未解決事件 (NHKスペシャル)
﹃未解決事件﹄︵みかいけつじけん︶は、NHKのテレビ番組﹃NHKスペシャル﹄で2011年から放送されている、再現ドラマとドキュメンタリーを組み合わせて未解決事件を検証するシリーズ番組である。
概要[編集]
未解決事件がなぜ解決に至らなかったのかを、NHKに保管される当時の取材データや、新たに取材して得られた新事実をもとに検証する。未解決事件を﹁警察の失敗学﹂として捉え、犯人逮捕に失敗した原因や報道のあり方を検証するため、NHKスペシャルとして企画された[1]。 また、関連の企画として﹁NHK未解決事件プロジェクト﹂があり、2012年1月から全国の未解決事件レポートの放送をスタートさせた。1月は﹃ニュースウオッチ9﹄で、広島県廿日市市女子高生殺人事件と京都精華大学生殺人事件を取り上げた。その後も特異行方不明者の問題などが同番組で特集されている[2]。 なお、NHKではこれらの企画と連動して未解決事件に関する目撃情報などの情報提供を募集している。この中で﹁皆様から提供いただいた情報をもとに取材させていただく場合もあります﹂としている[3]。 2015年から、捜査が続けられている事件に関して、ホームページやSNSなどを通して一般からの情報提供を呼びかける﹁未解決事件 追跡プロジェクト﹂が始動した。同年3月にはこのプロジェクトと同名のスピンオフ番組が放送されている︵後節参照︶。事件リスト[編集]
以下は番組の公式サイトに﹁事件リスト﹂として掲載されていた事件である[4][リンク切れ]。ただし、事件リストのページでは﹁全ての掲載事件を同番組シリーズにて取り上げ、放送するわけではない﹂という内容の注意書きもされている[4][リンク切れ]。また、File.03として放送された﹁尼崎殺人死体遺棄事件﹂は放送が決まるまで事件リストに掲載されていなかった。一方、海外特別編として2020年4月29日・5月2日に放送されたFile.08﹁JFK暗殺﹂は放送時点で事件リストに記載されていない。 なお、以下のリスト中にはスピンオフ番組の﹃未解決事件 追跡プロジェクト﹄の方で取り上げられた事件もある。未解決の事件[編集]
●三億円事件︵1968年12月10日︶ ●グリコ・森永事件︵1984年3月18日︶ - 2011年7月29日・30日放送 ●朝日新聞阪神支局襲撃事件︵1987年5月3日︶ - ﹁赤報隊事件﹂として2018年1月27日・28日放送 ●警察庁長官狙撃事件︵1995年3月30日︶ - 2018年9月2日・8日放送 ●八王子スーパー強盗殺人事件︵1995年7月30日︶ ●世田谷一家殺害事件︵2000年12月30日︶ - ﹃追跡プロジェクト﹄で取り上げられている。 ●島根女子大生殺害事件︵2009年11月6日︶ - ﹃追跡プロジェクト﹄で取り上げられている。︿2016年12月20日、被疑者死亡のまま書類送検﹀未解明の部分や謎を残した事件[編集]
●ロッキード事件︵1976年7月27日︶ - 2016年7月23日・24日放送 ●オウム真理教関連事件︵1995年3月20日︶ - 2012年5月26日・27日放送 ●地下鉄サリン事件‥2015年3月20日放送 ●尼崎殺人死体遺棄事件︵2011年11月︶ - 2013年6月9日放送放送履歴[編集]
再現ドラマの登場者は全員が実在の人物。この節の加筆が望まれています。 |
作品 | 副題 | 形式 | 初放送日 | 出演者 |
---|---|---|---|---|
File.01 グリコ・森永事件 |
劇場型犯罪の衝撃 トーク・ドキュメント 27年後のグリコ・森永事件 |
再現ドラマ 座談会 |
2011年 7月29日 |
|
消えた"かい人21面相" 目撃者たちの告白 |
再現ドラマ(後編) ドキュメンタリー |
2011年 | 7月30日||
File.02 オウム真理教 |
オウム真理教 |
再現ドラマ |
2012年 | 5月26日
●NHK社会部
●片桐高太郎︵記者︶‥萩原聖人
●矢吹啓吾︵デスク︶‥豊原功補
●オウム真理教関係者
●深山織枝︵元幹部・仮名︶‥冨樫真
●早坂武禮︵元幹部・仮名︶‥羽場裕一
●麻原彰晃︵松本智津夫︶︵元代表・死刑囚︶‥古川悦史
●橋野正和︵元幹部・仮名︶‥比佐一平
●柿沼浩三︵元幹部・仮名︶‥内野謙太
●岡崎︵佐伯︶一明︵元幹部・死刑囚︶‥水橋研二
●村井秀夫︵元幹部︶‥米村亮太朗
●早川紀代秀︵元幹部・死刑囚︶‥木下ほうか
●新実智光︵元幹部・死刑囚︶‥遠山悠介
●平田信︵元幹部︶‥岩澤晶範
●三浦幸仁︵元幹部・仮名︶‥少路勇介
●千葉宏樹︵元幹部・仮名︶‥河相我聞
●笹岡康彦︵元幹部・仮名︶‥美斉津恵友
●土谷正実︵元幹部・死刑囚︶‥高嶋寛
●杉本繁郎︵元幹部・無期懲役囚︶‥坂本三成
●中村昇︵元幹部・無期懲役囚︶‥鯨井康介
●林郁夫︵元幹部・無期懲役囚︶‥法福法彦
●沢田忠司︵元信者・仮名︶‥サコイ
修行中に死亡した信者。
●加川義男︵元信者・仮名︶‥中村倫也
教団の姿勢に
|
オウムvs警察 |
ドキュメンタリー | 2012年 | 5月27日||
File.03 尼崎殺人死体遺棄事件 |
これほど多くの家族が |
再現ドラマ ドキュメンタリー |
2013年 | 6月 9日
|
File.04 オウム真理教 地下鉄サリン事件 |
“20年前のあの日、 なぜオウムは |
ドキュメンタリー (再現ドラマ部分含む) |
2015年 | 3月20日|
File.05 ロッキード事件 |
ロッキード事件 40年目の真実 未解決事件外伝 〜ロッキード事件と |
再現ドラマ ドキュメンタリー |
2016年 | 7月23日|
日米の巨大な闇 |
ドキュメンタリー | 2016年 | 7月24日||
File.06 赤報隊事件 |
実録ドラマ | 2018年 | 1月27日
| |
赤報隊事件 戦慄の銃弾 |
ドキュメンタリー | 2018年 | 1月28日||
File.07 警察庁長官狙撃事件 |
ドキュメンタリー | 2018年 | 9月 2日||
容疑者Nと刑事の15年 | 実録ドラマ | 2018年 | 9月 8日||
File.08 JFK暗殺 |
episode I “はめられた”男 |
実録ドラマ(前編) ドキュメンタリー |
2020年 | 4月29日
|
episode II 浮かび上がる“黒幕” |
実録ドラマ(後編) ドキュメンタリー |
2020年 | 5月 2日||
File.09 松本清張と帝銀事件 |
第1部 『松本清張と「小説帝銀事件」』 |
実録ドラマ | 2022年12月29日 | |
第2部 「74年目の真実」 |
ドキュメンタリー | 2022年12月30日 | ||
File.10 下山事件 |
第1部 | 実録ドラマ | 2024年 | 3月30日
|
第2部 | ドキュメンタリー |
スピンオフ番組[編集]
視聴者から情報を募り未解決事件を取り扱った番組。NHKのサイトやSNS等で「あなたの情報が事件を動かすかもしれない」と情報を求めスピンオフとして番組を展開した。
作品 | 副題 | 初放送日 | キャスター | 取り上げられた事件 |
---|---|---|---|---|
未解決事件 追跡プロジェクト | 捜査最前線で何が | 2015年 | 3月22日草彅剛、鎌倉千秋 | 世田谷一家殺害事件 名古屋市西区主婦殺害事件 広島県廿日市女子高生殺人事件 |
未解決事件 追跡プロジェクト 第2弾 |
埋もれた情報 動き出した事件 | 2015年12月13日 | 草彅剛、鎌倉千秋 | 世田谷一家殺害事件 池袋駅立教大生殺害事件 島根女子大生殺害(死体遺棄)事件 葛飾区上智大生殺人・放火事件 |
番組制作・テーマ曲[編集]
●チーフ・プロデューサー‥中村直文 ●語り‥伊東敏恵アナウンサー ●脚本‥田子明弘︵1・2・6︶、森井睦︵3︶、鈴木智︵5︶、黒崎博︵7︶、西村武五郎︵8︶、安達奈緒子︵9・10︶ ●音楽‥川井憲次 ●テーマ曲‥おおたか静流 "ラビリンス"︵作曲‥川井憲次︶ ●﹃File.05 ロッキード事件﹄からの追加曲は得田真裕が担当その他[編集]
●2013年6月に放送された﹁File.03 尼崎殺人死体遺棄事件﹂について、同事件に関する裁判の被告弁護人らが﹁一定の意図で編集された再現映像によって、︵裁判員に選ばれる可能性がある︶視聴者に予断と偏見を与える﹂とNHKに抗議、﹁裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針﹂︵日本新聞協会が2008年に発表︶の厳守とNHKオンデマンドでの配信停止を求めている[6][7][8]。それに対してNHK側は﹁同番組の制作においても事件報道と同じく指針に法っている﹂としている[8]が、NHKオンデマンドでの配信については後に﹁プライバシーに配慮した一時的な措置﹂として停止していたが[9]、2022年12月29日に同番組が再放送されたことを契機に配信が再開した。関連作品[編集]
DVD[編集]
●﹁NHKスペシャル 未解決事件 グリコ・森永事件﹂︵ポニーキャニオン︶ - 2012年2月15日発売 ●﹁NHKスペシャル 未解決事件 ロッキード事件﹂︵NHKエンタープライズ︶ - 2017年4月21日発売書籍[編集]
●﹃未解決事件 グリコ・森永事件〜捜査員300人の証言﹄文芸春秋、2012年。ISBN 4163752005。 ●﹃未解決事件 オウム真理教秘録﹄文芸春秋、2013年。ISBN 4163759204。漫画[編集]
●File.01と02が中祥人作画、星井博文構成によって漫画化され、﹃グランドジャンプ﹄︵集英社︶2012年9号から25号まで連載︵単行本全2巻︶。脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 主犯の女性の他、義妹と高松の一家の人物については、番組中では実名表記されているが、本記事では削除の方針 ケース B-2:プライバシー問題に関してに鑑み、実名表記を避けている。
出典[編集]
(一)^ 毎日新聞2011年6月23日夕刊
(二)^ NHK未解決事件プロジェクト︵NHKスペシャル﹃未解決事件﹄ 公式サイト内、2017年3月27日閲覧︶
(三)^ NHK未解決事件 事件に関する情報募集中︵NHKスペシャル﹃未解決事件﹄ 公式サイト内、2017年3月27日閲覧︶
(四)^ ab“NHK未解決事件 事件リスト”. NHKスペシャル﹃未解決事件﹄ 公式サイト. 2021年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月27日閲覧。
(五)^ “NHKスペシャル﹁シリーズ未解決事件 File.10 下山事件﹂占領期に浮かび上がった“巨大な闇”に立ち向かう検事を森山未來さんが熱演!”. ステラnet. NHK財団 (2024年3月27日). 2024年4月1日閲覧。
(六)^ “NHKの尼崎変死再現番組﹁裁判員に予断﹂ 被告弁護人ら︵日本経済新聞 2013年6月26日︶”. 2021年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月5日閲覧。
(七)^ 尼崎連続変死 ﹁偏見を与える﹂被告側の弁護士がNHKに抗議︵イザ!産経デジタル 2013年6月26日︶
(八)^ ab曽我部真裕﹁裁判員制度と報道:NHKスペシャル尼崎事件再現映像番組から再考する﹂﹃新聞研究﹄第746巻、日本新聞協会、2013年9月、43-47頁、CRID 1050282810752059136、hdl:2433/178371、ISSN 0288-0652、NAID 120005316140。
(九)^ 尼崎市連続変死の番組配信停止 NHKオンデマンド︵千葉日報オンライン 2013年8月22日︶
外部リンク[編集]
- NHKスペシャル 未解決事件(番組公式サイト) - NHKオンライン
- 未解決事件 追跡プロジェクト
- NHKスペシャル 未解決事件 - NHK放送史
- NHKスペシャル 未解決事件 File.10 下山事件 第1部 - NHK放送史
- NHKスペシャル 未解決事件(動画配信) - NHKオンデマンド