「渋谷温泉施設爆発事故」の版間の差分
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{{最高裁判例 |
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|事件名= 業務上過失致死傷被告事件 |
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|事件番号= 平成26(あ)1105 |
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|裁判年月日=2010年( 平成28年)5月25日 |
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|判例集=刑集第70巻5号117頁 |
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|裁判要旨= |
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ガス抜き配管内で結露水が滞留してメタンガスが漏出したことによって生じた温泉施設の爆発事故について、その建設工事を請け負った建設会社における温泉一次処理施設の設計担当者として、職掌上、同施設の保守管理に関わる設計上の留意事項を施工部門に対して伝達すべき立場にあり、自ら、ガス抜き配管に取り付けられた水抜きバルブの開閉状態について指示を変更して結露水の水抜き作業という新たな管理事項を生じさせたこと、そして、同作業の意義や必要性を施工部門に対して的確かつ容易に伝達することができ、それによって爆発の危険の発生を回避することができたことなどの本件事実関係の下では、被告人には、同作業に係る情報を、建設会社の施工担当者を通じ、あるいは自ら直接、本件温泉施設の発注会社の担当者に対して確実に説明し、メタンガスの爆発事故の発生を防止すべき業務上の注意義務があった。 |
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|法廷名=第一[[小法廷]] |
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|裁判長=[[大谷直人]] |
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|陪席裁判官=[[櫻井龍子]]、[[山浦善樹]]、[[池上政幸]]、[[小池裕]] |
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|多数意見=全員一致 |
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|意見= |
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|反対意見= |
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|参照法条= 刑法(平成25年法律第86号による改正前のもの)211条1項前段 |
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{{出典の明記|date=2016年5月|section=1}} |
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[[2008年]](平成20年)[[12月12日]]、[[警視庁]]は、設計・施工を行った[[大成建設]]の空調設計設計担当者、および施設運営を行っていたユニマット不動産の取締役と社員の計3人を[[業務上過失致死傷]]容疑で[[書類送検]]した。 |
[[2008年]](平成20年)[[12月12日]]、[[警視庁]]は、設計・施工を行った[[大成建設]]の空調設計設計担当者、および施設運営を行っていたユニマット不動産の取締役と社員の計3人を[[業務上過失致死傷]]容疑で[[書類送検]]した。 |
2017年8月20日 (日) 10:02時点における版
日付 | 2007年(平成19年)6月19日 |
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時間 | 14時18分頃(JST) |
場所 | 東京都渋谷区松濤一丁目 |
死者・負傷者 | |
3人死亡 | |
4人以上負傷 |
現場の状況
事故が起きた施設は前年の2006年︵平成18年︶1月に開業したばかりで、JR東日本・東急・東京メトロ渋谷駅から直線で600メートル、東急百貨店本店のほぼ真裏の場所であり、温泉施設のある本館はぎりぎり商業地区にあるが、爆発が起こった別棟は松濤地区の住宅街の一角にある。シエスパの建設については当初地元住民に反対され建設を強行した経緯がある[1]。 爆発の起きた別棟には従業員の休憩所やロッカールームがあり、地下一階には深さ1200メートルのボーリング井戸から温泉を汲み上げるポンプが設置されていた。事故当時、女性従業員5人が休憩室に在室中に爆発が起きたと考えられた[2]。 別棟が住宅街や渋谷の商業施設に近い場所にあったため爆発の影響は広範囲に及び、さらに事故が平日の昼間に発生したため数多くの通行人が現場に駆けつけ、携帯電話のカメラで撮影する者、写真撮影をする者、応急的な救助活動をする者など現場はパニックとなった。爆発現場の住宅街に設置されていた防犯カメラがたまたま施設が爆発するまさにその瞬間をとらえた[3]。事故原因
この施設は温泉をポンプで汲み上げた後にボイラーで加熱して使用していた。事故発生当初、ボイラーが爆発したと考えられたが、ボイラーの爆発にしては規模が大きすぎること、爆発した別棟にはボイラーが設置されていなかったことから、温泉を汲み上げた際に一緒に噴出するメタンガスを主成分とした天然ガスが何らかの原因で施設内に溜まり、何かの火が引火して大規模な爆発が起きたのではないかと、警視庁と東京消防庁は判断した。総務省消防庁からも職員4名を派遣するなどして調査を実施した。 現場の渋谷区は﹁南関東ガス田﹂の中にあたり、1500メートル程掘れば天然ガスが出る可能性のある地域であった[4]。 施設には温泉から天然ガスを分離する装置が設置されていたが、天然ガスを屋外に排出するためのU字状の排気管が結露した水で塞がれたことと換気扇の稼働に問題があり、天然ガスが別棟内部に逆流・蓄積された。このガスに、温泉の汲み上げを自動調整する制御盤のスイッチが動作した際に出た火花が触れたことによって爆発したと結論付けられた。さらにガス検出器が設置されていなかったことも、爆発に至った大きな要因とされた。救助活動
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被害規模
爆発により温泉施設付属一棟が全壊、全壊建物内に設置されていた従業員休憩室で休憩中の女性従業員3名が爆風による打撲などで死亡し、他2名が重傷︵うち1名が脊髄損傷[5]︶、周辺住民が数名負傷、付近の住宅で爆風による窓ガラスの破損などが広範囲に発生した。爆発した瞬間は付近の防犯カメラで撮影されており、爆発で土煙を上げて建物が一瞬で崩壊していく模様がテレビで放送された。 また、爆発後の現場報道から、建物が鉄骨骨組のみを残して全て崩壊している写真が報道された。爆発現場が狭隘で建物が全壊状態で瓦礫が散乱した状況と相俟って、狭い裏通りに面していたため被害者の救出活動は困難を極めた。 最終的には小型重機を投入し爆発現場の瓦礫を撤去し、取り残された者が居ないか確認をした。事故対策
6月20日、東京都環境局は都内の全ての温泉施設に電話で注意喚起を始め、源泉汲み上げ機械のある部屋の窓を開けることなどを促した[6]。7月10日、ユニマットは、別棟を含む全ての建物を取り壊して、今後の営業再開を見合わせることを渋谷区役所等に明らかにした。 また、この事故を受け、同様の事故を防止する目的で温泉法の一部が改正され、温泉の採取に許可制度を導入するなどされた[7]。捜査とその後の経過
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刑事裁判
最高裁判所判例 | |
---|---|
事件名 | 業務上過失致死傷被告事件 |
事件番号 | 平成26(あ)1105 |
2010年( 平成28年)5月25日 | |
判例集 | 刑集第70巻5号117頁 |
裁判要旨 | |
ガス抜き配管内で結露水が滞留してメタンガスが漏出したことによって生じた温泉施設の爆発事故について、その建設工事を請け負った建設会社における温泉一次処理施設の設計担当者として、職掌上、同施設の保守管理に関わる設計上の留意事項を施工部門に対して伝達すべき立場にあり、自ら、ガス抜き配管に取り付けられた水抜きバルブの開閉状態について指示を変更して結露水の水抜き作業という新たな管理事項を生じさせたこと、そして、同作業の意義や必要性を施工部門に対して的確かつ容易に伝達することができ、それによって爆発の危険の発生を回避することができたことなどの本件事実関係の下では、被告人には、同作業に係る情報を、建設会社の施工担当者を通じ、あるいは自ら直接、本件温泉施設の発注会社の担当者に対して確実に説明し、メタンガスの爆発事故の発生を防止すべき業務上の注意義務があった。 | |
第一小法廷 | |
裁判長 | 大谷直人 |
陪席裁判官 | 櫻井龍子、山浦善樹、池上政幸、小池裕 |
意見 | |
多数意見 | 全員一致 |
参照法条 | |
刑法(平成25年法律第86号による改正前のもの)211条1項前段 |
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民事裁判
2010年︵平成22年︶6月16日、シエスパの運営会社であるユニマット不動産は、施設の設計・施工に携わった大成建設を含め4社に対し、105億円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こした。施設管理における危険性を具体的に認識していながら、施設引き渡しの際、その説明を怠っていたことを提訴の理由に挙げている[11]。特記事項
- ユニマットグループが経営する、もうひとつの温泉である六本木天然温泉zaboo(ザブー)については、2006年(平成18年)3月の開業当初よりガス検知器が設置され、ガス濃度の点検も24時間常駐体制でなされていたことが明らかになっており、松濤温泉シエスパとの管理体制の差が指摘された。その後zabooは、高すぎる料金設定に加え松濤温泉シエスパの事故が追い討ちとなって、2008年(平成20年)1月10日に閉館された。これをもってユニマットは温泉経営から完全に撤退した。
出典
関連項目
- 九十九里いわし博物館 - 本事故と同様、南関東ガス田のガス爆発事故で死傷者を出し、休館。
- 南関東ガス田
外部リンク
- asahi.com 渋谷・温泉施設爆発 - 朝日新聞 ニュース特集