「阪急8200系電車」の版間の差分
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| 備考 = 竣工時のデータ |
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'''阪急8200系電車'''(はんきゅう8200けいでんしゃ)は、[[1995年]]に導入された[[阪急電鉄]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。 |
'''阪急8200系電車'''(はんきゅう8200けいでんしゃ)は、[[1995年]](平成7年)に導入された[[阪急電鉄]]の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。 |
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本記事では、編成表記を[[大阪梅田駅 (阪急)|大阪梅田]]方先頭車の車両番号で代表する(例:8200F)。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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[[阪急神戸本線|神戸線]]の[[ラッシュ時]]の混雑緩和に対応するため、当時導入されていた[[阪急8000系電車|8000系]]をベースに座席収納車として2両編成2本が[[アルナ工機]]で製造された<ref name="山口2012_p215">山口益生﹃阪急電車﹄215頁。</ref>。
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座席収納車は既に[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[国鉄205系電車|205系サハ204形6扉車]]などで採用実績があったが、[[近畿地方|関西]]の[[鉄道事業者]]としては阪急が初採用となった。 |
座席収納車は既に[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)の[[国鉄205系電車|205系サハ204形6扉車]]などで採用実績があったが、[[近畿地方|関西]]の[[鉄道事業者]]としては阪急が初採用となった。 |
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== 車 |
== 車両概説 == |
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=== 車体 === |
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[[ファイル:8200系そくめん.JPG|thumb|240px|right|通勤特急運用に就く8200系(改造前)の車体側面]] |
[[ファイル:8200系そくめん.JPG|thumb|240px|right|通勤特急運用に就く8200系(改造前)の車体側面]] |
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[[阪急8000系電車|8000系]]に準じた構造・寸法の押し出し型材の溶接組み立てによるアルミ合金製車体を備える。 |
[[阪急8000系電車|8000系]]に準じた構造・寸法の押し出し型材の溶接組み立てによるアルミ合金製車体を備える。 |
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前面の[[方向幕|種別・行先表示器]]は従来どおり幕式を踏襲するが、側窓の寸法を拡大した関係で車体側面の種別・行先表示器については省スペース化が可能なLED式が採用され<ref group="注">この装置は設計当時のLEDの寿命がさほど長くなかったことなどから後の系列には波及せず、[[阪急京都本線|京都線]]用の[[阪急9300系電車|9300系]] (9300F - 9302F) では従来の幕式を踏襲、[[阪急9000系電車|9000系]]および9300系9303F以降の編成と[[阪急7300系電車|7300系]] (7320F) 、[[阪急7000系電車|7000系]]︵7007F・7008F︶でようやく新開発の[[フルカラー]]LEDが採用されている。</ref>、日本語用と英語用の2つを並べて配置している<ref name="山口2012_p215" />。
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前面の[[方向幕|種別・行先表示器]]は従来どおり幕式を踏襲するが、側窓の寸法を拡大した関係で車体側面の種別・行先表示器については省スペース化が可能なLED式が採用され<ref group="注">この装置は設計当時のLEDの寿命がさほど長くなかったことなどから後の系列には波及せず、[[阪急京都本線|京都線]]用の[[阪急9300系電車|9300系]] (9300F - 9302F) では従来の幕式を踏襲、[[阪急9000系電車|9000系]]および9300系9303F以降の編成と[[阪急7300系電車|7300系]] (7320F) 、[[阪急7000系電車|7000系]]︵7007F・7008F︶でようやく新開発の[[フルカラー]]LEDが採用されている。</ref>、日本語用と英語用の2つを並べて配置している<ref name="山口2012_p215" />。
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[[ファイル:Hankyu8200RIMG0287.jpg|サムネイル|改造前の室内(2005年、[[阪急電鉄正雀工場|正雀車庫]]の公開時に撮影)]] |
[[ファイル:Hankyu8200RIMG0287.jpg|サムネイル|改造前の室内(2005年、[[阪急電鉄正雀工場|正雀車庫]]の公開時に撮影)]] |
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=== 内装 === |
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座席については従来同様すべて[[鉄道車両の座席|ロングシート]]であるが、ラッシュ時に最も混雑率の高い梅田(現在の大阪梅田)方に増結すること<ref group="注">大阪梅田駅は[[頭端式ホーム]]で、主な[[改札]]口が一端に偏っているため、ラッシュ時には改札口との間の歩行距離が短くて済む大阪梅田方の車両に[[旅客|乗客]]が集中する傾向がある。この傾向は[[1960年代]]中盤の[[阪急2800系電車|2800系]]増備中に既に明らかになっており、同系列では2両から4両の編成を2セット組み合わせて運用されていたが、この問題から収容力の大きな運転台のない車両を含む編成を梅田方に連結するよう、編成替えを実施している。なお、この編成中各車の乗車率が偏る傾向は、梅田駅移転による乗客の歩行距離増大でさらに拍車がかかった。</ref>を前提として、[[鉄道車両の座席#収容式座席|折りたたみ式座席]]を採用していた。この座席は[[空気圧]]動作の[[シリンダー]]を内蔵しており、運転台からの指令で開閉操作や手動での開閉の可否を切り替え可能としている。 |
座席については従来同様すべて[[鉄道車両の座席|ロングシート]]であるが、ラッシュ時に最も混雑率の高い梅田(現在の大阪梅田)方に増結すること<ref group="注">大阪梅田駅は[[頭端式ホーム]]で、主な[[改札]]口が一端に偏っているため、ラッシュ時には改札口との間の歩行距離が短くて済む大阪梅田方の車両に[[旅客|乗客]]が集中する傾向がある。この傾向は[[1960年代]]中盤の[[阪急2800系電車|2800系]]増備中に既に明らかになっており、同系列では2両から4両の編成を2セット組み合わせて運用されていたが、この問題から収容力の大きな運転台のない車両を含む編成を梅田方に連結するよう、編成替えを実施している。なお、この編成中各車の乗車率が偏る傾向は、梅田駅移転による乗客の歩行距離増大でさらに拍車がかかった。</ref>を前提として、[[鉄道車両の座席#収容式座席|折りたたみ式座席]]を採用していた。この座席は[[空気圧]]動作の[[シリンダー]]を内蔵しており、運転台からの指令で開閉操作や手動での開閉の可否を切り替え可能としている。 |
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[[エア・コンディショナー|空調装置]]は、ラッシュ時の快適性を改善すべく冷凍能力10,500kcal/hの[[集約分散式冷房装置|集約分散式]]を4基搭載<ref name="Toshiba19506">{{PDFlink|[https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/1995/06/50_06pdf/f05.pdf 阪急電鉄︵株︶8200系車両]}}︵東芝レビュー1995年6月号︶。</ref>、キセは連続式とした<ref name="山口2012_p215" />。冬期の[[暖房]]能力を向上させるため[[ヒートポンプ]]式の冷暖房兼用とし<ref name="山口2012_p215" />、座席下部の[[ヒーター]]と併用している<ref name="Toshiba19506"/>。
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[[エア・コンディショナー|空調装置]]は、ラッシュ時の快適性を改善すべく冷凍能力10,500kcal/hの[[集約分散式冷房装置|集約分散式]]を4基搭載<ref name="Toshiba19506">{{PDFlink|[https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/1995/06/50_06pdf/f05.pdf 阪急電鉄︵株︶8200系車両]}}︵東芝レビュー1995年6月号︶。</ref>、キセは連続式とした<ref name="山口2012_p215" />。冬期の[[暖房]]能力を向上させるため[[ヒートポンプ]]式の冷暖房兼用とし<ref name="山口2012_p215" />、座席下部の[[ヒーター]]と併用している<ref name="Toshiba19506"/>。
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== 主要機器 == |
=== 主要機器 === |
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⚫ | 制御装置は装置は[[阪急8000系電車|8000系]]と同様に[[東芝]]製の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ]]で、スイッチング[[半導体素子|素子]]として[[ゲートターンオフサイリスタ|GTO]]を採用する<ref name="Toshiba19506"/>。 |
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=== 制御器 === |
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ただし、8000系では1基のインバータ装置で4個の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する1C4M制御方式によるINV032-A0を搭載しているのに対し、本系列では粘着特性の改善を狙ってインバータ装置を3セット内蔵し、それぞれ1個の電動機を制御する1C1M個別制御方式としたSVF018-A0を搭載している<ref name="Toshiba19506"/>。また、この装置は日本製のVVVFインバータでは最初のベクトル制御方式<ref>中沢、戸田、島田:「ベクトル制御を適用した車両駆動システム」、第33回鉄道におけるサイバネディクスシンポジウム論文集、516、pp.247 - 250、1996.11</ref>を採用、[[定速運転|惰行制御]]も装備している。 |
ただし、8000系では1基のインバータ装置で4個の[[かご形三相誘導電動機]]を制御する1C4M制御方式によるINV032-A0を搭載しているのに対し、本系列では粘着特性の改善を狙ってインバータ装置を3セット内蔵し、それぞれ1個の電動機を制御する1C1M個別制御方式としたSVF018-A0を搭載している<ref name="Toshiba19506"/>。また、この装置は日本製のVVVFインバータでは最初のベクトル制御方式<ref>中沢、戸田、島田:「ベクトル制御を適用した車両駆動システム」、第33回鉄道におけるサイバネディクスシンポジウム論文集、516、pp.247 - 250、1996.11</ref>を採用、[[定速運転|惰行制御]]も装備している。 |
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=== 主電動機・駆動装置 === |
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主電動機は東芝SEA-350[[かご形三相誘導電動機]]︵1時間定格出力200kW、定格回転数は2,060rpm、最大回転数は6,230rpm︶を8200形の各台車に合計3基搭載する。この電動機は設計最高速度を130km/hとして将来のスピードアップにも対応可能なように8000系のSEA317︵1時間定格出力170kW︶よりも出力に余裕を持たせて計画され、一方で高定格回転数仕様として磁気回路容量を削減することで軽量化を実現している。
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主電動機は東芝SEA-350[[かご形三相誘導電動機]]︵1時間定格出力200kW、定格回転数は2,060rpm、最大回転数は6,230rpm︶を8200形の各台車に合計3基搭載する。この電動機は設計最高速度を130km/hとして将来のスピードアップにも対応可能なように8000系のSEA317︵1時間定格出力170kW︶よりも出力に余裕を持たせて計画され、一方で高定格回転数仕様として磁気回路容量を削減することで軽量化を実現している。
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駆動装置は[[WN駆動方式|WNドライブ]]で、高定格回転数のため歯数比を8000系の5.31から6.13に引き上げて定格速度を8000系と揃えている。なお、この電動機は8両編成時の各電動車に4基ずつ搭載とすることで、最高速度130[[キロメートル毎時|km/h]]の条件の下でも[[MT比]]3M5Tでの運転が可能な性能<ref group="注">言い換えれば、8200形は2両編成でMT比3:5を維持するために主電動機を1基減らして3基搭載としている。なお、8000系のSE317でも現行ダイヤの下では電動車1両あたり4基搭載で3M5T運転が可能な性能を備えている。</ref>を備える。
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駆動装置は[[WN駆動方式|WNドライブ]]で、高定格回転数のため歯数比を8000系の5.31から6.13に引き上げて定格速度を8000系と揃えている。なお、この電動機は8両編成時の各電動車に4基ずつ搭載とすることで、最高速度130[[キロメートル毎時|km/h]]の条件の下でも[[MT比]]3M5Tでの運転が可能な性能<ref group="注">言い換えれば、8200形は2両編成でMT比3:5を維持するために主電動機を1基減らして3基搭載としている。なお、8000系のSE317でも現行ダイヤの下では電動車1両あたり4基搭載で3M5T運転が可能な性能を備えている。</ref>を備える。
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[[鉄道車両の台車|台車]]は京都線8300系にも採用されたボルスタレス式台車で、住友金属工業SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形)を装着する<ref name="山口2012_p215" />。Zリンク式牽引装置とモノリンク式軸箱支持機構を備える。 |
[[鉄道車両の台車|台車]]は京都線8300系にも採用されたボルスタレス式台車で、住友金属工業SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形)を装着する<ref name="山口2012_p215" />。Zリンク式牽引装置とモノリンク式軸箱支持機構を備える。 |
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1997年に増備された宝塚線用増結車の8000系8040形は、8200系と同じ台車、電装品を採用している<ref name="山口2012_p215" />。 |
1997年に増備された宝塚線用増結車の8000系8040形は、8200系と同じ台車、電装品を採用している<ref name="山口2012_p215" />。 |
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=== ブレーキ === |
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ブレーキ時の電力回生効率を向上させるため、制御器側の[[回生ブレーキ]]を優先使用する設計の[[ナブテスコ]]HRDA-1[[電気指令ブレーキ]]を搭載する。各台車の基礎ブレーキ装置は、ブレーキ動作時の滑走防止を目的としてABS装置付のユニットブレーキとしている<ref name="山口2012_p216">山口益生『阪急電車』216頁。</ref>。 |
ブレーキ時の電力回生効率を向上させるため、制御器側の[[回生ブレーキ]]を優先使用する設計の[[ナブテスコ]]HRDA-1[[電気指令ブレーキ]]を搭載する。各台車の基礎ブレーキ装置は、ブレーキ動作時の滑走防止を目的としてABS装置付のユニットブレーキとしている<ref name="山口2012_p216">山口益生『阪急電車』216頁。</ref>。 |
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=== 連結器 === |
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=== 集電装置 === |
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[[集電装置]]は冷房装置の増強で屋根上スペース確保が困難となったことから、阪急電鉄では初採用となる、軽量小型のシングルアーム式パンタグラフPT70形が8200形に2基搭載されている<ref group="注">[[阪急8300系電車|8300系]]8315Fと同様の集電舟が1本のタイプである。<!--8008Fは2本タイプに変更--></ref>。
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[[集電装置]]は冷房装置の増強で屋根上スペース確保が困難となったことから、阪急電鉄では初採用となる、軽量小型のシングルアーム式パンタグラフPT70形が8200形に2基搭載されている<ref group="注">[[阪急8300系電車|8300系]]8315Fと同様の集電舟が1本のタイプである。<!--8008Fは2本タイプに変更--></ref>。
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2017年9月に形式呼称が変更<ref name="railpic1810">『鉄道ピクトリアル』2018年10月号の阪急8000系特集より。</ref>され、8200形はMc8200形、8250形はTc8250形と改められた。 |
2017年9月に形式呼称が変更<ref name="railpic1810">『鉄道ピクトリアル』2018年10月号の阪急8000系特集より。</ref>され、8200形はMc8200形、8250形はTc8250形と改められた。 |
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== 運用 == |
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本系列は1995年6月12日の神戸線の[[阪神・淡路大震災]]からの全線復旧に伴う[[ダイヤ改正]]から運用を開始した。運用開始当初から座席収納状態による運用が設定されたが乗客の混乱を避けるため、座席収納状態での運用は平日朝ラッシュ時に[[西宮北口駅]]で増結をする梅田行き通勤急行2運用に限定され<ref group="注">8200系は西宮北口→梅田で使用</ref>、[[時刻表]]にも﹁※大阪方前2両座席収納車﹂と注釈が付けられていた。なお、本系列が[[日本の鉄道車両検査|検査]]などで使用できない場合は座席収納を行わない他系列で運行された{{R|交通950612}}。先述の通勤急行以外の運用に充当される際は座席使用可能な状態で使用された。
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本系列においては、収納式座席をはじめ阪急で初採用となる接客設備が多数採り入れられ、上述のとおり朝ラッシュ時の混雑緩和に大きな威力を発揮した。しかし、運用開始前の1995年1月に発生した[[阪神・淡路大震災]]や、並行する[[JR神戸線]]へ |
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[[2007年]]10月29日から[[優先席|優先座席]]復活などに併せて座席収納状態の運用が廃止となった。現在は |
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== 改造 == |
== 改造 == |
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2007年12月から[[2008年]]3月にかけて8200F・8201Fともに[[阪急電鉄正雀工場|正雀工場]]にて以下の改造が行われた。 |
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* スタンションポールの撤去。 |
* スタンションポールの撤去。 |
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* 枕木方向に配置されていたつり革の撤去。 |
* 枕木方向に配置されていたつり革の撤去。 |
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2016年ごろに2編成ともに前照灯がLEDに更新されている。 |
2016年ごろに2編成ともに前照灯がLEDに更新されている。 |
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本系列は1995年6月12日の神戸線の[[阪神・淡路大震災]]からの全線復旧に伴う[[ダイヤ改正]]から運用を開始した。運用開始当初から座席収納状態による運用が設定されたが乗客の混乱を避けるため、座席収納状態での運用は平日朝ラッシュ時に[[西宮北口駅]]で増結をする梅田行き通勤急行2運用に限定され<ref group="注">8200系は西宮北口→梅田で使用</ref>、[[時刻表]]にも﹁※大阪方前2両座席収納車﹂と注釈が付けられていた。なお、本系列が[[日本の鉄道車両検査|検査]]などで使用できない場合は座席収納を行わない他系列で運行された{{R|交通950612}}。先述の通勤急行以外の運用に充当される際は座席使用可能な状態で使用された。
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本系列においては、収納式座席をはじめ阪急で初採用となる接客設備が多数採り入れられ、上述のとおり朝ラッシュ時の混雑緩和に大きな威力を発揮した。しかし、運用開始前の1995年1月に発生した[[阪神・淡路大震災]]や、並行する[[JR神戸線]]へ[[JR西日本223系電車|223系]]が[[新快速]]用として集中投入され同線の競争力が向上した結果、乗客数の減少により神戸線の混雑が緩和されたこと、座席が収納されていて着席できないことに対して乗客から反発が出たことなどの事情から、本系列は4両で製造終了となった<ref group="注">なお、関西の各社局では本系列以降、ラッシュ時対策として全座席を収納可能とした車両を導入する動きはない。</ref>。
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⚫ | [[2007年]]10月29日から[[優先席|優先座席]]復活などに併せて座席収納状態の運用が廃止となった。現在は平日朝ラッシュ時の通勤特急の増結を中心に他の増結車両と共通の運用で使用されている。またイベントや訓練等では、2両編成で[[阪急伊丹線|伊丹線]]や[[阪急今津線|今津線]]を走行することがある<ref>[http://railf.jp/news/2013/11/05/165000.html 阪急8200系が伊丹線などに入線]railf.jp</ref><ref>篠原丞「デビューから30年 阪急電鉄8000・8300系の思い出」『鉄道ピクトリアル』2018年10月号29頁、株式会社電気車研究会。</ref>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2022年6月11日 (土) 18:19時点における版
![]() | お願い:車両の動きなどについては、Wikipedia:検証可能性に反する、個人の目撃報告や外部の私設サイトなどを典拠とする情報を記載しないでください。これらはWikipedia:出典を明記するやWikipedia:独自研究は載せない、Wikipedia:信頼できる情報源などの方針により除去されることがあります。 |
阪急8200系電車 | |
---|---|
朝ラッシュ時の通勤特急運用に就く8201F | |
基本情報 | |
運用者 | 阪急電鉄 |
製造所 | アルナ工機 |
製造年 | 1995年 |
製造数 | 2編成4両 |
運用開始 | 1995年6月12日[1] |
投入先 | 神戸線 |
主要諸元 | |
編成 | 2両編成 |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
設計最高速度 | 130 km/h |
車両定員 | 90(立席)+43(座席)=133 |
全長 | 19,000 mm |
全幅 | 2,750 mm |
全高 | 4,095 mm |
車体 | アルミニウム合金 |
台車 | 住友金属工業 SS-139A(8200形)・SS-039A(8250形) |
主電動機 | 東芝 SEA350 |
主電動機出力 | 200 kW × 3 |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 1:6.13 |
制御方式 | VVVFインバータ制御(GTOサイリスタ素子・ベクトル制御) |
制御装置 | 東芝 SVF018-A0 (1C1M×3) |
制動装置 | 回生ブレーキ優先電気指令式空気ブレーキ(HRDA-1) |
保安装置 |
パターン式ATS デッドマン装置 |
備考 | 竣工時のデータ |
概要
神戸線のラッシュ時の混雑緩和に対応するため、当時導入されていた8000系をベースに座席収納車として2両編成2本がアルナ工機で製造された[2]。 座席収納車は既に東日本旅客鉄道︵JR東日本︶の205系サハ204形6扉車などで採用実績があったが、関西の鉄道事業者としては阪急が初採用となった。車両概説
車体
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3c/Hankyu8200RIMG0287.jpg/220px-Hankyu8200RIMG0287.jpg)
内装
座席については従来同様すべてロングシートであるが、ラッシュ時に最も混雑率の高い梅田︵現在の大阪梅田︶方に増結すること[注 3]を前提として、折りたたみ式座席を採用していた。この座席は空気圧動作のシリンダーを内蔵しており、運転台からの指令で開閉操作や手動での開閉の可否を切り替え可能としている。 車内の客用側扉上には千鳥配置でLED式の車内案内表示装置と14インチの液晶ディスプレイを設置し[2]、FM大阪のニュース︵見えるラジオ︶や天気予報、沿線情報が表示される。つり革も数を増やし、阪急では初めて枕木方向にも設置、かつ同社で初めての三角型を使用した。加えて車内の出入口中央部にスタンションポールを設置している。 空調装置は、ラッシュ時の快適性を改善すべく冷凍能力10,500kcal/hの集約分散式を4基搭載[3]、キセは連続式とした[2]。冬期の暖房能力を向上させるためヒートポンプ式の冷暖房兼用とし[2]、座席下部のヒーターと併用している[3]。主要機器
制御装置は装置は8000系と同様に東芝製のVVVFインバータで、スイッチング素子としてGTOを採用する[3]。 ただし、8000系では1基のインバータ装置で4個のかご形三相誘導電動機を制御する1C4M制御方式によるINV032-A0を搭載しているのに対し、本系列では粘着特性の改善を狙ってインバータ装置を3セット内蔵し、それぞれ1個の電動機を制御する1C1M個別制御方式としたSVF018-A0を搭載している[3]。また、この装置は日本製のVVVFインバータでは最初のベクトル制御方式[4]を採用、惰行制御も装備している。 主電動機は東芝SEA-350かご形三相誘導電動機︵1時間定格出力200kW、定格回転数は2,060rpm、最大回転数は6,230rpm︶を8200形の各台車に合計3基搭載する。この電動機は設計最高速度を130km/hとして将来のスピードアップにも対応可能なように8000系のSEA317︵1時間定格出力170kW︶よりも出力に余裕を持たせて計画され、一方で高定格回転数仕様として磁気回路容量を削減することで軽量化を実現している。 駆動装置はWNドライブで、高定格回転数のため歯数比を8000系の5.31から6.13に引き上げて定格速度を8000系と揃えている。なお、この電動機は8両編成時の各電動車に4基ずつ搭載とすることで、最高速度130km/hの条件の下でもMT比3M5Tでの運転が可能な性能[注 4]を備える。 台車は京都線8300系にも採用されたボルスタレス式台車で、住友金属工業SS-139A︵8200形︶・SS-039A︵8250形︶を装着する[2]。Zリンク式牽引装置とモノリンク式軸箱支持機構を備える。 1997年に増備された宝塚線用増結車の8000系8040形は、8200系と同じ台車、電装品を採用している[2]。 ブレーキ時の電力回生効率を向上させるため、制御器側の回生ブレーキを優先使用する設計のナブテスコHRDA-1電気指令ブレーキを搭載する。各台車の基礎ブレーキ装置は、ブレーキ動作時の滑走防止を目的としてABS装置付のユニットブレーキとしている[5]。 集電装置は冷房装置の増強で屋根上スペース確保が困難となったことから、阪急電鉄では初採用となる、軽量小型のシングルアーム式パンタグラフPT70形が8200形に2基搭載されている[注 5]。形式
8000系の派生系列であるが、両数が限られることから予備番号を使用し[2]、5200系や2200系と同様、形式の百の位が200番台とされている。 8200形 大阪梅田方制御電動車 (Mc1) 。 8250形 神戸三宮方制御車 (Tc) 。補助電源装置および空気圧縮機を搭載。 2017年9月に形式呼称が変更[6]され、8200形はMc8200形、8250形はTc8250形と改められた。改造
2007年12月から2008年3月にかけて8200F・8201Fともに正雀工場にて以下の改造が行われた。 ●スタンションポールの撤去。 ●枕木方向に配置されていたつり革の撤去。 ●つり革の握り部を三角型から丸型に変更。 ●折りたたみ式座席を9000系に準じた仕切り板付きロングシートに変更。 ●パイプ式荷棚を9000系と同じ棒状のものに変更。 ●床材をタイル状の模様が入ったものに変更。 ●車内の製造銘板が﹁アルナ工機﹂表記のみになり、製造年表記が削除された。 接客設備については、2014年3月31日の﹁見えるラジオ﹂サービス終了に伴い、液晶ディスプレイのFM大阪ニュースが同日をもって提供を終了した。その後2015年6月頃を境に、液晶ディスプレイが撤去されている。 なお、LED式車内案内表示器は、2013年の駅ナンバリング導入を機に、次駅案内・乗換案内等の表示に一部改良を加えた上で、引き続き使用されている。 2016年ごろに2編成ともに前照灯がLEDに更新されている。運用
編成表
← 大阪梅田 神戸三宮 → |
竣工 | |
---|---|---|
Mc1 | Tc | |
8200 | 8250 | 1995年6月10日[2] |
8201 | 8251 |
脚注
注釈
出典
参考文献
- 『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月臨時増刊号』、電気車研究会、2010年
- 山口益生『阪急電車』JTBパブリッシング、2012年。ISBN 4533086985。