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Nゲージ・HOゲージの車両、線路、ストラクチャー・アクセサリー、制御機器などを展開している。
製品はほとんどが射出成型によるプラスチック製である。動力車には一部金属製部品を使用している。
もっとも開発に力を注いでいる分野である。基本的に自社で設計し、精密金型加工技術などが駆使され、製造から塗装・組み立て・出荷まで自社で一貫して行う。1980年代後半より、まだ普及途上であったCAD/CAMを導入し、高品質の製品を供給した。1990年代以降の設計の製品については、﹁フライホイール﹂・﹁KATOカプラー﹂・﹁サスペンション機構﹂・﹁DCCフレンドリー﹂・﹁振り子機構﹂など独自開発の新基軸︵後述の特殊な装備を参照︶を積極的に導入している。
販売形態は、1両ごとの単品クリアケース入りの単品販売と、実車に類似した編成を再現するのに必要な車両をブックケースに纏めたセット販売の2形態がある。
かつては塗装済みキット形態の製品︵Nゲージ京急800形など︶や、未塗装の製品︵16番ゲージ国鉄キハ65形気動車など︶も存在したが、現在は塗装済み完成品のみとなっている。屋根上機器を中心に購入者による後付けパーツが多く、方向幕などのシール類も選択式となっていたが、2000年代後半からは、すべての部品が取り付け済みかつ行先表示も印刷済みで、購入後すぐに運転が可能な製品を増やしている。車番・表記等が印刷済みのもの、ブロック形の選択式ナンバープレートを購入者が取り付けるものなどがある。
また製品発売と同時期に製品内の車両を構成する部品をそれぞれ補修用として﹁ASSY︵アッシー︶パーツ﹂の名称で販売している。ただし、近年は共通部品を除いて予約方式の受注生産に変更されている。
日本形車両
Nゲージ
日本型Nゲージは、加藤祐治が小型鉄道模型の参入を企画した際に、﹃鉄道模型趣味︵TMS︶﹄主筆・山崎喜陽のアドバイスによって、縮尺1/150・軌間9mmとした。1965年に完成品第一号となるC50形蒸気機関車とオハ31系客車を発売して以後、新製品と再生産を織り交ぜながら展開してきた。カタログモデルだけでも国鉄時代から現在のJRまでの多岐に渡る製品群を持つ。ただし、私鉄の車両は同業他社と比べると少ない。JR貨物の新型電気機関車については、量産化に至らなかったEF500形、ED500形を除き網羅している。バブル期には近鉄21000系電車やJR東日本651系電車、北斗星、フラノエクスプレス、JR東海キハ85系気動車、JR東日本253系電車等の特急車を中心に一部製品に予め電球タイプの室内灯を入れて販売していた。なお、これらの車両のリニューアル発売品は既製品の室内灯ではなく、85系用または651系用のLED室内灯装着になる。2021年現在は特殊な構造であるJR東日本251系電車、小田急10000形電車が室内灯取り付け済み製品となっている。四季島・瑞風・ななつ星やJR東日本E233系電車などの2階建てグリーン車などは室内灯はついてないもののプリズムが特殊構造であることから、あらかじめプリズムのみ装着されている。カシオペア・サンライズ・651系・85系については専用の室内灯を別売りしている。
日本型Nゲージの蒸気機関車モデルには、日本型Nゲージの基準となる縮尺1/150を少しオーバーする縮尺1/140ほどの製品が多い。これは、かつて蒸気機関車本体に内装できる小型モーターが存在せず、キャブ︵運転室︶内にモータ-を納めるためだったが、これに合わせる形で他の機関車や貨車製品もオーバースケールとなっていた。2007年にリニューアルしたC62を、初の縮尺1/150の蒸気機関車として発売した。
なお、鉄道省・国鉄時代の電車・気動車・客車をモデルとした製品では、所属標記が﹁関スイ﹂という社名に因んだ架空のものになっているものがあるが、セット製品など︵リニューアル品も含めて︶時代設定が明らかになっているものには実際の所属標記が印刷される。
車両ケースは、1両ごとに入れる﹁クリアケース﹂と、複数の車両を収納可能な﹁ブックケース﹂に分けられる。単品用のクリアケースはプラスチック製で、車両の形に合わせたプラスチック製の中敷が入れられている。ケースの上下面には積み重ね可能なリブがついており、大型機関車︵JR貨物EH500形電気機関車・JR貨物EH200形電気機関車など︶用など一部を除きサイズを統一している。ケースの上蓋には2023年10月生産分より社章が刻印されており︵それ以前は青色の社章が印刷されていた︶、蒸気機関車のみ赤色の社章となっている。ブックケースは保護用のスリーブに収納できるほか、中にウレタン製の中敷が入れられており、サイズが大と小に分かれている。収納可能両数が小サイズ3・4・5両、大サイズ6・7・8・9・10・12両と合わせて9種類ある︵このうち12両収納可能ブックケースはコンテナ貨車専用である︶。ブックケース単品の販売では、クリアケースを7つ収納可能な製品もある。上記のうち3・5・6・9両用はケース単品販売はなくセット販売限定である。
この他、2・4両セット用に紙箱のなかに発泡スチロール製のケースが入れられているものも存在する。
HOゲージ︵16番ゲージ︶
製品にはHOゲージと表記されているが、規格としては縮尺1/80・軌間16.5mmの日本型16番ゲージ規格を採用している。国鉄時代の電車や、機関車、貨車などを出しているが、同業他社と比べると車種は少ない。私鉄の車両は近鉄アーバンライナーのみである。車種は少ないものの、D51蒸気機関車のようにシリンダー前後の構造を従来の他社16番ゲージ製品とは変更し急曲線に対応させるといった点に同社のこだわりと技術を垣間見ることができる。
車両ケースは、単品販売・セット販売のものは紙製で、ケース内に車両の形に合わせた発泡スチロール製の中敷きが入れられている。複数の車両が収納可能なケースはアタッシュケースタイプで、3両まで収納可能なプラスチック製である。中敷きはついておらず、紙製ケース内の発泡スチロール製中敷きをそのまま入れる。
外国形車両︵輸出向け車両︶
スイス国鉄Re460形電気機関車
アムトラック アムフリート客車
上‥アムフリートI、下‥アムフリートII
欧米向けにHOゲージやNゲージを輸出している。かつてKATOはNゲージ開発販売当初の1960年代後半からイタリアのリバロッシ、アメリカのアトラス︵英語版︶、Con-Corと提携して、ハドソン型蒸気機関車やログカー︵運材車︶やカブースなどのアメリカ向け製品を生産していた。また、Con-Cor社にペンシルバニア鉄道塗装のキハ20系気動車やEF70形電気機関車を輸出していた。技術の向上・確立により、国外でも評価が高く、多数の鉄道模型会社がひしめくヨーロッパにおいても他社に引けをとることなくTGVやタリス等において高い評価を得ている。アメリカにおいては特に旅客車やその牽引機の製品化に積極的であり、現代のアムトラックや往年の各社の看板列車を製品化している。貨物車についてもコール・ポーター︵石炭車︶やダブルスタックトレインなど編成物のセット販売が主体である。ユニオン・パシフィック鉄道の機関車側面に見られる星条旗など、細かな印刷表現を売りとしている。人気のある車種においては再発売までの周期が長い場合、プレミアが付いて小売価格よりも高価格で取引される場合もある。
ドイツ鉄道のET425近郊形電車で用いられた連接構造︵→小田急ロマンスカーNSE車︶[24]、アムトラックのアムフリート用パイオニアIII台車︵→東急7000系電車 (初代)︶のように、外国型で培われた新技術が日本型製品にフィードバックされることもある。
通常販売品のほかにNゲージにおいて以下の特殊な製品群が存在する。
KATO製品を特別装飾やラッピングなど実車に合わせた色変えを行ったもので、金型はオリジナル製品と同じことから﹁○○タイプ﹂として発売されるものが多い。特別企画品として販売された製品であっても後に通常品として再生産された製品もある。なお、通常販売品との共通部品を除いて補修用パーツ︵Assy︶の販売はない。
近年は﹁ホビーセンターカトー製品﹂︵旧ROUND HOUSE︶の名で販売されることもあるが、その際には車両ケースを赤色単色として販売することが多い。これも再生産される場合があるがAssyパーツの販売はない。
長らく﹁限定品﹂の製品はなかったが、2012年4月に﹁E2系東北新幹線はやて全線復旧1番列車﹂と題し、2011年4月29日東京駅6時40分発﹁はやて115号﹂に充当されたE2系1000番台J59編成︵先頭車両に貼付された復興推進キャンペーンのステッカーも再現︶が﹁限定品﹂として製品化され、売上の一部が日本赤十字社を通じて東日本大震災の被災地に寄付された[25]。
2005年から鉄道史を語る上でのエポックメイキング的な昭和時代の名列車を中心に、「レジェンドコレクション」を展開している。通常の製品と異なり、緑色単色のスリーブの代わりにイラスト入りの化粧箱に入れられた状態で販売される。特別企画品扱いであり、原則として再生産されず(後に同一形式を仕様を違えたうえで一般商品として販売することはある)、Assyパーツの設定もない。
同社は「はじめませんか、鉄道模型」のキャッチフレーズを掲げ、鉄道模型の入門者向けとして身近で親しみやすい全国の人気車両や新型車両を中心に「ベストセレクション」と設定して、カラフルな吊り下げ紙製パッケージにまとめた3・4両セットを主体に継続的に生産している。
別売りの増結セットを購入することによって、フル編成を楽しむこともできる。
KATO USAでも"Starter Series"として同様のパッケージにて商品展開をしているが、こちらは継続的な再生産を前提としない各年ごとのクリスマス列車が含まれる[26]などベストセレクションとは異なる点もある。
KATO USA︵アメリカ市場︶向け製品として、一般流通品と異なる塗装や仕様の車輌をカスタム商品として少量販売する。過去に発売された製品としてはM-497︵DCCサウンド付き︶、カルトレイン客車などがある。詳細はオンラインストアを参照。
小型の動力を使用した、2軸の小さな車両を題材としたシリーズ。ヨーロッパ風の蒸気機関車列車をモチーフとした﹁チビロコ﹂・﹁チビ客車﹂、2連の軽快電車風路面電車の﹁チビ電﹂、産業用を思わせるデザインの凸型電気機関車﹁チビ凸﹂、無蓋貨車﹁チビ貨車﹂がラインナップされている。動力ユニットの分売もされており、バンダイのBトレインショーティーシリーズ企画時にはKATOの協力を得られたことによりこの動力に合わせて全長約60mmに決定し、交換用Nゲージ化パーツとして指定された[27]。一連のシリーズ製品の発売は1982・83年と古いが、2010年以降リニューアルされ、新たな塗装、スタイルとなって商品展開されている。
2011年12月のポポンデッタ限定製品﹁SLコーヒー列車セット﹂[28]や2018年のレムケ・カトー限定製品﹁ÖBB BR 88﹂[29]などの特定機を再現した製品︵いわゆる“タイプ”︶も製造した。
2019年10月にはコアレスモーターの動力にリニューアルされた[30]。
●飯田線シリーズ‥国鉄時代の飯田線を走った列車をほぼ完全に網羅したシリーズ︵臨時等で乗り入れた車両を除く︶。旧型国電、流電52系電車、電気機関車ED19、急行形電車165系、世代交代期の119系、現代の313系1700番台と多岐にわたる。
●碓氷峠シリーズ‥1997年9月30日をもって廃止された碓氷峠を行き交った列車たちのシリーズ。2017年9月に始動した。ただし、EF63と他車種を連結するにはKATOカプラーへの交換が必要で、大半の車種が先陣を切ったTOMIXと競合している。また旧製品(台車マウントタイプ)の189系や485系は先頭車がダミー連結器なので協調運転は出来ない。185系や165系は台車交換で対応可能だが、台車連結機は新型KATOカプラーには対応してないので機関車は旧式のKATOカプラーに交換する必要がある。
●東武鉄道シリーズ‥工場がある埼玉県鶴ヶ島市からの要望により製品化された東武鉄道の車両のシリーズ。主に東武線で運用されている車両が中心となっている。
1982年に当時は珍しい西武百貨店とコラボ商品で、西武系列の鉄道模型取扱店舗やイベント催事で発売されていた。西武ライオンズのロゴと獅子が交互にプリントされていた積替不可のコンテナ貨車。車番は既製品と同じで、コキフのコンテナは白・緑の2色で、コキは白・緑・青の3色あった。西武E851形電気機関車とのセットのほか、ベーシックセットや単品発売もされていた。
2008年12月に来日20周年を記念して﹁オリエント・エクスプレス '88﹂を発売。専用マーク付きのD51 498も発売された。2014年には、パリから香港までを走行した時の仕様が発売された。これは、日本走行時と仕様と金型を変えている。同時に、箱根ラリック美術館に保存されているプルマンカー・4158号車も発売された。
2018年2月2日には、来日30周年を記念して再生産が発表された。
新機構の開発にも意欲的で、付加価値の高い装備を施している。国内製品はもとより海外製品とも他社との差別化を図っている。特許を取得しているものも多数存在する。
カプラー︵連結器︶
●KATOカプラー︵Nゲージ・HOゲージ︶
従来のNゲージに標準搭載されていたアーノルトカプラーが、実物の連結器と比較して実感的でなかったため新たに考案されたものである。アーノルトカプラー搭載車両と比較して、KATOカプラー搭載車両は連結面間隔が狭く実感的である。自動連結器形のもの︵KATOカプラーN・KATOカプラー密自連型︶や密着連結器形のもの︵KATOカプラー密連型︶など様々なタイプを開発している。このうち密着連結器形のものは車体に取り付ける構造︵車体マウント︶の﹁伸縮密連形﹂があり、これを採用した車両はより狭く実感的な連結面間が再現されるほか、従来は台車に直接カプラーが取り付けられていたため表現できなかった車体端の機器類が表現可能となる。
HOゲージでも同様の構造のカプラーが採用されている。
色は黒・濃灰・青灰・灰・白。
●新性能KATOカプラー密連型
従来品︵KATOカプラー密連型︶と比較して、電気連結器を模したフックが無いことでTNカプラーに近い形状をしているが、従来品・TNとは連結できない。西武40000系電車より採用されたのち、先頭・中間を問わず、多くの電車を中心に採用されている。なお、電連の再現が必要な車両にはセットに別パーツが付属している。
色は黒・青灰・灰。
●ショートカプラー
スイスの氷河特急﹁グレッシャーエクスプレス﹂用のカプラー。電連フックが上になっている。
●KATOナックルカプラー︵Nゲージ︶
上記KATOカプラーの自動連結器のものは、前述の通りアーノルドカプラーより実感的ではあるものの実物の形状には及ばず、また車両を突き当てた際の自動連結は出来るものの、関水金属が代理店として取り扱っていたマイクロトレインズ社のマグネマティックカプラー︵ケーディーカプラー︶のように線路に埋め込んだ磁石を用いた自動開放が出来なかった。そこで、新規に開発されたものがナックルカプラーで、実物の自動連結器に似た外観に自動連結・開放機能が備えられ︵自動開放のためのトリップピンは別添であり必要に応じて装着する︶、外国向け製品から順次採用を開始した。後に自動開放に必要なトリップピンを装着するための開口部を省いた物を日本国内製品向けに使用開始、現在はKATOカプラーに変わる標準カプラーとして機関車などに採用している。KATOカプラーNやマグネマティックカプラーとも連結が可能。
色は黒・濃灰・灰。
●かもめナックル(黒)・カシオペアナックル(濃灰)
旧形客車などの台車に取り付けられるナックルカプラー。
ストッパーで抑えるタイプである。
●ビジネスカーナックルカプラー
2022年9月に発売。カットすればダミー連結器と交換可能な仕様。
●KATOカプラー伸縮密自連形︵Nゲージ︶
従来のKATOカプラー自連形やナックルカプラーとは異なり自動連結・自動開放は不可能なものの、極めて実物の密着自動連結器に似た外観・大きさを実現したもの。台車ではなく車体に取り付ける構造のみで、またKATOカプラー自連形やナックルカプラーとは構造上連結が不可能であるが、それらを必要としない固定編成の客車や特急形気動車の中間連結面などに採用した。﹁伸縮密連形﹂と同様、より狭く実感的な連結面を実現できる。他種類のカプラーを搭載した車両と連結する場合は、連結器自体を付属もしくは別売りのパーツを購入し、上記のナックルカプラーもしくはアーノルドカプラーに交換する必要がある。
●オープンノーズカプラー︵Nゲージ・HOゲージ︶
新幹線車両の先頭部連結器の構造を再現した連結機構。ただし操作は線路上で行うことはできない。E5系・E6系では採用されず、TOMIXと同様に先頭部分が外れるタイプとなっている。TOMIXとは異なり、灯火類のスイッチとは連動しない。
●ダイヤフラムカプラー︵Nゲージ︶
新幹線車両︵0系・200系・下記の﹁KATOダイヤフラムカプラー﹂採用車両は除く︶の中間連結部に採用されている。貫通幌自体に連結機能が備わっている。
●KATOダイヤフラムカプラー︵Nゲージ︶
E3系の中間連結部に採用されている。構造としては、在来線用のKATOカプラーと幌枠が一体化したものである︵ただし、実際の新幹線用密着連結器と同様に穴が丸くなっている︶。E5系・E6系以降に新規発売された製品に採用されたものは、ばねを内蔵することによって中央部に戻る機構が備わっている。E3系以降に新規発売される新幹線車両はすべてKATOダイヤフラムカプラーが装備されており、取り扱いに難があった全周幌カプラーに代わってN700Aでも採用されている。
走行機構
E351系﹁振り子機構﹂
●振り子機構・車体傾斜機構︵Nゲージ・HOゲージ︶
E351系電車から採用した、曲線上で車体を強制的に内側に傾ける機構で、フライシュマン製品とは方式が異なる。実車通り車種により﹁振り子機構︵E351系・383系など︶﹂と﹁車体傾斜機構︵N700系・E5系など︶﹂の呼び名が使い分けられている。
傾斜方法や構造は車種によって異なる。
●サスペンション機構︵Nゲージ︶
集電用の金属板を板バネとして使用し、台車や車軸に加重を加えることで車輪踏面を線路に押さえつけ走行安定性を高め、脱線や逸走を防止し線路と車輪の接点を保持して安定した集電を行う機構。近年の新製品では機関車・電車・客車・気動車・貨車など車種を問わず標準的に装備している。
●フライホイール︵HOゲージ・Nゲージ︶
フライホイールによってモーター回転軸の慣性を保存し、動力車に無通電区間の踏破性能を与え安定した推進力を与える機構︵ウォームギアを使用している関係上、惰行は効かない︶。走行に安定性が増すほか、より滑らかなスロー走行が実現する。1989年より導入し、2004年に生産休止品を除くすべての電気機関車とディーゼル機関車で装備を完了した。さらに2005年から 電車とディーゼルカーで標準装備が進められている。
●コロ軸機構︵HOゲージ︶
車軸端の軸受け部分が走行中に実物と同じく回転する機構。
●スロットレスモーター︵Nゲージ︶
モーター作動時にコイルと永久磁石との間に生じるコギング︵スロット︶を低減させることでフライホイールではできなかった、滑らかなスロー走行を実現させた新たな動力機構。2022年6月発売のJR西日本683系電車4000番台で採用され、従来のフライホイール付きモーターに変わり、標準仕様となっている。
永久磁石にはネオジム磁石を採用している。
●ローフランジ車輪︵Nゲージ︶
走行用模型として過大になりがちな車輪のフランジを従来の車輪より低くし、また車輪の厚さを薄くして形状を実感的にしたもの。基本的には黒ニッケルメッキによる﹁黒染め車輪﹂となっている。なお、この車輪を用いた車両は線路状態や重量によっては従来の車輪を装着した車両よりも脱線しやすかったため、新規生産分については下記の車輪に変更された。ただし、DE10など構造上高いフランジの車輪が使用できない車種では、ローフランジ車輪やそれと同等な低いフランジの車輪が引き続き使用されている。
●薄型車輪︵Nゲージ︶
上記のローフランジ車輪の代替として導入したもので、ローフランジ車輪のフランジを少し高くして走行安定性を改善した。現在生産されている車両はこの車輪が標準として用いられる。基本的には黒ニッケルメッキによる﹁黒染め車輪﹂となっている。
外観の追求
●運転台シースルー︵Nゲージ︶
ライトユニットにLEDを採用し小型化して床板内収納式とし、電車の運転台と、客室部分との仕切りを再現した。国鉄101系から採用した。
●トレインマーク変換装置︵Nゲージ︶
ライトユニットの周りの円筒形状の台座に、3 - 5種類のトレインマークを印刷したフィルムを取り付けている。トレインマークは枠を回転させることにより変換可能。一部の国鉄型電車・客車︵183系・185系・189系・485系・581系・583系・14系・24系︶に装備されている。
●クイックヘッドマーク
ヘッドマーク各種機関車先頭部のライトケース部分に磁石を仕込み、磁性体を入れて成形したヘッドマークを容易に脱着できるようにしたもの。ディーゼル機関車、EH800やEH500などの貨物機には対応していないが、EF510やEF65などのように旅客機と共通形式は別売のマグネットを埋め込むことで可能。
吊り下げ式のブリスターパックや、紙製ケース入りで販売される。9mmゲージ参入当初は固定式線路 (道床なし・組み立て式線路) のみを展開していたが、後に道床つき・組み立て式のユニトラックを発売した。道床なし・フレキシブル線路も含め、固定式線路は2010年現在でも発売されている。
●初代Nゲージ用リレーラー︵2544︶は、かつて9mmゲージ鉄道模型への参入を計画していたソニーマイクロトレーンのもので、計画が中止された際に金型を譲り受け、1980年代の後継品︵24-000/ジョイナーはずし付︶の発売まで自社製品として販売していた。
ユニトラック。手前はジョイント線路
ユニトラックはプラスチック製の道床つき・組み立て式線路製品の総称で、直線、曲線、ポイントなどの各種線路が用意されている。単品販売やセット販売以外に、車両と制御機器が加えられたスタートセットにも含まれる。
1980年にNゲージ用が発売され、当時の道床は薄茶色の成型色であった。1987年に枕木に彩色が施された明灰色塗装の道床に変更され、89年にはグッドデザイン賞を受賞した[37]。HOゲージ用は1986年に発売されたが、枕木と道床部分が別パーツであったため、重い車両を走らせると線路全体がたわんでしまうことがあった。後年、Nゲージ用と同様に枕木と道床部分が一体成型となり、強度が増したため問題は解消された。Nゲージ用の線路には、道床無しの自社の固定式線路や他社規格の線路[注8]を接続するためのジョイント線路を発売している。
基準
Nゲージは直線248mmが、HOゲージは直線246mmが基準の長さとなっている。複線とする場合の間隔はNゲージでは33mm、HOゲージでは60mmである。Nゲージのみ複線レールを発売している。
●スターターセット (Nゲージ)
車両とユニトラック線路、パワーパックが付属し、さらには追加で購入した車両や線路を収納することができる﹁秘密のポケット﹂が付属している。
●マスターセット (Nゲージ)
スターターセットから車両を除いたセット。M1とM2︵M1にV1を組み合わせたセット︶の2つを用意している。
●V線路セットシリーズ (Nゲージ)
目的別にV1 - V16を展開している。
●ユニトラック線路セット・マスタープランセット (HOゲージ)
線路セットは円のみ。マスタープランセットは円 + 引込み線の付いたセットである。
●ユニジョイナー (Nゲージ・HOゲージ)
ユニトラック同士の接続に使用されるもの。当初は薄茶色であったが、ユニトラックのリニューアル時に灰色に変更した。レール同士を繋ぐ金属部分も後に変更している。ドイツのティリヒから発売されているTTゲージ用線路にも採用されている[38]。
●PlayTrack
ウェブブラウザ上で動作するユニトラック専用の線路配置をシミュレーションするソフトウェアである。他社が有料会員制サービスとして提供していた[39]が、現在はサービスを終了している。
ユニトラムはライトレールを用いた「未来の街を描く」という街づくりを開発コンセプトとし、Nゲージ規格の複線軌道とシーナリーベースを一体化した路面軌道プレートからなるシステムである。スタートセットと路面軌道プレートセット (V50) を展開している。
直線部の複線間隔は22mmである。これは既存のユニトラック線路を隙間なく2本並べた状態と同等で、接続も可能である。曲線部分は内側線・外側線ともに同一曲率であり、90度ごとに外側線の曲線開始部が若干オフセットしている。そのため、曲線開始部から45度のプレート同士の接続点で複線間隔が33mmとなる。
路面軌道プレートの軌道面の高さはユニトラックと同一に設計している。なお、ユニトラックの標準的な複線間隔は33mmであり、従来のユニトラック複線線路やポイントなどと直線部で接続する場合には複線間隔の変更が必要であるが、そのための接続線路も用意されている[注 9]。
近年はアメリカのデジトラックス社と提携して、DCCに対応した入門用コントローラーD101なども展開している。DCC用の車載デコーダー (受信機) をワンタッチ装着可能とした、DCCフレンドリー対応の製品も多く発売している。2006年以降の欧州向け製品はNEM規格に適合済みである。
伝統的な直流12ボルト制御方式では、パワーパック、新コントローラーシステム (定電圧直流電源) に加え、リアルな質感を備えレバー操作で計器類が連動する運転台形コントローラーを発売している。
●ジャンプポート
従来の自社直流制御コントローラーをDCCコントローラーに接続させる仕組みで、デジタルコントローラーD101 (DCS50K) に装備される。直流電流を変換して制御信号として認識させるシステムのこと。
●サウンド制御 (アメリカ向けHOゲージ)
サウンドデコーダーを内装した車両は走行スピードに応じてエンジン回転ピッチ音などを変化させながらリアルに走行する。スロットルからの指示によって、汽笛、警笛、連結音、きしみ音などを自由に鳴らすことのできるシステムである。
●サウンドボックス︵日本向けNゲージ・HOゲージ︶
別売りのサウンドセットを購入し、パワーパックと連動する形で走行スピードに応じてモーター音、エンジン回転ピッチ音、蒸気機関車の音などを変化させながらリアルに走行する。スロットルからの指示によって、汽笛、警笛、連結音、きしみ音、合図ブザーなどを自由に鳴らすことのできるシステムである。音声の外部出力や、本体からの外部音声の再生も可能。DCCには非対応。
●色灯式信号機︵2灯式・3灯式︶
1975年から80年代初頭までは豆電球を用いたリレー式であったが、80年代中頃より、LED化されたハイテク信号灯システムに置き換えられた。
日本型Nゲージレイアウトづくりのためのシステム商品を自社ブランドで展開する。また、日本国外の提携各社のレイアウト用品を自社パッケージブランド化し幅広く投入している。HOゲージでは人形のみ発売している。
ストラクチャー
かつては車両開発にはかなり積極的であったものの、ストラクチャー類に関しては消極的で、ヨーロッパやアメリカの輸入キットに頼っていた。1980年代から国産のストラクチャーを徐々に展開し始め、90年代には駅舎やプラットホームといった鉄道シリーズのほか住宅などの一般情景用品も扱う様になった。イージーキットと呼ばれるキット形態と、完成品形態のものを展開している。1970年代の鉄道施設や町並みを再現する﹁ローカルストラクチャーシリーズ﹂は、蒸気機関車時代に強みがある。一部アトラス︵英語版︶、ファーラー[注10]製品も含まれる[41]。過去にはヘルヤン[注7]やフォルマー、キブリ製品も輸入販売していた[42]。
ジオタウン
プレート上に町並みを再現したシリーズで、完成品形態で販売する。いわゆるお座敷運転でも、建物やプレートを並べるだけで風景付きレイアウトの雰囲気を楽しめる。駅前施設のほか、レストランや商業ビル、公共施設など幅広い。郵便自動車や人形などのアクセサリーが展開されている。一部の製品で中国生産のものが存在する。
レイアウト用材料
樹木や草地、地面、ユニトラック用バラストを自社展開している。一部ノッホ[注11]、ウッドランドシーニックス[注12]製品も含まれる[42][41]。
1980年前後から概ね3-4年ごとに﹁KATO 鉄道模型総合カタログ﹂を発行していたが、2008年からは公式ウェブサイトでの情報提供が充実された事に伴い、車両製品についてはその年の新規生産予定のモデルや再生産を予定している車種を中心に掲載し、カタログを毎年発行する事になった。ユニトラックやレイアウト用品、制御機器は生産時期を問わず全て掲載されている。カタログに未掲載の車両製品については﹁KATO Nゲージ アーカイブス - 鉄道模型3000両の世界﹂で補完することにしている。また、それ以前は季刊発行の小冊子﹁KATOニュース﹂で新製品情報を補完していたが、通算99号を最後に2015年現在発行は休止状態となっている。
●KATO 鉄道模型総合カタログ (2008年版より1年ごとに発行。2010年版より、名称を﹁KATO Nゲージ・HOゲージ鉄道模型カタログ﹂に改めた。)
●KATO Nゲージ アーカイブス - 鉄道模型3000両の世界
●KATO NEWS (季刊・年4回発行、2010年現在休止中。)
●KATO鉄道模型レイアウトガイド
●ユニトラックレイアウトプラン集 (Nゲージ)
一部の冊子では、アルファベット︵ラテン文字︶のNの文字をモチーフにした﹁エヌジロー﹂がマスコットとなっている。口癖は﹁- なのだエヌ!﹂。