「個人が思考を新しい要求に意識的に応じさせる一般的能力であり、新しい課題と生活に対する一般的精神的順応力である」という定義が代表としてあげられる。(4)としてはストッダードGeorge Dinsmore Stoddard(1897―1981)の「困難性・複雑性・抽象性・経済性・目標への順応性、社会的価値、独創の出現を特徴とする諸活動を遂行し、かつ、精力の集中と情緒的な力への抵抗を必要とする条件下において、それらの諸活動を持続することができる能力」という定義や、ウェックスラーDavid Wechsler(1896―1981)の「目的的に行動し、合理的に思考し、その環境を効果的に処理する個人の総合的・全体的な能力」という定義があげられる。(5)はボーリングの「知能検査によって測定されたもの」によって代表される。(6)は1970年代以降発展してきた認知心理学に基づく考え方で、キャンベルJ. P. Campbellは、「情報処理課題を含む仕事の遂行にみられる個人差を決定する要因が一般的能力である」(1990)としている。以上に紹介した定義はいずれも知能の一面をよく示しているが、それぞれの欠点も指摘されており、いずれも完全なものとはいいがたい。1980年代以降の情報・通信技術の革命的発展に伴い、コンピュータにおける知的情報処理システムについての研究が進んでいるが、これらについては「人工知能」「認知科学」の項目を参照。

[肥田野直]

知能の分類

知能を系統発生的にとらえたビオーG. Viaud(1899―1961)は、人間と動物の行動を本能的行動と知的行動に分け、知的行動をさらに感覚運動的知能(実用的知能)と概念的・論理的知能に区分した。一方ヘッブは個体発生の見地から知能Aと知能Bとに分け、前者を知的機能の生得的潜在力とし、後者をその潜在力が環境との相互作用の結果として実現する範囲とした。また、教育心理学者ソーンダイクは具体的知能、抽象的知能、社会的知能の三つに分類した。

[肥田野直]

知能の因子と構造


gs()7

 P. E. Vernon19051987v:edk:m

 John Bissell Carroll191620031993192760460869

 GfGcGf-GcJ. L. Horn19282006J. Noll19979

 SI120


拡張された知的能力の理論

知能検査のみならず、さまざまな分野で功績のあった者や脳損傷者の研究、さらに種々の文化的背景を考慮した新しい知的能力の理論が1980年代に現れた。その一つはガードナーHoward Gardner(1943― )の多知能理論theory of multiple intelligences(1983)である。彼は知的能力を環境の文脈のなかで幅広くとらえ、言語的知能、論理的・数学的知能、空間的知能、身体的・運動的知能、音楽的知能、対人的知能、個人内知能に分類し、さらに1998年自然主義的知能naturalist intelligenceを加えている。他の一つはスターンバーグRobert J. Sternberg(1949― )の鼎立(ていりつ)理論(三頭理論)triarchic theory(1985)である。これはコンポートネント理論、経験理論、文脈理論の三本柱からなる。コンポートネント理論は流動的知能や結晶的知能など3種類の情報処理過程を扱う。経験理論は知的能力と経験との関係を扱う。文脈理論は社会文化的文脈によって知的行動がいかに規定されるかを明らかにするものである。

[肥田野直]

知能の遺伝的要因


200Thomas J. Bouchard Jr.1937 M. McGue8672604729


知能と環境的要因


()

 accelerationJames R. Flynn193420201984


知能の発達

知能検査の結果を年齢別に比較すると、16歳から20歳の間に頂点に達し、それから低下する曲線が描かれる。機能別にみると、知覚の速さや空間的判断力は早く頂点に達し、言語的能力は20歳後半に頂点に達するが、その減退も緩慢である。ただし、個人差も大きく、知的優秀者は30歳を過ぎても上昇している例がある。

[肥田野直]

知能指数の恒常

知能検査の結果として得られる知能指数は、小学校2年生以後になるとかなり安定する。たとえば、小学校2年と中学校3年の検査成績を比較した狩野広之(かのうひろし)(1904―1990)の研究では、知能指数の差がプラスマイナス5以内の者が4割あり、16以上の差を生じた者は1割5分にすぎなかった。しかし、乳・幼児期の検査結果はかなり変動する。その反対に20歳以上になると10年以上先の結果をかなり正確に予測できる。

[肥田野直]

『上武正二・辰野千寿著『知能の心理学』(1968・新光閣書店)』『肥田野直編『講座心理学9 知能』(1970・東京大学出版会)』『上出弘之・伊藤隆二著『知能』(1972・有斐閣)』『坂元昂編『現代基礎心理学7 思考・知能・言語』(1983・東京大学出版会)』『湯川良三編「知能と創造性」(『新・児童心理学講座4』所収・1993・金子書房)』『佐藤達哉著『知能指数』(講談社現代新書)』


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改訂新版 世界大百科事典 「知能」の意味・わかりやすい解説

知能 (ちのう)
intelligence


3123

 mental ageMAintelligence quotientIQT-scorechronological ageCA



10050

調ABABABA

13141618退退20

︿︿C.E.SpearmanL.L.Thurstone120J.P.Guilford

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「知能」の意味・わかりやすい解説

知能
ちのう
intelligence

生物学的立場からは新しい環境に対する先天的および後天的な適応可能性と定義され,また心理的機能の面から知覚,弁別,記憶,思考などの知的な諸機能の複合としても定義される。 H.ベルグソンはかつてホモ・サピエンス (理性人) の論理的知性とホモ・ファーベル (工作人) の職人的知性とを分けたが,前者は言語を習得した人間の合理的,論理的知能であり,後者は言語以前の幼児や動物の感覚運動的または実用的知能に対応するとされた。しかし現在では高等な類人猿は手話や図形の配置で意志伝達できることが明らかになっている。知能はある程度までは年齢とともに発達するものと考えられ,知能検査のどの問題にパスしたかによって知能の程度を年齢尺度 (精神年齢 ) で表現し,知能指数IQや知能偏差値によって個人間の比較を行うことが可能になった。しかしこの場合,知能は知能検査によって測定されたものという前提があり (→操作主義 ) ,したがって測定技法の進歩によって知能の概念も変化し,このような検査成績の因子分析的研究によって言語因子,数因子,記憶因子,空間因子,推理因子などが見出され,知能の心理学的構造が解明されつつある。

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普及版 字通 「知能」の読み・字形・画数・意味

【知能】ちのう

 
()()

 

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百科事典マイペディア 「知能」の意味・わかりやすい解説

知能【ちのう】

生活の新しい課題と条件とに対する一般的精神的順応力,言語や記号などを用いて概念のレベルで思考をすすめる能力,また,知識や技能を経験によって獲得することのできる能力などさまざまな定義がある。これらは必ずしも相反するものではなく,同一の能力の異なった観点からの定義ともいえる。知能テストによって測定が試みられる。

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世界大百科事典(旧版)内の知能の言及

【知識人】より


intelligenceintellectintelligence︿︿調

【理性】より


81understanding30Verstand(1885︿96︿Verstand)intellect1881︿30︿︿40︿︿intelligence(1886intelligence︿︿)intelligence︿︿intelligentia︿

【理性】より


81understanding30Verstand(1885︿96︿Verstand)intellect1881︿30︿︿40︿︿intelligence(1886intelligence︿︿)intelligence︿︿intelligentia︿

※「知能」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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