ウイルス

他の生物の細胞を利用して増殖する、感染性の構造体
ウィルスから転送)

: virus[3], : virus[3], : 1930
ウイルス

ロタウイルスCG再現画像

分類
階級なし : ウイルス
下位分類[1][2]

[4]宿virocell姿[5]

宿[6][7][8]宿170[9]
ヒト免疫不全ウイルスの模式図

名称

編集

英語のウイルス(virus)の語源は、ラテン語の「virus」で病毒因子という意味であり、英語のVirusは古くは動物が出す毒液も含めて用いられていた[7]

ヨーロッパの主な言語での発音を以下に列挙する[10]

ヨーロッパ諸言語での綴り・発音
言語 文法的性 単数形 複数形
綴り 発音 綴り
国際音声記号
ラテン語 中性 vīrus [ˈwiːrʊs] vīra[11][12]
イタリア語 男性 virus [ˈvirus] virus
ドイツ語 中性又は男性 Virus [ˈviːrʊs] Vira, Viren
スペイン語 男性 virus [ˈbiɾus] virus
フランス語 男性 virus [viʁys] virus
英語 virus [ˈvaɪɹəs] viruses
(viri[13], vira[14])

以上のような発音をもとに、多様な日本語表記が使用された。

日本語での表記(歴史的仮名遣含む)[15][16][17][18][19] [20]
太字三省堂大辞林』掲載表記)
音写
(語頭の "vi" の音写の違いで分類)
意訳
"v"\"vi" 1音節 2音節
1モーラ 2モーラ
長音含む)
3モーラ
(長音含む)
2モーラ
子音 [b] ビルス ビールス ビイールス バイラス 病毒[注 1][注 2]
濾過性病原体
[v] ィルス ヴィールス ヴイールス
ールス
ヴァイラス
イラス
[w][β̞] ウィルス ウィールス ワイラス
母音 [u̜]/[ɯ̹] ウイールス ウイルス

[7]194924195328[7]1970使宿[21][22][7]

: virion

特徴

編集

便[23]宿


一般的な生物との違い

編集
一般的な原核生物
(例:大腸菌
マイコプラズマ ナノアルカエウム・エクウィタンス リケッチア クラミジア ファイトプラズマ ウイルス
構成単位 細胞 ウイルス粒子
遺伝情報の担体 DNA DNAまたはRNA
増殖様式 対数増殖分裂出芽 一段階増殖
暗黒期の存在
ATPの合成 できる できない できる できない
タンパク質の合成 できる できない
細胞壁 ある ない ある ない
単独で増殖 できる できない
(他生物に付着)
できない(偏性細胞内寄生性)



(一)

(二)DNARNA

(三)2n

(四)[24]

(五)宿[24]

4

宿宿



2019ICTVDNADNA[25]

ウイルスの系統

編集

DNARNA[7]

International Committee on Taxonomy of VirusesDNARNA宿[7]

発見

編集
 
粒子状物質の分類(マイクロメートル)

167418601876

18921898filterable virusContagium vivum fluidum



1935[26]1946[27]

RNA

1952DNA[28]DNA

750nm1992200320131000nm20141500nm[29]DNA

構造

編集
 
ウイルスの基本構造
(A)エンベロープを持たないウイルス、(B)エンベロープを持つウイルス、1. カプシド、2. ウイルス核酸、3. カプソマー、4. ヌクレオカプシド、5. ビリオン、6. エンベロープ、7. スパイクタンパク質

 (: capsid)  (: nucleocapsid) 20[7] (: envelope) 宿

2040nm100nm[7]300nm200300nm[7][7]

ウイルス核酸

編集

DNARNADNARNAmRNArRNAtRNADNARNABDNARNARNAmRNARNARNA3100



(一)

(二)

(三)1. 2.調

13宿宿宿宿


カプシド

編集

 (: capsid) 宿


ヌクレオカプシド

編集
 
ヌクレオカプシドの対称性(左) 正二十面体様(中) らせん構造(右)構造の複雑なファージ

 (: nucleocapsid) 

20[7]

エンベロープ

編集

 (: envelope) 

宿宿




増殖

編集
 
細胞(左)とウイルス(右)の増殖様式

[24]2 2n1宿

DNARNA[30]



          

細胞表面への吸着

編集

宿宿TCD4

細胞内への侵入

編集

細胞表面に吸着したウイルス粒子は、次に実際の増殖の場になる細胞内部へ侵入する。侵入のメカニズムはウイルスによって様々であり、代表的なものに以下のようなものがある。

エンドサイトーシスによる取り込み
細胞自身が持っているエンドサイトーシスの機構によって、エンドソーム小胞として細胞内に取り込まれ、その後でそこから細胞質へと抜け出すもの。エンベロープを持たないウイルスの多くや、インフルエンザウイルスなどに見られる。
膜融合
吸着したウイルスのエンベロープが細胞の細胞膜と融合し、粒子内部のヌクレオカプシドが細胞質内に送り込まれるもの。多くの、エンベロープを持つウイルスに見られる。
能動的な遺伝子の注入
Tファージなどのバクテリオファージに見られ、吸着したウイルスの粒子から尾部の管を通してウイルス核酸が細胞質に注入される。注入とは言っても、ウイルス粒子の尾部が細菌の細胞壁を貫通した後の遺伝子の移動は、細菌細胞が生きていないと起こらないため、細菌の細胞自体の作用によって吸い込まれるのではないかと言われている。

脱殻

編集

 (eclipse period) 

部品の合成

編集

mRNA

宿宿DNARNA使宿DNA宿DNA

mRNAmRNA宿

部品の集合とウイルス粒子の放出

編集

別々に大量生産されたウイルス核酸とタンパク質は細胞内で集合する。最終的にはカプソマーがウイルス核酸を包み込み、ヌクレオカプシドが形成される。この機構はウイルスによってまちまちであり、まだ研究の進んでないものも多い。細胞内で集合したウイルスは、細胞から出芽したり、あるいは感染細胞が死ぬことによって放出されたりする。このときエンベロープを持つウイルスの一部は、出芽する際に被っていた宿主の細胞膜の一部をエンベロープとして獲得する。

宿主に与える影響

編集

宿宿宿

細胞レベルでの影響

編集
 
細胞変性効果(円形化)培養フラスコの底に敷石状に生育している培養細胞がウイルスの感染によって円く変形し、やがてフラスコからはがれてプラーク(空隙、写真中央)を形成する。
 
細胞変性効果(合胞体)敷石状に生育した培養細胞同士がウイルス感染によって細胞膜の融合を起こし、細胞核が中央に凝集して(写真中央)多核巨細胞様の形態になる。

宿

宿宿宿

 (cytopathic effect, CPE) 宿 (synsitium) 

辿



宿MHCIT[31]



宿宿宿



宿宿DNA宿宿

個体レベルでの影響

編集

 (AIDS)

TNKAIDS



宿宿[32]

脚注

編集

注釈

編集


(一)^ 使

(二)^ 6111. e-Gov. . 20191217 12330207

出典

編集


(一)^ Virus Taxonomy: 2021 Release. International Committee on Taxonomy of Viruses (ICTV). 2022419

(二)^ ICTV New Taxonomy Release201920203   14 27-420212022419

(三)^ ab 2010, p. 63.

(四)^ C200917 ISBN 978-4-416-80933-4

(五)^ GLOBE2332020967

(六)^  2016, p. 136-137.

(七)^ abcdefghijkl (PDF)  2021822

(八)^ GLOBE2332020963

(九)^ IPBES17085 20201142021624

(十)^ Definition of "virus" > Translations for 'virus' (Collins English Dictionary)

(11)^ William T. Stearn: Botanical Latin. History, Grammar, Syntax, Terminology and Vocabulary. Third edition, David & Charles, 1983. Virus: virus (s.n. II), gen. sing. viri, nom. pl. vira, gen. pl. vīrorum (to be distinguished from virorum, of men).

(12)^ Pons: virus

(13)^ e.g. Michael Worboys: Cambridge History of Medicine: Spreading Germs: Disease Theories and Medical Practice in Britain, 1865-1900, Cambridge University Press, 2000, p. 204

(14)^ e.g. Karsten Buschard & Rikke Thon: Diabetic Animal Models. In: Handbook of Laboratory Animal Science. Second Edition. Volume II: Animal Models, edited by Jann Hau & Gerald L. Van Hoosier Jr., CRC Press, 2003, p.163 & 166

(15)^ 1965p.48

(16)^ 1937214 pp.385-388, doi:10.3412/jsb1917.21.4_38

(17)^ 7(3): 195-207(1935), hdl:10091/6066

(18)^ ,,西VIRUS.195112 pp.135-140, doi:10.2222/jsv1951.1.135

(19)^  (1)VIRUS.195223 pp.187-194, doi:10.2222/jsv1951.2.187

(20)^ ,1930 1930 416 pp.643-652, doi:10.14828/jsb1895.1930.643

(21)^ . . 202046

(22)^  (1995). . . p. 91 

(23)^ 西200351516

(24)^ abc? - 

(25)^ Krupovic M, Koonin EV (February 2015). "Polintons: a hotbed of eukaryotic virus, transposon and plasmid evolution". Nat Rev Microbiol. 13(2): 105115. doi:10.1038/nrmicro3389. PMC 5898198. PMID 25534808. 2020610

(26)^   25330p.4

(27)^ Wendell M. Stanley - Facts. NobelPrize.org. 202046

(28)^ .  >  > . . 2013519202046

(29)^ (3) ? 2020672020610

(30)^ Coronavirus Resource Center (). Harvard Health (2020228). 2022612

(31)^ 2022103120221126

(32)^  2016, pp. 2730.

参考文献

編集

STEP2    19981127  pp.107109

 199212

David O. White, Frank J. Fenner



 

2016316ISBN 4062883597 

, 調67520101161-70ISSN 00094854vwvvirus 

関連項目

編集

生物以外

外部リンク

編集