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|主要聖地=[[アーマー]]、[[クロー・パトリック]]

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[[File:Saint Patrick Catholic Church (Junction City, Ohio) - stained glass, Saint Patrick - detail.jpg|thumb|[[シャムロック]]の葉を手にしたパトリキウスのステンドグラス([[アメリカ合衆国|米国]][[オハイオ州]]聖パトリック教会)]]

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''''''{{lang-la|Sanctus Patricius}}{{efn2|[[]] {{IPA-la|päˈt̪ɾɪkiʊs̠|}}, [[]] {{IPA-la|pɑˈt̪riːt͡ʃius|}}[[]]"[[wikt:en:Patricius|Patricius]]"}}[[387]]?<!--  --> - [[461]][[317]]''''''[[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[使]]{{sfn||p=114}}[[|]]{{lang|ga|}}[[|]][[]]

'''聖パトリキウス'''({{lang-la|Sanctus Patricius}}{{efn2|[[古典ラテン語]]ではパトリキウス {{IPA-la|päˈt̪ɾɪkiʊs̠|}}, [[教会ラテン語]]ではパトリチウス {{IPA-la|pɑˈt̪riːt͡ʃius|}}:英語版[[ウィクショナリー]][[wiktionary:Patricius|Patricius]]の項より。}}、[[387年]]?<!-- 英文ウィキから --> - [[461年]][[3月17日]])、'''聖パトリック'''は、[[アイルランド]]に[[キリスト教]]を広めた[[修道士]]、[[司教]]([[主教]])。[[カトリック教会]]・[[聖公会]]・[[ルーテル教会]]・[[正教会]]で[[聖人]]とされる。アイランドでのキリスト教の始祖として仰がれ、「アイルランドの[[使徒]]」と呼ばれる{{sfn|テイラー|p=114}}。[[コルンバ|聖コルンバ]]({{lang|ga|コルム・キル}})、[[キルデアのブリギッド|聖ブリギッド]]とともに、アイルランドの三[[守護聖人]]の筆頭格とされる。




<ref name="laudate">[[#laudate|Laudate ]]</ref>[[]]<ref name="nskk1990">{{citation||title=|volume-title=1990|publisher=|year=1991}}</ref><ref>{{cite web|url=http://hollycross.butanishinju.com/saint/sainttop.htm|title=|publisher= |accessdate=2021-09-14}}</ref>'''[[]]'''{{lang|en|Saint Patrick}}[[|]][[]]"{{lang|ga|Naomh [[w:Pádraig|Pádraig]]}}"{{efn2|[[|]] {{IPA-ga|n̪ˠiːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪc|}}, [[]] {{IPA-ga|n̪ˠeːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪɟ|}}, [[]] {{IPA-ga|n̪ˠiːw ˈpˠæːɾˠɪc|}}[[]]"[[wikt:en:Naomh|Naomh]]""[[wikt:en:Pádraig|Pádraig]]""Naomh""Saint"}}[[]]{{lang|ru|Патри́кий}}

<ref name="laudate">[[#laudate|Laudate ]]</ref>[[]]<ref name="nskk1990">{{citation||title=|volume-title=1990|publisher=|year=1991}}</ref><ref>{{Cite web||url=http://hollycross.butanishinju.com/saint/sainttop.htm|title=|publisher= |accessdate=2021-09-14}}</ref>'''[[]]''' ({{en|Saint Patrick}}) [[]] {{lang|ga|Naomh [[w:Pádraig|Pádraig]]}} {{efn2|[[|]] {{IPA-ga|n̪ˠiːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪc|}}, [[]] {{IPA-ga|n̪ˠeːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪɟ|}}, [[]] {{IPA-ga|n̪ˠiːw ˈpˠæːɾˠɪc|}}[[]] [[wiktionary:Naomh|Naomh]]  [[wiktionary:Pádraig|Pádraig]] Naomh  Saint }}[[]] ({{ru|Патри́кий}}) 


== 伝記 ==

== 伝記 ==

パトリキウスの生涯については、同年代の[[史料]]は残されておらず、パトリキウス自身が記述したと伝わるわずかなラテン語文書と、200年以上後に書かれた[[年代記]]等からの推測、そして数多の[[伝承|民間伝承]]から読み取るほかない<ref name="saints">[[#saints|聖人の島アイルランド]]</ref>。

パトリキウスの生涯については、同年代の[[史料]]は残されておらず、パトリキウス自身が記述したと伝わるわずかなラテン語文書と、200年以上後に書かれた[[年代記]]等からの推測、そして数多の[[伝承|民間伝承]]から読み取るほかない<ref name="saints">[[#saints|聖人の島アイルランド]]</ref>。




[[387]][[西]][[]][[]][[|]][[]]西[[]]<ref name="wales">[[#wales|]]</ref>[[]][[]]Bannavem Taburniae[[]]{{||en|Banwen}}<ref name="wales" />[[]][[|]]{{sfn||p=114}}16[[]][[]]6[[]]300km<ref name="momoyama">[[#momoyama|]]</ref>

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その後、[[キリスト教神学]]を学ぶため[[ヨーロッパ大陸]]へ渡り、[[ガリア]]([[フランス]])の{{仮リンク|レラン|fr|Léran}}や[[オセール]]の[[修道院]]で、[[修道士]]として{{仮リンク|オセールのゲルマヌス|en|Germanus of Auxerre}}らに師事し学んだ<ref name="kotobank">[[#kotobank|コトバンク]]</ref><ref name="greelane">[[#greelane|アイルランドの守護聖人、聖パトリックの生涯について学ぶ]]</ref>。

その後、[[キリスト教神学]]を学ぶため[[ヨーロッパ大陸]]へ渡り、[[ガリア]]([[フランス]])の{{仮リンク|レラン|fr|Léran}}や[[オセール]]の[[修道院]]で、[[修道士]]として{{仮リンク|オセールのゲルマヌス|en|Germanus of Auxerre}}らに師事し学んだ<ref name="kotobank">[[#kotobank|コトバンク]]</ref><ref name="greelane">[[#greelane|アイルランドの守護聖人、聖パトリックの生涯について学ぶ]]</ref>。

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パトリキウスは、自分を奴隷として虐待したアイルランド人らに対する愛と伝道の使命を与えられたと家族らに話したが、反対を受けた{{sfn|テイラー|p=116}}。だが結局、[[教皇|ローマ司教]][[カエレスティヌス1世 (ローマ教皇)|チェレスティヌス]]から布教の命を受け、[[432年]]に[[宣教師]]・[[司教]]として再びアイルランドを訪れる。

パトリキウスは、自分を奴隷として虐待したアイルランド人らに対する愛と伝道の使命を与えられたと家族らに話したが、反対を受けた{{sfn|テイラー|p=116}}。だが結局、[[教皇|ローマ司教]][[カエレスティヌス1世 (ローマ教皇)|チェレスティヌス]]から布教の命を受け、[[432年]]に[[宣教師]]・[[司教]]として再びアイルランドを訪れる。




[[]][[|]][[]][[]][[]][[西]][[]]<ref name="saints" />[[|]][[]][[]]{{efn2|[[]][[]]<ref>{{citation||last=西|first=|title=|publisher=[[]]|year=2016|isbn=978-4-7642-6125-9|pages=37-45}}2012</ref>[[#]]}}

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パトリキウスについてはいくつもの伝承が語られており、そのうち最も有名なものは、三つ葉の[[シャジクソウ属|クローバー]]に似た[[シャムロック]]の葉を手にして「[[三位一体]]」の教義を説いたというもので、シャムロックはパトリキウスのシンボル、またアイルランドのシンボルともなっている。これも、元来ケルト人の在来信仰において「3」という数字が神聖視されていたことや、[[ケルト神話]]の「三組神」信仰がベースにあったため、アイルランドのケルト人にとって受け入れやすいモチーフであったとも考えられる<ref name="shamrock">{{wayback|url=http://inj.or.jp/seanachai/ireland/05shamrock.html|title=アイルランドのシンボル 「シャムロック」|publisher=アイリッシュ・ネットワーク・ジャパン|date=20100403094901}}</ref>。

パトリキウスについてはいくつもの伝承が語られており、そのうち最も有名なものは、三つ葉の[[シャジクソウ属|クローバー]]に似た[[シャムロック]]の葉を手にして「[[三位一体]]」の教義を説いたというもので、シャムロックはパトリキウスのシンボル、またアイルランドのシンボルともなっている。これも、在来信仰において「3」という数字が神聖視されていたことや、[[ケルト神話]]の「三組神」信仰がベースにあったため、アイルランド人にとって受け入れやすいモチーフであったとも考えられる<ref name="shamrock">{{wayback|url=http://inj.or.jp/seanachai/ireland/05shamrock.html|title=アイルランドのシンボル 「シャムロック」|publisher=アイリッシュ・ネットワーク・ジャパン|date=20100403094901}}</ref>。




[[444]][[]][[]][[]][[]][[]]<ref name="saints" />{{||en|Primate of All Ireland}}{{||en|Archbishop of Armagh}}{{efn2|[[]]"ArchbishopofArmagh"}}

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パトリキウスは、キリスト教の伝道のためにアイルランドへ行った最初の人物でも、唯一の人物でもなかったが、本格的なキリスト教([[ケルト系キリスト教]])の歴史開始の象徴となっている。彼は365の教会を建て、12万人が改宗し、2000人の[[司祭]]、200人の[[司教]]を[[叙階]]したと伝えられている{{sfn|テイラー|p=117}}<ref name="momoyama" />。多くの場合、司教を[[修道院]]長、司祭を[[修道士]]として、[[教会 (キリスト教)|教会]]と[[修道院]]が密接に結びついた組織体系を築いたが、これは以後の[[ケト系キリスト教]]の特徴となった<ref name="momoyama" />。

パトリキウスは、キリスト教の伝道のためにアイルランドへ行った最初の人物でも、唯一の人物でもなかったが、本格的なキリスト教の歴史開始の象徴となっている。彼は365の教会を建て、12万人が改宗し、2000人の[[司祭]]、200人の[[司教]]を[[叙階]]したと伝えられている{{sfn|テイラー|p=117}}<ref name="momoyama" />。多くの場合、司教を[[修道院]]長、司祭を[[修道士]]として、[[教会 (キリスト教)|教会]]と[[修道院]]が密接に結びついた組織体系を築いたが、これは以後のアイランドの特徴となった<ref name="momoyama" />。



著書に『聖パトリックの告白』と『コロティクスの兵士への手紙』があると伝わる。また、「聖パトリックの胸板の祈り」[[w:Saint Patrick's Breastplate|Saint Patrick's Breastplate]]などの[[イムヌス|ラテン語讃歌]]の作詞者とも言い伝えられている{{sfn|テイラー|p=116}}。

著書に『聖パトリックの告白』と『コロティクスの兵士への手紙』があると伝わる。また、「聖パトリックの胸板の祈り」([[w:Saint Patrick's Breastplate|Saint Patrick's Breastplate]]) などの[[イムヌス|ラテン語讃歌]]の作詞者とも言い伝えられている{{sfn|テイラー|p=116}}。



==聖パトリックの日==

==聖パトリックの日==

{{main|聖パトリックの祝日}}

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[[ファイル:Día de San Patricio Buenos Aires 2.jpg|thumbnail|190px|right|聖パトリックの祝日, [[ブエノスアイレス]] ([[アルゼンチン]])]]

[[ファイル:Día de San Patricio Buenos Aires 2.jpg|サムネイル|190ピクセル|聖パトリックの祝日, [[ブエノスアイレス]] ([[アルゼンチン]])]]

パトリキウスの命日と伝わる[[3月17日]]は、[[西方教会]]で記念日とされる。現在のカトリック教会では任意の記念日である<ref>{{wayback|url=http://1st.geocities.jp/j_eishun/C_Saintsday_A4P4.pdf|title=カトリックの聖人暦(一般ローマ暦)|date=20190326110239}}</ref>が、アイルランドや[[アイルランド系アメリカ人|アイルランド系移民]]の多い[[アメリカ合衆国|米国]]、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]等では、「[[聖パトリックの祝日|セント・パトリックス・デイ]]」(St. Patrick's Day)として盛大に祝われている。特に米国では世俗化・一般化して広く普及し、カトリック信徒やアイルランド系移民でない者でも、[[シャムロック]]の色でありアイルランドのシンボルカラーでもある「緑」の服を着るなどして、街頭[[パレード]]や[[パブ]]での[[ケルト音楽]][[ライブ]]を伴うこの行事に参加する人も多い。

パトリキウスの命日と伝わる[[3月17日]]は、[[西方教会]]で記念日とされる。現在のカトリック教会では任意の記念日である<ref>{{wayback|url=http://1st.geocities.jp/j_eishun/C_Saintsday_A4P4.pdf|title=カトリックの聖人暦(一般ローマ暦)|date=20190326110239}}</ref>が、アイルランドや[[アイルランド系アメリカ人|アイルランド系移民]]の多い[[アメリカ合衆国|米国]]、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]等では、「[[聖パトリックの祝日|セント・パトリックス・デイ]]」(St. Patrick's Day) として盛大に祝われている。特に米国では世俗化・一般化して広く普及し、カトリック信徒やアイルランド系移民でない者でも、[[シャムロック]]の色でありアイルランドのシンボルカラーでもある「緑」の服を着るなどして、街頭[[パレード]]や[[パブ]]での[[演奏会|ライブ]]を伴うこの行事に参加する人も多い。



== 色々な伝説 ==

== 色々な伝説 ==

パトリキウスは伝説の多い人物である。その一部を挙げる。

パトリキウスは伝説の多い人物である。その一部を挙げる。


;アイルランドに蛇がいない

;アイルランドに蛇がいない

アイルランドに[[ヘビ]]がいないことの理由としてパトリキウスの名前が挙げられることがある。かつてアイルランド南部の[[キラーニー]]のそばの湖に賢いヘビがおり、パトリキウスはそのヘビと交渉し、箱のなかに閉じ込めて湖の中に投げ捨てたという物語がある<ref>{{Cite book|author=Peter Parley|title=Universal History,on the basis of Geography|date=1869|page=542}}</ref>。その際「明日になったら出してやる」と約束されたので、「もう明日になったかな?(Is to-morrow come yet?」という哀れな声を漁師が聞いたという。また、パトリキウスは太鼓を鳴らして蛇や有害な動物達をアイルランドから海へと追いやり、以後これらの有毒な動物はアイルランドの大地に触れるだけで死に至るようになったともいう。そのためアイルランドの木々さえも毒に対する効能を持ち、[[ケンブリッジ大学]]の書物にも「アイルランドの木材で建てられた建築物にはクモが寄り付くことは決してない」とあるほどである。

:アイルランドに[[ヘビ]]がいないことの理由としてパトリキウスの名前が挙げられることがある。かつてアイルランド南部の[[キラーニー]]のそばの湖に賢いヘビがおり、パトリキウスはそのヘビと交渉し、箱のなかに閉じ込めて湖の中に投げ捨てたという物語がある<ref>{{Cite book|author=Peter Parley|title=Universal History,on the basis of Geography|date=1869|page=542}}</ref>。その際「明日になったら出してやる」と約束されたので、「もう明日になったかな? (Is to-morrow come yet?)」という哀れな声を漁師が聞いたという。また、パトリキウスは太鼓を鳴らして蛇や有害な動物達をアイルランドから海へと追いやり、以後これらの有毒な動物はアイルランドの大地に触れるだけで死に至るようになったともいう。そのためアイルランドの木々さえも毒に対する効能を持ち、[[ケンブリッジ大学]]の書物にも「アイルランドの木材で建てられた建築物にはクモが寄り付くことは決してない」とあるほどである。


;ドルイドとの力比べ

;ドルイドとの力比べ

ケルトの聖地「[[タラの丘]]」へ赴いたパトリキウスは、[[アイルランド上王]]の前でケルト在来信仰の神官[[ドルイド]]との法力対決を行った。ドルイドの[[魔術]]に対して[[奇跡]]を起こし、最後にはドルイドを屈服させたという<ref name="saints" />。また、パトリキウスはドルイド教で火を焚くのが禁じられている日に、丘の上で火を焚いた。アイルランド王は彼を罰しようとしたが、不思議な力により、王はパトリキウスがまことの神から遣わされたことを信じたという{{sfn|テイラー|p=116}}。

:聖地「[[タラの丘]]」へ赴いたパトリキウスは、[[アイルランド上王]]の前で在来信仰の神官[[ドルイド]]との法力対決を行った。ドルイドの[[魔術]]に対して[[奇跡]]を起こし、最後にはドルイドを屈服させたという<ref name="saints" />。また、パトリキウスはドルイド教で火を焚くのが禁じられている日に、丘の上で火を焚いた。アイルランド王は彼を罰しようとしたが、不思議な力により、王はパトリキウスがまことの神から遣わされたことを信じたという{{sfn|テイラー|p=116}}。


;クロー・パトリック

;クロー・パトリック

[[メイヨー県]]には[[クロー・パトリック]]という山の頂上に教会があって、パトリキウスは[[四旬節]]の40日間にここで[[断食]]を行ったといわれ、毎年、何万人もの人が山に[[巡礼]]にやってくる。

:[[メイヨー県]]には[[クロー・パトリック]]という山の頂上に教会があって、パトリキウスは[[四旬節]]の40日間にここで[[断食]]を行ったといわれ、毎年、何万人もの人が山に[[巡礼]]にやってくる。


;パトリキウスの死とウイスキー

;パトリキウスの死とウイスキー

[[461年]]、パトリキウスは臨終の際、友人や信者に「私のことは悲しまず、[[天国]]へ行く私のために祝って欲しい、そして心の痛みを和らげるよう、何かの雫を飲むように」と言葉を残した。そのためアイルランドでは[[ウイスキー]]が好まれるようになったという。

:[[461年]]、パトリキウスは臨終の際、友人や信者に「私のことは悲しまず、[[天国]]へ行く私のために祝って欲しい、そして心の痛みを和らげるよう、何かの雫を飲むように」と言葉を残した。そのためアイルランドでは[[ウイスキー]]が好まれるようになったという。



== 脚注 ==

== 脚注 ==

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== 参考文献・サイト ==

== 参考文献・サイト ==

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*{{Cite book|和書|author=コリン・ジョイス|translator=森田浩之|title=驚きの英国史|series=[[NHK出版新書]]|publisher=[[NHK出版]]|date=2012|isbn=9784140883808|pages=108-112|ref={{SfnRef|ジョイス|2012}} }}

*{{Cite book|和書|author=コリン・ジョイス|translator=森田浩之|title=驚きの英国史|series=[[NHK出版新書]]|publisher=[[NHK出版]]|date=2012|isbn=978-4-14-088380-8|pages=108-112|ref={{SfnRef|ジョイス|2012}} }}


*{{Cite book||title=|author=[[]]|publisher=|others=|date=|ref={{SfnRef|}} }}{{Full citation needed|title=199119772使|date=2019-06-24}}

*{{Cite book||title=|author=|authorlink=|publisher=|others=|date=|ref={{SfnRef|}} }}{{Full citation needed|title=199119772使|date=2019-06-24}}

* <cite id="kotobank">{{cite web|url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF-115528|title=パトリックとは:小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』、平凡社『世界大百科事典』第2版|publisher=コトバンク|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="kotobank">{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF-115528|title=パトリックとは:小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』、平凡社『世界大百科事典』第2版|publisher=コトバンク|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="saints">{{wayback|url=http://www.globe.co.jp/information/saint/saint-1.html#ls2|title=聖人の島アイルランド|date=20151015072711}}</cite>

* <cite id="saints">{{wayback|url=http://www.globe.co.jp/information/saint/saint-1.html#ls2|title=聖人の島アイルランド|date=20151015072711}}</cite>

* <cite id="greelane">{{cite web|url=https://www.greelane.com/ja/%e6%96%87%e7%b3%bb/%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e3%81%a8%e6%96%87%e5%8c%96/st-patrick-patron-saint-of-ireland-112446/|title=アイルランドの守護聖人、聖パトリックの生涯について学ぶ|publisher=Greelane.com|date=2020-11-07|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="greelane">{{Cite web|和書|url=https://www.greelane.com/ja/%e6%96%87%e7%b3%bb/%e6%ad%b4%e5%8f%b2%e3%81%a8%e6%96%87%e5%8c%96/st-patrick-patron-saint-of-ireland-112446/|title=アイルランドの守護聖人、聖パトリックの生涯について学ぶ|publisher=Greelane.com|date=2020-11-07|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="laudate">{{cite web|url=https://www.pauline.or.jp/calendariosanti/gen_saint365.php?id=031701|title=聖人カレンダー 3月17日 聖パトリック司教|publisher=Laudate [[女子パウロ会]]|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="laudate">{{Cite web|和書|url=https://www.pauline.or.jp/calendariosanti/gen_saint365.php?id=031701|title=聖人カレンダー 3月17日 聖パトリック司教|publisher=Laudate [[女子パウロ会]]|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="momoyama">{{cite web|url=http://hollycross.butanishinju.com/saint/0317.pdf|title=3月17日 主教パトリック|publisher=[[日本聖公会]] 桃山基督教会|accessdate=2021-09-13}}(出典:C. バリョヌエボ『ミサの前に読む聖人伝』、『キリスト教人名辞典』)</cite>

* <cite id="momoyama">{{Cite web|和書|url=http://hollycross.butanishinju.com/saint/0317.pdf|title=3月17日 主教パトリック|publisher=[[日本聖公会]] 桃山基督教会|accessdate=2021-09-13}}(出典:C. バリョヌエボ『ミサの前に読む聖人伝』、『キリスト教人名辞典』)</cite>

* <cite id="wales">{{cite web|url=https://www.wales.com/ja/about/culture/wales-and-ireland|title=ウェールズとアイルランドの絆|publisher=Wales.com|accessdate=2021-09-13}}</cite>

* <cite id="wales">{{Cite web|和書|url=https://www.wales.com/ja/about/culture/wales-and-ireland|title=ウェールズとアイルランドの絆|publisher=Wales.com|accessdate=2021-09-13}}</cite>



== 関連項目 ==

== 関連項目 ==

{{Commonscat|Saint Patrick}}

{{Commonscat|Saint Patrick}}

{{Wikisource author}}

* [[ケルト系キリスト教]]

{{Wikisource author|wslanguage=la}}

*

* [[アイルランド聖公会]]

* [[アイルランド聖公会]]

* [[聖パトリック旗]]

* [[聖パトリック旗]]

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* [[クロー・パトリック]]

* [[クロー・パトリック]]

* [[セント・パトリック大聖堂]]([[Wikipedia:曖昧さ回避|曖昧さ回避ページ]])<!--全てを本項に記載すると冗長であるため、曖昧さ回避のまま-->

* [[セント・パトリック大聖堂]]([[Wikipedia:曖昧さ回避|曖昧さ回避ページ]])<!--全てを本項に記載すると冗長であるため、曖昧さ回避のまま-->

{{アイルランド関連の項目}}

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[[Category:アイルランドの宗教家]]

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[[Category:中世ウェールズの人物]]

[[Category:中世ウェールズの人物]]


2024年3月20日 (水) 03:47時点における最新版

聖パトリック
Patricius/Patrick/Pádraig
アイルランドタラの丘の聖パトリック像
聖人修道院長司教/主教
他言語表記 ラテン語: Patricius, 英語: Patrick, アイルランド語: Pádraig
生誕 387年?
ブリタンニア、現在の英国ウェールズ?
死没 461年3月17日
アイルランドダウン県ソール
崇敬する教派 カトリック教会聖公会ルーテル教会正教会
主要聖地 アーマークロー・パトリック
記念日 3月17日聖パトリックの祝日
象徴 三つ葉のシャムロック
守護対象 アイルランドカトリック教会ニューヨーク大司教区英語版
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シャムロックの葉を手にしたパトリキウスのステンドグラス(米国オハイオ州聖パトリック教会)

: Sanctus Patricius[ 1]387? - 461317使[1]

[2][3][4] (Saint Patrick)  Naomh Pádraig [ 2] (Патри́кий) 

[]


200[5]

387西西[6](Bannavem Taburniae) [6][1]166300[7]

[8][9] 

使[10]432

西[5][ 3]

3[12]

444[5][ 4]

365122000200[13][7][7]

(Saint Patrick's Breastplate) [10]

聖パトリックの日[編集]

聖パトリックの祝日, ブエノスアイレス (アルゼンチン)

317西[14](St. Patrick's Day) 

[]






[15] (Is to-morrow come yet?)



[5][10]



40



461

[]

注釈[編集]



(一)^  [päˈt̪ɾɪkiʊs̠],  [pɑˈt̪riːt͡ʃius] Patricius 

(二)^  [n̪ˠiːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪc],  [n̪ˠeːvˠ ˈpˠɑːɾˠɪɟ],  [n̪ˠiːw ˈpˠæːɾˠɪc] Naomh  Pádraig Naomh  Saint 

(三)^ [11]#

(四)^  Archbishop of Armagh 

出典[編集]



(一)^ ab, p. 114.

(二)^ Laudate 

(三)^ 19901991 

(四)^ .   . 2021914

(五)^ abcd

(六)^ ab

(七)^ abc

(八)^ 

(九)^ 

(十)^ abc, p. 116.

(11)^ 西201637-45ISBN 978-4-7642-6125-9 2012

(12)^   - 201043

(13)^ , p. 117.

(14)^  - 2019326

(15)^ Peter Parley (1869). Universal History,on the basis of Geography. p. 542 

参考文献・サイト[編集]


 NHK︿NHK2012108-112ISBN 978-4-14-088380-8 

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2.  . 2021913

 - 20151015

.  Greelane.com (2020117). 2021913

317 .  Laudate . 2021913

317 .   . 2021913C. 

.  Wales.com. 2021913

[]