イニャツィオ・シローネ

ペシーナにあるイニャツィオ・シローネの墓

イニャツィオ・シローネ︵Ignazio Silone、1900年5月1日 - 1978年8月22日︶は、イタリアペシーナ出身の小説家、政治家。本名、ペンネームはセコンド・トランクィッリ︵Secondino Tranquilli︶である。1969年にエルサレム賞を受賞した。

生涯

1900年5月1日、イタリアアブルッツォ州ラクイラで生まれるものの1911年に父を亡くし、1915年にはアブルッツォ州で起きた大地震︵en:1915 Avezzano earthquake︶で母をはじめ7人兄弟の内、5人の兄弟を失う。

その後は学業を断念し、僅か15歳でローマに趣き左翼政治活動に参加し、17歳でアブルッツォ地方の農業労働組合の書記長に就任した。

1919年にイタリア社会党の秘書となる。1921年、シローネが21歳の時にイタリア共産党の幹部となり機関紙﹃アバングァルディア﹄の執筆に携わり、ソ連を訪問する。

ファシズムにより弾圧を受けるが故郷で地下活動を続ける。しかし1929年にスターリニズムを批判、抗議し、イタリア共産党から除名された。1930年から1934年にかけて各国を転々とし、最終的にはスイスに亡命した。なお、亡命する前にファシズムに対する怒りと共産主義の理想やネオレアリズモについて書かれた小説﹃フォンタマーラ﹄︵en:Fontamara︶を発表した。

スイスに落ち着き、作家活動をする。第二次世界大戦後はイタリアに帰国。イタリア社会党に属し、機関誌﹃アヴァンティ!﹄の編集に携わった。

1950年6月、シローネはシドニー・フック︵en:Sidney Hook︶、メルヴィン・J・ラスキー、ヒュー・トレヴァー＝ローパー 、アーサー・ケストラー、レイモン・アロン、フランツ・ボルケナウらの反共主義の知識人たちがドイツベルリンに集まって開いた会議に出席し、この会議は文化自由会議の創設と文芸雑誌﹃エンカウンター﹄の創刊を宣言した。

小説家としてのシローネは1937年に﹃葡萄酒とパン﹄、﹃雪の下の種子﹄を著し、1956年に﹃ルーカの秘密﹄、1961年に﹃狐と椿﹄、1968年に﹃あるつつましいキリスト者の運命﹄などを著した。

なお、日本に於けるシローネの著作はイタリア語翻訳家の齋藤ゆかりによって﹃葡萄酒とパン﹄﹃独裁者になるために﹄が翻訳されている。

1969年、エルサレム賞を受賞する。

1978年8月22日、スイスのジュネーヴで亡くなる。

作品

●1930年、﹃フォンタマーラ﹄︵en:Fontamara︶

●1934年、﹃Fascism - Its Origin and Development﹄

●1937年、﹃葡萄酒とパン﹄︵en:Bread and Wine (novel)︶

●1938年、﹃The School for Dictators﹄

●1939年、﹃The Living Thoughts of Mazzini﹄

●1940年、﹃雪の下の種子﹄﹃The Seed Beneath the Snow﹄

●1944年、﹃Ed egli si nascose. Dramma in quattro atti﹄

●1949年、﹃en:The God that Failed﹄

●1951年、﹃Emergency Exit﹄

●1952年、﹃Handful of Blackberries﹄

●1956年、﹃ルーカの秘密﹄︵en:Luca's Secret︶

●1968年、﹃あるつつましいキリスト者の運命﹄︵en:Story of a Humble Christian︶

脚注・参考文献

(一)^ ^abシローネ - Yahoo!百科事典、日本大百科全書、2012年10月30日閲覧。

(二)^ シローネとは - コトバンク、2012年10月28日閲覧。

(三)^ 高津春繁・手塚富雄、西脇順三郎、久松潜一 ﹃万有百科大事典1文学﹄ 相賀徹夫、小学館︿日本大百科全書﹀︵原著1973年8月10日︶、初版︵日本語︶、308ページ。


●高津春繁、手塚富雄、西脇順三郎、久松潜一 著、相賀徹夫 編﹃万有百科大事典1文学﹄︵初版︶小学館︿日本大百科全書﹀︵原著1973-8-10︶。 

●“シローネとは”.  コトバンク. 2012年10月30日閲覧。

●“シローネ”.  Yahoo!百科事典、日本大百科全書. 2012年10月30日閲覧。

関連項目

●﹃フォンタマーラ﹄︵en:Fontamara︶

●﹃葡萄酒とパン﹄︵en:Bread and Wine (novel)

●﹃ルーカの秘密﹄︵en:Luca's Secret︶

●﹃あるつつましいキリスト者の運命﹄︵en:Story of a Humble Christian︶

●イタリア社会党

●イタリア共産党