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'''SI組立単位'''(エスアイくみたてたんい、{{lang-en-short|SI derived unit}})は、[[国際単位系]] (SI) の[[SI基本単位|基本単位]]を組み合わせて作ることができる[[物理単位|単位]]である。基本単位の[[冪乗]]の乗除だけで作ることができる組立単位は「[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある組立単位」と言い、国際単位系は全ての組立単位が一貫性のある組立単位である、「一貫性のある単位系」である。 |
'''SI組立単位'''(エスアイくみたてたんい、{{lang-en-short|SI derived unit}})は、[[国際単位系]] (SI) の[[SI基本単位|基本単位]]を組み合わせて作ることができる[[物理単位|単位]]である。基本単位の[[冪乗]]の乗除だけで作ることができる組立単位は「[[一貫性 (単位系)|一貫性]]のある組立単位」と言い、国際単位系は全ての組立単位が一貫性のある組立単位である、「一貫性のある単位系」である。 |
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== 補助単位の廃止 == |
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[[ラジアン]]と[[ステラジアン]]は、かつては[[補助単位#SI補助単位|補助単位]]に位置づけられていたが、[[1995年]]の[[国際度量衡総会]](CGPM)において、補助単位という区分は廃止すること、この2つの単位は無次元の組立単位として解釈することが決議された<ref>[[#国際単位系(SI)第9版(2019), p.147]]</ref>。この決議に基づき、1998年のSI第7版から、補助単位のカテゴリーは廃止され、[[ラジアン]]と[[ステラジアン]]は組立単位に分類された。 |
[[ラジアン]]と[[ステラジアン]]は、かつては[[補助単位#SI補助単位|補助単位]]に位置づけられていたが、[[1995年]]の[[国際度量衡総会]](CGPM)において、補助単位という区分は廃止すること、この2つの単位は無次元の組立単位として解釈することが決議された<ref>[[#国際単位系(SI)第9版(2019), p.147]]</ref>。この決議に基づき、1998年のSI第7版から、補助単位のカテゴリーは廃止され、[[ラジアン]]と[[ステラジアン]]は組立単位に分類された。 |
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2021年2月4日 (木) 20:27時点における版
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補助単位の廃止
ラジアンとステラジアンは、かつては補助単位に位置づけられていたが、1995年の国際度量衡総会(CGPM)において、補助単位という区分は廃止すること、この2つの単位は無次元の組立単位として解釈することが決議された[1]。この決議に基づき、1998年のSI第7版から、補助単位のカテゴリーは廃止され、ラジアンとステラジアンは組立単位に分類された。SI組立単位
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/69/SI%E7%B5%84%E7%AB%8B%E5%8D%98%E4%BD%8D.jpg/500px-SI%E7%B5%84%E7%AB%8B%E5%8D%98%E4%BD%8D.jpg)
表4固有の名称と記号を持つ22個のSI単位[2]
いくつかのSI組立単位には、利便性の観点から固有の名称と記号が与えられている。固有の名称を持つSI組立単位は、下記に示す22個である。下方の4つの単位は、健康保護の観点から特別に固有の名称を与えられたものである。組立量 | 単位の固有の名称 | 基本単位のみによる表現 | 他のSI単位も用いた表現 |
---|---|---|---|
平面角 | ラジアン (radian) | rad=m/m | 1 |
立体角 | ステラジアン (steradian) | sr=m2/m2 | 1 |
周波数 | ヘルツ (hertz) | Hz=s−1 | |
力 | ニュートン (newton) | N=m·kg·s−2 | |
圧力、応力 | パスカル (pascal) | Pa=m−1·kg·s−2 | N/m2 |
エネルギー、仕事・熱量 | ジュール (joule) | J=m2·kg·s−2 | N·m |
仕事率、放射束 | ワット (watt) | W=m2·kg·s−3 | J/s |
電荷 | クーロン (coulomb) | C=s·A | |
電位差 | ボルト (volt) | V=m2·kg·s−3·A−1 | W/A |
静電容量 | ファラド (farad) | F=m−2·kg−1·s4·A2 | C/V |
電気抵抗 | オーム (ohm) | Ω=m2·kg·s−3·A−2 | V/A |
コンダクタンス | ジーメンス (siemens) | S=m−2·kg−1·s3·A2 | A/V |
磁束 | ウェーバ (weber) | Wb=m2·kg·s−2·A−1 | V·s |
磁束密度 | テスラ (tesla) | T=kg·s−2·A−1 | Wb/m2 |
インダクタンス | ヘンリー (henry) | H=m2·kg·s−2·A−2 | Wb/A |
セルシウス温度 | セルシウス度 | ℃=K | |
光束 | ルーメン (lumen) | lm=cd·m2/m2 = cd | cd·sr |
照度 | ルクス (lux) | lx=m−2·cd | lm/m2 |
放射性核種の放射能 | ベクレル (becquerel) | Bq=s−1 | |
吸収線量、カーマ | グレイ (gray) | Gy=m2·s−2 | J/kg |
線量当量 | シーベルト (sievert) | Sv=m2·s−2 | J/kg |
酵素活性 | カタール (katal) | kat=s−1·mol |
表5 基本単位を用いて表現された一貫性のある組立単位の例[3]
組立量 | 量の典型的な記号 | 名称 | 基本単位のみによる表現 |
---|---|---|---|
面積 | A | 平方メートル | m2 |
体積 | V | 立方メートル | m3 |
速さ、速度 | v | メートル毎秒 | m/s |
加速度 | a | メートル毎秒毎秒 | m/s2 |
波数 | σ | 毎メートル | m−1 |
密度、質量密度 | ρ | キログラム毎立方メートル | kg/m3 |
面密度 | ρA | キログラム毎平方メートル | kg/m2 |
比体積 | v | キログラム毎立方メートル | kg/m3 |
電流密度 | j | アンペア毎平方メートル | A·m−2 |
磁界強度 | H | アンペア毎メートル | A/m |
物質量濃度 | c | モル毎立方メートル | mol/m3 |
質量濃度 | ρ, γ | キログラム毎立方メートル | kg/m3 |
輝度 | LV | カンデラ毎平方メートル | cd/m2 |
表6 名称および記号の中に固有の名称と記号を持つ一貫性のあるSI組立単位が含まれている、一貫性のあるSI組立単位の例[4]
固有の名称を持つSI組立単位は、SI基本単位や他のSI組立単位と組み合わせて他の組立量を表すために用いることができる。
組立量 | 一貫性のある組立単位の名称 | 記号 | 基本単位のみによる表現 |
---|---|---|---|
粘度 | パスカル秒 | Pa·s | m−1·kg·s−1 |
力のモーメント | ニュートンメートル | N·m | m2·kg·s−2 |
表面張力 | ニュートン毎メートル | N/m | kg·s−2 |
角速度、角周波数 | ラジアン毎秒 | rad/s | m·m−1·s−1 = s−1 |
角加速度 | ラジアン毎秒毎秒 | rad/s2 | m·m−1·s−2 = s−2 |
熱流密度、放射照度 | ワット毎平方メートル | W/m2 | kg·s−3 |
熱容量、エントロピー | ジュール毎ケルビン | J/K | m2·kg·s−2·K−1 |
比熱容量、比エントロピー | ジュール毎キログラム毎ケルビン | J/(kg·K) | m2·s−2·K−1 |
比エネルギー | ジュール毎キログラム | J/kg | m2·s−2 |
熱伝導率 | ワット毎メートル毎ケルビン | W/(m·K) | m·kg·s−3·K−1 |
エネルギー密度 | ジュール毎立方メートル | J/m3 | m−1·kg·s−2 |
電界の強さ | ボルト毎メートル | V/m | m·kg·s−3·A−1 |
電荷密度 | クーロン毎立方メートル | C/m3 | m−3·s·A |
表面電荷密度 | クーロン毎平方メートル | C/m2 | m−2·s·A |
電束密度、電気変位 | クーロン毎平方メートル | C/m2 | m−2·s·A |
誘電率 | ファラド毎メートル | F/m | m−3·kg−1·s4·A2 |
透磁率 | ヘンリー毎メートル | H/m | m·kg·s−2·A−2 |
モルエネルギー | ジュール毎モル | J/mol | m2·kg·s−2·mol−1 |
モルエントロピー、モル熱容量 | ジュール毎モル毎ケルビン | J/(mol·K) | m2·kg·s−2·K−1·mol−1 |
照射線量(X線およびγ線) | クーロン毎キログラム | C/kg | kg−1·s·A |
吸収線量率 | グレイ毎秒 | Gy/s | m2·s−3 |
放射強度 | ワット毎ステラジアン | W/sr | m4·m−2·kg·s−3 = m2·kg·s−3 |
放射輝度 | ワット毎平方メートル毎ステラジアン | W/(m2·sr) | m2·m−2·kg·s−3 = kg·s−3 |
酵素活性濃度 | カタール毎立方メートル | kat/m3 | m−3·s−1·mol |
その他の組立単位の例
以下の組立単位は、SI文書第9版(2019)には掲げられていない。参考として列挙したものである。
組立量 | 名称 | 記号 | SI基本単位による表し方 |
---|---|---|---|
動粘度 | 平方メートル毎秒 | m2/s | |
質量吸収係数 | 平方メートル毎キログラム | m2/kg | cm2·g−1 ( = 0.1m2kg−1) |
比容積 | 立方メートル毎キログラム | m3/kg | |
質量モル濃度 | モル毎キログラム | mol/kg | |
モル体積 | 立方メートル毎モル | m3/mol | |
拡散率 | 平方メートル毎秒 | m2/s | |
質量流量密度 | キログラム毎平方メートル毎秒 | kg/m2·s | |
導電率 | ジーメンス毎メートル | S/m | m−3·kg−1·s3·A2 |
モル導電率 | ジーメンス平方メートル毎モル | S·m2/mol | kg−1·mol−1·s3·A2 |
出典
関連項目
参考文献