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「クレオパトラ (1963年の映画)」の版間の差分

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== 概要 ==

== 概要 ==

{{出典の明記| date = 2023年6月| section = 1}}

[[ハリウッド]]の黄金時代が閉じられた、即ちスタジオシステムが崩壊した50年代から60年代に観客を劇場に呼び戻すために作られた大作映画の一本。本作により20世紀フォックスは破滅の危機に陥った。

[[ハリウッド]]の黄金時代が閉じられた、即ちスタジオシステムが崩壊した50年代から60年代に観客を劇場に呼び戻すために作られた大作映画の一本。本作により20世紀フォックスは破滅の危機に陥った。



ハリウッドきっての知性派といわれた[[ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ]]が監督と脚本を兼務。製作開始は1960年。撮影ははじめ[[ロンドン]]で、後に[[ローマ]]近郊の[[チネチッタ]]で撮影された。

製作を指揮した[[ウォルター・ウェンジャー]]は『[[ジャンヌ・ダーク]]』の失敗に加え妻の不倫から発砲事件を起こすなど悲劇のプロデューサーとして転落したと世間で見られていたが、学生時代からのライフワークとして構想を温めていたクレオパトラの映画で復活を図ろうとしていた。ハリウッドきっての知性派といわれた[[ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ]]が監督と脚本を兼務。製作開始は1960年。撮影ははじめ[[ロンドン]]で、後に[[ローマ]]近郊の[[チネチッタ]]で撮影された。



製作にあたっては、100万ドルという破格の報酬で契約した主役の[[エリザベス・テイラー]]の度重なる病気、初期のロケ地選択の失敗によるセットの造り直しで撮影が遅れに遅れ、さらに当初監督だった[[ルーベン・マムーリアン]]をはじめとして、重要な配役が変更になる(当初シーザー役は[[ピーター・フィンチ]]、アントニー役は[[スティーヴン・ボイド]]で撮影開始)という不手際にも見舞われ、その度にシーンの撮り直しを強いられた。また共演のテイラーと[[リチャード・バートン]]の不倫も取りざたされ大スキャンダルとなった。

製作にあたっては、100万ドルという破格の報酬で契約した主役の[[エリザベス・テイラー]]の度重なる病気、初期のロケ地選択の失敗によるセットの造り直しで撮影が遅れに遅れ、さらに当初監督だった[[ルーベン・マムーリアン]]をはじめとして、重要な配役が変更になる(当初シーザー役は[[ピーター・フィンチ]]、アントニー役は[[スティーヴン・ボイド]]で撮影開始)という不手際にも見舞われ、その度にシーンの撮り直しを強いられた。また共演のテイラーと[[リチャード・バートン]]の不倫も取りざたされ大スキャンダルとなった。




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映画は製作開始から4年を経た1963年6月にようやくプレミア上映にこぎつけた。この際の上映時間は4時間5分だったが、一般公開版はさらに3時間14分に短縮された。そのため場面の繋がりが不明瞭な箇所や重要人物の死を描いた箇所が丸ごと欠落するなどといった、編集上の問題にも見舞われることになった。

映画は製作開始から4年を経た1963年6月にようやくプレミア上映にこぎつけた。この際の上映時間は4時間5分だったが、一般公開版はさらに3時間14分に短縮された。そのため場面の繋がりが不明瞭な箇所や重要人物の死を描いた箇所が丸ごと欠落するなどといった、編集上の問題にも見舞われることになった。



『クレオパトラ』は同年の北米興行収益でトップを記録する5780万ドルを、世界では1億1980万ドルを叩きだし、1963年の世界興行収入では1位となったものの、20世紀フォックスの取り分は製作費4400万ドルの半分強2600万ドルに過ぎず、事業的には社運を傾けるほどの大失敗作となった。マスコミや映画批評家らにはゴシップ先行の作品とそっぽを向かれる結果となり「映画史上空前の失敗作」などと皮肉られさえもした。20世紀フォックスは2年後に公開された『[[サウンド・オブ・ミュージック (映画)|サウンド・オブ・ミュージック]]』が当初の予想を遥かに上回る歴史的大ヒットとなったため奇跡的にこの財務危機を乗り切っている。

『クレオパトラ』は同年の北米興行収益でトップを記録する5780万ドルを、世界では1億1980万ドルを叩きだし、1963年の世界興行収入では1位となったものの、20世紀フォックスの取り分は製作費4400万ドルの半分強2600万ドルに過ぎず、[[ビバリーヒルズ]]に構えていた広大な撮影所を売却するなど事業的には社運を傾けるほどの大失敗作となった。マスコミや映画批評家らにはゴシップ先行の作品とそっぽを向かれる結果となり「映画史上空前の失敗作」などと皮肉られさえもした。20世紀フォックスは2年後に公開された『[[サウンド・オブ・ミュージック (映画)|サウンド・オブ・ミュージック]]』が当初の予想を遥かに上回る歴史的大ヒットとなったため奇跡的にこの財務危機を乗り切っている。



ビデオの普及によりクラシック作品に再度価値が見出された現在では、プレミア上映時の4時間5分のフィルムが発掘されており、DVDなどで鑑賞することができる。また当初の前後編2本立て6時間の構想の実現のため、失われた素材の捜索なども試みられている。製作公開時に悪評が定着したこともあって、今もって評価の分かれる作品であるが、豪奢な衣装やセット、銀幕を代表するスターに二十数万人の[[エキストラ]]、格調高い音楽や台詞回しなど、ハリウッドの黄金時代をしのぶにふさわしい超大作であることは間違いない。

ビデオの普及によりクラシック作品に再度価値が見出された現在では、プレミア上映時の4時間5分のフィルムが発掘されており、DVDなどで鑑賞することができる。また当初の前後編2本立て6時間の構想の実現のため、失われた素材の捜索なども試みられている。製作公開時に悪評が定着したこともあって、今もって評価の分かれる作品であるが、豪奢な衣装やセット、銀幕を代表するスターに二十数万人の[[エキストラ]]、格調高い音楽や台詞回しなど、ハリウッドの黄金時代をしのぶにふさわしい超大作であることは間違いない。



== ストーリー ==

== ストーリー ==

紀元前48年、長く続いたエジプト王朝は衰退の一途をたどり、ローマの権勢の前に滅びの一歩手前にあった。王朝の内乱は続き、まだ幼い[[プトレマイオス14世]]を[[ファラオ]]に擁立した近臣たちは、ファラオの姉である[[クレオパトラ7世|クレオパトラ]]を王宮から追放してしまう。その頃、ローマ帝国の執政[[ガイウス・ユリウス・カエサル|シーザー]]は政敵[[グナエウス・ポンペイウス|ポンペイウス]]を追ってエジプトの[[アレクサンドリア]]に入るも、そこでクレオパトラに出会い、彼女の知性と美貌の虜になってしまう。シーザーはクレオパトラに協力し、激しい戦の末に勝利を得る。そしてシーザーの後ろ盾を得たクレオパトラは、エジプトの女王に即位した。ローマへと戻ったシーザーは次第に強大な権力を高めていったが、まるで独裁者のようになっていくシーザーへの反発は大きかった。やがてクレオパトラもシーザーを追ってローマへ渡り、二人はつかの間の愛と喜びをわかちあう。だが、[[ブルータス]]らの手にかかったシーザーは暗殺され、クレオパトラは慌ててローマを逃れてエジプトに帰った。そして数年が過ぎ、ブルータスを討ったローマの軍人[[マルクス・アントニウス|アントニー]]は、エジプトに活路と助けを求めてクレオパトラと接触する。二人はたちまちのうちに激しい恋に落ちるが、アントニーは政略結婚のためにローマに戻らなければならなかった。クレオパトラへの恋着を捨てることができなかったアントニーは、とうとうローマも妻も捨てることを決意するのだが、そんな身勝手をローマ元老院が許すはずもなかった。

紀元前48年、長く続いたエジプト王朝は衰退の一途をたどり、ローマの権勢の前に滅びの一歩手前にあった。王朝の内乱は続き、まだ幼い[[プトレマイオス14世]]を[[ファラオ]]に擁立した近臣たちは、ファラオの姉である[[クレオパトラ7世|クレオパトラ]]を王宮から追放してしまう。その頃、ローマ帝国の執政[[ガイウス・ユリウス・カエサル|シーザー]]は政敵[[グナエウス・ポンペイウス|ポンペイウス]]を追ってエジプトの[[アレクサンドリア]]に入るも、そこでクレオパトラに出会い、彼女の知性と美貌の虜になってしまう。シーザーはクレオパトラに協力し、激しい戦の末に勝利を得る。そしてシーザーの後ろ盾を得たクレオパトラは、エジプトの女王に即位した。ローマへと戻ったシーザーは次第に強大な権力を高めていったが、まるで独裁者のようになっていくシーザーへの反発は大きかった。やがてクレオパトラもシーザーを追ってローマへ渡り、二人はつかの間の愛と喜びをわかちあう。だが、[[マルクス・ユニウス・ブルトゥス|ブルータス]]らの手にかかったシーザーは暗殺され、クレオパトラは慌ててローマを逃れてエジプトに帰った。そして数年が過ぎ、ブルータスを討ったローマの軍人[[マルクス・アントニウス|アントニー]]は、エジプトに活路と助けを求めてクレオパトラと接触する。二人はたちまちのうちに激しい恋に落ちるが、アントニーは政略結婚のためにローマに戻らなければならなかった。クレオパトラへの恋着を捨てることができなかったアントニーは、とうとうローマも妻も捨てることを決意するのだが、そんな身勝手をローマ元老院が許すはずもなかった。



== キャスト ==

== キャスト ==

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!rowspan=2|役名

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!rowspan=2|俳優

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! [[日本テレビ]]版

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| [[クレオパトラ7世|クレオパトラ]] || [[エリザベス・テイラー]] || [[小川眞由美]] || [[新橋耐子]]

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| [[マルクス・アントニウス|マーク・アントニー]] || [[リチャード・バートン]] || [[石田太郎]] || [[江守徹]]

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| [[ガイウス・ユリウス・カエサル|ジュリアス・シーザー]] || [[レックス・ハリソン]] || [[内田稔]] || [[北村和夫]]

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| [[アウグストゥス|オクタヴィアン(アウグストゥス)]] || [[ロディ・マクドウォール]] || ||[[富川澈夫]]

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| ラモス || {{仮リンク|マーティン・ベンソン (俳優)|label=マーティン・ベンソン|en|Martin Benson (actor)}} || || rowspan="2" |[[平林尚三]]

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| 巫女 || {{仮リンク|パメラ・ブラウン (女優)|label=パメラ・ブラウン|en|Pamela Brown (actress)}} || ||

| 巫女 || {{仮リンク|パメラ・ブラウン (女優)|label=パメラ・ブラウン|en|Pamela Brown (actress)}} || ||

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| クレオパトラの侍女 || [[フランチェスカ・アニス]] || ||

| クレオパトラの侍女 || [[フランチェスカ・アニス]] || ||

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| [[フラウィウス]] || {{仮リンク|ジョージ・コール (俳優)|label=ジョージ・コール|en|George Cole (actor)}} || {{N/A}} || {{N/A}}

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| ナレーション || {{N/A}} || || [[伊藤惣一]]

| {{仮リンク|シチリアのアポロドーロス|label=アポロドーロス|en|Apollodorus the Sicilian}} || {{仮リンク|チェザーレ・ダノーヴァ|en|Cesare Danova}} || [[樋浦勉]] ||

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| 不明<br />その他 || || ||[[水鳥鐵夫|水鳥鉄夫]] <br />[[三枝みち子]]<br />[[藤夏子]]<br />[[馬場はるみ]]<br />[[峰恵研]]<br />[[西村知道]]<br />[[仲木隆司]]

| [[マルクス・ウィプサニウス・アグリッパ|アグリッパ]] || {{仮リンク|アンドリュー・キア|en|Andrew Keir}} || [[筈見純]] ||

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| ラモス || {{仮リンク|マーティン・ベンソン (俳優)|label=マーティン・ベンソン|en|Martin Benson (actor)}} || rowspan="2" |[[平林尚三]] ||

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| colspan="2"|演出 || ||[[本田保則]]

| {{仮リンク|ポティナス|en|Pothinus}} || {{仮リンク|グレゴワール・アスラン|en|Grégoire Aslan}} ||

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| colspan="2"|翻訳 || ||[[宇津木道子]]

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| colspan="2"|効果 || ||新音響

| ゲルマニクス || {{仮リンク|ロバート・ステファンズ|en|Robert Stephens}} || [[青野武]] ||

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| colspan="2"|調整 || ||遠西勝三

| [[マルクス・トゥッリウス・キケロ|シセロ]] || [[マイケル・ホーダーン]] || [[藤本譲]] ||

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| colspan="2"|制作 || ||ニュージャパンフィルム

| [[ガイウス・カッシウス・ロンギヌス|カシウス]] || [[ジョン・ホイト]] || [[寺島幹夫]] ||

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| colspan="2"|解説 ||||[[水野晴郎]]

| [[プトレマイオス13世]] || {{仮リンク|リチャード・オサリヴァン|en|Richard O'Sullivan}} || [[土師孝也]] ||

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| colspan="2"|初回放送 || [[1972年]][[10月1日]]・[[10月8|8日]]||[[1975年]][[11月26日]][[12月3日]]<br />『[[水曜ロードショー (日本テレビ)|水曜ロードショー]]』

|}

|}

※日本テレビ版はDVD・BDに収録。(正味約181分)

*[[日本テレビ放送|日本テレビ]]版初放映[[1975年]][[11月26日]](前編)、[[12月3日]](後編)『[[水曜ロードショー (日本テレビ)|水曜ロードショー]]』※DVD/BD収録

*[[TBSテレビ|TBS]]版初放映日:[[1972年]][[10月1日]](前編)、[[10月8日]](後編)



== 作品の評価 ==

== 作品の評価 ==

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1963年度[[ゴールデングローブ賞]]で4部門、同年度[[アカデミー賞]]で9部門にノミネートされているが、受賞はアカデミー賞の技術関連4部門にとどまった。

1963年度[[ゴールデングローブ賞]]で4部門、同年度[[アカデミー賞]]で9部門にノミネートされているが、受賞はアカデミー賞の技術関連4部門にとどまった。



;{{仮リンク|第21回ゴールデングローブ賞|en|21st Golden Globe Awards}}

;[[第21回ゴールデングローブ賞]]

*[[ゴールデングローブ賞 作品賞 (ドラマ部門)|ドラマ部門 作品賞]]

*[[ゴールデングローブ賞 作品賞 (ドラマ部門)|ドラマ部門 作品賞]]

*[[ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)|ドラマ映画部門 主演男優賞]](レックス・ハリソン)

*[[ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)|ドラマ映画部門 主演男優賞]](レックス・ハリソン)

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== エピソード ==

== エピソード ==

{{出典の明記|date=2023年6月|section=1}}

*クレオパトラ役の選定に際し、国内の映画館主にエリザベス・テイラーか[[オードリー・ヘプバーン]]のどちらがふさわしいか、という調査が行なわれた。結果はテイラーの圧勝だった。ただし当初監督として起用されたマムーリアンは黒人女優の[[ドロシー・ダンドリッジ]]をクレオパトラ役に強く推していたといわれる。

*クレオパトラ役の選定に際し、国内の映画館主にエリザベス・テイラーか[[オードリー・ヘプバーン]]のどちらがふさわしいか、という調査が行なわれた。結果はテイラーの圧勝だった。ただし当初監督として起用されたマムーリアンは黒人女優の[[ドロシー・ダンドリッジ]]をクレオパトラ役に強く推していたといわれる。

*エリザベス・テイラーの出演料100万ドルは当時史上最高額として話題になったが、のちにテイラーはなぜ本作への出演を引き受けたのかという問いに対して、「だって100万ドルなんていう馬鹿げた出演料を提示してくるんですもの、それを蹴るような馬鹿げたことをする私ではないわ」と言い放っている。しかも撮影の遅延やテイラーの病気療養などに支払われた保険金、撮影に使用された[[:en:Todd-AO|70mmトッド-AO方式]]からの権利金の一部(同社を設立したのは飛行機事故で死亡したテイラーの前夫[[:en:Mike Todd|マイケル・トッド]])、再使用料など諸々の収入がこれに加算され、テイラーは本作で合計で700万ドル(現貨換算で約4700万ドル)近い巨額を稼いでいる。

*エリザベス・テイラーの出演料100万ドルは当時史上最高額として話題になったが、のちにテイラーはなぜ本作への出演を引き受けたのかという問いに対して、「だって100万ドルなんていう馬鹿げた出演料を提示してくるんですもの、それを蹴るような馬鹿げたことをする私ではないわ」と言い放っている。しかも撮影の遅延やテイラーの病気療養などに支払われた保険金、撮影に使用された[[:en:Todd-AO|70mmトッド-AO方式]]からの権利金の一部(同社を設立したのは飛行機事故で死亡したテイラーの前夫[[:en:Mike Todd|マイケル・トッド]])、再使用料など諸々の収入がこれに加算され、テイラーは本作で合計で700万ドル(現貨換算で約4700万ドル)近い巨額を稼いでいる。

*そのテイラーはロンドンでの撮影が始まって間もなく[[ジフテリア]]を発症、呼吸困難となり[[気管切開]]によってかろうじて[[気道確保]]するという深刻な状況にまで陥った。作品中クレオパトラが仰々しい首飾りをつけているシーンが多いのはその生々しい切開傷を隠すためのもので、後半のいくつかのシーンでは実際にその傷跡を見て取ることができる。

*そのテイラーはロンドンでの撮影が始まって間もなく[[ジフテリア]]を発症、呼吸困難となり[[気管切開]]によってかろうじて[[気道確保]]するという深刻な状況にまで陥った。作品中クレオパトラが仰々しい首飾りをつけているシーンが多いのはその生々しい切開傷を隠すためのもので、後半のいくつかのシーンでは実際にその傷跡を見て取ることができる。

*監督のマンキーウィッツは、本作を自身の代表作とするべくシナリオの製作に没頭し、書き上がった順から撮影を行った。これは撮影効率の点からは大きなマイナスであり、未使用のセットや小道具、待機したままの役者を多く生み出すなど膨大な予算超過の一因になった。それだけに撮影後に様々な横槍の入った公開版に対する失望は大きく、後にこの映画について「完全に歪められたもの。私が意図したもののパロディになってしまった」と語っている。

*監督のマンキーウィッツは、本作を自身の代表作とするべくシナリオの製作に没頭し、書き上がった順から撮影を行った。これは撮影効率の点からは大きなマイナスであり、未使用のセットや小道具、待機したままの役者を多く生み出すなど膨大な予算超過の一因になった。それだけに撮影後に様々な横槍の入った公開版に対する失望は大きく、後にこの映画について「完全に歪められたもの。私が意図したもののパロディになってしまった」と語っている。

*本作の失敗で、同社はビバリーヒルズの広大な撮影所の土地を売却することを余儀なくされている。

*オクタヴィアン役のロディ・マクドウォールはアカデミー賞助演男優賞の有力候補と目されたが、20世紀フォックスの事務的なミスが原因でノミネートを逃している。

*オクタヴィアン役のロディ・マクドウォールはアカデミー賞助演男優賞の有力候補と目されたが、20世紀フォックスの事務的なミスが原因でノミネートを逃している。

*本作は作品中(オープニングタイトル、エンドロール等)に[[著作権]]表記が無かったため、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄と見なされ、[[パブリックドメイン]]となった。このため、ウィキペディアコモンズには高解像度のスクリーンショットの多くが、ウィキクオートには台詞の抜粋が収録されている。<!--

*本作は作品中(オープニングタイトル、エンドロール等)に[[著作権]]表記が無かったため、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄と見なされ、[[パブリックドメイン]]となった。このため、ウィキペディアコモンズには高解像度のスクリーンショットの多くが、ウィキクオートには台詞の抜粋が収録されている。<!--


2023年11月24日 (金) 20:45時点における最新版

クレオパトラ
Cleopatra
監督 ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
脚本 ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
シドニー・バックマン英語版
ラナルド・マクドゥガル英語版
製作 ウォルター・ウェンジャー
出演者 エリザベス・テイラー
レックス・ハリソン
リチャード・バートン
音楽 アレックス・ノース
撮影 レオン・シャムロイ
編集 ドロシー・スペンサー英語版
製作会社 20世紀フォックス
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1963年6月12日
日本の旗 1963年11月26日
上映時間 244分
192分(劇場公開版)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $44,000,000[1]
興行収入 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $57,777,778[1]
世界の旗 $119,800,000
配給収入 日本の旗 6億829万円[2]
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概要[編集]


506020

L1960

100

4400320F2611520

41963645314

578011980196312044002600202

45DVD26調

[]


48退14

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
TBS 日本テレビ
クレオパトラ エリザベス・テイラー 新橋耐子 小川眞由美
マーク・アントニー リチャード・バートン 江守徹 石田太郎
ジュリアス・シーザー レックス・ハリソン 北村和夫 内田稔
オクタヴィアン(アウグストゥス) ロディ・マクドウォール 富川澈夫
カシウス ジョン・ホイト 寺島幹夫
アグリッパ アンドリュー・キア英語版 筈見純
ルフィオ英語版 マーティン・ランドー 仁内達之
ラモス マーティン・ベンソン英語版 平林尚三
ポティナス英語版 グレゴワール・アスラン英語版
ゲルマニクス ロバート・ステファンズ英語版 青野武
アポロドーロス英語版 チェザーレ・ダノーヴァ英語版 樋浦勉
ソシゲネス ヒューム・クローニン 大久保正信
プトレマイオス13世 リチャード・オサリヴァン英語版 土師孝也
シセロ マイケル・ホーダーン 藤本譲
ブルータス ケネス・ヘイグ英語版 山中貞則 木原正二郎
巫女 パメラ・ブラウン英語版
クレオパトラの侍女 フランチェスカ・アニス
フラウィウス ジョージ・コール英語版 N/A N/A
ナレーション N/A 伊藤惣一
不明
その他
水鳥鉄夫
三枝みち子
藤夏子
馬場はるみ
峰恵研
西村知道
仲木隆司
演出 本田保則
翻訳 宇津木道子
効果 新音響
調整 遠西勝三
制作 ニュージャパンフィルム
解説 水野晴郎
初回放送 1972年10月1日8日 1975年11月26日12月3日
水曜ロードショー

※日本テレビ版はDVD・BDに収録。(正味約181分)

作品の評価[編集]

映画批評家によるレビュー[編集]

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『クレオパトラ』は、贅沢で、金をかけ過ぎた、際限なく目を見張らせる叙事詩で、4時間もの上映時間で(どうしてできなかったの?)崩れ落ちてつまらなくなる。」であり、39件の評論のうち高評価は62%にあたる24件で、平均点は10点満点中5.90点となっている[3]

受賞歴[編集]

1963年度ゴールデングローブ賞で4部門、同年度アカデミー賞で9部門にノミネートされているが、受賞はアカデミー賞の技術関連4部門にとどまった。

第21回ゴールデングローブ賞
第36回アカデミー賞

エピソード[編集]


調

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使

20


[]

  1. ^ a b Cleopatra” (英語). Box Office Mojo. 2020年12月25日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)211頁。
  3. ^ Cleopatra (1963)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年12月25日閲覧。

外部リンク[編集]