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'''中華民国海軍'''(ちゅうかみんこくかいぐん、中華民國海軍、{{lang-en|Republic of China Navy}})は[[中華民国]]([[台湾]])の[[海軍]]である。 |
'''中華民国海軍'''︵ちゅうかみんこくかいぐん、中華民國海軍、{{lang-en|Republic of China Navy}}︶は[[中華民国]]︵[[台湾]]︶の[[海軍]]である。1911年の[[辛亥革命]]を受けての成立時点では[[清国海軍]]の後継組織だったが、[[国共内戦]]で中華民国が大陸の領土をほぼ喪失した1949年︵解釈によっては中華民国が国連代表権を失った1970年代︶以降の立場をどう定義付けるかは、国際関係︵[[中台関係]]、[[台湾問題]]、[[一つの中国]]も参照︶が絡む難しい問題となる。
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==現状== |
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中華民国海軍の主な任務は、[[台湾]]本土を始めとする領土と[[シーレーン]]を、[[中国人民解放軍海軍]]による攻撃、侵入および[[海上封鎖|封鎖]]から防衛することである。
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21世紀初頭の中華民国海軍の主な任務は、[[台湾]]本土を始めとする領土と[[シーレーン]]を、[[中国人民解放軍海軍]]による攻撃、侵入および[[海上封鎖|封鎖]]から防衛することである。
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なお、海軍が海上警察業務を兼ねたり海上警察組織を傘下に置いたりする国々は多いが、台湾では海上警察業務は海軍ではなく、日本の[[海上保安庁]]にあたる[[海巡署]]が独立して担当している。 |
なお、海軍が海上警察業務を兼ねたり海上警察組織を傘下に置いたりする国々は多いが、台湾では海上警察業務は海軍ではなく、日本の[[海上保安庁]]にあたる[[海巡署]]が独立して担当している。 |
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==歴史== |
==歴史== |
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===1911 - |
===1911 -(中国海軍)=== |
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[[File:Chinese Navy 1914.PNG|thumb|left|250px|1914年の中華民国軍艦の識別図]] |
[[File:Chinese Navy 1914.PNG|thumb|left|250px|1914年の中華民国軍艦の識別図]] |
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[[国共内戦]]に敗れて台湾へ撤退するまで、中華民国は[[中国大陸]]を統治し、海軍は中国沿岸海域や船舶の航行が可能な大河で活動していた。中華民国成立後は経費不足、[[軍閥]]の割拠に加えて列強による武器禁輸政策によって、中華民国海軍の発展は停滞期に入る。[[北伐 (中国国民党)|北伐]]終了後“十年建設”期間において、海軍は比較的大規模な建艦計画を立てた。その頃、中華民国は[[第一次世界大戦]]で[[戦勝国]]となり、 |
[[国共内戦]]に敗れて台湾へ撤退するまで、中華民国は[[中国大陸]]を統治し、海軍は中国沿岸海域や船舶の航行が可能な大河で活動していた。中華民国成立後は経費不足、[[軍閥]]の割拠に加えて列強による武器禁輸政策によって、中華民国海軍の発展は停滞期に入る。[[北伐 (中国国民党)|北伐]]終了後“十年建設”期間において、海軍は比較的大規模な建艦計画を立てた。その頃、中華民国は[[第一次世界大戦]]で[[戦勝国]]となり、海軍はドイツの河用砲艦を[[戦利艦]]として獲得した。
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中華民国建国後間も無く、引き続き海軍を発展させるために海軍署を創設。[[1920年]]の[[尼港事件]]では、[[アムール川]]を下った中国艦艇が、[[ニコラエフスク]]の日本軍兵営を[[艦砲射撃|砲撃]]する事件を起こしている<ref>[[外務省]] 『日本外交文書 大正9年』第一冊下巻p773</ref>。[[1928年]]の北伐勝利後に中央政府は海軍署を海軍部に昇格、軍務、艦政、軍械、海政、軍学、経理等六部が含まれ、更に海軍の増強を開始した。初期の艦隊は艦船約44隻、総排水量3万tあまりだったが、[[支那事変]]([[日中戦争]])勃発直前には艦船58隻、5万tあまりまで増加していた。日中戦争勃発後は経費節減のため、中央政府は海軍部を海軍総司令部に降格。日本軍の攻撃による損害は甚だしく、沿岸部を喪失した海軍は僅かに残された[[砲艦]]で河川や湖に[[機雷]]を敷設し、日本軍が河川を利用して軍隊や補給物資が中国奥地まで運ぶのを阻止するだけだった。 |
中華民国建国後間も無く、引き続き海軍を発展させるために海軍署を創設。[[1920年]]の[[尼港事件]]では、[[アムール川]]を下った中国艦艇が、[[ニコラエフスク]]の日本軍兵営を[[艦砲射撃|砲撃]]する事件を起こしている<ref>[[外務省]] ﹃日本外交文書 大正9年﹄第一冊下巻p773</ref>。[[1928年]]の北伐勝利後に中央政府は海軍署を海軍部に昇格、軍務、艦政、軍械、海政、軍学、経理等六部が含まれ、更に海軍の増強を開始した。初期の艦隊は艦船約44隻、総排水量3万tあまりだったが、[[支那事変]]︵[[日中戦争]]︶勃発直前には艦船58隻、5万tあまりまで増加していた。だが、日中戦争勃発後は経費節減のため、中央政府は海軍部を海軍総司令部に降格。日本軍の攻撃による損害は甚だしく、大型艦艇と沿岸部の領土のほぼ全てを喪失した海軍は僅かに残された[[砲艦]]で河川や湖に[[機雷]]を敷設し、日本軍が河川を利用して軍隊や補給物資が中国奥地まで運ぶのを阻止するだけだった。
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==== 有名な軍艦 ==== |
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日中戦争 |
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* [[永豊 (砲艦)|永豊︵中山︶]]‥[[護法運動]]の混乱の中で[[孫文]]を匿い、[[蔣介石|蒋介石]]による[[中国共産党|共産党]]弾圧︵[[中山艦事件]]︶の舞台になり、日中戦争で戦没。20世紀末に浮揚・保存された。
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⚫ | 台湾海峡の中国大陸側にある[[金門島]]、[[馬祖島]]と、[[南シナ海]]の[[東沙諸島]]と[[太平島]]は中華民国の[[実効支配]]下で保持されたものの、中華民国海軍の主任務は台湾([[澎湖諸島]]など周辺島嶼を含む)の防衛となった。 |
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* [[寧海級巡洋艦|寧海、平海]]‥日本の技術協力で設計・建造された。しかし就役直後に日中関係が悪化し、2隻とも日本軍に撃沈され、浮揚後は日本海軍で使用され戦没した。
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=== 1945 -(国共内戦の当事者) === |
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[[1952年]]、中華民国海軍は駆逐、巡防、[[掃海|掃雷]]、[[上陸戦|登陸]]、[[兵站|後勤]]等の艦隊に改変した。
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1945年、日中戦争の勝利により、中華民国は日本より賠償として数十隻の艦船を接収した。さらに[[アメリカ合衆国|アメリカ]]と[[イギリス]]からも艦艇の譲渡もしくは貸与を受けて海軍の再建を果たした。しかし[[国共内戦]]が再発し、戦況が共産側に有利になると、大量の海軍軍人が国民政府に反旗を翻して主力艦の﹁[[オーロラ (軽巡洋艦・2代)|重慶]]﹂や日本から接収した砲艦などの船ごと[[中国共産党]]へ投降した︵重慶号事件及び第二艦隊叛乱事件︶。[[1950年]]の国民政府[[台湾]]撤退に前後して、海軍艦隊は不利な状況下で[[舟山群島]]、[[海南島]]、[[大陳島撤退作戦|大陳島]]など中国大陸沿岸の島々から撤退を行った。
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=== 1950 - (事実上の台湾海軍) === |
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1950年に[[朝鮮戦争]]が始まると、アメリカは極東政策を転換。一時は見捨てる([[アチソンライン]])かに見えた[[台湾国民政府|台湾の中華民国政府]]を[[東南アジア条約機構|アジア反共勢力]]の一員として支援する方向に切り替えた。アメリカは中華民国に第二次世界大戦時の軍艦を大量に供与。また[[第7艦隊 (アメリカ軍)|第7艦隊]]を支援に充てて、[[中華人民共和国]]へ強い圧力をかけ続けた。 |
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(この間の事象については[[台湾海峡危機]]を参照) |
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この間、[[蔣介石|蒋介石]]は大陸反攻の意思を捨てなかった。中華民国海軍もいずれはアメリカの支援の下で(第二次世界大戦の[[ノルマンディー上陸作戦|ノルマンディー]]や朝鮮戦争の[[仁川上陸作戦|仁川]]のような)中国本土上陸作戦を行うものと捉えていた。しかしソ連と中国が[[核兵器の歴史|核兵器を保有]]すると、大陸反攻は[[キューバ危機]]のように連鎖的に世界を[[核戦争]]に突入させるリスクのある行為となり、アメリカはそのような状況を望まなくなった。米中全面衝突を望まないのは実のところ[[毛沢東]]も一緒だった。こうして([[中ソ対立]]で毛沢東が[[中国人民解放軍海軍|海軍拡張]]を後回しにしなければならなくなったのも手伝って)、1960年代後半に入ると、台湾海峡には暗黙の休戦状態が成立した。 |
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1971年、中華民国は中国の国連代表権を失った。これに伴う対米断交もあって中華民国の地位は非常に不安定になった。中華民国は[[蔣経国|蒋経国]]の下で軍事戦略を攻勢主義から﹁攻守一体﹂に転換、1988年、[[李登輝]]に代替わりするまでの間に、大陸反攻の方針は段階的に放棄されていった。
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[[テンチ級潜水艦|こ]]の間、中華民国海軍は大型艦艇の国産ができず、防衛装備の供給をほぼアメリカに依存していた。しかし歴代のアメリカ政権は二つの中国政府との関係を常に気にする立場にあったので、提供される装備は常にその時点での米海軍の型落ち︵[[ノックス級フリゲート|ノックス級]]、[[キッド級ミサイル駆逐艦|キッド級]]、[[ニューポート級戦車揚陸艦|ニューポート級]]︶やダウングレード品︵[[シコルスキー S-70|S-70]]︶だった。潜水艦の供与は拒否され続け、ガトー級が21世紀に入るまで運用されていた。中華民国海軍は[[ギアリング級駆逐艦|ギアリング級]]など第二次大戦型の駆逐艦も改装に改装を重ねて運用していた︵[[武進一号|武進改装]]︶が、1995年の[[第三次台湾海峡危機]]が起きると台湾は対米依存と軍備旧式化の改善の必要性を認識。[[ガブリエル (ミサイル)|ガブリエル対艦ミサイル]]や[[ラファイエット級フリゲート|ラ・ファイエット級フリゲート]]など、アメリカ以外の国の装備が海軍にも加わるようになった。
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==== 中華民国海軍艦隊旗艦「丹陽(DD-12)」 ==== |
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1948年から1966年まで、中華民国海軍の総旗艦を務めたのは「丹陽」、かつての日本海軍駆逐艦「[[雪風 (駆逐艦)|雪風]]」だった。 |
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=== 21世紀 === |
=== 21世紀 === |
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2000年に成立した[[陳水扁]]政権は軍事戦略を﹁有効嚇阻・防衛固守﹂と定義付け、﹁制空・制海・地面防衛﹂﹁縦深打撃・早期警戒・情報優先﹂﹁境外決戦﹂の三つの柱を据えた。従って21世紀の中華民国海軍は大陸反攻ではなく、[[中国人民解放軍海軍|人民解放軍]]による台湾封鎖への対処と着上陸侵攻の撃破を主任務としている。
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台湾は四方を海に囲まれており、海軍の重要性は日に日に増している。したがって引き続きアメリカの退役艦 |
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台湾は四方を海に囲まれており、海軍の重要性は日に日に増している。したがって引き続きアメリカの退役艦の取得や艦隊の増強、並びに兵器の更新を行っている。また、老朽化が著しい[[潜水艦]]については<ref>[http://japan.cna.com.tw/news/achi/201701190002.aspx 就役から71年 海軍の米製潜水艦、報道陣に公開/台湾] フォーカス台湾︵2017年1月19日︶2017年3月28日閲覧</ref>、2017年に自主建造︵国産化︶する方針が打ち出され<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/3122198 台湾の蔡総統、潜水艦の独自建造計画を発表] AFP︵2017年3月21日︶2017年3月28日閲覧</ref>、2020年11月に最初の艦が着工した。8隻建造を目指している<ref>{{Cite web |date=2021-01-16 |url=https://www.cnn.co.jp/world/35165133.html |title=台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性 |publisher=CNN|accessdate=2021-01-16}}</ref>。さらに現有1隻だけの[[沱江級コルベット]]を2019年から順次、11隻量産する計画である。このように現在、海軍は国家の安全保障のために次世代の戦力増強を目指している。
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==組織== |
==組織== |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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*Jane's Fighting Ships 2011-1-2012 |
*Jane's Fighting Ships 2011-1-2012 |
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*海人社「世界の艦船」各号 |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2021年3月7日 (日) 14:46時点における版
中華民國海軍 Republic of China Navy | |
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![]() 海軍旗 | |
活動期間 | 1913年~ |
国籍 |
![]() |
軍種 | 海軍 |
兵力 | 38,000 人 |
上級部隊 |
![]() |
基地 |
![]() 台北市中山区北安路305号 |
標語 | 忠義 |
彩色 | 白色 |
行進曲 | 海軍軍歌 |
主な戦歴 |
北伐 日中戦争 国共内戦 |
指揮 | |
現司令官 |
![]() |
現状
21世紀初頭の中華民国海軍の主な任務は、台湾本土を始めとする領土とシーレーンを、中国人民解放軍海軍による攻撃、侵入および封鎖から防衛することである。 なお、海軍が海上警察業務を兼ねたり海上警察組織を傘下に置いたりする国々は多いが、台湾では海上警察業務は海軍ではなく、日本の海上保安庁にあたる海巡署が独立して担当している。 作戦活動は台湾海峡および周辺海域の哨戒があり、これは戦時の反撃や対抗作戦と同様に重要視されている。 他国の海兵隊に相当する中華民国海軍陸戦隊を有する。 保有する艦艇の接頭語は ROCS (Republic of China Ship) となる。以前は CNS (Chinese Navy Ship) が使用された。歴史
1911 -︵中国海軍︶
有名な軍艦
●永豊︵中山︶‥護法運動の混乱の中で孫文を匿い、蒋介石による共産党弾圧︵中山艦事件︶の舞台になり、日中戦争で戦没。20世紀末に浮揚・保存された。 ●寧海、平海‥日本の技術協力で設計・建造された。しかし就役直後に日中関係が悪化し、2隻とも日本軍に撃沈され、浮揚後は日本海軍で使用され戦没した。1945 -︵国共内戦の当事者︶
1945年、日中戦争の勝利により、中華民国は日本より賠償として数十隻の艦船を接収した。さらにアメリカとイギリスからも艦艇の譲渡もしくは貸与を受けて海軍の再建を果たした。しかし国共内戦が再発し、戦況が共産側に有利になると、大量の海軍軍人が国民政府に反旗を翻して主力艦の﹁重慶﹂や日本から接収した砲艦などの船ごと中国共産党へ投降した︵重慶号事件及び第二艦隊叛乱事件︶。1950年の国民政府台湾撤退に前後して、海軍艦隊は不利な状況下で舟山群島、海南島、大陳島など中国大陸沿岸の島々から撤退を行った。 台湾海峡の中国大陸側にある金門島、馬祖島と、南シナ海の東沙諸島と太平島は中華民国の実効支配下で保持されたものの、中華民国海軍の現実的な主任務は台湾︵澎湖諸島など周辺島嶼を含む︶の防衛となった。だがトルーマン政権のアメリカとの外交関係は冷え込んでおり、台湾もいずれ陥落する恐れがあった。1950 - ︵事実上の台湾海軍︶
1950年に朝鮮戦争が始まると、アメリカは極東政策を転換。一時は見捨てる︵アチソンライン︶かに見えた台湾の中華民国政府をアジア反共勢力の一員として支援する方向に切り替えた。アメリカは中華民国に第二次世界大戦時の軍艦を大量に供与。また第7艦隊を支援に充てて、中華人民共和国へ強い圧力をかけ続けた。 ︵この間の事象については台湾海峡危機を参照︶ この間、蒋介石は大陸反攻の意思を捨てなかった。中華民国海軍もいずれはアメリカの支援の下で︵第二次世界大戦のノルマンディーや朝鮮戦争の仁川のような︶中国本土上陸作戦を行うものと捉えていた。しかしソ連と中国が核兵器を保有すると、大陸反攻はキューバ危機のように連鎖的に世界を核戦争に突入させるリスクのある行為となり、アメリカはそのような状況を望まなくなった。米中全面衝突を望まないのは実のところ毛沢東も一緒だった。こうして︵中ソ対立で毛沢東が海軍拡張を後回しにしなければならなくなったのも手伝って︶、1960年代後半に入ると、台湾海峡には暗黙の休戦状態が成立した。 1971年、中華民国は中国の国連代表権を失った。これに伴う対米断交もあって中華民国の地位は非常に不安定になった。中華民国は蒋経国の下で軍事戦略を攻勢主義から﹁攻守一体﹂に転換、1988年、李登輝に代替わりするまでの間に、大陸反攻の方針は段階的に放棄されていった。 この間、中華民国海軍は大型艦艇の国産ができず、防衛装備の供給をほぼアメリカに依存していた。しかし歴代のアメリカ政権は二つの中国政府との関係を常に気にする立場にあったので、提供される装備は常にその時点での米海軍の型落ち︵ノックス級、キッド級、ニューポート級︶やダウングレード品︵S-70︶だった。潜水艦の供与は拒否され続け、ガトー級が21世紀に入るまで運用されていた。中華民国海軍はギアリング級など第二次大戦型の駆逐艦も改装に改装を重ねて運用していた︵武進改装︶が、1995年の第三次台湾海峡危機が起きると台湾は対米依存と軍備旧式化の改善の必要性を認識。ガブリエル対艦ミサイルやラ・ファイエット級フリゲートなど、アメリカ以外の国の装備が海軍にも加わるようになった。中華民国海軍艦隊旗艦﹁丹陽︵DD-12︶﹂
1948年から1966年まで、中華民国海軍の総旗艦を務めたのは﹁丹陽﹂、かつての日本海軍駆逐艦﹁雪風﹂だった。21世紀
2000年に成立した陳水扁政権は軍事戦略を﹁有効嚇阻・防衛固守﹂と定義付け、﹁制空・制海・地面防衛﹂﹁縦深打撃・早期警戒・情報優先﹂﹁境外決戦﹂の三つの柱を据えた。従って21世紀の中華民国海軍は大陸反攻ではなく、人民解放軍による台湾封鎖への対処と着上陸侵攻の撃破を主任務としている。 台湾は四方を海に囲まれており、海軍の重要性は日に日に増している。したがって引き続きアメリカの退役艦の取得や艦隊の増強、並びに兵器の更新を行っている。また、老朽化が著しい潜水艦については[2]、2017年に自主建造︵国産化︶する方針が打ち出され[3]、2020年11月に最初の艦が着工した。8隻建造を目指している[4]。さらに現有1隻だけの沱江級コルベットを2019年から順次、11隻量産する計画である。このように現在、海軍は国家の安全保障のために次世代の戦力増強を目指している。組織
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1f/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E9%83%A8%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%8F%B8%E4%BB%A4%E9%83%A8.jpg/250px-%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E9%98%B2%E9%83%A8%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E5%8F%B8%E4%BB%A4%E9%83%A8.jpg)
装備
艦艇
2015年4月時点。一部﹃Jane's Fighting Ships﹄参照。 過去に就役した艦艇については﹁中華民国海軍艦艇一覧﹂﹁台湾海軍艦艇一覧﹂を参照。 通常動力型潜水艦 ●海龍級×2隻 海龍︵SS-793 Hai-Lung︶ - 1987年 海虎︵SS-794 Hai-Hu︶ - 1988年 ●旧・米テンチ級ガピー2改修型×2隻 海獅︵SS-791 Hai-Shih︶ - 1973年再就役 海豹︵SS-792 Hai-Bao︶ - 1973年再就役 駆逐艦 ●旧・米キッド級×4隻 基隆︵DDG-1801 Kee-Lung︶ - 2005年再就役 蘇澳︵DDG-1802 Sua-O︶ - 2005年再就役 左営︵DDG-1803 Tso-Ying︶ - 2006年再就役 馬公︵DDG-1805 Ma-Kung︶ - 2006年再就役 フリゲート ●成功級︵米O・H・ペリー級改型︶×8隻 成功︵PFG-1101 Cheng-Kung︶ - 1993年 鄭和︵PFG-1103 Cheng-Ho︶ - 1994年 繼光︵PFG-1105 Chi-Kuang︶ - 1995年 岳飛︵PFG-1106 Yueh-Fei︶ - 1996年 子儀︵PFG-1107 Tzu-I︶ - 1997年 班超︵PFG-1108 Pan-Chao︶ - 1997年 張騫︵PFG-1109 Chang-Chien︶ - 1998年 田單︵PFG-1110 Tien-Tan︶ - 2004年 ●旧・米オリバー・ハザード・ペリー級×4隻[7] 銘傳︵PFG-1112 Ming Chuan︶ - 2018年再就役 逢甲︵PFG-1115 Feng Chia︶ - 2018年再就役 カー(導入予定) エルロッド(導入予定) ●康定級︵仏ラファイエット級改型︶×6隻 康定︵PFG-1202 Kang-Ding︶ - 1996年 西寧︵PFG-1203 Si-Ning︶ - 1996年 昆明︵PFG-1205 Kun-Ming︶ - 1997年 迪化︵PFG-1206 Di-Hua︶ - 1997年 武昌︵PFG-1207 Wu-Chang︶ - 1997年 承德︵PFG-1208 Chen-Te︶ - 1998年 ●濟陽級︵旧・米ノックス級︶×6隻 濟陽︵FFG-932 Chin-Yang︶ - 1993年再就役 - 2015年5月1日退役 鳳陽︵FFG-933 Fong-Yang︶ - 1993年再就役 汾陽︵FFG-934 Feng-Yang︶ - 1993年再就役 蘭陽︵FFG-935 Lan-Yang︶ - 1995年再就役 海陽︵FFG-936 Hae-Yang︶ - 1995年再就役 - 2015年5月1日退役 淮陽︵FFG-937 Hwai-Yang︶ - 1995年再就役 寧陽︵FFG-938 Ning-Yang︶ - 1999年再就役 宜陽︵FFG-939 Yi-Yang︶ - 1999年再就役 コルベット ●沱江級 沱江 (PGG-618 Tuo-Jiang) - 2015年3月31日就役 塔江 (PGG-619 Ta Chiang) -2020年12月15日 進水式 ミサイル艇 ●光華6型級(en)︵Kwang-Hua VI︶×31隻 FACG-61-66、68-75、77-93 哨戒艇 ●錦江級×12隻 錦江︵PGG-603 Jin-Chiang︶ - 1994年 淡江︵PGG-605 Tan-Chiang︶ - 1999年 新江︵PGG-606 Hsin-Chiang︶ - 1999年 鳳江︵PGG-607 Feng-Chiang︶ - 1999年 曾江︵PGG-608 Tseng-Chiang︶ - 1999年 高江︵PGG-609 Kao-Chiang︶ - 1999年 金江︵PGG-610 Jing-Chiang︶ - 2000年 湘江︵PGG-611 Hsian-Chiang︶ - 2000年 資江︵PGG-612 Tsi-Chiang︶ - 2000年 溌江︵PGG-614 Po-Chiang︶ - 2000年 昌江︵PGG-615 Chan-Chiang︶ - 2000年 珠江︵PGG-617 Chu-Chiang︶ - 2000年 ドック型揚陸艦︵LSD︶ ●旧・米アンカレジ級×1隻 旭海︵LSD-193 Shiu-Hai︶ - 2000年再就役 戦車揚陸艦︵LST︶ ●旧・米ニューポート級×2隻 中和︵LST-232 Chung-Ho︶ - 2000年再就役 中平︵LST-233 Chung-Ping︶ - 2000年再就役 ●旧・米LST1 & 512級×6隻 中建︵LST-205 Chung-Chien︶、中訓︵LST-208 Chung-Shun︶、中啓︵LST-218 Chung-Chi︶、中明︵LST-227 Chung-Ming︶、中邦︵LST-230 Chung-Pang︶、中業III︵LST-231 Chung-Yeh︶ ●旧・米LST512級×1隻 高雄︵LCC-1 Kao-Hsiung︶ - 1957年再就役[8] 汎用揚陸艇︵LCU︶ ●旧・米LCU-1610級×12隻 合成(497 Ho-Fong)、合功(498 Ho-Hu)、合群II(481 Ho-Shun)、合川II(489 Ho-Chuan)、合潮II(406 Ho-Chao)、合永III(495 Ho-Yung)、合茂II(492 Ho-Mou)、合壽II(493 Ho-Shou)、合春II(494 Ho-Chun)、合耀II(403 Ho-Yao)、合貞II(486)、合忠II(484 Ho-Chung) このうち合川II(489 Ho-Chuan)、合茂II(492 Ho-Mou)、は機雷敷設艇に改造され、2014年7月16日海軍第192艦隊機雷作業大隊に配備された。[9] 車両兵員揚陸艇︵LCVP︶ ●ARP1000 & 2000 & 3000型×100隻 攻撃輸送艦 ●雲峰級×3隻 雲峰︵524 Yuen-Feng︶ - 1982年 武岡︵525 Wu-Kang︶ - 1984年 新康︵526 Hsin-Kang︶ - 1988年 機雷掃討艇 ●永豊級×4隻 永豊︵1301 Yung-Feng︶、永嘉︵1302 Yung-Chia︶、永定︵1303 Yung-Ting︶、永順︵1305 Yung-Shun︶ 沿岸機雷掃討艇 ●旧・米オスプレイ級×2隻 永靖 (MHC-1310 Yung Jin)、永安 (MHC-1311 Yung An) 掃海艇 ●旧・米アグレッシブ級×4隻 永陽︵1306 Yung-Yang︶ - 1994年再就役 永慈︵1307 Yung-Tzu︶ - 1994年再就役 永固︵1308 Yung-Ku︶ - 1994年再就役 永徳︵1309 Yung-Teh︶ - 1994年再就役 沿岸掃海艇 ●旧・米MSC268級×4隻 永川︵158 Yung-Chuan︶、永福︵162 Yung-Fu︶、永仁︵167 Yung-Ren︶、永綏︵168 Yung-Sui︶ 測量艦 ●達観︵AGS-1601 Ta-Kuan︶ - 1995年 補給艦 ●武夷︵AOE-530 Wu-Yi︶ - 1990年 ●磐石︵AOE-532 Pan-shi︶ - 2015年 救難艦 ●旧・米ダイバー級救難艦×2隻 ●大湖︵ARS-552 Ta-Hu︶ - 1977年再就役 ●大屯︵ARS-556 Ta-Hu︶ - 1999年再就役 浮ドック ●各型×6隻 海壇︵AFDL1 Hay-Tan︶、金門︵AFDL2 Kim-Men︶、南日︵AFDL3 Han-jih︶、服務5︵ARD5 Fo-Wu 5︶、服務6︵ARD6 Fo-Wu 6︶、服務7︵ARD7 Fo-Wu 7︶ 曳船 ●旧・米チェロキー級×5隻 大萬︵ATF551 Ta-Wan︶、大漢︵ATF553 Ta-Han︶、大岡︵ATF554 Ta-Kang︶、大峰︵ATF555 Ta-Fung︶、大台︵ATF563 Ta-Tai︶ 港内曳船 ●各型×11隻 YTL16-17、27-30、32-36 大型港内曳船 ●各型×19隻 YTB37-39、41-43、45-49、150-157航空機
2020年6月時点。 ドローン 銳鳶ドローン × 26機 回転翼機 ●ヒューズ MD 500/ASW 対潜哨戒ヘリコプター × 9機 ●シコルスキー S-70C(M)1/2 サンダーホーク中型ヘリコプター × 18機 このほか、中山科学研究院が開発した無人航空機﹁鋭鳶﹂27機による海上戦術偵察大隊を屏東県に配置している[10]。章
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海軍の章
旗
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軍艦旗
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艦首旗
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司令官旗
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上級大将旗
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大将旗
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中将旗
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少将旗
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大佐旗
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先任旗
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戦隊長旗
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長旗
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当直旗
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海道測量旗
脚注
参考文献
- Jane's Fighting Ships 2011-1-2012
- 海人社「世界の艦船」各号