青砥稿花紅彩画

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弁天小僧から転送)
十三代目市村羽左衛門
(後の五代目尾上菊五郎)の
弁天小僧菊之助)

稿  2318623 [1]

   


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176

姿姿



使調姿


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 (1862)  



役名/特徴/変名 役名由来/人物像/「勢揃いの場」着物柄/初演時配役 「勢揃いの場」名乗りの連ね
にっぽん だえもん  
日本 駄右衛門 

  • 特徴:
人には情けの賊徒の首領
  • 変名(浜松屋の場):
玉島逸当(たましま いっとう)
  • 役名由来:
実在の盗賊・日本左衛門
  • 人物像:
楼門五三桐』(山門)にも登場する、
実在の大盗賊・石川五右衛門がモデル。
  • 「勢揃いの場」着物柄:
紫縮緬磁石碇綱立浪柄染着付(むらさき ちりめん
じしゃく いかり たづな たつなみ がら そめきつけ)

磁石・碇・綱はいずれも白浪五人男の首領=
舵取り役であることに因む。
  • 初演時配役:
三代目關三十郞  
問われて名乗るも おこがましいが
産まれは遠州 浜松
十四の年から 親に放れ
身の生業(なりわい)も 白浪の
沖を越えたる 夜働き
盗みはすれど 非道はせず
人に情けを 掛川から
金谷をかけて 宿々(しゅくじゅく)
義賊と噂 高札に
廻る配符の 盥越し(たらいごし)
危ねぇその身の 境界(きょうがい)
最早(もはや)四十に 人間の
定めは僅か 五十年
六十余州に 隠れのねぇ
賊徒の首領 日本駄右衛門
べんてんこぞう きくのすけ
弁天小僧 菊之助

  • 特徴:
女に化けた美人局
  • 変名(浜松屋の場):
二階堂信濃守家中早瀬主水息女
お浪(おなみ)
  • 役名由来:
尾上菊五郎」の名跡
  • 人物像(容姿):
二代目河竹新七が両国橋で目撃したと
いう、女物の着物を着た美青年から着想。
  • 「勢揃いの場」着物柄:
紫縮緬琵琶蛇菊柄染着付(むらさ きちりめん
びわ へび きく がら そめきつけ)
。琵琶は江ノ島
ゆかりの弁財天に、菊はその名に因む。
  • 初演時配役:
十三代目市村羽左衛門(五代目尾上菊五郎)
さて其の次は 江の島
岩本院の 児(ちご)上がり
平生(ふだん)着慣れし 振袖から
(まげ)も島田に 由比ヶ浜
打ち込む浪に しっぽりと
女に化けた 美人局(つつもたせ)
油断のならぬ 小娘も
小袋坂(こぶくろざか)に 身の破れ
悪い浮名も 竜の口
土の牢へも 二度三度
だんだん越える 鳥居数
八幡様の 氏子(うじこ)にて
鎌倉無宿と 肩書も
島に育って 其の名さえ
弁天小僧 菊之助
ただのぶ りへい
忠信 利平

  • 特徴:
西に東に神出鬼没
  • 役名由来:
義経千本桜』(四ノ切)に登場する
佐藤忠信実ハ源九郎狐
  • 人物像:
神出鬼没な側面がやはり上記の狐忠信
の姿に通じる。
  • 「勢揃いの場」着物柄:
紫縮緬雲龍柄染着付(むらさき ちりめん
うんりゅう がら そめきつけ)
。雲龍は神出
鬼没で豪快な者の象徴。
  • 初演時配役:
初代河原崎権十郎(九代目市川團十郎)
続いて次に 控えしは
月の武蔵江戸育ち
幼児(がき)の頃から 手癖が悪く
抜参りから ぐれ出して
旅を稼ぎに 西国を
廻って首尾も 吉野山
まぶな仕事も 大峰
足をとめたる 奈良
碁打(ごうち)と云って 寺々や
豪家へ入り込み 盗んだる
金が御嶽の 罪科(つみとが)
蹴抜(けぬけ)の塔の 二重三重(ふたえみえ)
重なる悪事に 高飛びなし
後を隠せし 判官の
御名前騙り(おなめぇがたり)の 忠信利平
あかぼし じゅうざぶろう
赤星 十三郎

  • 特徴:
元は小姓の美少年
  • 役名由来:
不詳
  • 人物像:
其小唄夢廊』(権八小紫)や
浮世柄比翼稲妻』(御存鈴ヶ森)にも登場する
実在した前髪立ちの美少年辻斬強盗・白井権八
(しらい ごんぱち)がモデル。
  • 「勢揃いの場」着物柄:
紫縮緬星鶏柄染着付(むらさき ちりめん
ほし とり がら そめきつけ)
。星は明けの明星
鶏は朝の時を告げる=明け方に因み、
その双方が「赤星」に掛かっている。
  • 初演時配役:
初代岩井粂三郎(八代目岩井半四郎)
又その次に 連なるは
以前は武家の 中小姓(ちゅうごしょう)
故主(こしゅう)のために 切取り(きりどり)
鈍き刃(やいば)腰越
砥上ヶ原(とがみがわら)に 身の錆を
磨ぎ直しても 抜き兼ねる
盗み心の 深翠(ふかみどり)
柳の都 谷七郷(やつしちごう)
花水橋の 切取りから
今牛若(いまうしわか)と 名も高く
忍ぶ姿も 人の目に
月影ヶ谷(つきかげがやつ)神輿ヶ嶽(みこしがたけ)
今日ぞ命の 明け方に
消ゆる間近き 星月夜
其の名も 赤星十三郎
なんごう りきまる
南郷 力丸

  • 特徴:
漁師が転じた船強盗
  • 変名(浜松屋の場):
早瀬主水家若党
四十八(よそはち)
  • 役名由来:
日本左衛門の手下で、実在の盗賊の
南宮行力丸(なんぐう こうりきまる)
および湘南の地名・南湖(なんご、現
茅ヶ崎市)
  • 人物像:
南湖の舟持ちの倅で、手に負えない
ほどの悪党だったという伝承がある
人物がモデル[注 1]
  • 「勢揃いの場」着物柄:
紫縮緬稲妻雷獣柄染着付(むらさき ちりめん
いなづま らいじゅう がら そめきつけ)
。稲妻は
荒くれ者の象徴、雷獣は別名を木貂(きてん)
いい、これが連ねの「どうで終いは 木の空と」
に掛かっている。
  • 初演時配役:
四代目中村芝翫
さてどんじりに 控えしは
潮風荒き 小ゆるぎの
磯馴(そなれ)の松の 曲りなり
人となったる 浜育ち
仁義の道も 白川の
夜船へ乗り込む 船盗人(ふなぬすびと)
波にきらめく 稲妻の
白刃に脅す 人殺し
背負(しょ)って立たれぬ 罪科(つみとが)
その身に重き 虎ヶ石(とらがいし)
悪事千里と いうからは
どうで終い(しまい)は 木の空と
覚悟はかねて 鴫立沢(しぎたつさわ)
しかし哀れは 身に知らぬ
念仏嫌ぇな 南郷力丸

名科白[編集]

  • 浜松屋の場での弁天の見顕し
    知らざあ言って 聞かせやしょう
    浜の真砂と 五右衛門が
    歌に残せし 盗人(ぬすっと)
    種は尽きねぇ 七里ヶ浜
    その白浪の 夜働き
    以前を言やぁ 江ノ島
    年季勤めの 児ヶ淵(ちごがふち)
    江戸の百味講(ひゃくみ)の 蒔銭(まきせん)
    当てに小皿の 一文字 (いちもんこ)
    百が二百と 賽銭
    くすね銭せぇ だんだんに
    悪事はのぼる 上の宮(かみのみや)
    岩本院で 講中の
    枕捜しも 度重なり
    お手長講と 札付きに
    とうとう島を 追い出され
    それから若衆(わかしゅ)美人局(つつもたせ)
    ここやかしこの 寺島で
    小耳に聞いた 祖父(じい)さんの
    似ぬ声色(こわいろ)で 小ゆすりかたり
    名せぇ由縁(ゆかり)の 弁天小僧
    菊之助たぁ 俺がことだ




脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 茅ヶ崎市南湖の西運寺境内にはこの南湖の力丸の供養塔が建っている。

出典[編集]



(一)^ ABCZ.   (2022217). 2022217

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 1960 - 

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