十字軍(読み)ジュウジグン(英語表記)Crusade
Croisade[フランス]
Kreuzzug[ドイツ]

デジタル大辞泉 「十字軍」の意味・読み・例文・類語

じゅうじ‐ぐん〔ジフジ‐〕【十字軍】

 
11138西貿西  

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精選版 日本国語大辞典 「十字軍」の意味・読み・例文・類語

じゅうじ‐ぐんジフジ‥【十字軍】

 

(一)西退西
(一)[] Jerusalem (187071︿西)
 

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改訂新版 世界大百科事典 「十字軍」の意味・わかりやすい解説

十字軍 (じゅうじぐん)
Crusade
Croisade[フランス]
Kreuzzug[ドイツ]


109521退1270西11131613891526

11西西

 使西

︿︿︿︿1071西西109531Alexios I使21西︿2西︿34105410951128︿西︿2

Petrus沿2︿1096720︿︿使

 41 11121099-11872 133 134︿ 1416退︿31291

 1西西23413︿41便12

11Adhemar du Puy調423

 109974210988715︿西︿Godefroy de Bouillon21109西

 121127-1222西︿21147-531︿731148退沿

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西1192︿41202-051204512211228-2925︿西

71248-5491250-1517812703000km︿1291退︿退

西西︿西2西西

 214西西沿︿︿使︿


IfranjFiranj1

 11西200


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「十字軍」の意味・わかりやすい解説

十字軍
じゅうじぐん
Crusade 英語
Croisade フランス語
Kreuzzug ドイツ語

11世紀末から13世紀にかけて8回以上にわたって西欧キリスト教徒が東欧、中近東各地に向けて行った軍事遠征の総称。公式遠征のほかに民衆巡礼団の自発的行動や、中近東の十字軍国家を起点とする近隣地域への進出なども広義の十字軍に含まれる。また、13世紀末以降16世紀に及ぶキリスト教諸国とオスマン・トルコ帝国との戦争をも十字軍とよぶことがある。参加者が衣服に十字架の印をつけていたことから、13世紀後半以来この名称が用いられたが、それ以前の史料には「エルサレム旅行」または「聖墳墓詣(もう)で」などと記されている。

[橋口倫介]

起源


西11()()()

 11西()西西西使西()西


動機


111071Malazgirt西西()1054西西11095Piacenza使2西西111西Le PuyAdhémar


十字軍の構造と経過


西4


初期十字軍

1112 11096994109973Petrus2110120

 西Basse-Lorraine西123Baudouin 114462沿西12西()1221147493118992()

 11465Vézelay西273()退116311877Hattīn10()()3西1()()1()2Akko1西


中期十字軍

13 1192931TyrusJaffa()西西141202043西()Foulques de NeuillyBaudouin120405126151217213Honorius 121626Damietta退Pelagius()退

 261228299Gregorius 122741212292西調


末期十字軍

(13世紀後半) キリスト教とイスラム教の平和共存が、1244年のホラズム・トルコ人によるエルサレム占領という突発事件によって終止符を打たれたのち、中近東情勢は多極的な諸勢力離合集散の新局面を迎える。ホラズム・トルコ人の背後からモンゴル人がシリアに進出し、西欧はモンゴル人をキリスト教徒と信じて同盟を構想し、イスラム圏内ではシリアとエジプトが対立する一方、新政権マムルーク朝による統一勢力が急速に成長してくる。西欧においては、フランス王国の政治的、経済的優位のもとにゴシック芸術が繁栄し、ルイ9世(聖ルイ王)の敬虔(けいけん)な信仰がキリスト教徒の模範とされ、托鉢(たくはつ)修道会士による海外布教活動も盛んであった。また13世紀初頭以来何度か繰り返された少年十字軍や牧童十字軍のように民衆宗教運動への熱意も強かったが、軍事力による十字軍遠征に参加する諸侯・騎士の情熱は冷却しつつあった。「エルサレムの鍵(かぎ)はカイロにあり」という戦略思想のもとにルイ9世が行った最後の2回の十字軍(第7回1248~54、第8回1270)は、エジプトとチュニスに向け精強な大軍を送ったが、いずれもイスラムの包囲網の中に孤立した聖地の救援に直接影響を与えることなく敗退し、かえってカイロの新政権マムルーク朝のキリスト教徒掃討作戦を挑発する結果を招いた。1265年から91年にかけて、シリア海岸のアンティオキア侯領、トリポリ伯領をはじめ残存領土のすべてを喪失、エルサレム王国直轄領は最後の拠点アッコの陥落によって滅亡した。わずかな生存者がかろうじてキプロス島に避難し、後図を図ることとなる。

[橋口倫介]

後の十字軍

(14~16世紀) キリスト教徒にとって聖地の喪失は十字軍そのものの終焉(しゅうえん)を意味したが、対イスラム戦争という政略的構想による東方観は近世まで持続され、マムルーク朝との抗争、新しい強大な敵対者オスマン・トルコ帝国との対決は「後の十字軍」という観念で考えられている。その過程で、1344年のキプロス(ロードス)十字軍と1396年のニコポリス十字軍とが特筆される。いずれも西欧における十字軍運動の盛り上がりとは異なる東欧キリスト教諸国の守勢的攻撃であり、15世紀に入ると、1440年のハンガリー十字軍を転機として東西勢力関係の逆転が明らかとなり、オスマン帝国軍の西方進出が高潮期に達し、1453年にはビザンティン帝国の滅亡をみるに至り、16世紀には東地中海制海権の全面的放棄を強いられ、名実ともに十字軍は消滅する。

[橋口倫介]

世界史上の意義

十字軍運動の開始以来今日まで約900年の間、その評価は賛否両論に分かれ、学説も区々であるが、これを単なる数回の軍事遠征の記録としてではなく、西欧中世後半期の人間社会の総合的全体像として観察し、そこに文化的高揚期の西欧人のアイデンティティをみいだそうと試みることが望ましい。また、数世紀にわたって持続された地中海世界の東西交流の影響はきわめて顕著であり、沿岸諸民族の十数世代の人々がこの長期の交流によって精神的、物質文明的視野を広げ、やがて地球的規模での「大航海時代」への発展を生む素地を築いたことも疑いない。

[橋口倫介]

『橋口倫介著『十字軍――その非神話化』(岩波新書)』『ルネ・グルッセ著、橋口倫介訳『十字軍』(白水社・文庫クセジュ)』『ルネ・グルッセ著、橘西路訳『十字軍』(角川文庫)』『セシル・モリソン著、橋口倫介訳『十字軍の研究』(白水社・文庫クセジュ)』『木村尚三郎編『世界の戦争5 中世と騎士の戦争』(1985・講談社)』『橋口倫介著『十字軍』(教育社歴史新書)』


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百科事典マイペディア 「十字軍」の意味・わかりやすい解説

十字軍【じゅうじぐん】

 
111310952110961099109911022114711497331189119211871123412021204512171221612281229271248125498127091291121214貿西()13
貿  

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「十字軍」の解説

十字軍(じゅうじぐん)
Crusades


()1095221(109699)9924(120204)9()7(124854)8(1270)()西(())()

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十字軍」の意味・わかりやすい解説

十字軍
じゅうじぐん
Crusades; Kreuzzüge; Croisades

 
1115西111311096992401099211474937退311899241202045121821612274571248688126891 1453貿西  

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旺文社世界史事典 三訂版 「十字軍」の解説

十字軍
じゅうじぐん
Crusade

11世紀末期〜13世紀の間,ヨーロッパ諸国のキリスト教徒が聖地イェルサレム回復のために起こした大遠征軍
セルジューク朝のキリスト教巡礼者に対する迫害(実際にはこのような事実はなかったが,西欧では事実と認識されていたともされる)と,その侵入に悩むビザンツ帝国皇帝の救援を機に,1096〜99年,教皇ウルバヌス2世の勧告(クレルモン公会議)で送られたのが始まり(第1回十字軍)。その後,おもなものとして1147〜49年(第2回),1189〜92年(第3回),1202〜04年(第4回),1228〜29年(第5回),1248〜54年(第6回),1270年(第7回)の計7回行われた。第1回のとき,聖地を回復してイェルサレム王国を建てたが,他はすべて失敗に終わった。インノケンティウス3世の提唱による第4回十字軍は,地中海商業の覇権をめざすヴェネツィア商人にあやつられ,コンスタンティノープルを占領,ラテン帝国を建てた。これ以後,純粋な信仰的動機よりは,しだいに征服欲や利益追求の傾向が強まった。十字軍は失敗したが,これによって教皇・教会の権威の失墜,封建貴族階級の没落,王権の伸張,東方貿易による北イタリア諸都市の発展,貨幣経済の進展による荘園制の崩壊,ビザンツ帝国・イスラーム諸王朝などの東方文化の移入によるルネサンス的機運の醸成など,中世ヨーロッパに大きな影響を与えた。このほか,1212年少年十字軍が起こり,南フランスのアルビジョワ派やスペインの異端討伐にも十字軍が結成された。

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とっさの日本語便利帳 「十字軍」の解説

十字軍

聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還することを旗印に結成されたキリスト教徒の義勇軍。一〇九六年の第一回から一三世紀後半にかけて七回ないし八回の正規遠征を試みたが、多くは失敗。聖地回復はならなかったが、長期の東西接触はヨーロッパ史に大きな転機をもたらした。

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世界大百科事典(旧版)内の十字軍の言及

【エーグ・モルト】より


500m×350m45m10m

【軍服】より


1315︿tabard

【巡礼】より


49,10,115014,152

【シリア】より

…ただし文化面ではシリア出身者はそのヘレニズムの遺産をもって,いわゆるイスラム文明の興隆に大いに貢献した。
【十字軍とアイユーブ朝下での繁栄】
 9世紀半ばになってアッバース朝の支配が緩んでくると,エジプトで事実上独立したトゥールーン朝(868‐905)がパレスティナから中部シリアを支配し,10世紀の前半には同様の性格をもつイフシード朝がほとんど同じ領域を支配した。10世紀の前半から末まで,北シリアはハムダーン朝(905‐1004)が勢力を張っていた。…

【地中海】より

… ノルマンによって1130年に建国されたシチリア王国は,この東・西地中海の再結合に大きな役割を果たした。この時代,十字軍によってヨーロッパの勢力がレバントへ拡大したが,文化的には逆に優れたイスラム文化およびその地に保存されていた古代ギリシア文化がヨーロッパに大きな影響を与えた。たとえばアリストテレスの主要な作品がラテン語訳され,ヨーロッパで利用可能となったのも12世紀のことである。…

【バーリ】より


879812

【ヒッティーンの戦】より

…ティベリアス湖西方のヒッティーンHiṭṭīnで行われたムスリム軍と十字軍との決戦。1187年3月,サラーフ・アッディーンは聖戦(ジハード)を宣して,エジプト,シリア,ジャジーラから1万2000の正規軍と2万余の補助軍を結集,一方,エルサレム王のギーもほぼ同数の十字軍騎士を集めてこれに対抗した。…

【ユダヤ人】より

…ユダヤ人をこのように宗教集団としてみるか,民族あるいは人種集団としてとらえるか,さらにはこれを〈世界的国民〉とするか,また〈民族階級〉とみなすか,これらはいずれも,少数者集団としてのユダヤ人と,その周囲の多数者とがどのように互いにかかわりあっているかによるものであり,それぞれの歴史的情況によって規定されている。 中世,とくに十字軍以前は,ヨーロッパでもイスラム世界でも,ユダヤ人は,宗教的問題として,すなわちユダヤ教徒として扱われていたのに対し,これをもっぱら民族,人種とみる考え方は,19世紀以降,ヨーロッパにおいて,近代市民社会が国民国家という枠組みのなかで形成されるようになってから生まれた。そこでは,ユダヤ教徒のナショナリティが問われ,やがて国家をもたないユダヤ人は市民社会の矛盾を転嫁するかっこうの存在となり,宗教的差別が人種的差別に転化され,〈ユダヤ人〉概念が完成される。…

【ラテン帝国】より


4︿()(12043)(12044)(6)Enrico DandoloBonifacioBeaudouinTomaso Morosini()1(120405

※「十字軍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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