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1970年のメジャーリーグベースボール

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MLB1970

1970461015()24(西)95

4142

 

1969 - 1970 - 1971

できごと

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108 (24)  (24) (20)20()60 4(.3062578)(.29735114)西(41113.32510724103419663

.329 441262 24 30452.56MVP



9143716 106(.27934101)1西4(.29345148)(.31740129)(34)(.31657)(.316120205)25(20)(18)(35)1970630 73019619

(.366)MVP4(51)42319703(23) (23)(2.82283)


  • アール・ウィーバー(オリオールズ監督)とスパーキー・アンダーソン(レッズ監督)という後に名将と謳われ殿堂入りした監督の初のワールドシリーズ出場となったこの年は、オリオールズのブルックス・ロビンソンの一人舞台となった。第1戦では決勝本塁打に超美技、第2戦は同点タイムリー、第3戦は先制打、第4戦は本塁打を含む4安打、第5戦も1安打で1966年に続くオリオールズの2度目の世界一に貢献してシリーズMVPとなった。

シアトルからミルウォーキーへ

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フラッド訴訟

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前年10月に、球団からフィラデルフィア・フィリーズへの移籍を通告されたカージナルスのカート・フラッドは、トレードを拒否してボウイ・キューンコミッショナーに書簡を送り、「私は自分の意志に反して売り買いされる所有物ではない。選手を商品のように売り買いする制度は、どんなものであれ市民としての基本的権利を侵すものであり、アメリカの法律に違反している」と主張した。しかしコミッショナーは「フィリーズでプレーすることに合意しなければ、プロでプレーしないという選択肢もある」と返事してフラッドの訴えを却下した。フラッドは選手会事務局長マービン・ミラーの支援を受け選手会もフラッドを支持することを決議して、この年1月16日に連邦裁判所ニューヨーク支部に民事訴訟を起こし、野球機構は選手を奴隷状態に拘束する組織であり、トレードの強制は独占禁止法に違反するとして野球機構と両リーグに対して100万ドルの損害賠償を求めた。これに対して前年12月にウォーレン・ジャイルズに代わってナショナルリーグ会長になったチャップ・フィニーとアメリカンリーグ会長のジョー・クローニンは、翌日に「フラッドの訴えが認められれば、それはプロ野球の終わりを意味する」との共同声明を発表した。

選手会は前年12月に、保留条項の修正、最低年俸の引き上げ、年間162試合を154試合に減らすことなど41項目にわたる要望書をオーナー側に提出していた。年明け2月27日に前の週に提示された新しい基本契約書を検討した結果、満場一致で拒否することを決め、前年と同じくストライキの構えを見せたが、しかし直前に両者が歩み寄ってストライキは不発に終わった。まだこの頃は選手にストライキを打つことに抵抗があった(初めてストライキを起こしたのは2年後である)。そして8月12日に予審裁判で「保留条項は、選手の供給源を確保するために条項を保持することを全ての球団が同意しており、変更はできない」としてフラッドの訴えは認められなかった。フラッドはすぐに控訴審に上訴した。

デニー・マクレイン事件

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記録

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その他

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  • 1970年のメジャーリーグ観客動員数  2,874万7,333人 (アメリカンリーグ 12,085,135人・ナショナルリーグ16,662,198人)  出典:「アメリカ・プロ野球史」245P  鈴木武樹 著  三一書房

最終成績

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レギュラーシーズン

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アメリカンリーグ

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チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
東地区
1 ボルチモア・オリオールズ 108 54 .667
2 ニューヨーク・ヤンキース 93 69 .574 15
3 ボストン・レッドソックス 87 75 .537 21
4 デトロイト・タイガース 79 83 .488 29
5 クリーブランド・インディアンス 76 86 .469 32
6 ワシントン・セネタース 70 92 .432 38
西地区
1 ミネソタ・ツインズ 98 64 .605
2 オークランド・アスレチックス 89 73 .549 9
3 カルフォルニア・エンゼルス 86 76 .531 12
4 カンザスシティ・ロイヤルズ 65 97 .401 33
5 ミルウォーキー・ブルワーズ 65 97 .401 33
6 シカゴ・ホワイトソックス 56 106 .346 42

ナショナルリーグ

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チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
東地区
1 ピッツバーグ・パイレーツ 89 73 .549
2 シカゴ・カブス 84 78 .519 5
3 ニューヨーク・メッツ 83 79 .512 6
4 セントルイス・カージナルス 76 86 .469 13
5 フィラデルフィア・フィリーズ 73 88 .453 15.5
6 モントリオール・エクスポズ 73 89 .451 16
西地区
1 シンシナティ・レッズ 102 60 .630
2 ロサンゼルス・ドジャース 87 74 .540 14.5
3 サンフランシスコ・ジャイアンツ 86 76 .531 16
4 ヒューストン・アストロズ 79 83 .488 23
5 アトランタ・ブレーブス 76 86 .469 26
6 サンディエゴ・パドレス 63 99 .451 16

オールスターゲーム

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  • アメリカンリーグ 4 - 5 ナショナルリーグ

ポストシーズン

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リーグチャンピオンシップシリーズ ワールドシリーズ
           
アメリカンリーグ    
  ボルチモア・オリオールズ 3
  ミネソタ・ツインズ 0  
 
  ボルチモア・オリオールズ 4
    シンシナティ・レッズ 1
ナショナルリーグ  
  ピッツバーグ・パイレーツ 0
  シンシナティ・レッズ 3  

リーグチャンピオンシップシリーズ

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アメリカンリーグ
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  • ツインズ 0 - 3 オリオールズ
10/3 – オリオールズ 10 - 6 ツインズ
10/4 – オリオールズ 11 - 3 ツインズ
10/5 – ツインズ 1 - 6 オリオールズ
ナショナルリーグ
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  • パイレーツ 0 - 3 レッズ
10/3 – レッズ 3 - 0 パイレーツ
10/4 – レッズ 3 - 1 パイレーツ
10/5 – パイレーツ 2 - 3 レッズ

ワールドシリーズ

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  • レッズ 1 - 4 オリオールズ
10/10 – オリオールズ 4 - 3 レッズ
10/11 – オリオールズ 6 - 5 レッズ
10/13 – レッズ 3 - 9 オリオールズ
10/14 – レッズ 6 - 5 オリオールズ
10/15 – レッズ 3 - 9 オリオールズ
MVP:ブルックス・ロビンソン (BAL)

個人タイトル

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アメリカンリーグ

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打者成績

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項目 選手 記録
打率 アレックス・ジョンソン (CAL) .329
本塁打 フランク・ハワード (WS2) 44
打点 フランク・ハワード (WS2) 126
得点 カール・ヤストレムスキー (BOS) 125
安打 トニー・オリバ (MIN) 204
盗塁 バート・キャンパネリス (OAK) 42

投手成績

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項目 選手 記録
勝利 マイク・クェイヤー (BAL) 24
デーブ・マクナリー (BAL)
ジム・ペリー (MIN)
敗戦 ミッキー・ロリッチ (DET) 19
防御率 ディエゴ・セギー (OAK) 2.56
奪三振 サム・マクダウェル (CLE) 304
投球回 サム・マクダウェル (CLE) 305
ジム・パーマー (BAL)
セーブ ロン・ペラノスキー (MIN) 34

ナショナルリーグ

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打者成績

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項目 選手 記録
打率 リコ・カーティー (ATL) .366
本塁打 ジョニー・ベンチ (CIN) 45
打点 ジョニー・ベンチ (CIN) 148
得点 ビリー・ウィリアムズ (CHC) 137
安打 ピート・ローズ (CIN) 205
ビリー・ウィリアムズ (CHC)
盗塁 ボビー・トーラン (CIN) 57

投手成績

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項目 選手 記録
勝利 ボブ・ギブソン (STL) 23
ゲイロード・ペリー (SF)
敗戦 スティーブ・カールトン (STL) 19
防御率 トム・シーバー (NYM) 2.82
奪三振 トム・シーバー (NYM) 283
投球回 ゲイロード・ペリー (SF) 328⅔
セーブ ウェイン・グレンジャー (CIN) 35

表彰

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全米野球記者協会(BBWAA)表彰

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表彰 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
MVP ブーグ・パウエル (BAL) ジョニー・ベンチ (CIN)
サイヤング賞 ジム・ペリー (MIN) ボブ・ギブソン (STL)
最優秀新人賞 サーマン・マンソン (NYY) カール・モートン (MON)
守備位置 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
投手 ジム・カート (MIN) ボブ・ギブソン (STL)
捕手 レイ・フォッシー (CLE) ジョニー・ベンチ (CIN)
一塁手 ジム・スペンサー (CAL) ウェス・パーカー (LAD)
二塁手 デービー・ジョンソン (BAL) トミー・ヘルムズ (CIN)
三塁手 ブルックス・ロビンソン (BAL) ダグ・レイダー (HOU)
遊撃手 マーク・ベランジャー (BAL) ドン・ケッシンジャー (CHC)
外野手 ケン・ベリー (CWS) トミー・エイジー (NYM)
ポール・ブレアー (BAL) ロベルト・クレメンテ (PIT)
ミッキー・スタンリー (DET) ピート・ローズ (CIN)

その他表彰

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表彰 アメリカンリーグ ナショナルリーグ
カムバック賞 クライド・ライト (CAL) ジム・ヒッチコック (CHC)
最優秀救援投手賞 ロン・ペラノスキー (MIN) ウェイン・グレンジャー (CIN)
ハッチ賞 トニー・コニグリアロ (BOS) -
ルー・ゲーリッグ賞 - ハンク・アーロン (ATL)
ベーブ・ルース賞 ブルックス・ロビンソン (BAL) -

BBWAA投票

ベテランズ委員会選出

出典

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  • 『アメリカ・プロ野球史』第7章 拡大と防衛の時代≪フラッド訴訟≫ 235-239P参照  鈴木武樹 著 1971年9月発行 三一書房
  • 『アメリカ・プロ野球史』第7章 拡大と防衛の時代≪マクレイン事件≫ 239-242P参照
  • 『アメリカ・プロ野球史』第7章 拡大と防衛の時代≪オリオールズの時代≫ 242-243P参照
  • 『米大リーグ 輝ける1世紀~その歴史とスター選手~』≪1970年≫ 126P参照 週刊ベースボール 1978年6月25日増刊号 ベースボールマガジン社
  • 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説』 1905-2000(1970年) 111P参照 上田龍 著 2001年10月発行 ベースボールマガジン社
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪ボルチモア・オリオールズ≫ 58-59P参照 出野哲也 著  2018年5月30日発行 言視社
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪シンシナティ・レッズ≫ 158-159P参照
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪カンザスシテイ・ロイヤルズ≫ 248P参照
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪ミルウォキー・ブルワーズ≫[短命だったパイロッツ] 320-321P参照
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪ミネソタ・ツインズ≫ 344-345P参照
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪ピッツバーグ・パイレーツ≫ 479P参照  
  • 『メジャー・リーグ球団史』≪セントルイス・カージナルス≫[フラッドの闘争] 508P参照
  • 『さらばヤンキース ~運命のワールドシリーズ~ (原題 OCTOBER 1964)』下巻 ≪ガッシー・ブッシュ≫ 309-313P参照  デイヴィッド・ハルバースタム著 水上峰雄 訳  1996年3月発行 新潮社
  • 『実録 メジャーリーグの法律とビジネス』≪第3章 野球の独占禁止法免除 10)フラッド訴訟≫ 63-64P参照  ロジャー・I・エイブラム著 大坪正則 監訳 中尾ゆかり 訳 2006年4月発行 大修館書店

関連項目

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外部リンク

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