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|主な受賞歴=[[サントリー学芸賞]](1986年)<br/>[[和辻哲郎文化賞受賞]](2003年)|研究分野=[[法哲学]] |
|主な受賞歴=[[サントリー学芸賞]](1986年)<br/>[[和辻哲郎文化賞受賞]](2003年)|研究分野=[[法哲学]] |
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|研究機関=[[東京大学]]<br>[[千葉大学]]|他の指導教員=[[碧海純一]]}} |
|研究機関=[[東京大学]]<br>[[千葉大学]]|他の指導教員=[[碧海純一]]}} |
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'''井上 達夫'''︵いのうえ たつお、[[1954年]]︿[[昭和]]29年﹀[[7月30日]] - ︶は、[[日本]]の[[法哲学者]]。[[東京大学]]名誉教授。日本を代表する[[リベラリズム|リベラリスト]]であり<ref>{{Cite book|和書 |title=﹃逞しきリベラリストとその批判者たち﹄ |year=2015 |
'''井上 達夫'''︵いのうえ たつお、[[1954年]]︿[[昭和]]29年﹀[[7月30日]] - ︶は、[[日本]]の[[法哲学者]]。[[東京大学]]名誉教授。日本を代表する[[リベラリズム|リベラリスト]]であり<ref>{{Cite book|和書 |title=﹃逞しきリベラリストとその批判者たち﹄ |year=2015 |publisher=ナカニシヤ出版 |pages=﹁はじめに﹂}}</ref>、ハーバード留学期に交流を築いた[[ジョン・ロールズ]]やトーマス・スキャンロン、[[マイケル・サンデル]]といった哲学者らと議論を行い、また彼らの議論を日本に紹介した第一人者である<ref>{{Cite book|和書 |title=普遍の再生 |year=2019 |publisher=岩波現代文庫 |pages=259-269}}</ref>。
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== 経歴 == |
== 経歴 == |
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[[安全保障]]は絶えず国民的討議の上で批判的に再検討し、外部環境の変化に対応できるようにすべきであり、憲法によって議論を凍結することは認められないとしている<ref>井上達夫﹃憲法の涙﹄p42</ref>。そこで、文言上は非武装の絶対的[[平和主義]]を要求する憲法9条と、現実には安全保障を必要としている国際情勢の狭間で、解釈を変更せざるを得なくなり、[[自衛隊]]という[[憲法]]上は存在しない、つまり憲法にまったく制約されない強大な[[暴力装置|暴力]]が生まれてしまったとしている。
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[[安全保障]]は絶えず国民的討議の上で批判的に再検討し、外部環境の変化に対応できるようにすべきであり、憲法によって議論を凍結することは認められないとしている<ref>井上達夫﹃憲法の涙﹄p42</ref>。そこで、文言上は非武装の絶対的[[平和主義]]を要求する憲法9条と、現実には安全保障を必要としている国際情勢の狭間で、解釈を変更せざるを得なくなり、[[自衛隊]]という[[憲法]]上は存在しない、つまり憲法にまったく制約されない強大な[[暴力装置|暴力]]が生まれてしまったとしている。
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そして、この問題は[[護憲派]]に大きな責任を求めている<ref>{{Cite web |url=https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/C_00016.html |title=UTokyo BiblioPlaza 憲法の涙 |access-date=2024 |
そして、この問題は[[護憲派]]に大きな責任を求めている<ref>{{Cite web |url=https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/C_00016.html |title=UTokyo BiblioPlaza 憲法の涙 |access-date=2024-01-14 |publisher=東京大学}}</ref>。なぜなら、﹁改憲派の九六条改変の試みや、九条解釈改憲によって﹂憲法が歪むという懸念がありつつも、﹁憲法を守ると誓っているはずの護憲派によって、無残に裏切られているから﹂だとする。井上は、護憲派の立場を自衛隊を[[違憲]]とする﹁原理主義護憲派﹂、自衛隊を合憲とする﹁修正主義護憲派﹂と大別した上で、その両方を批判している。
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原理主義護憲派は、自衛隊は違憲であるとしているが、実質的政治運動として自衛隊を[[自衛隊廃止論|廃止]]しようとはしていない。つまり、原理主義護憲派の目的とは、[[違憲]]状態の固定化であり、憲法への敬意すら存在しないと批判している<ref>{{Cite book|和書 |title=憲法の涙 |year=2016 |publisher=毎日新聞出版 |page= |
原理主義護憲派は、自衛隊は違憲であるとしているが、実質的政治運動として自衛隊を[[自衛隊廃止論|廃止]]しようとはしていない。つまり、原理主義護憲派の目的とは、[[違憲]]状態の固定化であり、憲法への敬意すら存在しないと批判している<ref>{{Cite book|和書 |title=憲法の涙 |year=2016 |publisher=毎日新聞出版 |page=38 |author=井上達夫}}</ref>。原理主義護憲派の、﹁政治的には自衛隊を認めているが、運動として違憲を主張する﹂態度が、憲法と憲法実態の乖離を生み出したとする。
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他方で、修正主義護憲派は[[第2次安倍内閣]]下での[[解釈改憲]]を批判するが、非武装を要求する最初の解釈から、自衛隊を合憲だとする解釈に変更している同じ穴の狢だとする。これは、新しい解釈改憲から古い解釈改憲を守っているだけであり、論理的正当性の裏付けがないにもかかわらず自分達の解釈を信じろということになり、ただの[[権威主義]]・[[エリート主義]]に過ぎず、[[パターナリズム]]的な知的欺瞞だとしている<ref>{{Cite book|和書 |title=﹃憲法の涙﹄ |year=2016 |
他方で、修正主義護憲派は[[第2次安倍内閣]]下での[[解釈改憲]]を批判するが、非武装を要求する最初の解釈から、自衛隊を合憲だとする解釈に変更している同じ穴の狢だとする。これは、新しい解釈改憲から古い解釈改憲を守っているだけであり、論理的正当性の裏付けがないにもかかわらず自分達の解釈を信じろということになり、ただの[[権威主義]]・[[エリート主義]]に過ぎず、[[パターナリズム]]的な知的欺瞞だとしている<ref>{{Cite book|和書 |title=﹃憲法の涙﹄ |year=2016 |publisher=毎日新聞出版 |page=31 |author=井上達夫}}</ref>。
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[[木村草太]]など、日本の護憲派の一部にある﹁[[日本国憲法第13条|憲法13条]]の[[幸福追求権]]により、自衛隊の存在が認められる﹂との主張<ref>{{cite news |title=いまさら聞けない﹁憲法9条と自衛隊﹂~本当に﹁憲法改正﹂は必要なのか?|newspaper=[[週刊現代|現代ビジネス]] |date=2016-7-2 |url=https://gendai.media/articles/-/49041|accessdate=2019-9-7|author=[[木村草太]]}}</ref> について、井上は﹁戦力という最も危険な国家暴力に対する9条2項の明示的な禁止を、それについて何ら言及していない人権規定に勝手に読み込んで解除するなんて、法解釈の枠を越えた暴論であり、[[立憲主義]]の公然たる破壊行為﹂と強く批判しており、﹁13条代用論﹂は、護憲派にとって自爆的であると論じている<ref>{{cite news |title=護憲派は国民を信じていない 井上達夫インタビュー︵下︶立憲的改憲こそ安倍改憲への対抗策だ|newspaper=[[朝日新聞]] |date=2019-9-4 |url=https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019083000002.html|accessdate=2019-9-7|author=石川智也}}</ref>。
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[[木村草太]]など、日本の護憲派の一部にある﹁[[日本国憲法第13条|憲法13条]]の[[幸福追求権]]により、自衛隊の存在が認められる﹂との主張<ref>{{cite news |title=いまさら聞けない﹁憲法9条と自衛隊﹂~本当に﹁憲法改正﹂は必要なのか?|newspaper=[[週刊現代|現代ビジネス]] |date=2016-7-2 |url=https://gendai.media/articles/-/49041|accessdate=2019-9-7|author=[[木村草太]]}}</ref> について、井上は﹁戦力という最も危険な国家暴力に対する9条2項の明示的な禁止を、それについて何ら言及していない人権規定に勝手に読み込んで解除するなんて、法解釈の枠を越えた暴論であり、[[立憲主義]]の公然たる破壊行為﹂と強く批判しており、﹁13条代用論﹂は、護憲派にとって自爆的であると論じている<ref>{{cite news |title=護憲派は国民を信じていない 井上達夫インタビュー︵下︶立憲的改憲こそ安倍改憲への対抗策だ|newspaper=[[朝日新聞]] |date=2019-9-4 |url=https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019083000002.html|accessdate=2019-9-7|author=石川智也}}</ref>。
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2024年6月25日 (火) 09:55時点における最新版
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人物情報 | |
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生誕 |
1954年7月30日(69歳)![]() |
出身校 | 東京大学 |
学問 | |
学派 | リベラリズム |
研究分野 | 法哲学 |
研究機関 |
東京大学 千葉大学 |
指導教員 | 碧海純一 |
特筆すべき概念 | 反転可能性 |
主要な作品 |
『共生の作法』(1986年) 『法という企て』(2003年) |
影響を受けた人物 | カール・ポパー、碧海純一 |
影響を与えた人物 | 瀧川裕英、大屋雄裕、谷口功一、安藤馨 |
主な受賞歴 |
サントリー学芸賞(1986年) 和辻哲郎文化賞受賞(2003年) |
井上 達夫︵いのうえ たつお、1954年︿昭和29年﹀7月30日 - ︶は、日本の法哲学者。東京大学名誉教授。日本を代表するリベラリストであり[1]、ハーバード留学期に交流を築いたジョン・ロールズやトーマス・スキャンロン、マイケル・サンデルといった哲学者らと議論を行い、また彼らの議論を日本に紹介した第一人者である[2]。