偏食
偏食︵へんしょく︶とは、必要とする栄養素に偏りがある食事の状態である[1]。
日本語の﹁偏食﹂は栄養学の創始者である佐伯矩による造語であるとされる[2]。
1日単位で見ると必要な栄養素の量を満たしても1食単位で見ると1日分の等分ではない場合も偏食であり、理想的な食事ではないとされる[3]。 等分された場合は、完全食と呼ばれる[3]。
アスリートなどで著名な偏食者も多く、﹁偏食、イコール悪ではない﹂とする説もある[4][5][6]。
また、モンゴル人[7]、イヌイット[8]、パプアニューギニア高地人[9]のように、偏食の民族も存在する[7][8][9]。
影響[編集]
幼い頃からフライドポテトや白パンばかり食べ続けてきた10代の少年が失明したという症例を、ブリストル大学の研究チームが発表した[10]。著名な偏食者[編集]
●ウォーレン・バフェット (1930 - ) アメリカの投資家。まるで﹁6歳の子供﹂の食習慣であることを自他ともに認めている[11]。大好物は、チェリーコーク、ジャンクフード、ピーナッツ・ブリトルなどで、はなはだ偏っている[11]。 ●ドナルド・トランプ (1946 - ) アメリカの実業家、アメリカ合衆国大統領。一日中飲み続けるほどの、ダイエット・コーラのファン[12]。ファストフードが大好物で、選挙活動中の食事は、ドミノ・ピザ、ケンタッキーフライドチキン、マクドナルドのビッグマックが定番であったという[12]。また、飛行機で移動中に摂る軽食はもっぱらジャンクフードで、ポテトチップスやクリームサンド・クッキーを口にしているという[12]。 ●ビル・ゲイツ (1955 - ) アメリカの実業家。大のハンバーガー好きで[13]、かつ、人工肉の一種である﹁ビヨンド・ミート﹂の技術支援者[13]。 ●ジョージャ・リードマン (Georgi Readman | 1995? - ) 一般のイギリス人少女であるが、5歳の頃から選択的摂食障害 (SED) を患い、それ以来、袋麺タイプで具無しのインスタントラーメン︵1銘柄︶以外をほとんど口にしないという極端すぎる偏食を18歳まで続けた[14][15]。彼女は野菜嫌いで果物嫌いであった[14][15]。彼女は極度の栄養失調に陥っており、その肉体年齢は実年齢の18歳を大きく上回る80歳以上と小児科医師に診断された[14][15]。脚注[編集]
(一)^ 佐伯矩 1926 [要ページ番号]
(二)^ 柳井 & 松井 (2006), p. 77.
(三)^ ab佐伯芳子 (1964), pp. 194–195.
(四)^ ﹃女性セブン﹄2013年11月28日号 (2013年11月18日). “チョコ食べ野菜食べなかった内村航平が活躍の理由を医師解説”. NEWSポストセブン. 小学館. 2021年3月27日閲覧。
(五)^ 梓川みいな﹁偏食と発達障害の関係性とは ﹁図表でわかる発達障害﹂が分かりやすく納得﹂﹃おたくま経済新聞﹄シー・エス・ティー・エンターテインメント株式会社、2020年1月18日。2021年3月27日閲覧。
(六)^ 山口健太︵一般社団法人 日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事︶﹁子どもの﹁偏食﹂は“わがまま”ではない 見た目や食感などが原因に︵オトナンサー︶ 子どもの﹁偏食﹂に頭を悩ませている親は…﹂﹃オトナンサー﹄株式会社メディア・ヴァーグ、2020年2月29日。2021年3月18日閲覧。
(七)^ ab中川明紀 (2013年9月11日). “p. 4 < 第8回 冬を乗り切るモンゴルのパワー食”. ナショナルジオグラフィック (日経ナショナルジオグラフィック社) 2021年3月27日閲覧。
(八)^ ab“偏食はいけないこと?”. 健康Style. カウンセリングストリート株式会社. 2021年3月27日閲覧。
(九)^ ab深川宏樹︵文化人類学者。国立民族学博物館 先端人類科学研究部 機関研究員。︶ (2017年3月1日刊行). “サツマイモの贅沢~パプアニューギニア~”. 旧ホームページ資料. 国立民族学博物館 (NME). 2021年3月27日閲覧。
(十)^ ﹁食事はフライドポテトやパンばかり、極端な偏食の10代少年が失明 英報告﹂﹃CNN.co.jp﹄CNN、2019年9月4日。2021年3月25日閲覧。
(11)^ abBryan, Bob﹁1日にコーラ5本? バフェットのユニークな食習慣に学ぶ﹁賢人﹂の投資戦略﹂﹃BUSINESS INSIDER JAPAN﹄Tomoko A.訳、株式会社メディアジーン、2017年10月27日。2021年3月27日閲覧。
(12)^ abcLoria, Kevin﹁ファストフード大好き! トランプ大統領の驚くべき生活習慣﹂﹃BUSINESS INSIDER JAPAN﹄小池祐里佳 訳、株式会社メディアジーン、2017年2月8日。2021年3月27日閲覧。
(13)^ ab“ビルゲイツ氏の資産は睡眠と食が基礎だった?”. 一日一食!うたた寝仙人の三時間睡眠記. うたた寝仙人︵私人0︶ (2017年6月29日作成、2020年4月21日更新). 2021年3月27日閲覧。
(14)^ abcMiller, Tracy (2013年4月10日). “My strange ramen addiction: Teen eats almost nothing but noodles for 13 years” (English). The Daily News (New York Daily News) (Tribune Publishing) 2021年3月25日閲覧。
(15)^ abcLehman, Megan (2013年6月13日). “Death by Ramen, Is it Possible?” (English). Uloop. Uloop Inc.. 2021年3月25日閲覧。
参考文献[編集]
辞事典 ●ブリタニカ・ジャパン﹃ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●小学館﹃デジタル大辞泉﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●平凡社﹃百科事典マイペディア﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●朝倉書店﹃栄養・生化学辞典﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●日立デジタル平凡社﹃世界大百科事典﹄第2版. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●井上義朗、小学館﹃日本大百科全書︵ニッポニカ︶﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●小学館﹃精選版 日本国語大辞典﹄. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●小学館﹃プログレッシブ英和中辞典﹄第3版. “偏食”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 ●“unbalanced diet”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2021年3月25日閲覧。 ●小学館﹃デジタル大辞泉﹄. “食欲異常”. コトバンク. 2021年3月25日閲覧。 書籍、ムック ●佐伯矩﹃栄養﹄栄養社、1926年。 ●佐伯芳子﹃スピード栄養料理―ひとり暮らしのあなたのために﹄実業之日本社、1964年1月1日。ASIN B000JADNY6。 ●柳井一男、松井貞子﹃新佐伯式フードガイド バランスの良い食事の摂り方がすぐわかる 新時代の食育と健康管理のために﹄フットワーク出版︿バランスの良い食事の摂り方がすぐわかる﹀、2006年5月22日。ISBN 4-87689-546-5、ISBN 978-4-87689-546-5、OCLC 939449092。関連項目[編集]
- 日本人の食事摂取基準 / 必須栄養素
- 食事 / 食事バランスガイド / 完全食
- ファーストフード / ジャンクフード
- 肥満 / 栄養失調
- 野菜嫌い / 猫舌
- 飽食の時代
- 砂糖依存症
- 外食 - 惣菜
- インスタント食品
- 食品添加物 - ペットボトル症候群
- スーパーサイズ・ミー
- 食品消費個人責任法 (通称チーズバーガー法)
- 犯罪生物学
- 思想
- 病気
- 摂食障害 / 選択的摂食障害 / 神経性無食欲症
- 条件付き味覚嫌悪
- 新奇性恐怖
- Dietary conservatism
- 食物アレルギー / 食物不耐症 / 乳糖不耐症 / ショ糖不耐症 / 油脂瀉下 / グルテン関連障害 / グルコース-ガラクトース吸収不良症 /
- 動物