特殊救助隊
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特殊救助隊︵とくしゅきゅうじょたい、英語: Special Rescue Team, SRT︶は、警視庁警備部において人命救助活動を主要な任務とする専門部隊。
来歴[編集]
警視庁警備部では、人の生命・身体等に危険が及ぶ災害・事故に対して、特殊な装備を使用して要救助者を迅速・的確に救助するため、1972年8月30日に﹁機動救助隊等の編成および運用要綱の制定について﹂を制定し、各機動隊および特科車両隊に機動救助隊を、また第二・七機動隊に水難救助隊を編成し、それぞれ﹁レスキュー110﹂として発足した[1]。これらの部隊は、必要に応じて災害対策課の指揮下で救助活動を行うが、普段は一般の機動隊員と同様の勤務にあたっている[2]。 その後、東日本大震災を契機として、日本の警察で初めての災害専門の部隊として2012年9月に設置されたのが本部隊である[2]。編制[編集]
本部隊は災害対策課の指揮下に常設され、機動救助隊よりも更に高度な救出救助技術を持った専門部隊であり、警察版ハイパーレスキューとも称される[3]。 災害時に地上の交通が麻痺することを想定し、警視庁航空隊と連携して展開できるよう、東京都立川市緑町の警視庁多摩総合庁舎︵立川広域防災基地内︶を活動拠点としており、3交替制で即応体制を維持している。都内に限らず、広域緊急援助隊として日本各地、また国際警察緊急援助隊として海外にも派遣される。普段は訓練を行いつつ、機動救助隊や、大規模災害時に機動隊経験者を中心に所轄警察署員により編成される災害活動隊︵通常業務も兼務︶の技術指導に当たり、警視庁全体の救助技術の向上を図る役割も担う[2]。また救出救助技能指導者実務研修として、他の道府県警察からの研修も受け入れている[4]。災害対応以外にも一般の警察官が侵入困難な現場での証拠物の捜索や爆発物等の危険物の検索も行う。 隊員の制服には、﹁素早さ﹂﹁しなやかさ﹂を象徴する黒豹のワッペンが付されている[3]。本部隊は広域緊急援助隊特別救助班︵P-REX︶に指定されているため、P-REXとして都外へ出動する場合には、P-REXの水色のユニフォームで出動することになる[5]。装備としてはレスキュー車のほか、各種建設機械、生存者探知センサ、心電図を表示する機器などがあるほか、隊員のヘルメットには小型カメラが装備されており、警視庁本部や遠隔地へ救助の様子をリアルタイムで送信できる[3]。なおレスキュー車の塗装は、緑色を基本とする点では機動救助隊の車両と同様だが、本部隊の車両の場合、白帯部分に描かれたシンボルの黒豹は、走る姿ではなく顔面を大きく描くことで、機動救助隊との違いを打ち出している[6]。出典[編集]
(一)^ ﹁特集 機動隊の素顔﹂﹃はげまし﹄第354号、一般社団法人 機動隊員等を励ます会、2004年2月。
(二)^ abc“仕事に命を賭けて Vol.63”. 都政新聞. (2013年10月20日)
(三)^ abc﹁特殊救助隊︵とくしゅきゅうじょたい︶﹂﹃日本大百科全書﹄小学館。
(四)^ ﹃警視庁 特殊救助隊﹁SRT﹂その訓練に密着﹄︵テレビ番組︶テレビ朝日、2019年6月29日。2019年6月29日閲覧。
(五)^ 菊池雅之﹁首都直下型地震への備え!警視庁特殊救助隊SRT﹂﹃J-POLICE﹄イカロス出版、2012年12月1日、P.57。ISBN 978-4-86320-651-9。
(六)^ 柘植優介﹁緑のレスキュー車を知っているか 青の車体も存在 色だけじゃない課せられた役割と歴史﹂﹃乗りものニュース﹄、2020年5月1日。