「アメリカ合衆国下院121号決議」の版間の差分
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[[河野談話]]見直しを提言する[[民主党 (日本)|民主党]]有志の「[[慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会]]」<ref>[[日本軍]]の強制連行とされるような関与はなかったという立場から、[[慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話|河野談話]]の見直しを[[安倍晋三]]首相に提言するため立ち上げられた議員連盟。</ref>が[[2007年]][[3月]]に設立され、同会の要請に応じる形で安倍首相が3月に吉田証言などにも触れながら「(従軍慰安婦の)強制性を示す客観的な証拠はなかった」「広い意味での強制性はあったけれども、狭い意味での強制性はなかった」と国会答弁した。 |
[[河野談話]]見直しを提言する[[民主党 (日本)|民主党]]有志の「[[慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会]]」<ref>[[日本軍]]の強制連行とされるような関与はなかったという立場から、[[慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話|河野談話]]の見直しを[[安倍晋三]]首相に提言するため立ち上げられた議員連盟。</ref>が[[2007年]][[3月]]に設立され、同会の要請に応じる形で安倍首相が3月に吉田証言などにも触れながら「(従軍慰安婦の)強制性を示す客観的な証拠はなかった」「広い意味での強制性はあったけれども、狭い意味での強制性はなかった」と国会答弁した。 |
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この答弁に対して韓国・中国・台湾・フィリピン、アメリカ合衆国のメディアが批判した。アメリカの[[ワシントン・ポスト]]紙社説は、﹁[[北朝鮮による日本人拉致問題]]に熱心なのと対照的に日本自身の戦争犯罪には目をつぶっている﹂{{要出典|date=2014年6月}}として、この態度を﹁二枚舌﹂として批判し、また、[[ノリミツ・オオニシ]]ニューヨーク・タイムズ東京支局長などが、日本政府の動きを批判するなど、アメリカの主要各紙が日本政府のこの問題に対する態度が不 |
この答弁に対して韓国・中国・台湾・フィリピン、アメリカ合衆国のメディアが批判した。アメリカの[[ワシントン・ポスト]]紙社説は、﹁[[北朝鮮による日本人拉致問題]]に熱心なのと対照的に日本自身の戦争犯罪には目をつぶっている﹂{{要出典|date=2014年6月}}として、この態度を﹁二枚舌﹂として批判し、また、[[ノリミツ・オオニシ]]ニューヨーク・タイムズ東京支局長などが、日本政府の動きを批判するなど、アメリカの主要各紙が日本政府のこの問題に対する態度が不誠実であるとして批判した。<!---出典なし。---またアメリカ院外交委員会には、慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案を[[マイク・ホンダ]]議員らが提出していたことが大きく報道されたため、この決議案に注目が集まるようになった。--->安倍首相訪米前の2007年4月18日、[[日本の戦争責任資料センター]]の[[吉見義明]]、[[林博史]]、[[女たちの戦争と平和資料館]]館長の[[西野瑠美子]]らは、[[日本外国特派員協会]]で従軍慰安婦問題に関する記者会見を開き、海外の記者に向けて、日本国の加害者責任を強く宣伝した<ref>{{cite news
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| url = http://www.news.janjan.jp/government/0704/0704170945/1.php |
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| title = 世界のメディアが注目する「慰安婦問題」 |
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2014年10月25日 (土) 20:09時点における版
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経緯
決議案提出
安倍発言
河野談話見直しを提言する民主党有志の﹁慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会﹂[5]が2007年3月に設立され、同会の要請に応じる形で安倍首相が3月に吉田証言などにも触れながら﹁︵従軍慰安婦の︶強制性を示す客観的な証拠はなかった﹂﹁広い意味での強制性はあったけれども、狭い意味での強制性はなかった﹂と国会答弁した。 この答弁に対して韓国・中国・台湾・フィリピン、アメリカ合衆国のメディアが批判した。アメリカのワシントン・ポスト紙社説は、﹁北朝鮮による日本人拉致問題に熱心なのと対照的に日本自身の戦争犯罪には目をつぶっている﹂[要出典]として、この態度を﹁二枚舌﹂として批判し、また、ノリミツ・オオニシニューヨーク・タイムズ東京支局長などが、日本政府の動きを批判するなど、アメリカの主要各紙が日本政府のこの問題に対する態度が不誠実であるとして批判した。安倍首相訪米前の2007年4月18日、日本の戦争責任資料センターの吉見義明、林博史、女たちの戦争と平和資料館館長の西野瑠美子らは、日本外国特派員協会で従軍慰安婦問題に関する記者会見を開き、海外の記者に向けて、日本国の加害者責任を強く宣伝した[6]。 決議案可決を阻止するため、日米関係を重要視する安倍首相は4月末の訪米時に、ブッシュ大統領や議会関係者らに﹁おわび﹂を表明することで、5月に予定されていた採決は見送られていた。4月に安倍晋三首相の訪米に合わせて韓国系市民を中心とする団体が同紙に﹁従軍慰安婦の真実﹂と題した全面広告を出していた。 安倍晋三首相は河野談話に否定的だったが[7]2007年3月には国際世論の動向を見つつ、当初の強硬姿勢を修正し、国会答弁で慰安婦への﹁同情とおわび﹂に言及した。また4月には米誌ニューズウィーク紙の取材で、従軍慰安婦問題について﹁人間として心から同情する。首相として大変申し訳なく思っている﹂﹁彼女たちが慰安婦として存在しなければならなかった状況につき、我々は責任がある﹂と述べた。一方、日本では安倍政権の対応を﹃弱腰﹄として批判する意見も出た。韓国知識人による韓国側運動への批判
朴裕河の批判 2007年4月、韓国世宗大学校の朴裕河は、アジア女性基金の解散に伴う東京の日本外国特派員協会での講演で、韓国側の主張をそのまま受け取っての日本への一方的な批判が行われていることを憂慮して﹁日本軍とそのように(業者へ娘を売った)した父親とどっちが憎いのか?﹂との質問にある慰安婦は﹁お父さんだ﹂と答えたといった話も交えながら、慰安婦動員には韓国人も関わっていたことの責任、朝鮮戦争時に韓国軍も特殊慰安隊を運営したという最近の研究を紹介し、韓国や他の国にも慰安婦制度があったのに、日本だけのことにしてしまっては問題の本質を考える機会が失われる、と述べた。また慰安婦動員の過程における韓国人の関与を交えながら、安倍発言の背景にある慰安婦問題の研究の成果と誤解について解説を加え、韓国側は日本がやったことの実態を正しく知るべきで[8]、﹁日本は謝罪も補償もしてこなかった﹂という韓国での認識は事実ではなく、そのような認識では問題は解決しないとした。さらに、安倍首相が河野談話を継承する理由も、それが一部右翼を除いた日本人大部分の考えだからであり、またアジア女性基金も民間団体ではなく、元慰安婦の方々に対する総理大臣の手紙が添えられるなど、その設立運営には日本政府が深く関与する日本国民大多数による償いのための団体であるとした。これらの点を考慮することが日韓関係修復の糸口となるとし、アジア女性基金設立にもっとも反対した人々は韓国の保守右派ではなく﹁法に基づかないお詫び方式は不完全だ﹂と批判した進歩的知識人とメディアであったと指摘した。韓国においても日本政府と政治家の﹁良心﹂を信じられず、基金のお金を受け取った人々を中心に元慰安婦が分裂し、償い金の受け取りに反対した韓国挺身隊問題対策協議会︵挺対協︶[9]に排斥された人々が現在この団体と対立している状態を指摘して、挺対協関係者たちは元慰安婦に対するサポート活動を足場にして国会議員や政府長官になったものの、その後彼女らに対する関心を無くしただけでなく、むしろ排斥しており、元慰安婦の中には彼女たちに真心をつくして手伝ってくれるのは日本人たちだという者もいる、といった挺対協への批判も紹介した。また、韓国人が自分たちの問題をアメリカへ行って解決してくれと訴える姿は決して美しいものではなく、たとえ決裂だけが続くとしても日韓の間の問題は日韓が解決すべきと述べた[10][11]。 韓国のニューライト、安秉直、李栄薫も同様な趣旨の見解を述べている。日本保守派によるワシントン・ポストへの意見広告
下院外交委員会採決
2007年6月26日の下院外交委員会の採決では﹁賛成39、反対2﹂で決議案は可決された。反対したのはロン・ポール下院議員︵共和党、テキサス州選出︶とトム・タンクレード下院議員︵共和党、コロラド州選出︶であった[19]。 なお、決議案は原案から修正され﹁日本国首相の公式の声明としての謝罪﹂を﹁首相が公式な声明として謝罪すれば、これまでの声明の誠意に関して繰り返される疑問を晴らすのに役立つだろう﹂に修正して、日米同盟の重要性を指摘する文章も追加された[20]。 またナンシー・ペロシ下院議長が﹁本会議でも採択し、強いメッセージを発したい﹂とする声明を出し、下院本会議で数人による満場一致で採択された︵下院議員総数435人のうち共同提案者は168名に達したがその大半は出席していない[2]︶。これに加えて、中国におけるウイグル人の人権問題、ベラルーシの人権問題に関する決議もなされた。日本側の反応
下院決議について塩崎恭久官房長官は﹁外国の議会が決議したことであり、コメントすべきことではない﹂として発言を避け、公式な見解は行わなかった。安倍首相も同様の姿勢を示し、決議を黙殺する構えを明確化した。 一方、﹁日本の前途と歴史教育を考える議員の会﹂といった有志の保守政治家、﹁河野談話の白紙撤回を求める市民の会﹂らは反発し、平沼赳夫・島村宜伸・松原仁など、広告に連名した超党派の国会議員達が6月27日に記者会見[21][22]し、﹁事実に基づかない決議は日米両国に重大な亀裂を生じさせる﹂と批判したうえ、決議案の根拠となった河野洋平官房長官談話の再検証を改めて提案した[21]。﹁日本の前途と歴史教育を考える議員の会﹂は、委員会可決を公式に非難し、﹁慰安婦は性奴隷などではなく、自発的に性サービスを提供した売春婦に過ぎず、虐待などの事実もない﹂として、決議案への反論を米国下院に送致することを決定し、2007年6月29日の記者会見でその旨を発表した[23]。 日本文化チャンネル桜と国会議員・地方議員や文化人等の有志は﹁歴史的事実と全く異なる事実誤認に基づく決議案﹂だとして、7月13日に米国大使館に対して当決議案の全面撤回を求める要望書を提出して記者会見を行い、14日に同抗議書を米下院議員全員に送致した。[24][25][26]また維新政党・新風などの政治団体も同様の行動を行った。 加藤良三駐米大使は、決議の採択は﹁日米関係にとって有害﹂﹁正確な事実の説明は手広く行ってきたし、引き続き努力する﹂と述べ、米議会に対し、日本政府のこれまでの謝罪の経緯を説明することを継続する考えを示した。また加藤は決議案の委員会採決直前に、米下院の有力者に決議案全面撤回を求める書簡を送っており、その文書で﹁仮に決議案が可決された場合、日本政府はイラク復興や対テロ戦争でのアメリカへの支援の見直しなども含めた対策を取らざるを得ないだろう。日米の友好関係に長期にわたって悪影響を与える﹂と主張し、決議案の全面撤回を求めた[27]。また日本の主要紙は社説などで﹁事実誤認﹂﹁おろかな選択﹂﹁有害である﹂などと批判を展開したが、﹃朝日新聞﹄社説のみ﹁日本は謝罪すべき﹂と述べた[28]。 また米国の韓国系市民で構成される慰安婦支援団体は、米領グアムで日本軍将校が米国籍のチャモロ人女性を性的に搾取したとする米海軍の裁判記録を提出した[29]ことに対して日本の右派・保守派は﹁個人的な犯罪であり、慰安婦に対する組織的な性的搾取・虐待の証拠にはならない﹂と反論している。また日本の右派・保守派の中には、中央大学教授の吉見義明が述べているように、慰安婦は日本国内の農村部で食い詰めた日本人女性のほうが大多数占めていた事実[30]をもとに、植民地・占領地からの慰安婦は寧ろ少数派だったと主張する者もいる。一方では、慰安婦問題に対し日本政府が無過失であることを実証するのは論理学上の﹁悪魔の証明﹂という困難な命題であり、歴史学者が論じるのは適当であっても政治的問題として取り扱うと、一方的に日本側が不利であるため、アメリカによるイラク戦争や拘束したアルカーイダの捕虜虐待も含め総合的な人権問題として議論するほかないという毎日新聞の主張[31]もある。 安倍首相ら日本政府は事態を静観する姿勢を示した[32]。一方、米国政府は4月の日米首脳会談における安倍首相の発言を事実上﹁慰安婦問題に対する日本国首相の謝罪﹂とすることで事態を収拾しようとしていた経緯があった。またアメリカ側の親日派には、日本側が過激な行動に走るならば事態のさらなる悪化を招くだけであり、特に日本政府が反応すべきでないとの主張もあった[33]という。 抗議活動がかえってアメリカ議会の反発を生じさせ、決議案に日本の抗議運動への批判が盛り込まれるなど、日米間の意思疎通の溝が埋まらなかったと、一部で指摘[34]されている。下院本会議可決
最終的に決議案は下院本会議で採決にかけられ、現地時間7月30日︵日本時間7月31日︶に賛成多数で採択された。アメリカ側が日本の参議院選挙後に可決したことについて、一定の配慮があった[35]とされる。提案者であるマイク・ホンダ議員は﹁日本国民を責めるものでなく友人としての言葉である﹂として反日を意図した決議案でないと強調した。また下院では﹁日米同盟の重要性やテロとの戦いへの日本の貢献を評価する決議﹂が決議も可決[36]されており、これに対して共同提案者にホンダ議員も入っておりバランスを取っているとしている。決議全文 ︵原文︶
H. Res. 121 In the House of Representatives, U. S., July 30, 2007. Whereas the Government of Japan, during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II, officially commissioned the acquisition of young women for the sole purpose of sexual servitude to its Imperial Armed Forces, who became known to the world as ianfu or `comfort women'; Whereas the `comfort women' system of forced military prostitution by the Government of Japan, considered unprecedented in its cruelty and magnitude, included gang rape, forced abortions, humiliation, and sexual violence resulting in mutilation, death, or eventual suicide in one of the largest cases of human trafficking in the 20th century; Whereas some new textbooks used in Japanese schools seek to downplay the `comfort women' tragedy and other Japanese war crimes during World War II; Whereas Japanese public and private officials have recently expressed a desire to dilute or rescind the 1993 statement by Chief Cabinet Secretary Yohei Kono on the `comfort women', which expressed the Government's sincere apologies and remorse for their ordeal; Whereas the Government of Japan did sign the 1921 International Convention for the Suppression of the Traffic in Women and Children and supported the 2000 United Nations Security Council Resolution 1325 on Women, Peace, and Security which recognized the unique impact on women of armed conflict; Whereas the House of Representatives commends Japan's efforts to promote human security, human rights, democratic values, and rule of law, as well as for being a supporter of Security Council Resolution 1325; Whereas the United States-Japan alliance is the cornerstone of United States security interests in Asia and the Pacific and is fundamental to regional stability and prosperity; Whereas, despite the changes in the post-cold war strategic landscape, the United States-Japan alliance continues to be based on shared vital interests and values in the Asia-Pacific region, including the preservation and promotion of political and economic freedoms, support for human rights and democratic institutions, and the securing of prosperity for the people of both countries and the international community; Whereas the House of Representatives commends those Japanese officials and private citizens whose hard work and compassion resulted in the establishment in 1995 of Japan's private Asian Women's Fund; Whereas the Asian Women's Fund has raised $5,700,000 to extend `atonement' from the Japanese people to the comfort women; and Whereas the mandate of the Asian Women's Fund, a government-initiated and largely government-funded private foundation whose purpose was the carrying out of programs and projects with the aim of atonement for the maltreatment and suffering of the `comfort women', came to an end on March 31, 2007, and the Fund has been disbanded as of that date: Now, therefore, be it Resolved, That it is the sense of the House of Representatives that the Government of Japan-- (1) should formally acknowledge, apologize, and accept historical responsibility in a clear and unequivocal manner for its Imperial Armed Forces' coercion of young women into sexual slavery, known to the world as `comfort women', during its colonial and wartime occupation of Asia and the Pacific Islands from the 1930s through the duration of World War II; (2) would help to resolve recurring questions about the sincerity and status of prior statements if the Prime Minister of Japan were to make such an apology as a public statement in his official capacity; (3) should clearly and publicly refute any claims that the sexual enslavement and trafficking of the `comfort women' for the Japanese Imperial Armed Forces never occurred; and (4) should educate current and future generations about this horrible crime while following the recommendations of the international community with respect to the `comfort women'. Attest: Clerk.決議全文 ︵邦訳︶
121号決議 アメリカ下院 2007年7月30日 1930年代から第2次世界大戦までの間、日本政府は、﹁慰安婦﹂と呼ばれる若い女性たちを日本軍に性的サービスを提供する目的で動員させた。日本政府による強制的な軍隊売春制度﹁慰安婦﹂は、﹁集団強姦﹂や﹁強制流産﹂﹁恥辱﹂﹁身体切断﹂﹁死亡﹂﹁自殺を招いた性的暴行﹂など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつである。 日本の学校で使われている新しい教科書は、こうした慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の 日本の戦争犯罪を矮小化している。また、最近日本には、慰安婦の苦痛に対する政府の真摯︵しんし︶な謝罪を含む河野洋平官房長官による1993年の﹁慰安婦関連談話﹂を弱めようとしたり、撤回させようとしている者がいる。 日本政府は1921年に﹁婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約﹂に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響についての国連安保理決議﹁女性、平和及び安全保障に関する決議第1325号﹂も支持した。下院は、人間の安全と人権・民主的価値・法の統治および安保理決議第1325号に対する支持など、日本の努力を称える。米日同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益のいしずえで、地域安定と繁栄の根本だ。冷戦後、戦略的な環境は変化したが、米日同盟はアジア太平洋地域で政治経済的な自由、人権と民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保をはじめ共同の核心利益と価値に根ざす。下院は日本の官僚や民間人らの努力により1995年、民間レベルの﹁女性のためのアジア平和国民基金﹂が設立されたことを称える。同基金は570万ドル︵約7億円︶を集め、日本人たちのしょく罪の意識を慰安婦に伝えた後、2007年3月31日に活動を終了した。 以下は米下院の共通した意見である。 (一)日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を﹁慰安婦﹂と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。 (二)日本の首相が公式声明によって謝罪するなら、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。 (三)日本政府は﹁日本軍が慰安婦を性の奴隷にし、人身売買した事実は絶対にない﹂といういかなる主張に対しても、明確かつ公式に反論しなければならない。 (四)日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育をしなければならない。日米政府の対応
この決議案に対する日本政府の反応は、委員会可決の時と同様に静観した。また米国政府は、立法府である議会の決議を支持せず、また日本政府の態度に満足するとした[37]。ケーシー国務省副報道官が﹁ブッシュ大統領と安倍首相はこの慰安婦問題を話し合い、大統領は日本側の対応に満足の意を表明している﹂と述べ、下院の謝罪要求決議を支持せず一定の距離を置く姿勢を示した。法案成立後の動き
日本
保守論客で構成されている新しい歴史教科書をつくる会は﹁慰安婦の証言は嘘であると明確に証明されているにもかかわらず、このような決議が米国下院で採択されたのは残念だ。﹂と抗議した[38]。右派言論人で組織された史実を世界に発信する会は﹁歴史事実を極度に歪曲し、存在しないものを捏造した前提の上で成り立っているもの﹂と批判し、7月31日に下院議員全員に抗議書を送致した[39]。産経新聞や読売新聞は﹁誤った歴史認識に基づく根拠のない対日非難﹂とこの決議を厳しく批判した。毎日新聞の社説は、イラク戦争におけるアメリカ軍による人権侵害や、アメリカに存在する、広島・長崎に対する原子爆弾投下を正当化する歴史認識も含め、米国には自らの過ちを反省する謙虚さを求めたいと批判した。一方で朝日新聞の社説は、決議は首相に謝罪を求めており、河野談話に沿った内容の談話を安倍首相が出すべきだと、米国の決議に沿った主張をしたため、主要新聞の中で﹁朝日社説だけが﹃孤立﹄﹂と報じられた[40]。地方紙の中には[41]安倍首相が日米間に生じた溝を埋めるための説明責任を果たす必要があるとする主張も見られた。 なお、アメリカ議会がこのような態度に出たのは、いわゆる人権外交の一環であり、アメリカの価値観にそぐわなければ同盟国であっても容赦しない姿勢があったという見方もある[42]。一方で日本の右派・保守派の中にはアメリカの揺るぐことなき第二次世界大戦における戦勝史観からすれば、背景に日本軍は卑怯で愚劣であったとする﹁思考停止的﹂な歴史認識もあるとの指摘もある[42]。 また、日本の右派・保守派の間には、この間の動きを、朝日新聞やニューヨークタイムスなどの親中国系とされるメディアが主導したことや、ホンダ議員への中国系の献金が多いことなどをとらえて、日米離間工作の一種ととらえる人もいる。 決議案が成立すると、戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案の成立を目指す民主党の岡崎トミ子・千葉景子らは決議の可決に感謝の意を示し、小川敏夫は国会で決議に意義を唱える総理大臣の安倍晋三を強く非難した。また、兵庫宝塚市、東京清瀬市、北海道札幌市の各市議会で日本政府に誠実な対応を求める意見書が採択された。2008年11月23日に開催された第9回日本軍﹁慰安婦﹂問題アジア連帯会議では、決議可決を受けて﹁謝罪と補償のための法律を制定するよう、あらゆる方法を駆使して日本政府に働きかける﹂﹁国際連帯をいっそう強化する﹂﹁歴史認識を育て、記憶を継承し、女性に対するいかなる暴力も人権侵害も許さない運動を推進する﹂などの綱領を採択した。日本国外の対応
2007年7月4日、アラブ諸国大手のマスメディア、アルジャジーラが﹁アメリカは日本・中国・朝鮮半島間で問題を発生させた﹂という記事を掲載し﹁アメリカは、何故日本だけに対し従軍慰安婦決議案を出したのか?アメリカはベトナム戦争で罪もない何千人以上の人々を化学兵器で殺戮をしたのに謝罪は無く、さらには暴力でアフリカ人をアフリカからアメリカに強制移住させたことにも一切謝罪していない﹂と述べ、﹁アメリカは日本・中国・朝鮮半島間にわざとトラブルを発生させ、目的を達成させたいようだ﹂と述べた[43]。 英国のBBCは、アメリカ合衆国ラントス下院外交委員長︵民主︶の批判﹁吐き気を催させる否定﹂ (Nauseating denial)を 引用し、日本の保守論客を非難した[44]。 当決議案採択の後、フィリピンやオーストラリアの議会でも慰安婦問題に関して日本の謝罪を求める決議案が提出された。[45]韓国の対応
脚注
![ウィキソース出典](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/15px-Wikisource-logo.svg.png)
関連項目
外部リンク
- アメリカ合衆国下院121号決議 (英語)
- 2007年2月15日の下院外交委員会聴聞会議事録 (英語)
- マイク・ホンダ議員の決議案提出時の演説 (英語)
- support121 「世界抗日史実維護連合会」121ネット (英語)
- NYT 元慰安婦語る、韓国と米国が基地側での売春行為を可能にした
- “韓国人元慰安婦、韓国政府と米軍を告発 NYタイムズ紙”. Yahoo!ニュース. 産経新聞. (2009年1月8日). オリジナルの2009年1月8日時点におけるアーカイブ。
- 朝日の慰安婦記事「訂正」で動揺する米国の反日活動家たち 古森義久 - JB Press(2014年10月1日版)