デジタル大辞泉 「細やか」の意味・読み・例文・類語 ささ‐やか【▽細やか】 ﹇形動﹈﹇文﹈﹇ナリ﹈ 1 形や規模があまり大げさでなく、控えめなさま。﹁細やかな商売をはじめる﹂﹁細やかに暮らす﹂ 2 形ばかりで粗末なさま。わずかなさま。多く、謙遜して用いる。﹁細やかな送別会﹂﹁細やかな贈り物﹂ [派生]ささやかさ﹇名﹈ [類語]ほのか・幾ばく・せいぜい・たかが・微(みじ)塵(ん)・些(ささ)細(い)・まばら・ほんの・あるかなきか・一(いち)縷(る)・一抹・いささか・少し・ちょっと・心ばかり・印ばかり・形ばかり・少し・少ない・少少・いささか・いくらか・いくぶん・やや・ちと・ちっと・ちょっぴり・なけなし・若干・心持ち・気持ち・多少・二三・少数・少量・僅(きん)僅(きん)・わずか・数えるほど・たった・ただ・たかだか・低い・手薄・少なめ・内輪・軽少・軽微・微弱・微微・微少・僅(きん)少(しょう)・些(さし)少(ょう)・最少・微量・ちびちび・一つまみ・一握り・一息・紙一重・雀(すずめ)の涙・鼻の差・残り少ない・ちょこっと・ちょこんと・ちょっこり・ちょびちょび・ちょびっと・ちょぼちょぼ・ちょろり・ちょんびり・ちょんぼり・ちらり・爪の垢(あか)・小口・寸(すん)毫(ごう)・プチ︵時間的に︶少時・寸時・一(いち)時(じ)・一(いっ)時(とき)・一(ひと)時(とき)・ひとしきり・暫時・片時・しばらく・ちょっくら・ちょいと ほそ‐やか︻細やか︼ ﹇形動ナリ﹈ 1 ほっそりとしているさま。ほそらか。 ﹁容体―になまめかしう﹂︿宇津保・楼上下﹀ 2 声が小さく弱々しいさま。 ﹁声―にて面やせにたるといふうたを﹂︿かげろふ・中﹀ [類語]ひょろっと・長身・長躯・のっぽ・背高・八頭身・ひょろ長い・立っ端がある・ほっそり・ひょろひょろ・ひょろり・細い・痩せる・細る・痩(や)せ細る・痩(こ)ける・痩せこける・痩せさらばえる・窶(やつ)れる・憔(しょ)悴(うすい)する・肉が落ちる・痩身・痩躯・細身・やせ・やせっぽち・やせぎす・スマート・スリム・か細い・細(ほそ)細(ぼそ)・細め・極細・細作り・華(きゃ)奢(しゃ)・細める・着やせ・げっそり・すらり・すらっと・スレンダー・ソップ形・がりがり・ぎすぎす・痩せ枯れる・痩せ衰える こま‐やか︻細やか/▽濃やか︼ ﹇形動﹈﹇文﹈﹇ナリ﹈ 1 一まとまりになっているものの一つ一つの要素が微小なさま。 ㋐霧などの密度の濃いさま。 ﹁夜は―な霧が市街を包む﹂︿宮本・伸子﹀ ㋑色の濃いさま。 ﹁緑色―なシャンゼリゼの森の上に﹂︿横光・旅愁﹀ ㋒地肌が美しいさま。﹁きめの―な肌﹂ 2 すみずみまで行き届いているさま。 ㋐情が厚いさま。心がこもっているさま。﹁―な愛情﹂﹁―な心配り﹂ ㋑くわしいさま。緻密なさま。 ﹁留守中の有体を―に話したのである﹂︿紅葉・多情多恨﹀ 3 洗練された味わいがある。微妙な趣がある。 ﹁春雨の音に東都の春の―なるを忍ぶとき﹂︿倉田・愛と認識との出発﹀ 4 細かくて雑多なさま。 ﹁―なる御調度は、いとしも調(ととの)へ給はぬを﹂︿源・初音﹀ 5 配慮が細部にわたっていてすぐれているさま。精巧なさま。 ﹁まだ―なるにはあらねども、住みつかば、さてもありぬべし﹂︿源・松風﹀ [派生]こまやかさ﹇名﹈ [類語]暖かい・濃い・深い・濃密・濃厚・細かい・木(き)目(め)細か・細心・綿密・細(さい)緻(ち)・緻密・繊細・デリケート・デリカシー・神経質 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「細やか」の意味・読み・例文・類語 こま‐やか【細やか・濃やか】 (一)〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( ﹁やか﹂は接尾語 ) (二)① こまごまとしているさま。 (一)(イ) 細かいさま。小さいさま。微小なさま。 (一)[初出の実例]﹁七の物を用るといふは、薪ときよき水と︿略﹀こまやかなる灰と楊枝と帷(かたびら)となり﹂(出典‥観智院本三宝絵︵984︶下) (二)﹁夕餐を済まして外へ出た。春雨が細やかに降ってゐた﹂(出典‥泥人形︵1911︶︿正宗白鳥﹀七) (二)(ロ) 地肌や地質のきめが細かなさま。 (一)[初出の実例]﹁高麗縁(かうらいばし)の、筵青うこまやかに厚きが﹂(出典‥枕草子︵10C終︶二七七) (二)﹁肌こまやかにやはらかなれば﹂(出典‥人情本・春色恵の花︵1836︶初) (三)(ハ) ︵髪などが︶繊細で美しいさま。 (一)[初出の実例]﹁世尊の首の髪は香潔にして細(コマヤカニ)軟かに潤ひ沢ひて﹂(出典‥彌勒上生経賛平安初期点︵850頃︶) (三)② 思いやりや感情をこめたさま。 (一)(イ) 思いやりの気持や親愛の気持がすみずみまで行き届いているさま。ねんごろなさま。親密なさま。 (一)[初出の実例]﹁山ごえにものしたりければ、異腹(ことはら)にてこまやかになどしもあらぬ人の、ふりはへたるを、あやしがる﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶下) (二)﹁かやうに心をつけ、こまやかに思ふとき、いかでか人のあしからんや﹂(出典‥仮名草子・好色袖鑑︵1682︶上) (二)(ロ) 感情をこめたさま。 (一)[初出の実例]﹁兵部卿の宮の、程なくいられがましきわびごとどもを、書き集め給へる御文を、御覧じつけて、こまやかに笑ひ給ふ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶胡蝶) (四)③ こまごまと詳しいさま。緻密なさま。綿密なさま。 (一)[初出の実例]﹁聖教のこまやかなる理(ことわり)、いと弁(わきま)へずもやと思ひしに﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶一四一) (二)﹁舅に見付けられた迄の留守中の有躰(ありてい)を精細(コマヤカ)に話した﹂(出典‥多情多恨︵1896︶︿尾崎紅葉﹀後) (五)④ 細かな所までよく手が届いてすぐれているさま。精巧なさま。精細なさま。 (一)[初出の実例]﹁作り添へたる廊など、ゆゑあるさまに、水の流れも、をかしうしなしたり。まだこまやかなるにはあらねども、住みつかば、さてもありぬべし﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶松風) (六)⑤ 繊細で上品なさま。洗練されているさま。 (一)[初出の実例]﹁贈り給へるものの、こまやかにことなるを、日くらして対(たい)の君に見す﹂(出典‥夜の寝覚︵1045‐68頃︶二) (二)﹁節廻しの細(コマ)やかに味ひあるは﹂(出典‥社会百面相︵1902︶︿内田魯庵﹀天下太平なる哉) (七)⑥ 色の濃いさま。 (一)[初出の実例]﹁鈍色(にびいろ)のこまやかなるが、うちなえたるどもを着て﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶若紫) (八)⑦ 濃密なさま。 (一)[初出の実例]﹁一室の嬌しい人香に蒸れた濃(コマヤ)かな空気は、窓々を流込む夜風と絶えず入変って﹂(出典‥青春︵1905‐06︶︿小栗風葉﹀夏) (九)⑧ 草木や毛髪などが密生しているさま。︹書陵部本名義抄︵1081頃︶︺ (十)⑨ 土壌がよく肥えているさま。 (一)[初出の実例]﹁瞻部洲の縦広七千踰繕那の地を皆沃ひ壌(コマヤかに)あらしめむ﹂(出典‥西大寺本金光明最勝王経平安初期点︵830頃︶八) 細やかの派生語 こまやか‐さ (一)〘 名詞 〙 ささ‐やか︻細やか︼ (一)〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 近世は﹁さざやか﹂とも ) (二)① 形がいかにも小さく好ましく見えるさま。小さくまとまってこぢんまりとしているさま。細かなさま。 (一)[初出の実例]﹁中納言殿は、いとささやかになれたる人のらうらうじきなり﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶国譲上) (二)﹁秋の草は︿略﹀いづれもいと高からず、ささやかなる墻(かき)に、繁からぬ、よし﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶一三九) (三)② きめが細かいさま。繊細なさま。 (一)[初出の実例]﹁ゆるされありつる足も︿略﹀いとあてはかに、かうばしう、手あたりもいといみじうささやかに﹂(出典‥浜松中納言物語︵11C中︶二) (四)③ おおげさでないさま。わずかなさま。形ばかりのさま。つつましいさま。 (一)[初出の実例]﹁短冊を取り寄せたり、互に歌をよみかはしたりするやうな、ささやかな席が開けた﹂(出典‥夜明け前︵1932‐35︶︿島崎藤村﹀第二部) (二)﹁息子にも、ささやかながら、味わわせたいとおもったのであらう﹂(出典‥鳥獣戯話︵1960‐62︶︿花田清輝﹀一) ほそ‐やか︻細やか︼ (一)〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( ﹁やか﹂は接尾語 ) (二)① 物のかたち、人の肢体などがいかにもほっそりしているさま。 (一)[初出の実例]﹁世尊の指の爪は狭(ホソヤカニ)長かに﹂(出典‥彌勒上生経賛平安初期点︵850頃︶) (三)② 量、勢いの小さいさま。声が小さく弱々しいさま。 (一)[初出の実例]﹁わかきをのこども、こゑほそやかにて、面やせにたる、といふうたをうたひ出たるをきくにも﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶中) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例