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助動詞 (国文法)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




口語[編集]

接続 意味 活用形 活用の型 備考
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
未然形 自発
可能
受身
尊敬
れる れる れる れれ れろ
れよ
下一段型


-/---
-[ 1][1]

られる られ られ られる られる られれ られろ
られよ
下一段型
使役 せる せる せる せれ せよ
せろ
下一段型 動詞に接続する。
「させ-」/「せ-」の選択は、ア段音の後に付く場合は「せ-」、それ以外は「させ-」。
サ変動詞に付く場合、「-さ」形に付くことが多い[注 1][2]
させる させ させ させる させる させれ させよ
させろ
下一段型
打消 ない なかろ なかっ
なく
ない ない なけれ 形容詞型 動詞と動詞型活用の助動詞に接続する。



特殊型 動詞と動詞型活用の助動詞と助動詞「ます」に接続する。
推量
意志
勧誘
不変化型 五段動詞と形容詞・形容動詞と未然形がオ段音で終わる助動詞に接続する。
よう よう よう 不変化型 五段活用以外の動詞と下一段型の助動詞に接続する。
未然形
終止形
打消推量
打消意志
まい まい まい 不変化型 五段活用以外の動詞と下一段型の助動詞の未然形に接続する。
五段活用と助動詞「ます」の終止形に接続する[注 2]
連用形 希望 たい たかろ たかっ
たく
たい たい たけれ 形容詞型 動詞と動詞型の助動詞に接続する。
たがる たがら
たがろ
たがり
たがっ
たがる たがる たがれ 五段型 動詞と動詞型の助動詞に接続する。
過去
完了
存続
確認

たろ
だろ


たら
だら
特殊型 用言と連用形のある助動詞(ただし「そうだ(伝聞)」「ぬ」を除く)に接続する。
丁寧 ます ませ
ましょ
まし ます ます ますれ ませ
まし
特殊型 動詞と動詞型の助動詞に接続する。
様態 そうだ そうだろ そうだっ
そうで
そうに
そうだ そうな そうなら 形容動詞型[注 3] 用言と一部の助動詞に接続する。
形容詞(型)および形容動詞に付く場合、語幹に接続する[注 4]
ぞんざい やがる やがら やがり
やがっ
やがる やがる やがれ やがれ 五段型 動詞と動詞型の助動詞に接続する。
終止形 伝聞 そうだ そうで そうだ そうな[注 5] 形容動詞型[注 3] 用言と一部の助動詞に接続する。
推定 らしい らしかっ
らしく
らしい らしい
らしき
らしけれ 形容詞型 用言、一部の助動詞、体言、一部の助詞に接続する。
形容動詞(型)に付く場合は、語幹に接続する。
当然 べきだ べきだろ べきだっ
べきで
べく
べきだ べき
べきな[注 5]
べきなら 形容動詞型[注 3] 「助動詞的複合辞[4]」もしくは「義務助動詞[5]」とされる。
動詞と動詞型の助動詞に接続する[注 6]
連体形 比況
例示
推定
ようだ ようだろ ようだっ
ようで
ように
ようだ ような ようなら 形容動詞型[注 3] 用言、動詞型の助動詞、助動詞「ない」「ぬ」「た(だ)」「たい」、格助詞「の」、連体詞「この」等に接続する。
体言・助詞 断定 だろ だっ
(な)[注 5] なら 形容動詞型 体言と一部の助詞に接続する。
仮定形「なら」・未然形「だろ」「でしょ」については、動詞・形容詞・一部の助動詞の終止・連体形にも接続する[注 7]
断定
指定
です でしょ でし です (です)[注 5]



使



/

/


[]


使使使
種類 活用形 活用の型 接続 意味 備考
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
受身 るる るれ れよ 下二段型 四段・ナ変・ラ変の未然形 受身・尊敬
らる られ られ らる らるる らるれ られよ 四段・ナ変・ラ変以外の未然形
るる るれ 四段・ナ変・ラ変の未然形 自発・可能
らる られ られ らる らるる らるれ 四段・ナ変・ラ変以外の未然形
使役 する すれ せよ 下二段型 四段・ナ変・ラ変の未然形 使役・尊敬 上代文法では「しむ」のみが使役を表していた。
さす させ させ さす さする さすれ させよ 四段・ナ変・ラ変以外の未然形 使役・尊敬
しむ しめ しめ しむ しむる しむれ しめよ 未然形 使役・尊敬 中古になり「す」「さす」の発達に伴い一時使われなくなったが、中世になり再び使われるようになった。
過去 しか 特殊型 連用形 過去 カ変に接続するときはこし・こしか・きし・きしか
サ変に接続するときはせし・せしか・しきの形でしか接続しない。
けり けら けり ける けれ ラ変型 過去・詠嘆 上代では過去完了を表していたが、中古では間接過去を表すようになった。
完了 つる つれ てよ 下二段型 連用形 完了・確認・並列 人為的な場合に使う。
ぬる ぬれ ナ変型 自然発生的な場合に使う。
たり たら たり たり たる たれ たれ ラ変型 存続・完了 現代語の接続助詞「たり」は、この助動詞から転じたものである[注 8]
サ変の未然形と四段の已然形(註:助動詞「り」の接続参照) 中古になり「たり」の発達に伴い使われる事が少なくなった。
丁寧 四段型 未然形 丁寧 「さうらう」から転じて。使用例も稀で、ほとんどの教科書・参考書には載っておらず、文章に出てきたとしても尊敬の「す」で訳されてしまうことがある。
推量 む(ん) む(ん) む(ん) 四段型 未然形 推量・意志・適当・勧誘・仮定・婉曲 現代語の助動詞「う」はこれから転じたもの。
意味が非常に多いが、基本は推量・意思・勧誘であり他はこの発展と考える事が出来る。
むず むず むずる むずれ サ変型 推量・意志・適当・婉曲 成立は中古の口頭語と言われ、清少納言も『枕草子』の中で手紙などでは決して使うべきでないと記している[注 9]
まし ましか・ませ まし まし ましか 特殊型 反実仮想・実現不可能な願望・ためらいの意志・推量・意志 「ませば(ましかば)~まし」で反実仮想を表す。
けむ(けん) けま けむ(けん) けむ(けん) けめ 四段型 連用形 過去推量・過去の原因推量・過去の伝聞・過去の婉曲 「らむ」よりも過去を表す。
らむ(らん) らむ(らん) らむ(らん) らめ 終止形とラ変型の連体形 現在推量・原因推量・伝聞・婉曲 「けむ」よりも現在を表す。
らし らし らし・らしき らし 無変化型 推定 中古以降はあまり使われなくなり、上代語として扱う参考書も若干ある。但し、室町時代の口頭語において再び使われるようになり、現代語では「らしい」となっている。
めり めり めり める めれ ラ変型 推定・婉曲 「見(み)あり」から転じたもの。
べし べく・べから べく・べかり べし べき・べかる べけれ ク活用型 推量・意志・可能・当然・義務・命令・適当・勧誘 これの派生形が「べらなり」である。
現代において東日本各地の方言にみられる助詞の「べ」あるいは促音半濁音化した「っぺ」は、「べし」の語幹「べ」に由来する。
べらなり べらに べらなり べらなる べらなれ ナリ活用型 推量 中古に一時的に見られたもので省略する教科書や参考書も多い。
否定 ず・ざら ず・ざり ず・ざり ぬ・ざる ね・ざれ ざれ 特殊型 未然形 否定 活用には諸説あるが[注 10]、ここではあえて可能性のあるもの全てを記した。
否定の推量 特殊型 未然形 否定の推量・否定の意志 助動詞「む」の否定に当たる。
まじ まじく・まじから まじく・まじかり まじ まじき·まじかる まじけれ ク活用型 終止形とラ変型の連体形 否定の推量・否定の意志・不可能・否定の当然・不適当・禁止 助動詞「べし」の否定に当たる。
願望 たし たく・たから たく・たかり たし たき・たかる たけれ ク活用型 連用形 願望 口頭語では「たし」、文章では「まほし」が使われる。
まほし まほしく・まほしから まほしく・まほしかり まほし まほしき・まほしかる まほしけれ シク活用型 未然形
断定 なり なら なり・に なり なる なれ なれ ナリ活用型 体言と連体形 断定・指定・所在・存在 現代語の「だ」の仮定形「なら」や形容動詞語尾「な」は、「なり」に由来する。
たり たら たり・と たり たる たれ たれ タリ活用型 体言 断定・指定 主に使われたのは中世以降で、文章や和歌でしか使われない。
伝聞 なり なり なり なる なれ ナリ活用型 終止形とラ変型の連用形 伝聞・推定 「音(ね)あり」から転じたもの。
比況 ごとし ごとく ごとく ごとし ごとき ク活用型 連体形 比況・例示 形容詞に含める場合もある。
ごとくなり ごとくなら ごとくなり・ごとくに ごとくなり ごとくなる ごとくなれ ごとくなれ ナリ活用型 連体形と体言 比況 「ごとし」を形容詞と見る場合にはその補助活用と見られる。
やうなり やうなら やうなり・やうに やうなり やうなる やうなれ やうなれ ナリ活用型 体言 比況・例示 上代ではあくまでも「やう」と「なり」の形として使われていて、助動詞の形になったのは中世と言われている。

助動詞「り」の接続[編集]

学校文法を成した橋本進吉によれば、助動詞「り」の接続は命令形である。これは四段及びサ変動詞にしかつかない。

種類 活用形 活用の型
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
四段 -u -a -i -u -u -e -e 四段正格活用
サ変 する すれ せ(よ) サ行変格活用
カ変 くる くれ こ(よ) カ行変格活用
存続(り) ラ行変格活用











使調[]

[]

-i+/-ia//je/[7]

上代文法[編集]

種類 活用形 活用の型 接続 意味 備考
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
受身 ゆる ゆれ 下二段型 四段・ナ変・ラ変の未然形 受身・尊敬 後に助動詞「る」になった。
らゆ らえ らえ 四段・ナ変・ラ変以外の未然形 後に助動詞「らる」になった。
尊敬 四段型 四段・サ変の未然形 尊敬 後に助動詞「す」「さす」に吸収された。
推量 ましじ ましじ ましじき ク活用 終止形とラ変型の連体形 過去推量・過去意思 後に助動詞「まし」になった。
打ち消し なふ なは なひ なふ なへ なへ 特殊型 未然形 打ち消し 東国方言。後に形容詞「無ひ」との混同で助動詞「ない」になった。

脚注[編集]

注釈[編集]



(一)^ ab - ----

(二)^ [3][]

(三)^ abcd

(四)^ 1 --

(五)^ abcd -  

(六)^ - -使

(七)^    

(八)^ 

(九)^ []

(十)^ [6]

出典[編集]



(一)^ "". . 2021215 "". . 2021215

(二)^ "". . 2021215 "". . 2021215

(三)^   [] (1997)    

(四)^  &  2001, p. 243.

(五)^  2007, p. 134.

(六)^  2017, p. 96.

(七)^  2017, pp. 9596.

[]




︿12492017ISBN 9784480069573 



1222007 



2001 

[]




1970

1971

1973

1973

1981ISBN 44692203532012ISBN 9784469222241

︿3042003ISBN 4757602308

2007ISBN 9784490107272



1971ISBN 46254005542001ISBN 4625403006

711972ISBN 4625521238

821972ISBN 4625521246

1979

71979

1980ISBN 44901013332018ISBN 9784490109009

6(2)1984ISBN 4625520436

7(3)1985ISBN 4625520444

2() 1987ISBN 462552055X

 2014ISBN 9784254510348

2020ISBN 9784385135809

2020ISBN 9784894769663

[]