台湾の姓
本項目では台湾の姓について記述する。
台湾は漢人を主体としており、数多くの漢姓が存在する。陳が最多であり、林が続き、中国大陸の閩南系移民の比率と密接な関係を持つ。そのため台湾では﹁陳林滿天下﹂(全国各地に陳姓と林姓が満ち溢れている)という俗話が存在するほどである。このほか、中国大陸政権の長期的な統治下において、清朝時期の賜姓政策や国民政府が施行した﹃修正台灣省人民回復原有姓名辦法﹄により、現在台湾原住民の多くが漢姓を名乗っている。
漢姓[編集]
よく見られる姓[編集]
2018年に発表された内政部戸政司の﹃全國姓名統計﹄によると、台湾には1,832の姓が存在し、新北市、台北市の姓氏総数が台湾1、2位を占めている(新北市が1,250種類、台北市が1,202種類)。上位10大姓は陳、林、黃、張、李、王、吳、劉、蔡、楊とすべて単姓であり、合計で約1,244万人となり、総人口の52.78%を占める。[1]上位100大姓で総人口の96.57%を占め、約2276万人に上る。複姓と複合姓では、張簡、欧陽、范姜、周黄が上位4大姓であり、計2.1万人を占める。順位 | 姓 | 人数(万人) | 比率(%) |
1 | 陳 | 262.79 | 11.15 |
2 | 林 | 196.04 | 8.32 |
3 | 黄 | 142.67 | 6.05 |
4 | 張 | 124.25 | 5.27 |
5 | 李 | 120.88 | 5.13 |
6 | 王 | 96.76 | 4.10 |
7 | 呉 | 95.24 | 4.04 |
8 | 劉 | 74.31 | 3.15 |
9 | 蔡 | 68.67 | 2.91 |
10 | 楊 | 62.62 | 2.66 |
11 | 許 | 54.84 | 2.33 |
12 | 鄭 | 44.37 | 1.88 |
13 | 謝 | 41.49 | 1.76 |
14 | 洪 | 35.38 | 1.50 |
15 | 郭 | 35.19 | 1.49 |
16 | 邱 | 34.37 | 1.46 |
17 | 曽 | 33.87 | 1.44 |
18 | 廖 | 31.62 | 1.34 |
19 | 頼 | 31.11 | 1.32 |
20 | 徐 | 29.66 | 1.26 |
姓の一覧[編集]
下記の表は2018年発表の内政部戸政司の資料に基づく。学者の潘英の定義に基づくと、総人口を姓の総数で割った数よりも人数が少ない姓を稀姓(珍しい姓)と呼び、これより多いものを大姓または準大姓と呼ぶ[2]。この定義を用いると、譚以下の姓は台湾における稀姓であるといえる[注釈 1]。その姓の人口が台湾の人口の1万分の1以下(約2,357人)の場合、罕姓(極めて珍しい姓)と呼ばれる。第47位の翁から人口が10万人を割り、120位の粘から1万人を割り、173位の谷以下は3,000人を下回っており、253位の甯から1,000人を下回る。
順位 | 全ての姓における順位 | 複姓 | 人口 |
1 | 129 | 欧陽 | 7,860 |
2 | 323 | 司徒 | 495 |
3 | 388 | 上官 | 295 |
4 | 439 | 端木 | 208 |
5 | 454 | 諸葛 | 187 |
6 | 513 | 皇甫 | 125 |
7 | 649 | 尉遅 | 63 |
8 | 652 | 申屠 | 62 |
9 | 676 | 司馬 | 54 |
10 | 848 | 軒轅 | 25 |
11 | 859 | 夏侯 | 24 |
12 | 860 | 鮮于 | 24 |
地域分布[編集]
雲林県や宜蘭県における最大姓が林であるのを除き、そのほかの台湾各県・市における最多人口の姓は全て陳である。范姜は桃園市に多く分布し、張簡は殆どが高雄市に分布している。一般的には、台湾北部の姓が南部に比べて豊富であるとされる。
台湾の単姓村は現在もなお存在している。
●彰化県福興郷頂粘村では、人口の53%が粘姓である。
●嘉義県布袋鎮岱江里では、人口の80%が蔡姓である。
●嘉義県太保市東勢寮里では、人口の80%近くが龔姓である。
このほか、歴史や文化的な要因により、罕姓(極めて珍しい姓)には特殊な分布をしているものがある。例として、シラヤ族の買は台南市の山岳地帯でよく見られる。高雄市内門区もまたシラヤ族が分布しており、机や力等の極めて珍しい姓が多く存在する。