コンテンツにスキップ

「阪急8200系電車」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
東芝レビュー1995年6月号の出典を追加
編集の要約なし
37行目: 37行目:

| 備考 = 竣工時のデータ

| 備考 = 竣工時のデータ

}}

}}

'''阪急8200系電車'''(はんきゅう8200けいでんしゃ)は、[[1995年]]に導入された[[阪急電鉄]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。

'''阪急8200系電車'''(はんきゅう8200けいでんしゃ)は、[[1995年]](平成7年)に導入された[[阪急電鉄]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。




[[]]22[[|]][[ ()|]]8200F

本記事では、編成表記を[[大阪梅田駅 (阪急)|大阪梅田]]方先頭車の車両番号で代表する(例:8200F)。



== 概要 ==

== 概要 ==


1980[[1995]][[]]8200-82508201-8251224<ref name="2012_p215">215</ref>

[[|]][[]][[8000|8000]]22[[]]<ref name="2012_p215">215</ref>


座席収納車は既に[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[国鉄205系電車|205系サハ204形6扉車]]などで採用実績があったが、[[近畿地方|関西]]の[[鉄道事業者]]としては阪急が初採用となった。

座席収納車は既に[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[国鉄205系電車|205系サハ204形6扉車]]などで採用実績があったが、[[近畿地方|関西]]の[[鉄道事業者]]としては阪急が初採用となった。



== 車 ==

== 車両概説 ==

=== 構造 ===

=== 車体 ===

[[ファイル:8200系そくめん.JPG|thumb|240px|right|通勤特急運用に就く8200系(改造前)の車体側面]]

[[ファイル:8200系そくめん.JPG|thumb|240px|right|通勤特急運用に就く8200系(改造前)の車体側面]]

[[阪急8000系電車|8000系]]に準じた構造・寸法の押し出し型材の溶接組み立てによるアルミ合金製車体を備える。

[[阪急8000系電車|8000系]]に準じた構造・寸法の押し出し型材の溶接組み立てによるアルミ合金製車体を備える。

58行目: 58行目:



[[|]]LED<ref group="">LED寿[[|]][[9300|9300]] (9300F - 9302F) [[9000|9000]]93009303F[[7300|7300]] (7320F) [[7000|7000]]7007F7008F[[]]LED</ref>2<ref name="2012_p215" />

[[|]]LED<ref group="">LED寿[[|]][[9300|9300]] (9300F - 9302F) [[9000|9000]]93009303F[[7300|7300]] (7320F) [[7000|7000]]7007F7008F[[]]LED</ref>2<ref name="2012_p215" />

大阪梅田方は通常の密着連結器を、神戸三宮方は電気連結器付き密着連結器を装着している。



[[ファイル:Hankyu8200RIMG0287.jpg|サムネイル|改造前の室内(2005年、[[阪急電鉄正雀工場|正雀車庫]]の公開時に撮影)]]

[[ファイル:Hankyu8200RIMG0287.jpg|サムネイル|改造前の室内(2005年、[[阪急電鉄正雀工場|正雀車庫]]の公開時に撮影)]]



=== 接客設備 ===

=== 内装 ===

座席については従来同様すべて[[鉄道車両の座席|ロングシート]]であるが、ラッシュ時に最も混雑率の高い梅田(現在の大阪梅田)方に増結すること<ref group="注">大阪梅田駅は[[頭端式ホーム]]で、主な[[改札]]口が一端に偏っているため、ラッシュ時には改札口との間の歩行距離が短くて済む大阪梅田方の車両に[[旅客|乗客]]が集中する傾向がある。この傾向は[[1960年代]]中盤の[[阪急2800系電車|2800系]]増備中に既に明らかになっており、同系列では2両から4両の編成を2セット組み合わせて運用されていたが、この問題から収容力の大きな運転台のない車両を含む編成を梅田方に連結するよう、編成替えを実施している。なお、この編成中各車の乗車率が偏る傾向は、梅田駅移転による乗客の歩行距離増大でさらに拍車がかかった。</ref>を前提として、[[鉄道車両の座席#収容式座席|折りたたみ式座席]]を採用していた。この座席は[[空気圧]]動作の[[シリンダー]]を内蔵しており、運転台からの指令で開閉操作や手動での開閉の可否を切り替え可能としている。

座席については従来同様すべて[[鉄道車両の座席|ロングシート]]であるが、ラッシュ時に最も混雑率の高い梅田(現在の大阪梅田)方に増結すること<ref group="注">大阪梅田駅は[[頭端式ホーム]]で、主な[[改札]]口が一端に偏っているため、ラッシュ時には改札口との間の歩行距離が短くて済む大阪梅田方の車両に[[旅客|乗客]]が集中する傾向がある。この傾向は[[1960年代]]中盤の[[阪急2800系電車|2800系]]増備中に既に明らかになっており、同系列では2両から4両の編成を2セット組み合わせて運用されていたが、この問題から収容力の大きな運転台のない車両を含む編成を梅田方に連結するよう、編成替えを実施している。なお、この編成中各車の乗車率が偏る傾向は、梅田駅移転による乗客の歩行距離増大でさらに拍車がかかった。</ref>を前提として、[[鉄道車両の座席#収容式座席|折りたたみ式座席]]を採用していた。この座席は[[空気圧]]動作の[[シリンダー]]を内蔵しており、運転台からの指令で開閉操作や手動での開閉の可否を切り替え可能としている。



68行目: 70行目:

[[|調]]10,500kcal/h[[|]]4<ref name="Toshiba19506">{{PDFlink|[https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/1995/06/50_06pdf/f05.pdf 8200]}}19956</ref><ref name="2012_p215" />[[]][[]]<ref name="2012_p215" />[[]]<ref name="Toshiba19506"/>

[[|調]]10,500kcal/h[[|]]4<ref name="Toshiba19506">{{PDFlink|[https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/1995/06/50_06pdf/f05.pdf 8200]}}19956</ref><ref name="2012_p215" />[[]][[]]<ref name="2012_p215" />[[]]<ref name="Toshiba19506"/>


== 主要機器 ==

=== 主要機器 ===

制御装置は装置は[[阪急8000系電車|8000系]]と同様に[[東芝]]製の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]]で、スイッチング[[半導体素子|素子]]として[[ゲートターンオフサイリスタ|GTO]]を採用する<ref name="Toshiba19506"/>。

=== 制御器 ===

[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]装置は[[阪急8000系電車|8000系]]と同様に[[東芝]]製で、スイッチング[[半導体素子|素子]]として[[ゲートターンオフサイリスタ|GTO]]を採用する<ref name="Toshiba19506"/>。



ただし、8000系では1基のインバータ装置で4個の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する1C4M制御方式によるINV032-A0を搭載しているのに対し、本系列では粘着特性の改善を狙ってインバータ装置を3セット内蔵し、それぞれ1個の電動機を制御する1C1M個別制御方式としたSVF018-A0を搭載している<ref name="Toshiba19506"/>。また、この装置は日本製のVVVFインバータでは最初のベクトル制御方式<ref>中沢、戸田、島田:「ベクトル制御を適用した車両駆動システム」、第33回鉄道におけるサイバネディクスシンポジウム論文集、516、pp.247 - 250、1996.11</ref>を採用、[[定速運転|惰行制御]]も装備している。

ただし、8000系では1基のインバータ装置で4個の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する1C4M制御方式によるINV032-A0を搭載しているのに対し、本系列では粘着特性の改善を狙ってインバータ装置を3セット内蔵し、それぞれ1個の電動機を制御する1C1M個別制御方式としたSVF018-A0を搭載している<ref name="Toshiba19506"/>。また、この装置は日本製のVVVFインバータでは最初のベクトル制御方式<ref>中沢、戸田、島田:「ベクトル制御を適用した車両駆動システム」、第33回鉄道におけるサイバネディクスシンポジウム論文集、516、pp.247 - 250、1996.11</ref>を採用、[[定速運転|惰行制御]]も装備している。



=== 主電動機・駆動装置 ===


SEA-350[[]]1200kW2,060rpm6,230rpm82003130km/h8000SEA3171170kW

SEA-350[[]]1200kW2,060rpm6,230rpm82003130km/h8000SEA3171170kW



[[WN|WN]]80005.316.13800084130[[|km/h]][[MT]]3M5T<ref group="">82002MT3:5138000SE317143M5T</ref>

[[WN|WN]]80005.316.13800084130[[|km/h]][[MT]]3M5T<ref group="">82002MT3:5138000SE317143M5T</ref>


=== 台車 ===

[[鉄道車両の台車|台車]]は京都線8300系にも採用されたボルスタレス式台車で、住友金属工業SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形)を装着する<ref name="山口2012_p215" />。Zリンク式牽引装置とモノリンク式軸箱支持機構を備える。

[[鉄道車両の台車|台車]]は京都線8300系にも採用されたボルスタレス式台車で、住友金属工業SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形)を装着する<ref name="山口2012_p215" />。Zリンク式牽引装置とモノリンク式軸箱支持機構を備える。



1997年に増備された宝塚線用増結車の8000系8040形は、8200系と同じ台車、電装品を採用している<ref name="山口2012_p215" />。

1997年に増備された宝塚線用増結車の8000系8040形は、8200系と同じ台車、電装品を採用している<ref name="山口2012_p215" />。



=== ブレーキ ===

ブレーキ時の電力回生効率を向上させるため、制御器側の[[回生ブレーキ]]を優先使用する設計の[[ナブテスコ]]HRDA-1[[電気指令ブレーキ]]を搭載する。各台車の基礎ブレーキ装置は、ブレーキ動作時の滑走防止を目的としてABS装置付のユニットブレーキとしている<ref name="山口2012_p216">山口益生『阪急電車』216頁。</ref>。

ブレーキ時の電力回生効率を向上させるため、制御器側の[[回生ブレーキ]]を優先使用する設計の[[ナブテスコ]]HRDA-1[[電気指令ブレーキ]]を搭載する。各台車の基礎ブレーキ装置は、ブレーキ動作時の滑走防止を目的としてABS装置付のユニットブレーキとしている<ref name="山口2012_p216">山口益生『阪急電車』216頁。</ref>。



=== 連結器 ===

大阪梅田方は通常の密着連結器を、神戸三宮方は電気連結器付き密着連結器を装着している。


=== 集電装置 ===


[[]]PT7082002<ref group="">[[8300|8300]]8315F1<!--8008F2--></ref>

[[]]PT7082002<ref group="">[[8300|8300]]8315F1<!--8008F2--></ref>


102行目: 96行目:


2017年9月に形式呼称が変更<ref name="railpic1810">『鉄道ピクトリアル』2018年10月号の阪急8000系特集より。</ref>され、8200形はMc8200形、8250形はTc8250形と改められた。

2017年9月に形式呼称が変更<ref name="railpic1810">『鉄道ピクトリアル』2018年10月号の阪急8000系特集より。</ref>され、8200形はMc8200形、8250形はTc8250形と改められた。


== 編成表 ==

{| class="wikitable" style="font-size:80%; text-align:center; margin:1em 0em 2em 3em;"

|+

| colspan="2" | {{列車方向|大阪梅田|神戸三宮}}

! 竣工

|- style="border-bottom:solid 3px maroon"

! style="width:4em;" | Mc1

! style="width:4em;" | Tc

!

|-

| 8200 || 8250 || rowspan="2" | 1995年6月10日<ref name="山口2012_p215" />

|-

| 8201 || 8251

|}


== 運用 ==

{{Vertical images list

|幅=240px

|1=HK 8200 series Limited.Exp For Sannomiya.JPG

|2=特急新開地行きに増結されている三宮どまりの阪急8200系

}}


1995612[[]][[]][[西]]2<ref group="">8200西使</ref>[[]]2[[|]]使{{R|950612}}使使


19951[[]][[JR]][[JR西223|223]][[]]4<ref group="">西</ref>


[[2007]]1029[[|]][[8000|8000]][[#|]]使<ref group="">201631910</ref>2[[|]][[|]]<ref>[http://railf.jp/news/2013/11/05/165000.html 8200]railf.jp</ref><ref>30 8000830020181029</ref>


== 改造 ==

== 改造 ==

座席収納車両の運用の廃止に伴い、2007年12月から[[2008年]]3月にかけて8200F・8201Fともに[[阪急電鉄正雀工場|正雀工場]]にて以下の改造が行われた。

2007年12月から[[2008年]]3月にかけて8200F・8201Fともに[[阪急電鉄正雀工場|正雀工場]]にて以下の改造が行われた。

* スタンションポールの撤去。

* スタンションポールの撤去。

* 枕木方向に配置されていたつり革の撤去。

* 枕木方向に配置されていたつり革の撤去。

146行目: 111行目:


2016年ごろに2編成ともに前照灯がLEDに更新されている。

2016年ごろに2編成ともに前照灯がLEDに更新されている。


== 運用 ==

{{Vertical images list

|幅=240px

|1=HK 8200 series Limited.Exp For Sannomiya.JPG

|2=特急新開地行きに増結されている三宮どまりの阪急8200系

}}



1995612[[]][[]][[西]]2<ref group="">8200西使</ref>[[]]2[[|]]使{{R|950612}}使使


19951[[]][[JR]][[JR西223|223]][[]]4<ref group="">西</ref>

[[2007年]]10月29日から[[優先席|優先座席]]復活などに併せて座席収納状態の運用が廃止となった。現在は平日朝ラッシュ時の通勤特急の増結を中心に他の増結車両と共通の運用で使用されている。またイベントや訓練等では、2両編成で[[阪急伊丹線|伊丹線]]や[[阪急今津線|今津線]]を走行することがある<ref>[http://railf.jp/news/2013/11/05/165000.html 阪急8200系が伊丹線などに入線]railf.jp</ref><ref>篠原丞「デビューから30年 阪急電鉄8000・8300系の思い出」『鉄道ピクトリアル』2018年10月号29頁、株式会社電気車研究会。</ref>。

== 編成表 ==

{| class="wikitable" style="font-size:80%; text-align:center; margin:1em 0em 2em 3em;"

|+

| colspan="2" | {{列車方向|大阪梅田|神戸三宮}}

! 竣工

|- style="border-bottom:solid 3px maroon"

! style="width:4em;" | Mc1

! style="width:4em;" | Tc

!

|-

| 8200 || 8250 || rowspan="2" | 1995年6月10日<ref name="山口2012_p215" />

|-

| 8201 || 8251

|}



== 脚注 ==

== 脚注 ==


2022年6月11日 (土) 18:19時点における版

阪急8200系電車
朝ラッシュ時の通勤特急運用に就く8201F
基本情報
運用者 阪急電鉄
製造所 アルナ工機
製造年 1995年
製造数 2編成4両
運用開始 1995年6月12日[1]
投入先 神戸線
主要諸元
編成 2両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
設計最高速度 130 km/h
車両定員 90(立席)+43(座席)=133
全長 19,000 mm
全幅 2,750 mm
全高 4,095 mm
車体 アルミニウム合金
台車 住友金属工業 SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形)
主電動機 東芝 SEA350
主電動機出力 200 kW × 3
駆動方式 WNドライブ
歯車比 1:6.13
制御方式 VVVFインバータ制御GTOサイリスタ素子・ベクトル制御)
制御装置 東芝 SVF018-A0 (1C1M×3)
制動装置 回生ブレーキ優先電気指令式空気ブレーキ(HRDA-1)
保安装置 パターン式ATS
デッドマン装置
備考 竣工時のデータ
テンプレートを表示

8200820019957

8200F


800022[2]

JR2052046西

8200

8000

3200mm1,500mm[2]105mm100mm[2]21[2][ 1]

8000

80008300380008300

LED[ 2]2[2]


2005


[ 3]

LED14[2]FM沿使

調10,500kcal/h4[3][2][2][3]


8000VVVFGTO[3]

8000141C4MINV032-A0311C1MSVF018-A0[3]VVVF[4]

SEA-3501200kW2,060rpm6,230rpm82003130km/h8000SEA3171170kW

WN80005.316.13800084130km/hMT3M5T[ 4]

8300SS-139A8200SS-039A8250[2]Z

1997800080408200[2]

使HRDA-1ABS[5]

PT7082002[ 5]


8000使[2]52002200200

8200

 (Mc1) 

8250

 (Tc) 

20179[6]8200Mc82008250Tc8250


200712200838200F8201F







9000

9000





2014331FM20156

LED2013使

20162LED

運用

特急新開地行きに増結されている三宮どまりの阪急8200系
特急新開地行きに増結されている三宮どまりの阪急8200系

1995612西2[ 6]2使[1]使使

19951JR2234[ 7]

20071029使2[7][8]

編成表

← 大阪梅田

神戸三宮 →

竣工
Mc1 Tc
8200 8250 1995年6月10日[2]
8201 8251

脚注

注釈



(一)^ d (1) D2D2D1dD (1) 

(二)^ LED寿9300 (9300F - 9302F) 900093009303F7300 (7320F) 70007007F7008FLED

(三)^ 19602800242

(四)^ 82002MT3:5138000SE317143M5T

(五)^ 83008315F1

(六)^ 8200西使

(七)^ 西

出典



(一)^ ab . (): p. 3. (1995612) 

(二)^ abcdefghijkl215

(三)^ abcd8200 (PDF) 19956

(四)^ 33516pp.247 - 2501996.11

(五)^ 216

(六)^ 2018108000

(七)^ 8200railf.jp

(八)^ 30 8000830020181029

参考文献

  • 『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月臨時増刊号』、電気車研究会、2010年
  • 山口益生『阪急電車』JTBパブリッシング、2012年。ISBN 4533086985