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第160回天皇賞(だい160かいてんのうしょう・あき)、正式名称天皇陛下御即位慶祝 第160回天皇賞(秋)は、2019年10月27日に東京競馬場で開催された競馬の競走である。アーモンドアイが優勝した。
天皇陛下御即位慶祝競走
レース施行前の状況
主な競走の結果
図中の太字強調は本競走に出走する馬である。
安田記念
安田記念は、インディチャンプが最後の直線4、5番手から外に持ち出して抜け出し、安田記念のレースレコードでGI初制覇を成し遂げた[6]。2着のアエロリットは前走のヴィクトリアマイルから中2週の間隔での出走、直線で逃げ粘るものの、2018年の安田記念と同じ2着となった[7]。騎乗した戸崎圭太は﹁落ち着いていたし、いい雰囲気でした。レースもいい形で運べたし、リズムもよかった。﹂と振り返っている[7]。3着のアーモンドアイは、スタート直後に大外枠のロジクライが内に大きく切り込んだことにより、後方に閉じ込められる不利があったが、最後の直線で出走メンバー中最速の上がり3ハロン32秒4の末脚を見せた。騎乗したルメールは、﹁スタートで問題があった。あれで5馬身くらい︵ロスした︶。GIのマイルで…。最後まで頑張っていたんですが﹂と話した[8]。7着のケイアイノーテックは、12番手から上がり3位の32秒7の末脚を見せた。16着のダノンプレミアムは、同じくロジクライによる不利を受け、後方からレースを進めることとなったが、ダッシュがつかず、最後は無理せずに流して入線した[9]。入線後騎乗した川田が、馬場内で下馬し、馬運車で運ばれ、診療所で検査を受けたが異常は認められなかった[10]。
宝塚記念
神戸新聞杯
オールカマー
オールカマーは、スティッフェリオが勝利した。レース序盤にハナを奪い、そのまま逃げ切り[22]、2017年の東京優駿︵日本ダービー︶、2018年の天皇賞︵秋︶でGIを2勝しているレイデオロを4着に退け[23]、重賞3勝目を記録した。騎乗した丸山元気は、﹁馬の雰囲気も4コーナーの反応も良かったです。リズム良く運ぶことが出来ました。強いメンバーに入って、どこまで走れるかと思っていましたが、よく走ってくれました。馬場もいいし、作戦も上手くいきました。小回りコースで結果を残してきた馬で、広いコースでも結果を出したいです。重賞を勝たせてもらってきた馬で、GIでも結果を残したいです﹂と振り返った[24]。海外G1を制した後の休み明け復帰初戦であったウインブライトは9着で[25]、騎乗した松岡正海は﹁距離が長いです。位置取りは一番良いぐらいでしたし、ペースも問題ありませんでしたが、距離が敗因です﹂と回顧した[24]。
京都大賞典
京都大賞典では、ドレッドノータスが勝利した。11番人気の評価で、3連単188万円の高配当を演出した[27]。2015年の京都2歳ステークス以来の4年ぶりの重賞2勝目。騎乗した坂井は、﹁開幕週だったので、ハナの後ろのイメージ通りのポジションを取れて、リズムよく運べました。直線もしっかり伸びてくれて、ダンビュライトが粘っていたけど、かわしてくれると思っていました。指示通りに乗れて、師匠の矢作先生の馬で勝てたのが何よりうれしいです。前走に比べて体が絞れて状態は良かったと思います﹂と振り返った[28]。
毎日王冠
2019年10月6日 第70回毎日王冠(GII)[29]
着順
|
馬名
|
性齢
|
騎手
|
斤量
|
タイム
|
着差
|
人気
|
1
|
ダノンキングリー
|
牡3
|
戸崎圭太
|
54
|
1:44.4
|
|
1
|
2
|
アエロリット
|
牝5
|
津村明秀
|
55
|
1:44.6
|
1馬身1/4
|
0.2
|
2
|
3
|
インディチャンプ
|
牡4
|
福永祐一
|
58
|
1:44.8
|
1馬身1/4
|
0.4
|
3
|
|
5
|
ランフォザローゼス
|
牡3
|
北村宏司
|
54
|
1:45.0
|
|
0.6
|
8
|
|
9
|
ケイアイノーテック
|
牡4
|
幸英明
|
57
|
1:45.8
|
|
1.2
|
7
|
毎日王冠は、東京優駿2着の3歳馬ダノンキングリーが制した。
2着は逃げたが直線で捕らえられたアエロリット。騎乗した津村明秀は﹁ペースはちょうど良く、最後にインディチャンプを差し返してくれて、力のあるところは見せられました。3コーナーで自分から力むところがあったので、そこが影響したのかもしれません﹂と振り返った[30]。
施行前の状況
出走馬
GI優勝馬
重賞優勝馬
-
7番人気 ユーキャンスマイル
-
10番人気 カデナ(2017年天皇賞(秋)
-
-
13番人気 ランフォザローゼス(
第86回東京優駿(日本ダービー)
-
-
16番人気
ゴーフォザサミット(第85回東京優駿(日本ダービー)
天候
馬場状態
天皇賞2日前の10月25日の大雨により東京競馬場でも60.5ミリメートルの雨量を記録[49]。25日の正午現在では、含水率が芝コースのゴール前22.5パーセント、4コーナーで21.4パーセントで不良馬場が記録された[49]。
天皇賞前日の26日は晴天に恵まれ、含水率は芝コースのゴール前18.0パーセント、4コーナーで17.7パーセントとなり[50]、天皇賞までに良馬場に回復した[51]。
芝コースはこの週から内ラチから3メートルに仮柵を設けるBコースを使用した[47]。
出走馬と枠順
2019年10月27日 第4回東京競馬第9日目 第11競走[52]
天気[52]:晴、馬場状態[52]:良、発走時刻[52]:15時40分
レース結果
レース展開
アエロリットが良いスタートでハナに立ち、スティッフェリオやサートゥルナーリアがそれに倣い先頭集団を形成。その後ろのダノンプレミアムとアーモンドアイが並んだ。後方にスワーヴリチャードやワグネリアンが付けて、そのさらに後方には、ユーキャンスマイルやマカヒキ、最後尾はカデナが待機する隊列となった。
1000メートル通過のペースは59.0秒とアエロリットがマイペースの逃げに持ち込み、第4コーナーではまだ後続に1馬身離していた。これをめがけて2、3番手にいたサートゥルナーリアが手綱を持ったまま、アエロリットの外側を進出、それにつれてその外からダノンプレミアムが追い出し、先頭で3頭が並ぶ形となった。その後ろに位置していたアーモンドアイが3頭を見ながら、内を走るアエロリットと内ラチの間をすり抜け先頭に躍り出た。追い抜いた残り200メートル地点からは2番手集団を離して、ゴール板では2着馬に3馬身離す独走状態で入線した。
2番手集団は最も外のダノンプレミアムと最も内のアエロリットが横一列で入線したが、クビ差ダノンプレミアムが勝って2着、アエロリットが3着、サートゥルナーリアは直線で伸びを欠き6着に後退した。
後続集団では、ユーキャンスマイルとワグネリアンが追い込んで来たが前の集団には届かず、それぞれ4着、5着となった。
レース着順
以下の情報は、netkeiba.com[52]に基づく。
着順
|
枠番
|
馬番
|
競走馬名
|
タイム
|
着差
|
上がり3ハロン
|
騎手
|
斤量
|
人気
|
1着
|
1
|
2
|
アーモンドアイ
|
1:56.2
|
|
33.8
|
C.ルメール
|
56
|
1
|
2着
|
5
|
9
|
ダノンプレミアム
|
1:56.7
|
3馬身
|
34.5
|
川田将雅
|
58
|
3
|
3着
|
3
|
5
|
アエロリット
|
1:56.7
|
クビ
|
34.8
|
戸崎圭太
|
56
|
6
|
4着
|
3
|
6
|
ユーキャンスマイル
|
1:56.8
|
クビ
|
33.7
|
岩田康誠
|
58
|
7
|
5着
|
7
|
14
|
ワグネリアン
|
1:56.8
|
クビ
|
34.0
|
福永祐一
|
58
|
4
|
6着
|
5
|
10
|
サートゥルナーリア
|
1:57.1
|
1馬身1/2
|
34.9
|
C.スミヨン
|
56
|
2
|
7着
|
2
|
4
|
スワーヴリチャード
|
1:57.1
|
ハナ
|
34.3
|
横山典弘
|
58
|
5
|
8着
|
8
|
15
|
ウインブライト
|
1:57.3
|
1馬身1/4
|
34.8
|
松岡正海
|
58
|
12
|
9着
|
2
|
3
|
ケイアイノーテック
|
1:57.5
|
1馬身
|
34.2
|
幸英明
|
58
|
14
|
10着
|
4
|
8
|
マカヒキ
|
1:57.6
|
3/4馬身
|
34.4
|
武豊
|
58
|
8
|
11着
|
6
|
11
|
ゴーフォザサミット
|
1:57.7
|
3/4馬身
|
34.7
|
北村宏司
|
58
|
16
|
12着
|
4
|
7
|
スティッフェリオ
|
1:57.9
|
1馬身1/4
|
35.9
|
丸山元気
|
58
|
11
|
13着
|
1
|
1
|
カデナ
|
1:58.4
|
3馬身
|
34.7
|
藤岡佑介
|
58
|
10
|
14着
|
8
|
16
|
アルアイン
|
1:58.7
|
2馬身
|
36.1
|
北村友一
|
58
|
9
|
15着
|
7
|
13
|
ランフォザローゼス
|
1:59.1
|
2馬身1/2
|
36.2
|
M.デムーロ
|
58
|
13
|
16着
|
6
|
12
|
ドレッドノータス
|
2:00.1
|
6馬身
|
37.5
|
坂井瑠星
|
58
|
15
|
データ
ハロンタイム
|
12.8 - 11.4 - 11.5 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 11.3 - 11.1 - 11.3 - 11.9
|
1000m通過タイム
|
59.0秒(アエロリット)
|
優勝馬上がり3ハロン
|
33.8秒
|
上がり最速
|
33.7秒(ユーキャンスマイル)
|
払戻
単勝
|
2
|
160円
|
複勝
|
2
|
110円
|
9
|
260円
|
5
|
270円
|
枠連
|
1-5
|
220円
|
馬連
|
2-9
|
920円
|
ワイド
|
2-9
|
400円
|
2-5
|
400円
|
5-9
|
1740円
|
馬単
|
2-9
|
1170円
|
3連複
|
2 - 5 - 9
|
3210円
|
3連単
|
2 - 9 - 5
|
8860円
|
記録
エピソード
アーモンドアイ
●騎乗したクリストフ・ルメールは、レースについて﹁アエロリットの後ろでいいポジションを取れましたし、サートゥルナーリアをマークして行ったんですが、早めに止まってしまったので内にスペースがあったしいい反応をしてくれました﹂[56]﹁すごい脚で伸びてくれた。結構早めに勝てると思いました。多分、きょうの彼女はトップコンディションではなかった。でも心臓と能力がすごいから楽勝でした﹂と絶賛した[59]。騎手としての天皇賞3連勝については、﹁平成最後の天皇賞を勝てて、令和最初も勝つことができた。すごくうれしい﹂と語った[59]。
●国枝栄調教師は、最後の直線の伸びについて﹁やっぱりビックリですよね。メンバーがメンバーなので、しのぎを削ってという感じを思っていたんですけど、一気に抜けましたね﹂﹁なんか…おっかないというか…ねぇ。すごいなと。本当にビックリですね﹂と振り返った[60]。
●馬主・シルクレーシングの米本昌史代表は﹁令和最初の天皇賞で、こうやって表彰台に立たせていただいた。アーモンドアイに感謝しています。天皇盾は何とも言えない重みがありました﹂﹁直線に向くまでの立ち回りが完璧でした。︵後続を︶突き放した時は鳥肌が立ちました。ひと夏越して精神的にも成長して、充実しましたね﹂と回顧した[58]。
●レース後、今までと同じく脚元がふらつく場面が見られたため、芝コースでの口取り記念撮影はなく、検量室前で水をかけられ、厩舎へと引き揚げた。優勝馬が姿を見せないため、競馬場内がざわついたが、国枝は﹁止めると少しフラッとしたので大事を取っただけ﹂と説明した[55]。
ダノンプレミアム
●騎乗した川田将雅は、レースについて﹁スムーズに自分の競馬はできましたが、やはりアーモンドアイは強いですね。︵ダノン︶プレミアムなら、と思って挑みましたが、やはり強かった﹂と振り返った[61]。
●中内田充正調教師は﹁勝った馬が強いというか、化け物﹂とアーモンドアイを称えた[62]。
アエロリット
●騎乗した戸崎圭太は、レースについて﹁状態はさらによくなっていた。自分の形で競馬ができたし、最後も2着に入りそうな感じがあった。距離がうんぬんと言うより、本当にタフな馬﹂と評価した[63]。
●菊沢隆徳調教師は﹁2着もあるかなと思った。よく頑張った﹂とした[64]。
ユーキャンスマイル
●騎乗した岩田康誠は﹁力のある馬。スムーズに自分の競馬ができ、よく伸びてくれた﹂と評価した[65]。
ワグネリアン
●騎乗した福永祐一は﹁もう1列前で競馬がしたかった。リラックスして走り、脚はたまっていた。最後はよく追い詰めただけに悔しい﹂と回顧した[66]。
サートゥルナーリア
●騎乗したクリストフ・スミヨンは、敗因として精神面を挙げ﹁ゲートに入る前からカッカしていた。レースでも力みがあった。残り100メートルで外に逃げてしまったし、ラストはアップアップだった﹂[67]﹁地下馬道を通っているうちにだんだんとエキサイトしてきて、レース直前には、わずか1分のあいだに何度も何度も頭を上げ下げするまでになった﹂[68]と述べた。
●角居勝彦は﹁乗り方はジョッキーに任せていましたが、積極的に前に行く競馬になりました。現時点としてはいい状態だったと思うのですが…﹂とした[67]。
●本馬を管理する滝川清史調教助手がベストターンドアウト賞を受賞。﹁今回の受賞は非常に光栄です。誰でも取扱いができる馬になるよう躾けるのが厩舎の方針であり、それが今回の受賞につながったと思います。ありがとうございました﹂とコメントした[69]。
スワーヴリチャード
●騎乗した横山典弘は﹁休み明けだったけど、馬は頑張ってくれた﹂とコメントした[70]。
ウインブライト
●騎乗した松岡正海は﹁競馬上手な面を生かせた。調子が戻ればもっと上位にこれる﹂と分析した[70]。
ケイアイノーテック
●騎乗した幸英明は﹁最後はしっかり脚を使ってくれたし、こういう競馬がいいのかな﹂と分析した[70]。
マカヒキ
●騎乗した武豊は﹁この馬にとっては時計が速すぎた。脚をためる時間がなかった﹂とした[70]。
アルアイン
●騎乗した北村友一は﹁強い馬相手にこの時計で外枠は厳しい﹂とした[70]。
評価
競馬評論家の安藤勝己は自身のTwitterにて、アーモンドアイについて「改めてとんでもない馬。スタート後は(サートゥルナーリアの)スミヨンに強引に入られてヒヤッとしたけど、そんな心配もどこ吹く風」「先行馬ペースで前付けした2頭が圏内に残ったけど、その手応えがまるで違う。1分56秒2で走ってやからね」とし、ダノンプレミアムについては「相手が悪かったとしか言いようがない」と評価した[71]。
テレビ・ラジオ中継
本レースのテレビ・ラジオ放送の実況担当者は、以下の通り。
脚注
注釈
- ^ 1966年エイトクラウン、2005年スイープトウショウ、2016年マリアライト
- ^ 比較のために、牝馬に4ポンド追加している。表中のアーモンドアイ・アエロリットが該当
出典