エゾクロテン
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エゾクロテン | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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エゾクロテン (Martes zibellina brachyura) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
NT(道央・道北・道東)、EX(道南)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Martes zibellina brachyura[2] Temminck, 1844 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
エゾクロテン |
エゾクロテン︵蝦夷黒貂、学名Martes zibellina brachyura︶は、イタチ科イタチ亜科テン属クロテン種の亜種で、北海道に生息するクロテンである。
アイヌ語での呼称は﹁カスペキラ﹂で、意味は﹁しゃもじを持って逃げる﹂。集落に出てきて物を持ち去ったり、家禽を襲うことに由来するようである[3]。
分布[編集]
北海道の道央と道北、道東の森林[4]。観察事例では道北や道東が多い[3]。 明治期までは北海道全域に生息していたが、本種の毛皮を取るために乱獲されて個体数が減少し、1920年︵大正9年︶に本種の狩猟が禁止され[3]、現在も狩猟獣[5]から除外されている[1]。 1940年代に毛皮を取るための家畜として北海道にホンドテン︵キテン[6]︶[7]が移入されたが、逃げて野生化したホンドテンが道南に生息している。現在は道北と道東が本種の生息地域であるが、道央は本種と野性化したホンドテンが混生しており、交雑の可能性もあり、純粋種の本種の減少が危惧されている[3]。特徴[編集]
成獣の大きさは、体長は約40 - 50cm。尾長は約10 - 15cm。耳長は約3.0 - 3.5cm。体重は約1.0 - 1.3kg[8]。毛色は、淡色系の白みがかった黄色の個体や暗褐色、あるいはその中間濃度の色など、黄色系で個体により様々な濃淡がある。前肢と後肢の手足の部分は黒色。尾の色は濃褐色[9]。冬毛は夏毛よりも淡い色になるが、本種の冬毛の色はユーラシア大陸に生息するクロテンと比較してより淡い色である[10]。陰茎骨の長さは約3cm、直径は約1.5mm、先端Y字型になっている[11]。歯数は、切歯が上6本下6本、犬歯が上2本下2本、前臼歯が上8本下8本、後臼歯が上2本下4本、合計38本。乳頭数は、胸部は無し、腹部1対、鼠径部2対、合計6個。指趾数︵指の数︶は、前肢が5本、後肢が5本、合計20本[12]。生態[編集]
冬眠はしないで1年中活動し、その活動時間帯は特に定まっておらず、昼夜活動する。繁殖期以外は基本的に単独で行動する。躯体の柔軟性はとても高い[13]。また警戒心が強く[3]、よく後肢で2本足立ちして周囲を見回すことがある。この行動を目蔭︵まかげ︶という︵→写真︶。木登りはとても上手く︵→写真︶、太い樹木は爪を立てて登り、降りるときは頭部を下にして降りる。直径2cmの細い木にも登ることができ、その場合は指趾で木を掴むようにして登る。活動場所としては沢や川付近が多い[13]。
本種は巣として穴や樹洞、建造物の縁の下や屋根裏を使用する[13]。
食性は雑食性で、動物質のものはノネズミ類、エゾトガリネズミ[14]やエゾリス、鳥、カエルなどであるが[4]、本種よりも大きなエゾユキウサギなどもを捕食し、樹上ではエゾリスを追跡して捕食する[1]。植物質のものはヤマグワ[15]やサクラ、ヤマブドウ、マタタビ、コクワ︵サルナシ︶など。動物を捕食した場合は頭部を残す習性があるが、これは頭骨の硬度が高いためと推考される[4]。
鳴き声[編集]
本種は様々な鳴き声を出すが、威嚇時には﹁ギャーウーギュギュ﹂﹁ゲーオウー﹂などで、徘徊時には﹁フィヤーフィヤー﹂など静かに鳴いている[13]。飼育展示施設[編集]
本種を飼育展示している施設は、日本では釧路市動物園だけである︵2010年1月1日時点︶[16]。保全状態評価[編集]
●準絶滅危惧︵NT︶︵環境省レッドリスト︶ギャラリー[編集]
脚注[編集]
(一)^ abc﹃日本の哺乳類 改訂2版﹄︵p81︶より。
(二)^ ﹁哺乳類/爬虫類﹂﹃日本動物誌﹄より。
(三)^ abcde﹁エゾクロテンとは?﹂︵釧路市動物園︶より。
(四)^ abc﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p377︶より。
(五)^ 法律で捕獲が許可されている動物のこと --﹃広辞苑﹄より。
(六)^ ﹁エゾクロテン﹂︵苫小牧民報社︶より。
(七)^ 学名はMartes melampus melampus --﹁哺乳類/爬虫類﹂﹃日本動物誌﹄より。
(八)^ ﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p373, p374︶より。
(九)^ ﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p373︶より。
(十)^ ﹁クロテン﹂︵北海道大学︶より。
(11)^ ﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p375︶より。
(12)^ ﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p372︶より。
(13)^ abcd﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p376︶より。
(14)^ 学名はSoricidae caecutiens --﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄︵p257, p259︶より。
(15)^ 学名はMorus australis Poiret --﹁ヤマグワ﹂﹃oNLINE植物アルバム﹄︵宮城教育大学︶より。
(16)^ ﹁かわいすぎるエゾクロテン﹂︵釧路市動物園︶より。
参考文献[編集]
ウェブサイト
●﹁エゾクロテンとは?﹂﹃北海道雑学百科ぷっちがいど﹄︿動画あり﹀2010年1月8日 執筆、釧路市動物園、2010年1月17日(日)閲覧。
●﹁かわいすぎるエゾクロテン﹂﹃北海道雑学百科ぷっちがいど﹄︿動画あり﹀2010年1月1日 執筆、釧路市動物園、2010年1月17日(日)閲覧。
●鈴木仁﹁クロテン﹂2008年、北海道大学理学部生物科学科︵生物学︶、2010年1月17日(日)閲覧。
●﹁ヤマグワ﹂﹃oNLINE植物アルバム﹄2003年6月27日 更新、宮城教育大学 環境教育実践研究センター 安江研究室 鵜川研究室、2010年1月18日(月)閲覧。
●﹁哺乳類/爬虫類﹂﹃日本動物誌﹄、京都大学電子図書館、2001年、2010年1月17日(日)閲覧。
●村井雅之︵ゆうふつ原野自然情報センター︶﹁エゾクロテン﹂﹃ふるさとネイチャーらんど - 勇払原野の自然﹄、苫小牧民報社、2009年4月2日 18:24、2010年1月18日(月)閲覧。
出版物
●門崎允昭﹃野生動物調査痕跡学図鑑﹄北海道出版企画センター、2009年10月20日。ISBN 978-4832809147。
●米田政明 著﹁クロテン﹂、阿部永 監修、自然環境研究センター 編集 編﹃日本の哺乳類﹄︵改訂2版︶東海大学出版会、2008年7月5日 第1刷発行、p81頁。ISBN 978-4486018025。
辞書
外部リンク[編集]
- 「【探訪 生物多様性 支え合ういのち】北海道・新得町 エゾクロテン」『MSN産経ニュース』2010年2月7日 08:10、p1/2、2010年2月15日(月)閲覧。
- 「【探訪 生物多様性 支え合ういのち】北海道・新得町 エゾクロテン」『MSN産経ニュース』2010年2月7日 08:10、p2/2、2010年2月15日(月)閲覧。