ウクライナのクリスマス
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伝統的にウクライナのクリスマスの祝祭は、最も信徒の多い正教会の場合はユリウス暦に準じて1月7日をクリスマスとし、1月6日に祝われるクリスマスイブから始まり、ヨルダン (Yordan) とも呼ばれる1月19日の神現祭︵主の洗礼祭︶に終わる[1]。
2017年現在では、ウクライナ政府によりグレゴリオ暦の12月25日も公式の祝日となっている。東方正教会およびウクライナ東方カトリック教会では主としてユリウス暦に従っているため、︵ユリウス暦で12月25日である︶1月7日はウクライナの公的な祝日とされており[2][3]、ウクライナではクリスマスの祝日は2日存在する。
日付
ウクライナでは公的なクリスマスの祝日が12月25日と1月7日の2日ある。2022年のウクライナのオンライン新聞﹁ウクライナ・プラウダ﹂による世論調査ではクリスマスをどの日に祝うかという質問が実施された。回答者のうち55%が1月7日、11%は12月25日に祝い、12月25日・1月7日共に祝うのは25%という結果であった[4]。 ウクライナの正教会はいくつかにわかれているが︵ウクライナの宗教︶、多くの場合1月7日をクリスマスとする。独立正教会であるウクライナ正教会 (OCU)では、2020年12月に、府主教であるエピファニーは﹁ウクライナにおけるクリスマスの日付を12月25日へと変更することは、教育的活動を行ったうえで、教会及び信徒がそのように決断する準備ができた後に可能となるだろう。主の降誕祭が日延べになると、それに加えてすべての固定の祝日が13日前に変更されることになる﹂と述べた[5]。また、2022年10月18日には、は信徒からの要望が確認された場合には、教会が︵伝統的なユリウス暦ではなく︶修正ユリウス暦に基づいて降誕祭︵クリスマス︶の奉神礼︵礼拝︶を行うことを許可し、これに参加した信徒はこの日をもって断食︵斎、ものいみ︶が終わると宣言した[6][7]。ウクライナ東方カトリック教会 (UGCC)は2020年12月に、総大司教スヴィアトスラヴ・シェフチュクは、東方正教会はこの問題を﹁正教会の兄弟たちと共に﹂解決すると述べ、また、この問題は教義的なものではなく教会の分裂を乗り越え、新たな分裂の要因となってはならないと指摘し、12月25日という新しい様式で祝うことへの変化は信徒によって始められるはずのことだと意見を示した。 2022 年10月18日、ウクライナ正教会は、教区が改訂されたユリウス暦 (12月25日) に従ってクリスマス礼拝を行うことを許可しました。 教会の礼拝の場合、参加者はこの日の断食制限を免除されます。[8] 2022 年12月24日、謁見の際、スヴィアトスラフ大司教はメトロポリタン エピファニウスに、暦改革に関する UGCC の階層の審議を説明する検討のための書簡を提出しました。 霊長類は、暦改革の具体的な提案に関する合同作業部会を設立することを決定しました。[9][10][11]スヴィヤティイ・ヴェチル︵クリスマス・イブ︶
クリスマス・イヴはウクライナ語で﹁聖なる夜﹂を意味する﹁スヴィヤティイ・ヴェチル﹂ないし ﹁スヴィアトヴェチル﹂ と呼ばれる。伝統では、家やディナーテーブルは特別の品々︵ディドゥクと呼ばれる麦束の装飾や、ニンニク、干し草など︶で飾られ、コリャドカと呼ばれるキャロルが歌われるなど、数多くの慣習や儀式に満ちている。これらの儀式にはそれぞれ意味や由来があり、例えば刺繍がされたテーブルクロスの上に数本の干し草を置くのはベツレヘムの飼い葉桶を連想させるための物である。 この夜の主要な習慣に、スヴィアタ・ヴェチェリア (Sviata Vecheria, 聖なる晩餐)と呼ばれる特別な晩餐がある[12]。この晩餐では、家族全員で︵十二使徒になぞらえた︶12品の料理を食べる︵クリスマス・イブの12品の晩餐︶。伝統的にこれらの料理には肉、牛乳、卵は使われない[13]。 ﹁クティア﹂︵穀物を甘く蒸したもの︶はウクライナの伝統的なクリスマス料理であり、しばしば12品のうちの1品目として供される。この料理はクリスマス・シーズン以外に供されることはほとんど無い[14]。コリャドカ︵キャロル︶
スヴィアタ・ヴェチェリア︵クリスマス・イブの晩餐︶の終わりには、家族でキャロルが歌われる。また、多くの地域共同体では、各種団体や教会などのメンバーや若者たちのグループが各家庭を訪れ、ウクライナに古くから伝わるキャロルを歌って寄付を呼びかける。良く知られる古いウクライナのキャロルに﹁Бог предвічний народився﹂ (Boh predvičnyj narodilsja) が知られる[15]。サンタクロース
ウクライナはかつてはソビエト連邦の構成国のひとつであったため、旧体制下で広まった生活様式は大きく影響を与え、21世紀の今日でも残されている。ウクライナでは旧ソビエト連邦の国々と同様にジェド・マロースがプレゼントを子供たちに贈り、店の窓などにも新年の飾り︵クリスマス飾り︶などと共にジェド・マローズの姿が飾られる[16]。 ソビエト連邦以前のウクライナのクリスマスではスヴャティ・ミコライ︵聖ニコラウス、サンタクロース︶が12月19日に訪れ、子供たちに贈り物を届けていたが、無神論を報じるソビエト連邦では宗教的人物を廃し、ジェド・マロースが1月1日に現れることになった。独立後のウクライナでも、ジェド・マロースの伝統は残されているが、旧体制への反発と民族的伝統の再興のために、伝承が15世紀にまで遡ることができるスヴャティ・ミコライを再度取り上げるようになっており、クリスマス飾りや各種クリスマス行事にもスヴャティ・ミコライが登場する[17]。ギャラリー
脚注
(一)^ Christmas Traditions
(二)^ “Ukraine seeks distance from Moscow with new Christmas holiday”. m.digitaljournal.com (2017年11月16日). 2017年11月16日閲覧。
(三)^ (ウクライナ語) “Рада зробила 25 грудня вихідним днем” (英語). BBC Україна. (2017年11月16日) 2017年11月16日閲覧。
(四)^ Олена Барсукова (2022年12月19日). “Скільки українців хочуть перенести святкування Різдва на 25 грудня”. Українська правда _Життя. 2022年12月22日閲覧。
(五)^ “Епіфаній назвав умову перенесення святкування Різдва на 25 грудня”. 2022年11月24日閲覧。
(六)^ “ПЦУ разрешила рождественские богослужения 25 декабря”. Украинская правда. 2022年10月18日閲覧。
(七)^ “В ПЦУ разрешили праздновать Рождество 25 декабря”. spzh.news. 2022年10月18日閲覧。
(八)^ “OCU allowed Christmas services on December 25” (ウクライナ語). Ukrainian Pravda. 2022年10月18日閲覧。
(九)^ “Heads of OCU, UGCC agree to set up working group to reform church calendar” (英語). www.ukrinform.net. 2022年12月24日閲覧。
(十)^ “During the meeting of His Beatitude Sviatoslav with His Beatitude Epiphanius, they talked about the reform of the church calendar” (ウクライナ語). Українська Греко-Католицька Церква. 2022年12月24日閲覧。
(11)^ “There was a meeting of the Primate of the OCU with the Father and the Primate of the UGCC” (ウクライナ語). OCU (2022年12月24日). 2022年12月24日閲覧。
(12)^ Inc, World Book (1997) (英語). Christmas in Ukraine. World Book .com. ISBN 978-0-7166-0897-4
(13)^ “Christmas in Ukraine”. Why Christmas. 2020年12月14日閲覧。
(14)^ Sviat Vechir
(15)^ “Boh predvi?nyj”. Metropolitan Cantor Institute. Byzantine Catholic. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月12日閲覧。
(16)^ Matyukhina, Oleksandra (2022-11-20). Celebration of the New Year in Ukraine during the Soviet and post-Soviet periods. doi:10.12775/LSE.2022.61.06.
(17)^ “In Ukraine”. St. Nicholas Center. 2022年12月9日閲覧。