「公証人」の版間の差分
2行目: | 2行目: | ||
'''公証人'''(こうしょうにん)とは、ある事実の存在、もしくは[[契約]]等の[[法律行為]]の適法性等について、[[公権力]]を根拠に[[証明]]・[[認証]]する者のことである。 |
'''公証人'''(こうしょうにん)とは、ある事実の存在、もしくは[[契約]]等の[[法律行為]]の適法性等について、[[公権力]]を根拠に[[証明]]・[[認証]]する者のことである。 |
||
日本語で「公証人」と訳される職種でも[[大陸法]]・[[英米法]]という各国の法体系の違い及び歴史的経緯による職権の拡大・縮小により、その職務内容・権限は大きく異なる。 |
日本語で「公証人」と訳される職種でも[[大陸法]]・[[英米法]]という各国の法体系の違い及び歴史的経緯による職権の拡大・縮小により、その職務内容・権限は大きく異なる。 |
||
[[日本]]においては[[公証人法]]に基づき、[[法務大臣]]が任命する[[公務員]]である。ただし、[[法務省]]など政府からの給与や補助金は受けず、公定された手数料を依頼人から受け、収入とする。全国各地の[[公証役場]]で[[公正証書]]の作成、[[定款]]や私署証書(私文書)の[[認証]]、事実実験、[[確定日付]]の付与などを行う。2018年時点、日本全国で公証人は約500名おり、公証役場数は約300カ所である<ref>[http://www.koshonin.gr.jp/system/s02/s02_02 公証人とは]日本公証人連合会(2018年10月25日閲覧)。</ref>。 |
[[日本]]においては[[公証人法]]に基づき、[[法務大臣]]が任命する[[公務員]]である。ただし、[[法務省]]など政府からの給与や補助金は受けず、公定された手数料を依頼人から受け、収入とする。全国各地の[[公証役場]]で[[公正証書]]の作成、[[定款]]や私署証書(私文書)の[[認証]]、事実実験、[[確定日付]]の付与などを行う。2018年時点、日本全国で公証人は約500名おり、公証役場数は約300カ所である<ref>[http://www.koshonin.gr.jp/system/s02/s02_02 公証人とは] 日本公証人連合会(2018年10月25日閲覧)。</ref>。 |
||
== 公証人の歴史 == |
== 公証人の歴史 == |
||
17行目: | 17行目: | ||
ドイツやイタリア以外のヨーロッパ諸国でも社会に根付いた存在となった。19世紀の[[フランス]]を舞台とした[[アレクサンドル・デュマ・ペール]]の小説『[[モンテ・クリスト伯]]』にも公証人が何度も登場する。 |
ドイツやイタリア以外のヨーロッパ諸国でも社会に根付いた存在となった。19世紀の[[フランス]]を舞台とした[[アレクサンドル・デュマ・ペール]]の小説『[[モンテ・クリスト伯]]』にも公証人が何度も登場する。 |
||
現代において、多くの国では、公証人は[[法曹]]あるいはそれに準ずる資格の保持者であることが多い。一方、[[アメリカ合衆国]]ではわずかな講習で容易にその資格が取得でき、[[学校]]や[[郵便局]]<ref>この場合、日本における[[郵便認証司]]に近い。</ref>など様々な場に総計400万人もの公証人がいるものの、その権限は概ね署名の認証に限られている。このように、国によって公証人の権限はかなり異なる。 |
現代において、多くの国では、公証人は[[法曹]]あるいはそれに準ずる資格の保持者であることが多い。一方、[[アメリカ合衆国]]ではわずかな講習で容易にその資格が取得でき、[[学校]]や[[郵便局]]<ref>この場合、日本における[[郵便認証司]]に近い。</ref> など様々な場に総計400万人もの公証人がいるものの、その権限は概ね署名の認証に限られている。このように、国によって公証人の権限はかなり異なる。 |
||
== 日本の公証人 == |
== 日本の公証人 == |
||
56行目: | 56行目: | ||
[[2002年]]度から、法曹資格を有する[[裁判官]]、[[検察官]]、[[弁護士]]は年3回、多年法務に携わり、これに準ずる学識経験者で、「検察官・公証人特別任用等審査会」が定める基準に該当する者は年1回の公募により、任命されることになった。 |
[[2002年]]度から、法曹資格を有する[[裁判官]]、[[検察官]]、[[弁護士]]は年3回、多年法務に携わり、これに準ずる学識経験者で、「検察官・公証人特別任用等審査会」が定める基準に該当する者は年1回の公募により、任命されることになった。 |
||
また、法務局若しくは地方法務局またはその支局の管内に職務を行う公証人が存在しない場合、または職務を遂行することができない場合に、法務大臣は当該法務局若しくは地方法務局またはその支局に勤務する法務事務官に公証人の職務を代行させることができるとされ、「公証人法第8条の規定による法務事務官をして公証人の職務を行わせる法務局若しくは地方法務局又はその支局」(昭和33年法務省告示第338号)で告示されている[[長野]]地方法務局[[飯山]]支局、同[[大町]]支局、[[新潟]]地方法務局[[佐渡]]支局、[[松江]]地方法務局[[西郷]]支局、[[長崎]]地方法務局[[壱岐]]支局、同[[対馬]]支局、[[那覇]]地方法務局[[宮古島]]支局、同[[石垣]]支局、[[仙台]]法務局[[気仙沼]]支局、[[釧路]]地方法務局[[根室]]支局の10箇所で公証業務がなされている(公証人法8条)。 |
また、法務局若しくは地方法務局またはその支局の管内に職務を行う公証人が存在しない場合、または職務を遂行することができない場合に、法務大臣は当該法務局若しくは地方法務局またはその支局に勤務する法務事務官に公証人の職務を代行させることができるとされ、「公証人法第8条の規定による法務事務官をして公証人の職務を行わせる法務局若しくは地方法務局又はその支局」(昭和33年法務省告示第338号)で告示されている[[長野]]地方法務局[[飯山]]支局、同[[大町]]支局、[[新潟]]地方法務局[[佐渡]]支局、[[松江]]地方法務局[[西郷]]支局、[[長崎]]地方法務局[[壱岐]]支局、同[[対馬]]支局、[[那覇]]地方法務局[[宮古島]]支局、同[[石垣]]支局、[[仙台]]法務局[[気仙沼市|気仙沼]]支局、[[釧路]]地方法務局[[根室]]支局の10箇所で公証業務がなされている(公証人法8条)。 |
||
=== 指定公証人 === |
=== 指定公証人 === |
||
81行目: | 81行目: | ||
=== 天下りと公証人 === |
=== 天下りと公証人 === |
||
検事正の天下りとして、[[法務省大臣官房]]人事課により、公証役場への配置原案が作成されている。格上とされる[[横浜地方検察庁]]検事正や、[[千葉地方検察庁]]検事正の経験者などは、優先的に東京[[都心]]の公証役場への天下りが用意されている<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/national/20190523-OYT1T50099/ 公証人への再就職あっせん…法務省・検察庁 地検幹部らに]読売新聞</ref>。 |
検事正の天下りとして、[[法務省大臣官房]]人事課により、公証役場への配置原案が作成されている。格上とされる[[横浜地方検察庁]]検事正や、[[千葉地方検察庁]]検事正の経験者などは、優先的に東京[[都心]]の公証役場への天下りが用意されている<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/national/20190523-OYT1T50099/ 公証人への再就職あっせん…法務省・検察庁 地検幹部らに] 読売新聞</ref>。 |
||
==アメリカの公証人== |
==アメリカの公証人== |
||
116行目: | 116行目: | ||
{{Normdaten}} |
{{Normdaten}} |
||
⚫ | |||
⚫ | |||
{{DEFAULTSORT:こうしようにん}} |
{{DEFAULTSORT:こうしようにん}} |
||
[[Category:公証人|*]] |
[[Category:公証人|*]] |
||
122行目: | 125行目: | ||
[[Category:日本の公務員]] |
[[Category:日本の公務員]] |
||
[[Category:日本の国家資格 (法律・会計)]] |
[[Category:日本の国家資格 (法律・会計)]] |
||
⚫ | |||
⚫ |