ETC
電子料金収受システム(英語: Electronic Toll Collection System :エレクトロニック・トール・コレクション・システム, 略称ETC)とは、高度道路交通システムのひとつ。有料道路を利用する際に料金所で停止することなく料金支払いが可能なノンストップ自動料金収受システムで、電子決済(キャッシュレス決済)の一種である。
電子料金収受システム | |
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通称 | ETC |
現地表記 | Electronic Toll Collection System |
使用エリア |
全国の高速道路 一部の有料道路 |
導入 | 2001年11月30日 |
規格 | |
運用 | 道路システム高度化推進機構 |
通貨 | 日本円 |
プリペイド機能 | 口座引き落とし |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3a/%E5%BE%A1%E6%AE%BF%E5%A0%B4%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B8001.jpg/220px-%E5%BE%A1%E6%AE%BF%E5%A0%B4%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B8001.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/50/Sign_showing_lanes_with_ETC_system.jpg/220px-Sign_showing_lanes_with_ETC_system.jpg)
概要
編集スマートインターチェンジへの効果
編集ETCの普及に伴い、各料金所において恒常化していた渋滞が減少し、有料道路の出入口に関する施設が小型化できるようになった。そのため従来は建設不可能だった場所にもインターチェンジを建設することが可能となり、ETCでの通行のみ可能とするスマートインターチェンジ(スマートIC)が開発された。
実証実験を経て、2006年(平成18年)10月1日から恒久化された。その後、スマートインターチェンジ単独での建設も進み、利便性の向上が図られている。なお、通常のインターチェンジのETC料金所とは異なって、すべてのスマートインターチェンジにおいては、その通行車両は一旦停止が必要である。
日本のETC
編集日本での歴史
編集現況
編集2012年(平成24年)1月1日から首都高速道路と阪神高速道路(京都線を除く)の通行料金制度が均一料金制から距離別料金制へ移行し、ETC非搭載車の両高速の通行料金が値上げとなった(当初は2009年度から実施予定だったが、経済情勢悪化などの事情から実施が見送られていた)。そのためETCがさらに普及し、2021年4月現在の利用率は93.3 %に達した。2021年5月1日からは名古屋高速道路においても、同様に通行料金が均一制から距離別料金制に移行している。
利用率の推移(統計)
編集年・月 | 利用台数/日 | 利用率 | うちETC2.0利用台数/日 | うちETC2.0利用率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2001年4月 | 7万2千台 | - | |||
2002年4月 | 11万4.6千台 | 2.0 % | |||
2003年4月 | 36万1.3千台 | 5.6 % | |||
2004年4月 | 125万6千台 | 17.3 % | |||
2005年4月 | 283万1千台 | 37.9 % | |||
2006年4月 | 443万6千台 | 58.5 % | |||
2007年4月 | 513万2千台 | 66.7 % | |||
2008年4月 | 559万5千台 | 72.8 % | |||
2009年4月 | 597万4千台 | 79.4 % | |||
2010年4月 | 660万8千台 | 84.2 % | |||
2011年4月 | 687万4千台 | 81.4 % | |||
2012年4月 | 675万6千台 | 86.8 % | |||
2013年4月 | 704万3千台 | 88.2 % | |||
2014年4月 | 699万3千台 | 89.1 % | |||
2015年4月 | 705万7千台 | 89.2 % | |||
2016年4月 | 722万5千台 | 89.8 % | 12万1千台 | 1.5% | |
2017年4月 | 741万1千台 | 90.5 % | 107万台 | 13.1% | |
2018年4月 | 742万7千台 | 91.3 % | 134万1千台 | 16.6 % | |
2019年4月 | 773万5千台 | 92.1 % | 164万6千台 | 19.7 % | |
2020年4月[注釈 2] | 560万0千台 | 93.2 % | 153万0千台 | 25.7 % | |
2021年4月 | 731万7千台 | 93.3 % | 205万2千台 | 26.4 % | |
2022年4月 | 771万2千台 | 93.9 % | 232万7千台 | 28.5 % |
年表
編集車載器の機構と使用法
編集車載器の種類
編集セットアップ
編集- セットアップ店にて「セットアップ申込書」を記入しITS-TEAに申請する
- ITS-TEAが「セットアップ情報」を生成しセットアップ店に伝達する
- セットアップ情報が書き込まれた「ETCセットアップカード」を車載器に読み込ませる[29]
- 「セットアップ証明書」が渡される
ETCカード
編集ETCクレジットカード
編集ETCパーソナルカード
編集ETCコーポレートカード
編集ETCレンタルカード
編集トヨタレンタリースほか大手レンタカー業者では、自前のETCカードを持たずに来店したレンタカー顧客向けにETCレンタルカード貸与サービスを提供している。利用料金は、業者、利用条件によって異なるが、1回330円(2022年8月現在)が多い。利用者は営業所でチェックアウト(借出)時に利用契約書に署名し、チェックイン(返車)時に実際に使用した道路料金を営業所の端末で読み出して精算すればよく、日本国内に金融拠点(銀行やクレジットカード口座)を持たない外国人でも簡単に使用できる。
料金所の路側機器
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e7/ETCsystem.jpg/220px-ETCsystem.jpg)
ETCレーン
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/11/%E5%A0%A4%E8%A5%BF%E6%96%99%E9%87%91%E6%89%80.jpg/220px-%E5%A0%A4%E8%A5%BF%E6%96%99%E9%87%91%E6%89%80.jpg)
ETCレーンがない場合
編集ETCレーンの閉鎖
編集一旦停止型ETC
編集前述のノンストップタイプとは別に、通過時に一旦停止を求められるタイプのものもあり、それらはスマートインターチェンジ(一部除く)やETC対応駐車場などで運用されている。 料金所設備構成としては通常のものと比べ、発進制御棒の仕様が違っていたり信号灯や運用表示部がない(一部を除く)など簡素な造りとなっているのが特徴である。
スマートインターチェンジは、ETCが使用出来ない車両が誤って進入してしまった場合も引き返す事が出来るようUターン路などが設けられている。
また、レーンが複数ある料金所であるが中部縦貫自動車道(安房峠道路)の平湯料金所のETC専用レーンのようにバーの手前で一旦停止する必要があるタイプも存在する。
フリーフローETC
編集ETCが利用できない道路
編集高速自動車国道と都市高速道路ではETC整備が完了しており、全ての料金所でETC無線通行またはETCカードでの支払いが可能となっている。しかし、それ以外の有料道路ではETCカードすら利用できないところが多い。設置しない理由は、ETC無線通行を導入するためには、1レーン当たり1億7千万円の設置費がかかり、メンテナンス費用も高額なためである[42]。解消のため、ネットワーク型ETC技術を使用した設置が安価なワンストップ型ETC(「ETCX」や「ETCGO」)の導入が進められている。
外見はNEXCO管理の高速道路や有料道路のように見えても、実際の管理は各府県の道路公社が行っている場合もあり、ETCの利用可否を事前に確認する必要がある。ETCが使えない道路では起点や料金所手前予告標識に「ETCは利用できません」と書いてあるところもあれば、料金所で初めてその旨の標識を置いている所もある。
二輪車用ETC
編集導入までの経緯
編集二輪車ツーリングプランの設定
編集ETC割引制度
編集NEXCO各社管轄の高速自動車国道や首都高速、阪神高速、名古屋高速等の都市高速道路をETC搭載車が、ある特定の条件で利用すると通行料が割引になる。
ETC車載器リース制度など
編集ETC普及に伴う問題
編集ETCレーン走行時の事故と対策
編集通行速度について
編集不正通行の増加
編集時間制割引制度の利用に伴う問題
編集暴力団関係者の利用
編集暗号化方式の脆弱性 (ETC 2030年問題)
編集ETC2.0
編集ETC2.0の沿革
編集サービス内容
編集ETC2.0対応車載器
編集サービスを利用するには、ETC2.0に対応した車載器(DSRC車載器)が必要で、ETC同様(一財)ITSサービス高度化機構(ITS-TEA)に登録された店舗にてセットアップを行う必要がある。
ETC2.0に対応するカーナビゲーションと連動させることで、これらの情報が画面に表示される。インターネット接続では地図情報のほか、映像・音楽配信のサービスも検討されている。
ETC多目的利用サービス
編集ETCシステムを活用した決済サービスは、有料道路以外でも一部に導入例がある。
2019年11月11日「ETC多目的利用の利用に関する要綱」が定められた事により、ETCカードの有料道路以外利用の商業化が可能となった[85]。
ネットワーク型ETC技術
編集2000年代の展開
編集2013年以降の展開
編集「ETCX」と「ETCGO」
編集その他(実証実験など)
編集上記の2例の他、パーク24がNEXCO東日本と提携し、2018年に日比谷駐車場にてモニターでのネットワーク型ETCシステムによる試験を実施[104][105]した他、阪神高速道路もETC多目的利用サービスへの参加を表明している[106]。
ETC機器製造・販売者
編集車載器
編集- アルパイン
- クラリオン
- ダイハツ工業(デンソーおよびパナソニックより供給を受けている)
- トヨタ自動車(デンソーおよびパナソニックより供給を受けている)
- パイオニア(三菱電機および古野電気より供給を受けている)
- SUBARU(旧・富士重工業)
- デンソーテン(旧・富士通テン)
- ホンダアクセス(三菱電機およびパナソニックから供給を受けている)
- 日産自動車(パナソニックから供給を受けている)
- マスプロ電工
- 矢崎総業(デンソーおよび古野電気より供給を受けている。かつてはパナソニックおよび三菱重工業から供給を受けていた[注釈 15])
- NECアクセステクニカ[109][110]
かつて製造していたメーカー
編集路側機
編集車両検知器
編集諸外国におけるETCに類する電子課金システム
編集各国でETCに相当する電子課金システムが運用されているが、料金所にバーがないシステム、車載器を必要としないシステムなどもあり、ETC方式とは異なる。
イタリア
編集1989年に、イタリアのアウトストラーダでテレパス (TELEPASS) という無線式料金収受システムが導入され、後のETCの先駆けとなった[111]。
中国
編集韓国
編集大韓民国ではハイパス (Hi-pass) という名称で導入され、高速国道全路線と大部分の有料道路通行料の決済に使われている。料金制は先払い制と後払い制が混用されている。
アメリカ
編集シンガポール
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日。ISBN 4-534-03315-X。
関連項目
編集- DSRC - ETC2.0が利用している規格
- 道路交通情報通信システム(VICS)
- スマートインターチェンジ - ETC搭載車専用インターチェンジ
- スマートループ - ユーザーから収集した情報で提供される渋滞情報サービス。パイオニアが運営する。
- スマートループアイ - 画像で特定の場所の情報が分かるサービス。スマートループの姉妹サービス。同じくパイオニア運営。
- 首都高X - Edyを利用したシステム
- en:E-Z Pass - アメリカ版ETC
- ハイパス - 韓国版ETC
- PiTaPa - 関西圏の私鉄・バスにおける同様のシステム