紙
紙(かみ)またはペーパーとは、植物などの繊維を絡ませながら薄く平(たいら)に成形したもの。日本産業規格 (JIS) では、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されている[1]。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3f/Paper_sheet.jpg/220px-Paper_sheet.jpg)
概要
編集紙の原料
編集製紙用として使用される繊維素材には、植物性天然繊維、動物性天然繊維、人造繊維などがある[7]。
植物性天然繊維
編集茎幹繊維
編集果実繊維
編集葉繊維
編集動物性天然繊維
編集化学繊維など
編集無機繊維紙
編集紙の分類
編集和紙と洋紙
編集特徴
編集唐紙
編集唐本には竹紙が多く用いられている[21]。紙は和紙・洋紙・唐紙に分類されることがある。
板紙
編集紙の中で、主に包装用に使われる厚い紙を板紙(ボール紙)という。紙は和紙・洋紙・板紙に分類されることがある[6]。
経済産業省による分類
編集![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d9/Paper_usage.jpg/230px-Paper_usage.jpg)
紙の歴史
編集紙発明以前
編集紙が発明され普及する前から、人間は世界各地でさまざまなものを文字などを筆記する媒体として利用してきた。例えば、次のものが知られている。
筆記媒体 | 地域 | 説明 |
---|---|---|
石 | 世界各地 | 人類は伝えたい内容や切なる祈りを絵や文字として、石に刻んだ。自然の洞窟や断崖の壁面、人工的に切り出した石塊、または持ち運びできる小さな石など。万人が閲覧できる状態であったであろうものから、自分のために書かれたであろうものまで、その用途は様々である。摩耗・風化などはあるが石は保存耐性が高いため、数百もしくは数千年を経てなお今日でも読むことができるものが世界各地に存在する。これとは別に、当時の金属製品や土器に刻まれた文字もある。 |
粘土板 | 古代メソポタミア | 泥を、板の形にして干したもの |
パピルス | 古代エジプト のち西アジア・ヨーロッパ |
パピルス(植物)の幹を薄く削ぎ、直角に交叉させ[23]、おし叩いて接着したもの。なお、「papyrus」は英語で紙を意味する「paper」の語源となっている。誤解されがちだが、古代エジプトはパピルスだけを使用していたのではなく、樹皮・粘土・木材・金属・陶器など、滑らかな表面を持つものは全て、文字を記すために使われた。 |
オストラコン | 古代ギリシャ、古代エジプト | 主に陶器の破片を利用したもの。少ない文言のメモから、長文のものまで存在した。エジプトでは「シヌヘの物語」や「夢のオストラカ」が書かれた長文も出土する。ギリシャでは政治家の信任投票に使われたことで著名であり、陶片ではなく投票記入専用のオストラコンが製造された。その投票「陶片追放」(オストラキスモス)の語源でもある。 |
羊皮紙 | 西アジア・ヨーロッパ | 動物の皮を筆記用に加工したもの。羊・仔牛・山羊・鹿・豚の皮革を原材料にしたもの[24]。 |
貝多羅葉(貝葉) | インド、東南アジア | 主に椰子の葉を筆記用に加工したもの。写経などに使われた。かさばるため、大量の筆記には不向き。 |
アマテ | 中南米 (アステカ・マヤ・オルメカ文明など) |
Ficus insipidaなどのクワ科やイチジク属の木の樹皮を煮て石で叩き伸ばし、のち整形したもの。 |
その他樹皮 | 各地 | 東南アジアでは桑の樹皮が写経などに使われた。欧州北部ではシラカバの樹皮が用いられた。 |
木簡・竹簡・経木 | 中国・朝鮮・日本 | 木や竹を、墨で筆記できるように細長い板にしたもの。風雨や衝撃に対して紙より丈夫であり、また削って再利用できる利点があることから、紙が普及してからも荷札などで便利に使われた。 |
帛書 | 中国・朝鮮・日本 | 絹の布。高価なため希少であり、のちには高級な書や工芸品に使用された。格下の用途としては木綿布や麻布も使用された。 |
中国での紙の発明と改良
編集日本への伝播
編集イスラム世界への伝播
編集ヨーロッパへの伝播
編集印刷技術の確立と原料不足
編集製紙工業の確立
編集製紙用薬品の普及
編集日本の洋紙製造史
編集紙の製造
編集
紙の作り方
編集- 斬竹漂塘 - 竹を切り、ため池に漬ける
- 煮楻足火 - 十分に煮る
- 蕩料入簾 - 竹麻を簾(れん)ですく
- 覆簾壓紙 - 簾をひっくり返し、紙を積み重ねる
- 透火焙乾 - 火を通し、紙を焙り乾かす
植物繊維を取り出す
編集紙をすく
編集紙料
編集パルプを水に溶かして散らしたものを紙料(原質、完成原料)といい、紙料から紙は作られる[22]。
木材パルプ
編集古紙
編集洋紙の製造
編集- パルプ化工程
- 調成工程
- 抄造工程
- 塗工工程
- 仕上・加工工程
パルプ化工程
編集調成工程
編集調成工程では、各種パルプを混合し、叩解し、薬品を添加する。叩解には、かつてはビーター、現在はリファイナーという機械が使われる。調成工程を経たパルプを、紙料という。
抄紙工程
編集塗工工程
編集仕上・加工工程
編集乾燥し、抄紙機またはコーターから出てきた紙は、次の工程で仕上・加工する。
- カレンダリング
- リールによる巻き取り
- ワインダーやカッターで断裁
- 包装
- 出荷
紙に添加される薬品
編集生産・消費量
編集日本製紙連合会の調べによれば、2012年における世界の紙・板紙の生産量は、前年比0.4%増の約4億トン。国別生産量のトップは中華人民共和国で10,250万トン。次いでアメリカ合衆国の7,438万トン、日本2,608万トンは世界3位に位置している。国民1人当たりの消費量のトップはベルギーで約318kg。次いでオーストラリアの約252kg、ドイツの約243kgが続く。日本は約218kg。
2017年の世界の紙・板紙生産量は、4.2億トンと2016年比1.7%増加。北米や欧州、日本などのこれまでの紙パルプ産業をけん引してきた国が、シェアを落とす中、アジア地域の存在感が増してきている。[26]
紙の物性
編集基本物性
編集要求物性
編集紙の規格
編集紙に関係する規格・法令
編集- ISO(国際標準化機構)
- RoHS指令
- PRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register)
- MSDS制度(Material Safety Data Sheet)=化学物質安全性データシート
- ICPデータ(Inductively Coupled Plasma Data)=誘導結合プラズマによる分析データで特定有害物質などの元素分析に用いられる。RoHS指令に対する不使用の証明として求められることが多い。
- 容器包装リサイクル法
- グリーン購入法
- 森林認証制度
寸法
編集種類 | 寸法(mm) |
---|---|
A列本判 | 625×880 |
B列本判 | 765×1085 |
四六判 | 788×1091 |
菊判 | 636×939 |
ハトロン判 | 900×1200 |
仕上げ寸法には、A列とB列がある。
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A列
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B列
枚数の単位
編集連
編集1連とは一定寸法に仕上げられた紙1,000枚(板紙の場合は100枚)のことで、紙取引の基準となる枚数である。小数点を使い、2.5連(2,500枚)のように表す場合もある。
質量の単位
編集坪量
編集連量
編集現代社会と紙
編集紙とコンピュータ
編集紙と環境問題
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 民営化前における官製はがきのこと。