カルメン (オペラ)
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概説
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/96/Georges_bizet.jpg/180px-Georges_bizet.jpg)
登場人物
- カルメン(メゾソプラノまたはソプラノ)- タバコ工場で働くジプシーの女
- ドン・ホセ(テノール)- 竜騎兵長
- ミカエラ(ソプラノ)- ドン・ホセの婚約者
- エスカミーリョ(バリトン)- 闘牛士
- スニガ(バス)- 衛兵隊長、ドン・ホセの上官
- モラレス(バリトンまたはテノール)- 士官
- ダンカイロ(バリトンまたはテノール) - 密輸商人
- フラスキータ(ソプラノ)- カルメンの友人
- メルセデス(メゾソプラノ、ただしソプラノとする楽譜もある)- カルメンの友人
- レメンダード(テノール)- ダンカイロの仲間
以降は版によって増減される。
- リリャス・パスティア(台詞役)- 居酒屋の主人
- 山のガイド(台詞役)
- 中尉(バス)
- アンドレス(テノール)
- オレンジ売りの女(メゾソプラノ)
- ジプシー男(バリトン)
- 合唱
楽器編成
上演時間
約2時間40分(カットなしで各55分、45分、40分、20分)
あらすじ
第1幕
第2幕
第3幕
第4幕
- 一般的には上述の全4幕とされるが、3幕4場とすることもある。この場合は山中の密輸団のシーンが第3幕第1場、最後の闘牛場のシーンが第3幕第2場となる。
主要曲
![{
<<
\new Voice = "Carmen" {
\set Staff.vocalName = \markup \smallCaps Carmen
\clef treble \time 2/4 \key d \minor \tempo 4=60
R2 R2 R2
\relative d'' {
r4 d8 cis \tupletUp \tuplet 3/2 { c c c } b bes
a8 a16 a gis8 g \tuplet 3/2 { f16( g f) } e[( f)] g8 f
e8
}
}
\new Lyrics \lyricsto Carmen { L'a -- mour est un oi -- seau re -- bel -- le que nul ne peut ap -- pri -- voi -- ser. }
\new Staff {
\set Staff.instrumentName = "Cello"
\clef bass \time 2/4 \key d \minor
{
d,8-. r16 a,( f8-.) a,-.
d,8-. r16 a,( f8-.) a,-. d,8-. r16 a,( f8-.) a,-.
d,8-. r16 a,( f8-.) a,-. d,8-. r16 a,( f8-.) a,-.
d,8-. r16 a,( f8-.) a,-. d,8-. r16 a,( f8-.) a,-.
d,8-.
}
}
>>
}](http://upload.wikimedia.org/score/l/v/lvjx0syuv7av9gvvm6x8ky0zmbrtncv/lvjx0syu.png)
- セギディーリャ
- 第2幕への間奏曲「アルカラの竜騎兵」
- ジプシーの歌
- 闘牛士の歌「諸君の乾杯を喜んで受けよう」
- 花の歌
音楽・音声外部リンク | |
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![]() カルメン第3幕への間奏曲 - 歴史的音源(国立国会図書館デジタルコレクション) |
- 第3幕への間奏曲
- フルートソロの長い旋律が特徴である。最高音のB♭6は「カルメンB♭」と呼ばれ、通常よりわずかにピッチの異なる特殊な指遣いで演奏される。
- カルタの歌
- ミカエラのアリア
- 第4幕への間奏曲「アラゴネーズ」
など
抜粋・編曲作品
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e1/Carmen_1875_Act1_lithograph_Lamy_NGO1p736.jpg/280px-Carmen_1875_Act1_lithograph_Lamy_NGO1p736.jpg)
第1幕への前奏曲が独立した管弦楽曲として演奏される機会が多いほか、それを含む前奏曲、間奏曲、アリアなどを抜粋編曲した組曲や独奏曲も演奏される。
ギロー/ホフマン版組曲
シチェドリン版『カルメン組曲』
編曲の経緯
構成
シチェドリン版と原曲とでは名前に差異がある。英語がシチェドリン版での曲名で、日本語が原曲の該当する部分である。
- Introduction:ハバネラ
- Dance:アラゴネーズ
- First Intermezzo:カルメンの登場の待ち望む男たちの場(第1幕)
- Changing of the Guard:アルカラの竜騎兵
- Carmen's Entrance And Habanera:カルメンが登場した場面とハバネラ
- Scene:第2幕の幕切れの一部(スニガが密輸業者に捕えられる場面)→タバコ工場から女性工員が出てくる場面→セキディーリャ
- Second Intermezzo:第3幕への間奏曲
- Bolero:ファランドール(『アルルの女』より)の一部
- Torero:闘牛士の歌
- Torero and Carmen:ジプシーの踊り(『美しきパースの娘』より)
- Adagio:第1幕前奏曲後半と「花の歌」
- Fortune-telling:カルタ占いの場
- Finale:行進曲と合唱→ドン・ホセとカルメンの二重唱の手前の場面→第2幕フィナーレより→ドン・ホセとカルメンの二重唱→運命のテーマ→カルメンの最初のセリフの場面→Introduction
演奏時間
- 約45分(スコアの表記による)
楽器編成
- ティンパニ5
- 打楽器1(マリンバ、ヴィブラフォン、カスタネット、カウベル3、ボンゴ4、チャイム、ピッコロスネアドラム、ギロ)
- 打楽器2(ヴィブラフォン、マリンバ、スネアドラム、タンブリン、ウッドブロック2、クラヴェス、トライアングル、ギロ)
- 打楽器3(チャイム、クロテイル、マラカス、鞭、スネアドラム、カバサ、ギロ、テンプルブロック3、バスドラム、銅鑼、テナードラム、トライアングル)
- 打楽器4(シンバル、バスドラム、銅鑼、ハイハット、トライアングル、タンブリン、トムトム5)
翻案
マシュー・ボーンによるバレエ作品『ザ・カーマン』はこの編曲に基づいているが、物語は『カルメン』とは異なる[3]。
グールド版『カルメン』
モートン・グールドが全曲から20曲の名旋律を取り出し、自身による編曲を施した演奏時間50分弱の抜粋版を作っている。グールド版は組曲ではなく「オペラの短縮版」と位置づけられており、声楽部分はコルネットとバリトン(バリトン・ホルン)各2に割り当てられている。
構成
- 前奏曲
- プロローグ
- 街の子供たち
- タバコ工場の女たち
- ハバネラ
- 手紙の場
- セギディーリャ
- アルカラの竜騎兵
- ジプシーの踊り
- 闘牛士の歌
- タンブリンの歌
- 花の歌
- 第3幕への間奏曲
- 密輸入業者の行進
- カルタ占いの場
- ミカエラのアリア
- アラゴネーズ
- 行進曲と合唱
- 二重唱(ドン・ホセとカルメン)
- フィナーレ
セレブリエール版『カルメン交響曲』
ホセ・セレブリエールが全曲から12の場面を選んで管弦楽のために再構成した。
構成
- 前奏曲
- 騎兵隊
- ハバネラ
- セギディーリャ
- フガート
- 間奏曲1
- 闘牛士
- 間奏曲2
- アンダンテ・カンタービレ
- 間奏曲3
- 結婚式
- ジプシーの踊り
その他
メリメ原作『カルメン』からの改変について
演出について
旧作や既成楽曲からの転用・流用
日本におけるカルメン劇
備考
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/44/Henri-Lucien_Doucet_-_Carmen.jpg/130px-Henri-Lucien_Doucet_-_Carmen.jpg)
- 「衛兵の交代」は1987年まで京都競馬場の出走ファンファーレとして使用され、地方競馬でも笠松の重賞用のファンファーレとして使用されていた。現在でも名古屋競馬場で使用されている。詳細は「ファンファーレ (競馬)#中央競馬」を参照
- フランス人シャルル・ルルー作曲の日本の軍歌『抜刀隊』、およびそれに基づく行進曲『陸軍分列行進曲』について、「アルカラの竜騎兵」の旋律との類似が指摘されている。詳細は「陸軍分列行進曲#オペラ『カルメン』との類似について」を参照・﹃カルメン﹄の初演は一般的には失敗であったと言われており、ビゼーは﹃カルメン﹄の初演が失敗して失意のうちに没したと言われることがあるが、過去のビゼー作曲のオペラが10回に満たない上演回数で打ち切られることも少なくなかったなか、ビゼーが死去した時点ですでに上演回数が30回を超えており、ウィーン公演のオファーも受けていた。
バレエ
プティ版
ビゼーの音楽を使用し、ローラン・プティによる振り付けによるものが1949年にロンドンのプリンス劇場 (Shaftesbury Theatre) で初演されている[1]。
アロンソ版
アルベルト・アロンソの振付、ロディオン・シチェドリンの編曲による『カルメン組曲』が1967年、モスクワのボリショイ劇場で初演されている[1]。カルメン役はマイヤ・プリセツカヤが演じた。
エック版
マッツ・エックの振り付けで、シチェドリン編曲の「カルメン組曲」を用いたものが1992年にクルベリ・バレエ団 (Cullberg Ballet) で初演されている[8][9]。
ミュージカル
カルメン・ジョーンズ
﹃カルメン・ジョーンズ﹄はオスカー・ハマースタインによるミュージカルで、1943年に初演された[10]。ビゼーのオペラを元に、舞台を第二次世界大戦中のアメリカ南部の黒人社会に置き換えたもの[10]。登場人物もすべて黒人に変え、オーケストレーションをロバート・ラッセル・ベネットが変更し、曲順にも変更を加えられている。 この舞台を元に1954年、映画﹃カルメン﹄︵原題:Carmen Jones︶が制作されている。東宝ミュージカル
1989年、青山劇場で公演。大地真央がカルメン役で、他に萩原流行、紺野美沙子、榎木孝明らが出演。1999年に再演され、大地真央の他は、錦織一清、石井一孝、鈴木ほのか、江波杏子、近藤洋介、宮川浩らが出演した[11]ワイルドホーン版
この節の加筆が望まれています。ノーマン・アレンの脚本、フランク・ワイルドホーンの音楽、ジャック・マーフィーの歌詞による。2008年10月、プラハで初演。
2014年6月13日 - 6月29日にかけて、ホリプロ主催による日本初公演が天王洲 銀河劇場で行われた[12]。演出は小林香。主演のカルメン役は濱田めぐみで、他に清水良太郎、米倉利紀、大塚千弘、JKim、香寿たつき、別所哲也が出演した。Calli(カリィ)〜炎の女カルメン〜
TSミュージカルファンデーションの企画制作によるミュージカルで、2008年初演、演出・振付は謝珠栄、脚本は小手伸也、音楽・歌唱指導は林アキラ、出演は朝海ひかる、天宮良、今拓哉、戸井勝海、宮川浩、友石竜也、野沢聡、平野亙、良知真次、東山竜彦、三浦涼介[13]。Romale(ロマーレ)〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜
上記のCalliを元に台本と音楽を一新したミュージカルで、2018年初演、演出・振付は謝珠栄、カルメンを花總まり、ホセを松下優也、ホセの上司スニーガを伊礼彼方、カルメンの夫ガルシアをKENTAROが演じた他、太田基裕、福井晶一、団時朗らが出演した[14]。宝塚歌劇
ドン・ホセの一生
月組公演[15][16]。公演名は﹁ミュージカル・プレイ 激情﹂[15]、併演は﹃タイム・マップ﹄[15][16]。宝塚大劇場で1971年2月27日から3月24日まで上演された[15]。20場[15]。 スタッフ ●作・演出‥白井鐡造[15] ●作曲・編曲‥高井良純[15]・中元清純[15]・吉崎憲治[15] ●音楽指揮・合唱指導‥野村陽児[15] ●振付‥河上五郎[15]・喜多弘[15] ●装置‥石浜日出雄[15] ●衣装‥任田幾英[15] ●照明‥今井直次[15] ●小道具‥上田特市[15] ●効果‥坂上勲[15] ●音響監督‥松永浩志[15] ●演出補‥大関弘政[15] ●制作‥平松悟[15] おもな出演・本公演 ●ホセ‥古城都[17] ●カルメン‥初風諄[17] ●フラスキータ‥千草美景[17] ●エスカミリオ‥南原美佐保[17] ●ツニガ大尉‥大滝子[17] ●レメンダード中尉‥榛名由梨[17] ●ミカエラ‥才玉蓮[17]・名鶴ひとみ[17] ●ダンカイロ‥美山しぐれ[17] 1971年10月9日から10月18日まで中日劇場でも公演された[16]。 1971年3月13日に行われた新人公演では榛名由梨[15]、小松美保[15]、叶八千矛[15]、麻生薫[15]、涼千夏[15]らが出演した。激情-ホセとカルメン-
1999年初演、メリメの小説「カルメン」をモチーフとし、脚本は柴田侑宏 演出・振付は謝珠栄による[18]。
詳細は「激情-ホセとカルメン-」を参照FREEDOM ミスター・カルメン
オペラ﹁カルメン﹂を元に、主人公を男、舞台をアメリカに置き換えた作品で、2000年に宝塚バウホール、日本青年館で宙組による公演が行われた。出演は樹里咲穂、遠野あすか、夢輝のあ等、脚本・演出は木村信司[19][20]。日本舞踊
2018年の﹁カルメン2018﹂はビゼーのオペラを日本舞踊でアレンジした作品で、ホセ役を花柳寿楽と中村橋之助、カルメン役を水木佑歌と市川ぼたんのダブルキャストで演じた[21]。日本舞踊版のカルメンは他に、1987年に﹁カルメン﹂、2003年に﹁薔沙薇の女 〜カルメン2003〜﹂が上演されている[21]。脚注
(一)^ abcde"カルメン". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2023年10月8日閲覧。 (二)^ 中野京子﹃印象派で﹁近代﹂を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ﹄NHK出版、2011年、16頁。ISBN 978-4-14-088350-1。 (三)^ Sulcas, Roslyn (2015年7月23日). “Review: Suspense and Charisma in ‘The Car Man’ in London” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2020年3月23日閲覧。 (四)^ 三宅幸夫. "カルメン". 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2023年10月3日閲覧。 (五)^ ab増井 1990, p. 160. (六)^ 増井 1990, p. 159. (七)^ 増井 1990, p. 159-160. (八)^ "マッツ エック". 日外アソシエーツ﹁現代外国人名録2016﹂. コトバンクより2023年10月3日閲覧。 (九)^ “エック振付﹁カルメン﹂”. 東京バレエ団. 2023年10月3日閲覧。 (十)^ ab"カルメン・ジョーンズ". デジタル大辞泉プラス. コトバンクより2023年10月3日閲覧。 (11)^ <﹁カルメン﹂顔寄せコメント> (12)^ “ミュージカル﹃カルメン﹄”. 天王洲 銀河劇場. 2023年10月3日閲覧。 (13)^ “Calli(カリィ) ~炎の女カルメン~”. 天王洲 銀河劇場. 2023年10月5日閲覧。 (14)^ “﹁Romale﹂開幕、松下優也が花總カルメンへの狂おしい愛を表現”. ステージナタリー (2018年3月23日). 2023年10月5日閲覧。 (15)^ abcdefghijklmnopqrstuvwxy60年史別冊 1974, p. 105. (16)^ abc90年史 2004, p. 297. (17)^ abcdefghi60年史別冊 1974, p. 104. (18)^ “ミュージカル・プレイ﹃激情-ホセとカルメン-﹄”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。 (19)^ “バウ・ロマンス﹃FREEDOM ミスター・カルメン﹄”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。 (20)^ “バウ・ロマンス﹃FREEDOM ミスター・カルメン﹄”. 宝塚歌劇公式ホームページ. 2023年10月5日閲覧。 (21)^ ab“市川ぼたん&中村橋之助らWキャストで挑む、﹁今回ならでは﹂の日本舞踊カルメン”. ステージナタリー (2018年6月22日). 2023年10月5日閲覧。参考文献
●編集発行人‥橋本雅夫 編﹃宝塚歌劇の60年別冊・年譜 最近の10年﹄宝塚歌劇団、1974年。 ●森照実・春馬誉貴子・相井美由紀・山本久美子 編﹃宝塚歌劇90年史 すみれの花歳月を重ねて﹄宝塚歌劇団、2004年。ISBN 4-484-04601-6。 ●宮本賢二朗﹃ビゼー : カルメン成立過程とハバネラ : 引用と構造﹄環境と経営 : 静岡産業大学論集 10(2)、2004年。 NAID 110004670703。 ●宮本賢二朗﹃ビゼー : ﹁カルメン﹂音楽とドラマの構造﹄環境と経営 : 静岡産業大学論集 11(1)、2005年。 NAID 110004500184。 ●増井敬二﹃浅草オペラ物語 歴史、スター、上演記録のすべて﹄芸術現代社、1990年5月10日。ISBN 4874630952。外部リンク