(読み)ゼツ(英語表記)tongue

翻訳|tongue

デジタル大辞泉 「舌」の意味・読み・例文・類語

ぜつ【舌】[漢字項目]

[音]ゼツ(呉) [訓]した
学習漢字]6年
〈ゼツ〉
した。「舌苔ぜったい舌端
口でしゃべること。「舌戦舌代口舌こうぜつ・くぜつ饒舌じょうぜつ毒舌筆舌弁舌長広舌
〈した(じた)〉「舌先舌鼓猫舌
[難読]百舌もず
 

 
1()()()()
2 
3 ()()26()()()
[]  

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「舌」の意味・読み・例文・類語

した【舌】

 

(一)  
(二) ()()
(一)[]鹿(715)
(三) ()
(一)[](1420)
(四) 
(一)[]︿()(100114)
(二)(13)
(三)(1901︿)
(五) (  ) 
(一)[]()︿(1817)
(六) ()
(一)[]()(1909︿)
 

ぜつ【舌】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (した)
    1. [初出の実例]「乃至眼耳鼻舌身意、根・識・塵等もかくのごとし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)自証三昧)
    2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・雨無正〕
  3. (たく)の内部につるした小片。
  4. ( 「くぜつ(口舌)」の略 ) 男女間で言い争いをすること。また、口先でうまくそそのかし、くどくこと。
    1. [初出の実例]「舌(ゼツ)でいかずはおまへの奥の手、泣いてだましてやりなさい」(出典:洒落本・淫女皮肉論(1778)深川の密談)
  5. ぜつおん(舌音)
    1. [初出の実例]「シチヲン〈略〉 Iet(ゼツ)〈略〉シタ」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「舌」の意味・わかりやすい解説

舌 (した)
tongue


0.15


2/31/3V7cm4.7cm2cmpapillae linguales1 0.73.0mm2 0.51.5mm3 18151.02.0mm0.51.0mm4 退4湿調湿
 


1246glōssalinguatongueZunge︿︿︿

 使︿macroglossia︿ 

 



出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「舌」の意味・わかりやすい解説


した


()()()()2()1()()()()使()

 ()()()4()()()()()使

 

ヒトにおける構造と機能

ヒトの舌は口腔底(こうくうてい)から口腔に突出した横紋筋の塊で、表面は粘膜に覆われており、味覚、そしゃく、嚥下、発声に役だっている。日本人の舌の大きさの平均は次のように報告されている。(1)長さ=男7.3センチメートル、女7.2センチメートル、(2)幅=男4.9センチメートル、女4.5センチメートル、(3)厚さ=男2.2センチメートル、女2.1センチメートル(国友鼎による)。舌全体は舌根、舌体、舌尖(ぜっせん)の3部分に分けられる。舌の大部分は舌体であるが、舌の上面を舌背(ぜつはい)とよび、その中央部には前後に走る浅い舌正中溝という溝がみられる。舌背の後方には、前方に向かって開放しているV字形の溝(分界溝)があり、これが舌体と舌根との境になっている。また、分界溝の中央後方には舌盲孔(ぜつもうこう)という凹(くぼ)みがある。これは、胎生期に存在した甲状腺管(こうじょうせんかん)という咽頭と甲状腺を連ねた管が閉じて退化したのち、咽頭の管の起始部が残ったものである。舌の下面では、正中部と口腔底の粘膜とをつないでいる舌小帯というヒダ(襞)がみられる。

 舌背と側面の表面の粘膜には多数の細かい舌乳頭という小突起が存在しているため、舌表面の感じは粗く、ざらざらとしている。これらの乳頭は重層扁平(へんぺい)粘膜上皮からできているが、その土台となっているのは粘膜上皮下の結合組織である。舌乳頭のうち、舌背に広く分布しているのが糸状乳頭(細長く約0.5~3.0ミリメートル)で、先端部は角化している。ヒト以外の動物では糸状乳頭はブラシのように整然と配列しており、食物をとりやすくしている。舌尖には茸状(じじょう)乳頭が分布し、糸状乳頭よりはやや短い(0.5~1.5ミリメートル)。この乳頭には角化現象がみられないため舌表面は平滑な感じとなる。舌の側縁では葉状乳頭が配列し、これが存在する部分を葉状部とよんでいる。葉状乳頭の側面では上皮内に多数の味蕾が存在し、味覚の受容器となっている。ヒトでは発達が悪く減少しているが、サル、ウサギなどではよく発達している。分界溝の前には、この溝に沿っていぼ状に一列に配列する有郭乳頭がある。幅は約2ミリメートル前後で、数は7から15くらいである。有郭乳頭は丘状に盛り上がり、周囲には溝があり、この側面上皮内には多数の味蕾が存在する。有郭乳頭の下部結合組織には神経が豊富で、味蕾とあわせて味覚のための重要な働きをしている。

 舌根部には多数のいぼ状の高まりがある。これは舌扁桃とよばれるリンパ球が密集して形成されたリンパ節で、抗体産生に関与する。

 舌個体を構成している筋を舌固有筋(内舌筋)とよび、頭蓋骨(とうがいこつ)のいろいろの部分から出て舌へとつながる筋を外舌筋とよぶ。舌固有筋は、縦走・横走・垂直に走る横紋筋線維束が脂肪細胞に富んだ疎性結合組織と組み合わされたもので、舌の滑らかな、自由な運動に役だっている。外舌筋(オトガイ舌筋・茎突舌筋・舌骨舌筋)は、舌の突出、後退、屈曲などの運動をつかさどる。舌に関与する内舌筋、外舌筋は舌下神経の支配を受けている。舌の知覚神経は、舌の前3分の2部分には舌神経(三叉(さんさ)神経第3枝の枝)、舌の後ろ3分の1部分には舌咽神経と迷走神経が分布する。知覚には味覚線維と痛覚・一般知覚線維が含まれている。舌にも小唾液腺(しょうだえきせん)が分布しており、舌の表面を絶えず湿らせている。

 舌の機能障害に味覚消失がある。顔面神経の一部が障害をおこすと障害側の舌の前3分の2の味覚がなくなり、舌咽神経に障害がおこると、障害側の舌の後ろ3分の1の味覚が消失する。また、一側の舌下神経が障害をおこすと同側の舌筋の麻痺(まひ)とともに、舌を前に突き出す運動の際、舌は麻痺側に曲がる。このほか、消化器疾患や熱病などにかかると、舌粘膜に白色や褐色の被膜が生じることがある。これを舌苔(ぜったい)とよび、上皮細胞、リンパ球や食物の残りかすなどによってできる。

[嶋井和世]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「舌」の意味・わかりやすい解説

舌【した】

 
V()()()湿()  

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舌」の意味・わかりやすい解説


した

 
(1) tongue V7 (2) lingua  ()   

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「舌」の解説

 
   

 食物のえん(嚥)下,味覚の受容などの機能をもつ口内の器官.筋肉組織からなり粘膜に覆われている.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【鐸】より

…青銅製の〈かね〉の一種。中国では有柄有舌の〈かね〉をさす。すなわち,筒状の身(かねの本体)の閉じた方の端に長い柄が直立し,他端は開いたまま終わる。…

※「舌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android