「北畠顕成」の版間の差分
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[[後醍醐天皇]]のために忠死した[[北畠顕家]]の遺児であることから、[[南朝 (日本)|南朝]]で相当の寵愛を受けていたであろうと想像されるが、それを物語る史料は確認できない。[[正平一統]]の[[正平 (日本)|正平]]7年︵[[1352年]]︶1月[[従四位上]]に昇叙したのが初見<ref>﹃[[園太暦]]﹄同年正月5日条</ref>。やがて累進して[[公卿]]に列し、[[天授 (日本)|天授]]4年/[[永和 (日本)|永和]]4年︵[[1378年]]︶[[従二位]][[権大納言]]に叙任されたというが<ref>﹃[[南方紀伝]]﹄</ref>、さらに[[内大臣]]へ昇進したことを示唆する史料があり<ref>﹃[[仁和寺諸院家記]]﹄菩提院の項には、前[[大僧正]]覚杲について、﹁号内大臣< |
[[後醍醐天皇]]のために忠死した[[北畠顕家]]の遺児であることから、[[南朝 (日本)|南朝]]で相当の寵愛を受けていたであろうと想像されるが、それを物語る史料は確認できない。[[正平一統]]の[[正平 (日本)|正平]]7年︵[[1352年]]︶1月[[従四位上]]に昇叙したのが初見<ref>﹃[[園太暦]]﹄同年正月5日条</ref>。やがて累進して[[公卿]]に列し、[[天授 (日本)|天授]]4年/[[永和 (日本)|永和]]4年︵[[1378年]]︶[[従二位]][[権大納言]]に叙任されたというが<ref>﹃[[南方紀伝]]﹄</ref>、さらに[[内大臣]]へ昇進したことを示唆する史料があり<ref>﹃[[仁和寺諸院家記]]﹄菩提院の項には、前[[大僧正]]覚杲について、﹁号内大臣<span style="font-family:ＭＳ Ｐ明朝">■■</span>、中院内大臣顕成公息、南方[[北畠親房|北畠准后]]舎弟<small>︹[[ママ (引用)|ママ]]︺</small>云々﹂との注記がある。</ref>、これが[[極官]]であろう。一説には、[[出家]]して'''行意'''と号したとされる。﹃[[南朝公卿補任]]﹄には[[元中]]3年[[2月28日 (旧暦)|2月28日]]︵[[1386年]][[3月28日]]︶に[[薨去]]したと伝えるが、これは以下に諸説として列挙する所伝と必ずしも符合しない。
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== 諸説 == |
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: 『[[北畠准后伝]]』・『[[南朝編年記略]]』は、顕成が[[九州]]に下って[[征西将軍]]懐良親王に従軍したとする。後者によると、顕成の[[従二位]][[権大納言]]叙任は、[[吉野行宮|吉野]]帰参後にその勲功を賞したものとされる。別に筑紫で戦死したと注する系図もあるが、これは[[筑後川の戦い]]で討死した「北畠源中納言」<ref>『太平記』巻33「菊池合戦事」。『[[桜雲記]]』は従兄弟の[[北畠信親|信親]]に比定する。</ref>を顕成に比定したためか。 |
: 『[[北畠准后伝]]』・『[[南朝編年記略]]』は、顕成が[[九州]]に下って[[征西将軍]]懐良親王に従軍したとする。後者によると、顕成の[[従二位]][[権大納言]]叙任は、[[吉野行宮|吉野]]帰参後にその勲功を賞したものとされる。別に筑紫で戦死したと注する系図もあるが、これは[[筑後川の戦い]]で討死した「北畠源中納言」<ref>『太平記』巻33「菊池合戦事」。『[[桜雲記]]』は従兄弟の[[北畠信親|信親]]に比定する。</ref>を顕成に比定したためか。 |
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* [[浪岡北畠氏]]の祖 |
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: 一方で顕成が[[陸奥国|陸奥]]に下ったとする所伝もある。浪岡氏関連の系図がそれで、﹃[[応仁武鑑]]﹄・﹃[[津軽旧記]]﹄によれば、顕成は[[正平 (日本)|正平]]2年︵[[1347年]]︶[[霊山城]]陥落の後、[[南部氏]]の庇護の下で船越︵[[岩手県]][[山田町]]︶に居を構えたが、[[文中]]2年︵[[1373年]]︶[[安東氏]]の招請で浪岡︵[[ |
: 一方で顕成が[[陸奥国|陸奥]]に下ったとする所伝もある。浪岡氏関連の系図がそれで、﹃[[応仁武鑑]]﹄・﹃[[津軽旧記]]﹄によれば、顕成は[[正平 (日本)|正平]]2年︵[[1347年]]︶[[霊山城]]陥落の後、[[南部氏]]の庇護の下で船越︵[[岩手県]][[山田町]]︶に居を構えたが、[[文中]]2年︵[[1373年]]︶[[安東氏]]の招請で浪岡︵[[浪岡町]]︶に入部し、その子孫が土着して浪岡氏を称したという。その菩提所である[[京徳寺]]の[[過去帳]]には、[[忌日]]を[[応永]]9年[[8月7日 (旧暦)|8月7日]]︵[[1402年]][[9月4日]]︶、法号を恵林院とする。しかし、北畠氏一族が浪岡に依拠した時期や人物については異説が多く、応永年間に孫の[[北畠顕邦|顕邦]]が入部したとする説の他、[[建徳 (日本)|建徳]]年間の[[北畠守親|守親]]入部説や[[元中]]年間の[[北畠親統|親統]]入部説などがあり、何れも事実関係を確認できない。
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* 後期[[村上水軍]]の祖 |
* 後期[[村上水軍]]の祖 |
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: 『[[後太平記]]』･『[[予陽盛衰記]]』によると、後期村上水軍の祖[[村上師清]]は北畠顕家の遺児であるとされ、父戦死後は[[信濃国|信濃]]に蟄居していたが、[[雑賀衆]]の協力を得て[[伊予国|伊予]][[大島 (愛媛県今治市)|大島]]に進出し、[[村上義弘 (武将)|村上義弘]]の跡を継いだという。能島村上氏の系図ではこの師清を顕成と同一人とするが、何れも名門志向意識に基づく仮冒であろう。 |
: 『[[後太平記]]』･『[[予陽盛衰記]]』によると、後期村上水軍の祖[[村上師清]]は北畠顕家の遺児であるとされ、父戦死後は[[信濃国|信濃]]に蟄居していたが、[[雑賀衆]]の協力を得て[[伊予国|伊予]][[大島 (愛媛県今治市)|大島]]に進出し、[[村上義弘 (武将)|村上義弘]]の跡を継いだという。能島村上氏の系図ではこの師清を顕成と同一人とするが、何れも名門志向意識に基づく仮冒であろう。 |
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== 系譜 == |
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*父：[[北畠顕家]]（1318-1338） |
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*母：[[日野資朝]]女?（?-1341?）または[[浪岡秀種]]の娘・頼子（萩の局） |
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*妻：不詳 |
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**男子：北畠顕元 |
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**男子：親成 |
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**男子：覚杲 |
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== 脚注 == |
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2022年12月23日 (金) 09:52時点における最新版
北畠顕成 | |
|---|---|
| 時代 | 南北朝時代 |
| 生誕 | 建武2年（1335年）[1]？ |
| 死没 | 不詳 |
| 改名 | 行意（法名）？ |
| 戒名 | （伝）恵林院義峰仁裕 |
| 官位 | 内大臣（南朝） |
| 主君 | 後村上天皇→長慶天皇→後亀山天皇？ |
| 氏族 | 村上源氏中院流、北畠家 |
| 父母 | 父：北畠顕家、母：日野資朝女?[2] |
| 兄弟 | 顕成、師顕、女子 |
| 子 | 顕元、親成、覚杲 他 |
経歴[編集]
後醍醐天皇のために忠死した北畠顕家の遺児であることから、南朝で相当の寵愛を受けていたであろうと想像されるが、それを物語る史料は確認できない。正平一統の正平7年︵1352年︶1月従四位上に昇叙したのが初見[3]。やがて累進して公卿に列し、天授4年/永和4年︵1378年︶従二位権大納言に叙任されたというが[4]、さらに内大臣へ昇進したことを示唆する史料があり[5]、これが極官であろう。一説には、出家して行意と号したとされる。﹃南朝公卿補任﹄には元中3年2月28日︵1386年3月28日︶に薨去したと伝えるが、これは以下に諸説として列挙する所伝と必ずしも符合しない。諸説[編集]
近世史書には顕成の事績について触れたものがあるが、これらの所伝は史料不足のため真偽が定かでなく、以下に諸説として列挙するに留める。系譜[編集]
●父‥北畠顕家︵1318-1338︶ ●母‥日野資朝女?︵?-1341?︶または浪岡秀種の娘・頼子︵萩の局︶ ●妻‥不詳 ●男子‥北畠顕元 ●男子‥親成 ●男子‥覚杲脚注[編集]
参考文献[編集]
- 浪岡町史編纂委員会編 『浪岡町史資料編 第2集』 浪岡町、1975年、NCID BN0348248X
- 森本繁 「村上水軍家系譜考」（『村上水軍のすべて』 新人物往来社、1997年、ISBN 9784404024992）
- 今井正之助・加美宏・長坂成行校注 『太平記秘伝理尽鈔〈1〉』 平凡社〈東洋文庫〉、2002年、ISBN 9784582807097
