![曖昧さ回避](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Disambig_gray.svg/25px-Disambig_gray.svg.png) |
この項目では、歴史上の戦争について説明しています。
|
21世紀に入り、地球規模で敷設されたITインフラを通して膨大な情報が世界中で流通するようになると、物理的な攻撃を伴わない国家間の争いが増加した。そのような争いの比喩として、情報戦・経済戦争・貿易戦争・サイバー戦争・受験戦争などという言葉も用いられるようになった。
戦争という概念は国際法上の概念と軍事上の概念では差異があるため、区別して用いなければならない。
軍事的な観点から、戦争は軍事力の実質的な戦闘行動が実行されている状態を指す。その軍事力の主体はしばしば国家であるが、法的な定義とは異なり、その実質的な能力を重視するため、国家ではなく武装勢力に対しても使用されている軍事力の規模によっては用いる場合がある。米軍では武力衝突のレベルを、比較的危機の程度が低く、平和維持活動や対テロリズム作戦などを展開する﹁紛争﹂と、比較的危機の程度が高く、大規模な武力行使を伴う戦闘作戦を展開する﹁戦争﹂と区別している[5]。また米軍は紛争を規模によって三段階に分類しており、その中の﹁高強度紛争﹂は伝統的な戦争のレベルに該当する。
国際法において、戦争の当事者は一般的に国家であると考えられており、伝統的な慣習国際法の観点からは宣戦布告によって始まり、講和によって終結するものであると考えられる。しかし、歴史上宣戦布告が行われず﹁実質戦争状態﹂に突入した事例が存在するため、現在ではこの形式は重要視されていない。また国家以外の武装集団間での武力衝突は紛争と呼ばれ、たとえば民族間であれば﹁民族紛争﹂と呼ばれる。
ただし、国家でない集団の対立にも﹁戦争﹂という語が用いられることはある。例えば、南北戦争において1861年にイギリスが南軍に対して交戦団体承認を行っている。以下に具体的な例を挙げる。
●内戦の当事者は一国内における政府と反逆者︵反政府勢力や、革命などにより新政権樹立を目指す勢力・政治団体等も含まれる︶である。厳密には国際法上の﹁戦争﹂ではない。ただし、既存政府側による交戦者承認があれば国際法上の戦争法規が適用される。
●独立戦争の当事者は全体としての国家と部分としての地域や植民地である。これは内戦の一種であるという見方と、独立しようとする勢力を暫定的に国家とみなして国家間の対立とする見方が可能である。ただし、現代においては国連憲章にも謳われている人民自決権の概念が国際社会の根本的な価値として認められたことからも、植民地支配及び外国による占領に対し並びに人種差別体制に対する武力紛争の場合は内戦︵非国際武力紛争︶ではなく国際的武力紛争として扱われる。これに伴い、国家間に適用される国際人道法ならびに戦争法規が適用されることになる。
歴史学関連では、戦争の定義を共有することは難しい。例えば、文化人類学の戦争の定義の一例は、組織があって命令︵指揮︶と服従の関係を持つ集団と集団との戦い[要出典]。考古学では、考古資料にもとづいて認めることのできる多数の殺傷を伴いうる集団間の武力衝突としている[6]。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争にどのように勝利するのかではなく、戦争とは何なのかという問題を考察するためには戦争の内部の構造がどのようになっており、どのような原理が認められるのかを明らかにすることが必要である。古代の戦争学的な論考に、哲学者プラトンの﹃国家﹄があり、その中で哲学者ソクラテスはさまざまな領域の職人、専門家によって構成された自足的な国家を想定しているが、国家が成立したとしても人間の欲求は際限なく拡大し続けるために、自足する以上の資源を求めて他の共同体に対して戦争が発生すると論じている。これは戦争の根本を国家に求める見方であり、実際に軍事史においても国家は戦争の主要な行為主体であった。しかし、これは戦争の限定された本質を明らかにしているに過ぎない。戦争がランダムに起こったわけではないことは留意すべきだから、親社会的な行動などが戦争を防ぐのに役立つかどうかは、やはり興味があるところである[19]。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
そもそも戦争が成り立つ以前に、人間がなぜ対立するのかという問題がある。社会学者ヴェーバーの﹃社会学の根本概念﹄によれば、ある主体が相手の抵抗を排除してでも自分自身の意志を達成しようとする意図に方向付けられた社会的関係が闘争であると定義する。またこの闘争は物理的暴力に基づいた闘争や闘争手段を非暴力的なものに限定した平和的な闘争に分類できる。このような闘争が社会の中で発生する根本的な理由について政治思想家ホッブズは﹃リヴァイアサン﹄において国家や政治団体が存在しない自然状態を想定している。つまり各個人がそれぞれ等しく自己保存の法則に従って生活資源を獲得するため、また敵の攻撃を予防するために、結果として万人の万人に対する闘争が生じることになる。闘争において常に暴力が使用されるとは限らない。暴力によって相手を抹消しなくとも、交渉や協力によって争点を解決することは原理的に不可能ではない。しかし経済学者マルサスが﹃人口論﹄で述べているように、人口は生活手段の分量を超えて常に増大されるため、その過剰人口の出現は疫病、飢餓、戦争などの積極的制限によって調整されるために闘争は流血の事態にまで発展することになる。なぜなら生存が脅かされる事態は人間にとって常に極限状況であり、社会全体にとっても闘争を暴力化させる重大な動機でありうるものである。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
暴力とは万人が持つ個人の身体的、精神的な諸力の中でも他者に対して強制的に働きかける力に限定することができる。これは政治思想家アーレントの定義であり、暴力は他者との相互作用を通じて行使する必要はなく、その機能は相手を殺害することである。しかし戦争における暴力を論考した研究では、暴力を通じてある種の相互作用が発生することが論考されている。この領域における古典的な著作に軍事学者クラウゼヴィッツの﹃戦争論﹄がある。戦争を特徴付ける最も重要な要素として着目されるべきは暴力である。クラウゼヴィッツによれば暴力は三種類の相互作用をもたらすものであり、それは相互に敵対的感情と敵対的意図を拡大させる第1の相互作用、相手を撃滅しようとする第2の相互作用、そして戦闘手段を敵と拮抗させようとする第3の相互作用である。これら相互作用を前提として考えれば、戦争における暴力は無制限に拡大する理論的な必然性がある。つまり集団間の戦争を想定すれば、それは暴力の性質に従って相互に暴力手段を拡大し続けながら相手を攻撃し続け、またそのための敵意を増大させ続けることになる。クラウゼヴィッツはこのような戦争の理念型を絶対戦争と呼んだ。しかし同時にこのような形態の戦争は現実の戦争で出現しているわけではない。その理由として絶対戦争と並んで提起されているものが政治目的の着眼点である。つまり戦争の無制限的な暴力化を抑制するものとして政治的制約が作用しており、戦争の性質を規定しているというものである。このことを端的に表現するクラウゼヴィッツの命題が﹁戦争とは他の手段を以ってする政治の延長である﹂というものである。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争は単なる暴力的な闘争状況であるだけでなく、本質的に政治が連関しているというクラウゼヴィッツの考察は政治学者シュミットによってより思想的に発展された。シュミットは独自の友敵理論を展開する中で政治的な概念には常に闘争的な意味があり、不可避的に敵と味方に区分されると論じる。このような政治観はマキアヴェッリの政治思想やマルクスの階級闘争などにも認められるものである。シュミットによれば政治に内在する敵と味方の二分法はさらに敵概念の詳細に注意することで深めることができる。シュミットは『パルチザンの理論』において三種類の敵を導入しており、すなわち因習的で形式的な性質を持つ在来的な敵、実際的な性質を伴う現実の敵、犯罪者という性格を持つ絶対的な敵である。在来的な敵は人道的なルールに基づいた国家間の戦争における敵であり、現実の敵とは自らの実存にとって脅威となる敵、そして絶対的な敵とは相手を文明や階級、民族に対する犯罪者として差別化される敵である。戦争において相手がどのような特性を持つ敵なのかによって、政治目的は相手に僅かな制裁を加えるように軍事的手段を制限することも、また相手の存在を根本的に抹消させる軍事的手段を拡大させることも可能にするのである。戦争にとって政治の重要性は普遍的なものであり、戦争の規模、期間、列度、その影響は政治の状況や機能によって左右されると考えられる。
戦争における諸活動は高度に複雑であり、量的には以下のように分類することができる。
(一)戦争 (war)
(二)会戦 (campaign)
(三)戦闘 (battle, combat)
(四)交戦 (engagement)
(五)合戦 (action)
(六)決闘 (duel)
兵士単位での戦いである﹁決闘﹂が複数集まって、﹁合戦﹂が構成され、複数の合戦から交戦が構成されている[20]。ただしこのような個々の兵士の活動、師団の活動、国家の活動などで戦争の全体像を区分することはできない。交戦単位が艦艇や航空機となれば戦闘と決闘の間の区分は消失するものであり、また総力戦に至らない戦争においてはより事態は複雑である。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争は人間社会における対立によって生じるものであり、何らかの意志や理由を伴う。しかし戦争の原因についての一般理論は未だ完成されていない。その発生の過程にはさまざまな要因、誘因、環境が有機的に起因するは確かであり、無政府状態、勢力均衡、攻撃・防御バランス、好戦的イデオロギー、ナショナリズム、誤認などの多くの理論が提唱されている。ここではいくつかの戦争の原因として考えられている学術考察または理論について述べる。︵戦争哲学をも参照︶
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
国際政治学ではまず国際社会において戦争が生じる理由は、国際政治が無政府状態︵アナーキー︶であることがまず挙げられる。すなわち国際政治には国内政治のように中央政府のような集権体制が不在であり、紛争の平和的解決が強制できない。従って各国は自助努力を行う必要性に迫られる。第二に情報の不完全性がある。つまり戦争を回避するために必要な情報が必ずしも入手できず、例えば軍事情報についてはしばしば軍事機密によって秘匿されるために合意達成が確認できず、ここに猜疑心が生じる可能性がある。そして三つ目の原因として国内政治と国際政治の相互作用の関係が挙げられる。
軍事史上の戦争を調べて、その戦争を開始する直接的な要因に注目して統計化すれば大まかに長期的な不満、国内的な混乱、軍事的な優位、軍事的な劣位、以上の四つに分類できると言われる[34]。
●長期的な不満とは領土問題、国境問題、地方の独立要求など、長期的に慢性化した不満を指す。この例としては日露戦争、パレスティナ問題、中東戦争などが挙げられる。
●国内的な混乱とは国内の民族間対立、反政府運動など、国内における諸勢力の対立による収集不可能な事態を指す。この例としてフランス革命、ルワンダ内戦などが挙げられる。
●軍事的な優位とは、軍事力が非常に優位にあると認識し、戦争を簡単に解決できると考えることである。政府や世論にとってその認識が戦争開始の判断材料となる場合があるが、その優位の認識が実際軍事力を把握していない現実性のないものであった場合、開戦しても予想通りの戦果を挙げることができず、戦争が長期化、悪化する可能性が高い。この例として冬戦争、独ソ戦、朝鮮戦争、イラン・イラク戦争が挙げられる。
●軍事的な劣位とは、軍事力が非常に劣位にあると認識し、先制攻撃だけが残された手段であると考えることである。この認識によって政府や国民が恐怖や焦りに支配され、軍事的優劣や戦争遂行の見通しを忘れてしまい、戦争開始を決断する場合がある。この例として奴隷反乱、インディアン戦争、太平洋戦争などが挙げられる。
世界的な大国が存在することによってその統一的な影響力を用いて国際秩序を安定化させる﹁単極平和論﹂が存在する。このような国際体制においては反抗できる勢力がそもそも存在しないため、戦争が発生する可能性を大きく低減できる。また反抗勢力を圧倒することによって覇権国家も政治的目的を達成するために軍事力を行使する必要がなくなる。ただしこの場合、属国群が長期的な不満を覇権国家に対して形成する危険性がある。平和主義の中で語られる世界連邦政府構想や国連常備軍構想は世界全体の単極平和論を志向したものと言え、現在のパックス・アメリカーナは完全ではないが単極勢力構造に近い形態とされる。日本の江戸時代や中国の統一王朝時代、米国が新大陸においてアメリカ先住民掃討に専念する一方米墨戦争や南北戦争があった孤立主義︵モンロー主義︶時代などは概ね平和が保たれており、地域における単極平和論を支持する例とされる。
また勢力が均衡する二つの大国が互いに拮抗する場合、戦争が発生しにくいとする﹁双極平和論﹂も論じられる。この理論は不確実性による誤認・誤算によって戦争が勃発する点に注目し、双極であれば相互に相手の動向により的確に対応できるようになるため、安定的に勢力が均衡する可能性を論じている。米ソ冷戦時代が双極勢力分布の分かりやすい例であり、現実には双方の軍拡競争やベトナム戦争や朝鮮戦争といった代理戦争は起こったが、恐怖の均衡により米ソの直接の戦争は起こらなかった。
また複数の大国が存在する場合、戦争は発生しにくいとする﹁多極平和論﹂もある。複数の国家がより柔軟かつ適切に同盟や勢力圏を形成することが可能となるので、対立関係が硬直化しにくいとし、勢力均衡を維持しやすいと論じている。現実の例としては戦前の米・英・独・仏・ソ連︵ロシア︶・イタリア・日本が世界における列強として君臨した時代がある。第二次世界大戦前のヨーロッパ、中国の三国志時代や日本の戦国時代などは地域内で複数の勢力が存在していた。
しかし、どの勢力分布も歴史的に見れば戦争の頻度や規模を最小化することについて最適な組み合わせではないと一般的には考えられている[35]︵勢力均衡を参照︶。なお、国連憲章の目指すところは国連常備軍による単極平和論であり、1極を覇権国家専有武力ではなく国連加盟国共同武力とすることで覇権国の専横を防ぎつつ平和を目指す考え方である。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
- 遠交近攻:国境を接せず、領土紛争のない遠国と同盟して、国境を接する隣国を軍事的に圧迫して領土紛争を有利に解決しようとすることは2000年以上前から現在も行われている
- 合従連衡:強大国と複数弱小国の構図になった場合、弱小国側は個別では各個撃破されてしまうので小国同盟(合従)を結んで強大国から自衛したほうがよい。強大国側は小国の「対岸の火事心理」を利用してAを除いたBCDと同盟を結んで(連衡)Aを併呑し、次いでCDと同盟を結んでBを侵略併呑し、合従同盟を破壊して、各個撃破してゆくのが合理的であり、現在でも使われている。
- 孤立化による併合:軍事力の直接行使は大国にとっても損害が大きいので、第三国に対して併呑対象の国と同盟を結ばないよう圧力をかけて併呑対象を孤立化させ、次いで併呑対象へ武器・物資を援助しないように圧力をかけて武装解除に追い込み、同時に併呑対象を経済的に依存させることで、抵抗の意思を挫き、軍事力・経済制裁による恫喝だけで併呑する
- 新興覇権国家は、自国の安全保障のため周囲を衛星国で固めることを志向する傾向が歴史上頻繁に見られる。
- 自然国境をはさんで老大国側の飛び地(または衛星国)が新興大国側にあるときは、新興大国側はそれを奪取して勢力境界線を自然国境に置こうとしてしばしば戦争がおきる原因となってきた。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
●よく﹁現代では戦争で利益が得られることはないので戦争は起こらない﹂とする意見があるが、実際には﹁利益﹂を掲げて戦争が行われたのは必ずしも多数派とはいえない。また﹁国際社会の制裁を考えれば戦争などするはずがない﹂とする意見もあるが、国際社会の制裁や国民の餓死をものともせず核ミサイルの開発にひた走る国家も数例ある。特に近代以降においては大衆動員の必要性もあって、国家主義に訴える戦争目的が掲げられる場合が多い。例えて言えば、日本が北日本と南日本に分断されていた場合、民族統一を求める心情は金銭的利得とはなんら関係がないし、国際的な制裁も気にせず武力統一にひた走る人々が発生しても不自然ではない。小さな島嶼ですら、その奪還のために死にたくないと思う国民だけでなく、死を賭けても奪還したいという国民も発生するが、それは金銭的利得というよりも国家主義による。中国や北朝鮮が統一を求めるのも、台湾や韓国が併合されるのを嫌がるのも国家主義によるところが大きく、ソ連崩壊後も極東に於ける冷戦が継続中で軍縮交渉が困難な原因となっている。
●19世紀のドイツ・イタリアも、ベトナム戦争も、朝鮮戦争も背景にあるのは国家主義である。
●一方で、バルカン半島のような民族混在地は民族分布によって国境線を引くことが難しいために、戦争や少数民族虐殺の頻発する原因となっている。
●また、併合しようとする土地の少数民族の国家主義を煽り、一旦分離独立させてから保護国化するという手口もパナマ独立︵米国が保護国化︶や東ティモール独立︵豪州が保護国化︶など史上に散見される。
●また、経済困難や貧民の増大は﹁閉塞感﹂を増加させ、国家主義が蔓延しやすい。国家主義に憑かれた国民は対外強硬・排外主義に走りやすく、そのような国民の支持を得て、対外強硬に走る政治家が発生した例も多い。尊王攘夷、ナチスやロシア自由民主党︵ネオナチ︶の勃興などの例が見られる。
1970年代になるとそれまでの勢力均衡理論による静態的な国際情勢の理解から転換して、世界秩序の構成要素の国力などは可変的であると考える動態説が現れた。例えばイマニュエル・ウォーラーステインは16世紀以降の資本主義の発達は世界に強国と弱国の格差を生み、巨視的には中核、準周辺、周辺の世界システムを形成した。さらに中核においても、時代的には長期的優勢と中期的優勢の二種類があることが認められ、長期的優勢では生産力の拡大からプロレタリアートの政治運動に次いで福祉国家化及び社会主義的世界経済へと段階的に進んでいき、中期的優勢では資本主義の矛盾が表面化、経済成長の停滞、恐慌などに次いで準周辺国への技術移転並びに相対的な優位の低下という段階を進むとしている。また1987年にはジョージ・モデルスキーによって大規模な戦争は大体100年周期で発生する点に注目した100年周期説が提唱された。これはあらゆる秩序のエントロピー的衰退、国際的な秩序形成の衝動などが理由として挙げられている[36]。
経済と戦争の危機には全く相反する視点がある。
まず第一に国際経済が停滞・後退すれば戦争の危機は高まるという考え方である。経済成長が不況や恐慌などによって悪化すれば、その縮小した利益をめぐる利害関係が国内経済、国際経済において悪化し、それが戦争の危機を高めることになると考えられる。また軍事費の拡大によって市場に資本を投入し、経済成長を促すため、軍拡競争が激化することも考えられるからである。
一方で、戦争にかかる膨大なコストに注目し、経済の成長が順調でなければ戦争が起こせないため、成長期にむしろ戦争の危機は高まるという考え方も存在する。経済成長を目指して資源や戦略的な要所の必要性が高まるため、競争が激化しやすくなる。また経済成長があるからこそ軍事費を増大することが可能となり、軍拡競争が発生し、経済成長を維持するために膨張主義的な世論や社会的な心理が形成されると考えられる[37]。
ただし、経済と戦争の関係性についてはデータや指標が非対称である場合や研究途上であることもあって、完結に結論できない[38]。
数学のゲーム理論においては囚人のジレンマ状況とチキンゲーム状況の理論が戦争のモデルとされている。
囚人のジレンマによると、例えば核兵器の保有を両方が自制するのが最も平和で安全であるが、疑心暗鬼の心理が働いて両方とも核保有で自国の安全と相手国の支配権を得たいと考える。しかしながら自国だけ自制して相手国が核を保有した場合には自ら不利になることを選ぶことになる。ただし両国とも核保有すると核戦争勃発の危険が最大となる。
チキンゲームによると、例えば両国とも利益の追求を完全に放棄すれば最も平和で安全であり、また互いに申し合わせた妥協を履行すれば二分した利益と安全を確保できる。一方で相手国が譲歩することを衝突の直前まで期待して強硬策を実施して成功すれば半分以上の利益を確保出来るが、失敗すれば戦争が勃発することになる[39]。
ただし戦争とは大規模になればなるほど、上記した要因以外に、さまざまな軍事的、政治的要因だけでなく、法的、経済的、社会的、集団心理的、文化的な外的・内的な構造や誘因がより高度に複雑に関係して発生する重層的な事象であり、個人の人間性や一国の内部事情などにのみその根本的原因を求めることは非常に非現実的、非歴史的な考えと指摘できる[注釈2]。
歴史から学び、国内的な事情と国外的な環境を関係させ、個人の感情や意思を内包した歴史的必然性に戦争の原因というものは求められるべきものである。バターフィールドの﹃ウィッグ史観批判﹄で﹁歴史の教訓とは、人間の変化はかくも複雑であり、人間の行為や決断の最終的結果は決して予言できるような性質のものではないということである。歴史の教訓は、ただ細部の研究においてのみ学ぶことができ、歴史の簡略化の中では見失われてしまう。歴史の簡略化が、歴史的真理と正反対の宣伝のため企てられることが多いのもそのためである﹂と論じられているとおり[41]、本質的に戦争、特に近代における複合的な国際政治の展開によって発生する戦争は単一の誘因によって引き起こされたとする考えはきわめて側面的な考えである[注釈3]。
軍事学において戦争はその作戦戦略の差異を主体別に見て侵略と防衛の二つの作用が衝突して発生するものであると考えられる。
まず侵略には法的な定義も存在するが、軍事的な定義としては外敵または内敵によって軍事力が先制行使され、侵入︵invasion︶、攻撃︵attack︶などの攻勢の作戦行動が実行されることである[注釈4]。一方で防衛は狭義には侵略に反応してこれを排除するために軍事力が使用され、防御や後退などの防勢の作戦行動が実行されることであり、広義には抑止活動をも含む。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
侵略はその手段から直接侵略と間接侵略に分類される。直接侵略は外国が軍事力の行使を行う伝統的な侵略方式であり、間接侵略は防衛側の国家内の反政府勢力などを教唆、指導したうえで反乱、革命などによって軍事力を間接的に行使する侵略方式である。実際の侵略はこの二種類の手段を同時に使用する場合や、時間差で使用する場合などがある。
また敵が内敵であれば、これもまた区別して考えられる。内敵とは国内の勢力が主体となり、政府転覆や国体の破壊などを目的を持ち、武力を行使する敵である。内敵の侵略は外国に一時的に外国に逃れ、外部から侵略する外部侵略と、内部でゲリラ戦や反乱、クーデターなどを行う内部侵略の方式がある。内敵と外敵は軍事目的が同じであるので、結託しやすい。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
防衛は安全保障形態から集団安全保障と個別的安全保障に大別される。集団的安全保障は集団内の国家が侵略を行った場合にその他の国々が侵略国に制裁を行うことによって防衛国を援助することで安全を保障することである。個別的安全保障は防衛国が独力で、または同盟国の援助によって安全を保障することである。
個別的安全保障はさらに単独防衛︵自主防衛︶、同盟、集団防衛、中立の形態がある。集団防衛は防衛的な性格のみを持つために集団安全保障の側面も持つ。同盟にはその作戦目標から侵略的な場合と防衛的な場合がある。自主防衛は防衛線の位置によって前方防衛、国境防衛、国土防衛に区分される。前方防衛は国境よりも遠隔地において侵略してくる敵を排除する防衛方式であり、公海上で行われることが多い。国境防衛は国境において軍事力を準備し、侵略する敵を待ち受けてこれを排除する防衛方式であり、国境線を要塞化することが多い。国土防衛は国境を突破して国土に侵略する敵を国内において排除する防衛方式である。しかし一般的に兵法などでは、侵略する側は、防衛する戦力の3倍の戦力であることが望まれるので、小国と大国の戦争でもない限り、完全に侵略されることはまずない。
黒船来航は強制外交。嘉永7年︵1854年︶横浜への黒船来航
マシュー・ペリーに随行した画家ヴィルヘルム・ハイネによるリトグラフ
戦争は永遠に続くものではなく、一定の段階を過ぎれば収束していく︵ただし、ゲリラ戦や断続的なテロ攻撃は戦線を維持する必要がないため、戦争とは本質的に性質が異なる︶。兵力や軍需物資の補填などの兵站能力的限界から、どのような国家、勢力でも激しい戦闘を長期間にわたって継続することは不可能であるからである。その発展の過程は無秩序に見えるが、ある程度の段階が存在していると考えられている[43]。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
安定的な秩序が維持されており、各国︵一部の国では平時においても国内の不安定がある︶は基本的に平和に過ごしている。戦争の危機は認識されておらず、準備もなされていない。
●艦隊・部隊などの相互訪問などの軍事交流、独立記念日などの国家行事の支援など。
●災害救助、医療支援、測量活動支援、調査活動支援など。
●同盟国や友好国との共同軍事訓練などによる関係の増進。
●武器・兵器の売却、教官派遣、留学生交換などによる友好関係、勢力圏の増進。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争勃発の誘因となりうる事件や問題が発生・表面化し、急速に事態が緊張化していく。奇襲を受ける場合はこの段階を通過しない場合もある。この時点ではまだ戦争を未然に防止することは外交によって可能であると考えられるが、不安定化末期から準戦時の外交交渉はしばしば非常に切迫したものとなる。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争の危機が高まり、急速に事態が緊張化して制御不能となっていく。国家として戦時体制が敷かれ、軍隊が動員され、外交交渉は絶望的になっていく︵最後通牒、宣戦布告を参照︶。この段階になればもはや事態を収拾しようとすることは極めて困難となる。この時点で戦争勃発を阻止しようとするのは遅すぎる。
●配給制や統制経済などの戦時体制の準備。
●予備役の動員や民間防衛の準備体勢への移行。
●外交関係の断交や外交使節団の召還。
●破壊工作員やスパイの潜入、謀略活動。
●対象国にとって重要な陸海空の交通路の封鎖。
●対象国に向かう船舶などの臨検、抑留、拿捕。
●対象国の主要交通路の封鎖、口座凍結などの金融制裁などの経済制裁。
●交戦地域の設定。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
開戦を告げる宣戦布告が行われ︵これは伝統的な国際法に基づく行為であり、現代では行われない場合もある︶、軍隊が戦場に展開し、敵戦力との戦闘に入る。また戦時体制に基づいてあらゆる経済、情報開示、生活が軍事上の必要から統制される。この段階で戦争の経過を当初の計画通りに進んでいるかなどを考慮し、いかに有利に戦争を収束させるかという点が注目される。
●戦時体制の実施と予備役・民間防衛の総動員。
●情報統制やスパイ摘発・相手国の宣伝対策などの防諜政策の展開。
●相手国に対する世論誘導を目的とした広報政策の展開。
●スパイ・同調者・協力者の獲得工作の展開。
●テロリスト、革命家、協力者、破壊工作員などによる工作活動︵ほとんどは政府の判定のみに基づき、後日冤罪や政府特務機関の自演だったと判明する例もある︶。
●限定地域︵海域︶における軍事施設・艦艇などに対する攻撃、占領。
●限定地域以外における軍事施設・艦艇などに対する攻撃、占領。
●軍事施設などに対する攻撃、占領。
●兵器や武器の生産施設となっている工業地帯に対する攻撃、占領。
●首都、統治機関、主要都市など政経中枢に対する攻撃、占領。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
一方が圧倒的な勝利を獲得した場合、また戦況が双方にとって好転せず停滞的になった場合、対立している両国が講和を行うことを決定すれば、その戦争は収束に向かう。この際に締結されるのが講和条約と呼ばれるものである︵休戦協定は戦闘の一時的な中断であり、戦争の終結ではない︶。しかし、講和の交渉とは外交官にとって最も困難な外交交渉の一つであり、その交渉過程にはさまざまな不満や問題が発生することもある。
●戦闘作戦の長期的な停滞。
●戦争遂行の外交的・内政的な問題の発生。
●攻撃的な戦闘行動の停止︵停戦︶。
●和平交渉の開始、暫定的に戦争を休止する休戦協定の締結。
●戦後の双方の地位を定めた講和条約の締結と、議会での批准。
●敗戦した政府組織の亡命。
戦争終結してもその決着が新たな問題や不満を生んでいれば、それが起因して新しい戦争をもたらすこととなる。外交的な解決が不可能となった場合、戦争は軍事力を以って自国の利益を相手から奪うことができる。ただしその過程で失われるものは人命、経済基盤、生活の安全だけでなく、勝敗によっては国際的な信用や政府、国家主権が奪われる場合もある。なお近現代においては敗北で民族が消滅することはない。
●占領行政として占領軍の住民に対する宣撫工作と統治及び治安維持
●占領地の法律や教育の再編と道徳思想及び使用言語の変更などの同化政策。
●抵抗勢力︵レジスタンス︶によるゲリラ戦の展開。
●亡命政府の国土奪回のための軍事力の造成。
主権国家体制において付庸国︵附庸国、ふようこく︶、従属国︵じゅうぞくこく︶︵英: vassal state︶とは、宗主国から一定の自治権を認められているが、その内政・外交が宗主国の国内法により制限を受ける国家を指す。[44]。
主権を不完全にしか持たないため、被保護国と合わせて半主権国︵英: semisovereign state︶、従属国︵英: dependent state︶[45]とも呼ばれる。
傀儡政権︵かいらいせいけん、英語: puppet government︶とは、ある領域を統治する政権が、名目上には独立しているが、実態では事実上の支配者である外部の政権・国家によって管理・統制・指揮されている政権を指す[46][47]。
戦争に関する国際法には大きく二つの体系がある。軍事力の行使が合法かどうかを定めている﹁開戦法規﹂ (jus ad bellum, ユス・アド・ベッルム︶﹂と、戦争におけるさまざまな行為を規律する﹁交戦法規﹂ (jus ad bello, ユス・アド・ベッロ) の二つである。前者は国連憲章が基本的に根拠になっており、後者は﹁戦時国際法﹂﹁武力紛争法﹂﹁国際人道法﹂とも呼ばれ、その主な根拠となっている条約にジュネーブ条約などがある。一般的に戦争犯罪と呼ばれる行為とは、戦時国際法に違反する行為を指す。︵極東国際軍事裁判におけるA級戦犯はこの戦時国際法とは無関係である︶また戦時国際法は作戦領域から、陸戦法規、海戦法規、空戦法規に分類されることもある[49]。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
伝統的国際法においては、戦争は国家の権利であったが、現代国際法においては武力行使の禁止に伴い、戦争そのものが禁止されている。具体的には、1928年のパリ不戦条約︵ケロッグ=ブリアン条約︶および1945年の国連憲章2条4項により、武力行使は違法化された。ただしパリ不戦条約では実質的な紛争解決機能が盛り込まれなかったために第二次世界大戦が勃発し、そのため国連憲章が改めて定められた。国連憲章において国際社会の平和と安全が破壊される違法行為があれば、集団安全保障体制で場合によっては軍事的措置を講ずることも定められた。また国連加盟国は個別的、集団的自衛権の行使が認められている。すなわち現代における戦争を行う原則は以下の通りとなる。
- 国家の自衛の場合(同51条)。
- 安全保障理事会において認定された「国際社会の平和と秩序への脅威」に対する強制行動(第七章)
- 地域的取極や地域的安全保障枠組みにおける強制行動(第八章)。
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "戦争" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年8月) |
戦争においては無制限の暴力が交戦国によって行使されるが、しかし現代の戦時国際法においては「軍事的必要性」と「人道性」の原則がある。軍事的必要性はさまざまな軍事作戦の遂行に不可欠な行動などを正当化する原則であり、一方で人道性とは最小限の人命損失、不要な破壊、文民に対する攻撃、過剰な苦痛などの軍事作戦にとって不適切な行動を禁止する原則である。またこのほかにも戦時国際法においては攻撃目標、戦闘方法、非戦闘員の対応、中立国との関係などが定められており、軍隊の各級指揮官や部隊の戦闘行動を規定している。この戦時国際法を違反することは、国際社会からの非難を受けることや、責任者が戦争犯罪に問われることなどによって処罰されることになり得る(戦時国際法を参照)。
(一)^ 敵を完全に殲滅して敵国の抵抗力を徹底的に破壊する戦略。
(二)^ ベイジル・リデル=ハートは﹃戦争に関する考察(Thoghts on War)﹄において戦争の原因は突き詰めれば心理的なものであると考え、全感覚︵あらゆる方面における知覚︶を用いて戦争を理解しなければ、戦争を防止する展望は持ち得ないと論じた[40]。
(三)^ 戦争哲学の前提として戦争の原因論はその性質から観察者の哲学的・政治的・歴史学的・法学的な立場やバイアスなどに大きく関わる。例えば決定論の立場で戦争の原因論を考察した場合、あらゆる要因がその戦争の発生を決定付けているために人間は本質的に戦争に責任を持つことができないということとなり、原因は起因したそれら諸要素となる。
(四)^ 国際政治学において侵略と認定する条件として、第一に武力行使、第二に先制攻撃、第三に武力による目的達成の意思、が挙げられており、自衛や制裁などの免責理由がないこととして価値中立的な定義としている。ただし、侵略の条件に﹁意思﹂が挙げられていることはこの定義の法律的性質を現すものであり、ある特定の価値観が存在していると指摘できる。そのため、軍事上の事実的行為として侵略は武力の先制使用であると考えられている[42]。
(一)^ ﹁戦争﹂﹃国際法辞典﹄、217-219頁。
(二)^ ﹁国際紛争の平和的解決﹂﹃国際法辞典﹄、118-119頁。
(三)^ 三石善吉 戦争の違法化とその歴史 東京家政学院筑波女子大学紀要第8集 2004年 pp.37-49.
(四)^ 本郷健﹃戦争の哲学﹄︵原書房、1978年︶46-47頁
(五)^ Field Manual 100-5, Operations, Department of the Army(1993)
(六)^ 佐原真﹁日本・世界の戦争の起源﹂、仮名関恕・春成秀爾編﹃佐原真の仕事4戦争の考古学﹄岩波書店 2005年
(七)^ 服部 2017, p. 190.
(八)^ 佐原真﹁ヒトはいつ戦い始めたか﹂、金関恕・春成秀爾編﹃戦争の考古学﹄佐原真の仕事4岩波書店
(九)^ 本当の戦争―すべての人が戦争について知っておくべき437の事 ISBN 978-4087734102
(十)^ 佐原真﹁戦争について考える﹂、﹃考古学つれづれ草﹄小学館 2002年
(11)^ 朝日新聞2016年3月31日2016年4月10日閲覧
(12)^ 佐原真﹁日本・世界の戦争の起源﹂、金関恕・春成秀爾編﹃佐原真の仕事4戦争の考古学﹄岩波書店
(13)^ Max Boot, War Made New: Technology, Warfare, and the Course of History, 1500 to Today (New York: Penguin Group Inc., 2006), 4–5.
(14)^ 石津朋之、ウィリアムソン・マーレー著 ﹃21世紀のエア・パワー﹄ 芙蓉書房出版 2006年10月25日第1刷発行 ISBN 482950384X
(15)^ “クギを打った棒や素手で殴り合い 中印衝突で 奇妙な戦闘の舞台裏”. 産経新聞 (2020年6月26日). 2021年2月13日閲覧。
(16)^ “ロシア、ウクライナ複数都市を攻撃 首都空港巡り戦闘︵写真=AP︶”. 日本経済新聞 (2022年2月24日). 2022年2月24日閲覧。
(17)^ “ロシアのウクライナ侵攻、ネット上に情報続々 宣戦布告はYouTubeに、火の手の様子はTwitterに、航空機の状況はFlightradar24に”. ITmedia NEWS. 2022年2月24日閲覧。
(18)^ Gilpin, Robert (1988). “The Theory of Hegemonic War”. The Journal of Interdisciplinary History 18(4): 591–613. doi:10.2307/204816. ISSN 0022-1953. https://www.jstor.org/stable/204816.
(19)^ Pandit, Puja (2023年4月4日). “Relationship Between Conflict and Prosocial Behaviours” (英語). Vision of Humanity. 2023年4月8日閲覧。
(20)^ 飯田浩司著 ﹃軍事OR入門﹄ 三恵社 2008年9月10日改訂版発行 ISBN 9784883616428 195頁
(21)^ Wallinsky, David: David Wallechinsky's Twentieth Century: History With the Boring Parts Left Out, Little Brown & Co., 1996, ISBN 0-316-92056-8, 978-0-316-92056-8 – cited by White
(22)^ Brzezinski, Zbigniew: Out of Control: Global Turmoil on the Eve of the Twenty-first Century, Prentice Hall & IBD, 1994, – cited by White
(23)^ Ping-ti Ho, "An Estimate of the Total Population of Sung-Chin China", in Études Song, Series 1, No 1, (1970) pp. 33–53.
(24)^ “Mongol Conquests”. Users.erols.com. 2011年1月24日閲覧。
(25)^ “The world's worst massacres Whole Earth Review”. (1987年). オリジナルの2003年5月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20030517105614/http://www.globalwebpost.com/genocide1971/articles/general/worst_massacres.htm 2011年1月24日閲覧。
(26)^ “Taiping Rebellion – Britannica Concise”. Britannica. 2011年1月24日閲覧。
(27)^ Michael Duffy (2009年8月22日). “Military Casualties of World War One”. Firstworldwar.com. 2011年1月24日閲覧。
(28)^ “Selected Death Tolls for Wars, Massacres and Atrocities Before the 20th Century”. Users.erols.com. 2011年1月24日閲覧。
(29)^ McFarlane, Alan: The Savage Wars of Peace: England, Japan and the Malthusian Trap, Blackwell 2003, ISBN 0-631-18117-2, 978-0-631-18117-0 – cited by White
(30)^ “Nuclear Power: The End of the War Against Japan”. BBC News. 2011年1月24日閲覧。
(31)^ “Timur Lenk (1369–1405)”. Users.erols.com. 2011年1月24日閲覧。
(32)^ Matthew White's website (a compilation of scholarly death toll estimates)
(33)^ “Russian Civil War”. Spartacus.schoolnet.co.uk. 2010年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月24日閲覧。
(34)^ ジェイムズ・F・ダニガン、ウィリアム・マーテル著、北詰洋一訳﹃戦争回避のテクノロジー﹄︵河出書房、1990年︶37頁
(35)^ 防衛大学校・安全保障学研究会編﹃安全保障学入門﹄︵亜紀書房、2005年︶24-25頁
(36)^ 栗栖弘臣﹃安全保障概論﹄︵BBA社、1997︶116-119頁
(37)^ 防衛大学校・安全保障学研究会編﹃安全保障学入門﹄︵亜紀書房、2005年︶25-27頁
(38)^ 防衛大学校安全保障学研究会﹃最新版 安全保障学入門﹄︵亜紀書房、2005年︶31-32頁
(39)^ 栗栖弘臣﹃安全保障概論﹄︵ブックビジネスアソシエイツ社、1997年︶
131-133頁
(40)^ 松村劭﹃名将たちの戦争学﹄︵文春新書、2001年︶18頁
(41)^ 古賀斌﹃戦争革命の理論﹄︵東洋書館、1952年︶128-139頁
(42)^ 服部実﹃防衛学概論﹄︵原書房、1980年︶33-34頁
(43)^ 防衛大学校・安全保障学研究会編﹃安全保障学入門﹄︵亜紀書房、2005年︶182頁の﹃軍事力によるエスカレーションの具体例﹄の図、及びジェイムズ・F・ダニガン、ウィリアム・マーテル著、北詰洋一訳﹃戦争回避のテクノロジー﹄︵河出書房、1990年︶32-36頁を参考とした。
(44)^ 寺沢一、山本草二、広部和也編 編﹁Ⅲ国家の成立16国家結合﹂﹃標準 国際法﹄︵初版︶青林書院、1989年6月、112頁頁。ISBN 978-4417007517。
(45)^ 佐分晴夫﹁従属国﹂﹃日本大百科全書﹄小学館。http://100.yahoo.co.jp/detail/%E5%BE%93%E5%B1%9E%E5%9B%BD/。2010年4月11日閲覧。 [リンク切れ]
(46)^ Yahoo Dictionary>JapanKnowledge>大辞泉>傀儡政権[リンク切れ]
(47)^ Exite>三省堂>大辞林>傀儡政権[リンク切れ]
(48)^ 防衛大学校・防衛学研究会﹃軍事学入門﹄︵かや書房、2000年︶及びジェイムズ・F・ダニガン著、岡芳輝訳﹃新・戦争のテクノロジー﹄︵河出書房新社、1992年︶などを参考にし、主要な闘争の局面について整理した。
(49)^ 防衛大学校・防衛学研究会﹃軍事学入門﹄︵かや書房、2000年︶52-53頁
●石津朋之ほか編﹃戦略原論 軍事と平和のグランド・ストラテジー﹄日本経済新聞出版社、2010年
●石津朋之ほか編﹃名著で学ぶ戦争論﹄ 日本経済新聞出版社︿日経ビジネス人文庫﹀、2009年
●猪口邦子﹃戦争と平和﹄東京大学出版会、1989年
●加藤朗ほか﹃戦争 その展開と抑制﹄勁草書房、1997年
●加藤朗 ﹃戦争の読みかた﹄春風社、2008年
●﹃現代戦争論﹄、﹃テロ 現代暴力論﹄ 各中公新書
●武田康祐・﹁戦争と平和の理論﹂防衛大学校・安全保障学研究会 ﹃安全保障学入門﹄ 亜紀書房、2005年、22-44頁
●防衛大学校・防衛学研究会﹃軍事学入門﹄かや書房、2000年
●山本吉宣・田中明彦﹃戦争と国際システム﹄東京大学出版会、1992年
●Aron, R. 1986. Clausewitz, Philosopher of war. C. Booker and N. Stone, trans. New York: Simon & Schuster.
●Ballis, W. B. 1973. The legal position of war: Changes in its practice and theory from Plato to Vattel. New York: Carland.
●Beaufre, A. 1972. La guerre revolutionaaire. Paris: Gallimard.
●Bleiney, G. 1989. The causes of war. London: Macmillan.
●ブレィニー、中野泰雄ほか訳﹃戦争と平和の条件 近代戦争原因の史的考察﹄新光閣書店、1975年
●Gaddis, J. L. 1987. The long peace. New York: Oxford Univ. Press.
●ギャディス、五味俊樹ほか訳﹃ロング・ピース 冷戦史の証言﹁核・緊張・平和﹂﹄芦書房、2003年
●Gilpin, R. 1981. War and change in world politics. New York: Cambridge Univ. Press.
●Clausewitz, C. von. (1872)1976. On war. Ed and trans. M. Howard and P. Paret. Princeton: Princeton Univ. Press.
●クラウゼヴィッツ ﹃戦争論﹄、清水多吉訳、中公文庫上下、2001年
●Dunnigan, J. F. 1983. How to make war. New York: Quill.
●ダニガン﹃新・戦争のテクノロジー﹄ 岡芳輝訳、河出書房新社、1992年
●Dunnigan, J. F., Martel. W. 1987. How to stop a war. New York: Doubleday.
●ダニガン、マーテル、﹃戦争回避のテクノロジー﹄ 北詰洋一訳、河出書房新社、1990年
●De Tocqueville, A. 1944. Democracy in America. P. Bradley ed. 2 vols. New York: Knopf.
●トクヴィル ﹃アメリカのデモクラシー﹄、松本礼二訳、岩波文庫全4巻
●Douhet, G. 1942. The command of air. D. Ferrari. trans. New York: Coward-McCann.
●Dupuy, T. N. 1987. Understanding war. New York: Paragon House.
●Ferrill, 1985. The origins of war: From the sotne age to Alexander the Great. New York: Thames and Hudson.
●Fuller, J. F. C. 1961. The conduct of war, 1789-1961. London: Eyre and Spottiswood.
●フラー ﹃制限戦争指導論﹄ 中村好寿訳、原書房、2009年
●Freedman, L. ed. 1994. War. Oxford and New York: Oxford Univ. Press.
●Gat, A. 2006. War in human civilization. Oxford: Oxford Univ. Press.
●アザー・ガット ﹃文明と戦争﹄ 石津朋之/永末聡/山本文史 監訳 歴史と戦争研究会 訳、中央公論新社、2012年
●Howard, M. E. 1976. War in European history. New York: Oxford Univ. Press.
●マイケル・ハワード ﹃ヨーロッパ史における戦争﹄ 奥村房夫・奥村大作訳、中央公論新社、2010年
●Kondylis, P. 1988. Theorie des Krieges, Clausewitz, Marx, Engels, Lenin. Stuttgart: Klett-Cotta.
●Levy, J. S. 1983. War in the modern great power system, 1495-1975. Lexington, Mass.: Lexington Books.
●Mahan, A. T. 1987. The influence of sea power upon history 1660-1783. Boston: Littel, Brown.
●アルフレッド・マハン ﹃マハン 海上権力史論﹄ 北村謙一訳、原書房、新装版2008年
●マハン ﹃マハン海軍戦略﹄ 井伊順彦訳/戸高一成監訳・解説、中央公論新社、2005年
●Midlarsky, M. I. ed. 1989. Handbook of war studies. Ann Arbor: Univ. of Michigan Press.
●Moris, A. 1936. La guerra nel pensiero Christiano dalle origini alle crociate. Fienze: Feltrinelli.
●Otterbein, K. 1970. The evolution of war. New Haven, Conn.: HRAFP.
●Paret, P., ed. 1986. Makers of modern strategy. Princeton: Princeton Univ. Press.
●ピータ・パレット編、﹃現代戦略思想の系譜 マキャヴェリから核時代まで﹄ 防衛大学校・﹁戦争・戦略の変遷﹂研究会訳、ダイヤモンド社、1989年
●Schlieffen, A. G. von. 1913. Gesammelte Schrifen. Berlin: E. S. Mittler.
●Thucydides, 1910. The Peloponnesian War. Trans. R. Crawley. London: J. M. Dent; New York: E. P. Dutton.
●トゥキディデス ﹃トゥーキュディデース 戦史﹄ 久保正彰訳、岩波文庫上中下、1966年-1967年
●Walzer, M. 1977. Just and unjust wars. New York: Basic.
●ウォルツァー、萩原能久監訳﹃正しい戦争と不正な戦争﹄ 風行社、2008年
●Wright, O. 1942. A study of war. Chicago: Univ. of Chicago Press.
●筒井若水﹃国際法辞典﹄有斐閣、2002年。ISBN 4-641-00012-3。