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オンライン新聞︵オンラインしんぶん、英語: online newspaper︶、ないし、ウェブ新聞 ︵英語: web newspaper︶は、インターネット上、あるいは、World Wide Web上に存在する新聞であり、印刷媒体である定期刊行物などから独立していることもあれば、印刷媒体のオンライン版として成立していることもある。なお、日本語では、インターネットに限らずネットワークを介してオンラインで提供される新聞を広くオンライン新聞とし、そのうち、特にWorld Wide Webによるものをウェブ新聞として使い分ける場合もある[1]。
オンライン化によって、新聞は、放送ジャーナリズム︵英: Broadcast journalism︶に対抗し得るような、ニュース速報を流す機会などを得ることになる。評価が確立されている新聞の社会的信頼や高い知名度と、新聞と広告事業者との密接な関係は、新聞が生き残るための強力な武器になると、広く新聞業界では考えられている[2]。印刷工程を省く動きは、コスト削減にもつながる可能性があるとされる[3]。
インターネット普及初期以前のオンライン新聞[編集]
オンライン・オンリー、すなわち、オンライン上だけで運営される新聞なり雑誌の先駆的な事例として、1974年にブルース・パレーロ︵Bruce Parrello︶がイリノイ大学のPLATOシステムを使って作ったオンライン新聞﹃News Report﹄が挙げられる。1987年には、ブラジルの新聞﹃Jornaldodia[4]﹄が、国有だった当時のエンブラテルのネットワークの上で稼働していたが、これはその後1990年代にインターネットへと移行した。1990年代末には、数百の米国の新聞が、それぞれのオンライン版を公開していたが、インタラクティビティ︵双方向性︶は、まだあまり盛り込まれていなかった[5]。例えば、イギリスの﹃Weekend City Press Review﹄が、一週間のニュースの要約をオンラインで公開し始めたのは、1995年であった。
英米におけるオンライン新聞[編集]
オンライン新聞は、印刷された新聞に準じて扱われ、名誉毀損や、プライバシー、著作権などの法的な扱いにおいて、法的には通常の新聞と同様のものと見なされ[6]、イギリスをはじめとして多くの国々においては、オンライン出版物に関する法の対象ともされる。イギリスでは、報道苦情処理委員会︵英: Press Complaints Commission︶の統制下にも置かれたのみならず、データ保護法︵英: Data Protection Act 1998︶も、オンライン新聞やニュース・ページに規制の網をかけている[7]。しかし、イギリスの民衆にとって、何がブログで、何がフォーラム・サイトで、何がオンライン新聞かは、余りはっきりとはしていなかった。2007年、イギリスに活動の拠点を置くオンライン新聞や、ニュース音声や映像を扱うウェブサイトなどについての正式な規制政策が成立して、その責任の所在が明確にされ、何がオンライン出版︵online publication︶であり、何はそうではないのかが明示された[8]
オンライン新聞の記者たちは、ビデオの撮影法も教わり[9]、インターネット上のニュース・ページに必要とされる、簡明な書き方で記事を書くことを修得する。記者たちの多くは、ブログの書き方を学び、特にイギリスではPCCの方針によって、この方面でのインターネットの発展が促進された。一部の新聞は、新聞製作のあらゆる過程にインターネットを取り込もうと試み、印刷する新聞とオンライン新聞の両方に向けた記事を記者に書かせたり、クラシファイド︵小さな広告欄を集めた紙面︶の広告を、印刷とオンラインの両方に載せるようにしたが、これとは逆に、印刷する新聞とははっきりと異なる形でウェブサイトを運営している新聞もある。米国の新聞全国ネットワーク︵英: Newspaper National Network︶は、オンライン広告の販売を手がける米国新聞協会︵英: Newspaper Association of America︶と大手25紙から成る組織である。
2006年の時点で、新聞社のウェブサイトは多くが無料で内容を提供しており、ウェブサイトから収益を上げていると主張する新聞はほとんど存在していなかった。日刊新聞の利益が圧縮され、発行部数も減少する中で、閲覧者に閲読料金を課することなく、ウェブサイトから収入を得る、新たな手法が模索された。しかし、その答えを見出すのは困難であった。特化した読者層をもつ﹃ウォール・ストリート・ジャーナル﹄や﹃The Chronicle of Higher Education﹄などは、閲読料金を徴収することに成功した。﹃ロサンゼルス・タイムズ﹄、﹃ワシントン・ポスト﹄、﹃USAトゥデイ﹄、﹃ニューヨーク・タイムズ﹄などをはじめ、ほとんどの新聞は、現在はオンライン版をもっている。
﹃ガーディアン﹄は、2005年に新しいメディアを使った実験を行ない、リッキー・ジャーヴェイスによる12部から成る無料のポッドキャストを提供した[10]。イギリスの新聞では、﹃デイリー・テレグラフ﹄もオンライン版を出した。2016年3月には﹃インデペンデント﹄が紙面を廃刊し完全なオンライン新聞に移行した。
日本におけるオンライン新聞[編集]
出典・脚注[編集]
(一)^ “ウェッブ新聞<用語>”. 朝日新聞・朝刊: p. 33. (1995年6月15日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
(二)^ "Newspapers Recreate Their Medium" eJournal USA, March 2006 LINK
(三)^ 田中善一郎 (2009年2月16日). “メディア最前線 [第2回] 躍り出たオンライン新聞 創業4年目の﹁HuffPost﹂が急成長する二つの理由︵2ページ目︶”. 朝日新聞グローブ. 2013年6月7日閲覧。
(四)^ “Jornaldodia”. Jornaldodia. 2013年6月5日閲覧。
(五)^ Schultz, Tanjev (1999). “Interactive Options in Online Journalism: A Content Analysis of 100 U.S. Newspapers”. Journal of Computer-Mediated Communication 5 (1): 1. http://jcmc.indiana.edu/vol5/issue1/schultz.html.
(六)^ UK Copyright Law info. website
(七)^ Data Protection Act 1998
(八)^ Journalism Mag.、PCC website
(九)^ New York Magazine Holdings LLC‥Interactive Features of Online Newspapers by Keith Kenney, Alexander Gorelik and Sam Mwangi First Monday, volume 5, number 1 (January 2000)‥UK's PCC website press release.
(十)^ Jason Deans, 2005-12-08. "Gervais to host Radio 2 Christmas show." The Guardian.
(11)^ “﹁アサヒ・コム﹂へ全国から接続殺到 朝日新聞社が情報サービス開始”. 朝日新聞・夕刊: p. 12. (1995年8月10日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
(12)^ “個の連帯、ネットが実現 シンポ﹁@デジタル 何が情報社会なのか﹂”. 朝日新聞・朝刊: p. 21. (1998年9月19日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
(13)^ 朝日新聞では同時期から、他社の同種のサイトについても﹁ニュースサイト﹂という表現をするようになった。参照‥サンフランシスコ・クロニクルへの言及 - “ビル・ゲイツの野望 ソフトが築く新﹁王国﹂︵メディア新世紀‥2︶”. 朝日新聞・朝刊: p. 13. (1998年2月7日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧‥読売新聞への言及 - “読売新聞社サイトの写真を転載?バス乗っ取り事件”. 朝日新聞・朝刊: p. 38. (2000年5月7日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
(14)^ “メディア戦略局”. 読売新聞社. 2013年6月7日閲覧。
(15)^ “携帯サービス NEWS読売・報知”. 読売新聞社. 2013年6月7日閲覧。
(16)^ マルチメディア・インターネット辞典﹁E‐NEWS﹂
(17)^ ︿メディア激変71﹀逆境に立ち向かう新聞―5 先駆者・産経の試み︵朝日新聞2010年7月9日 2015年2月1日閲覧︶
(18)^ ニュージャージー州議会の上下両院は、The Atlantic Highlands Herald を同州最初の電子新聞 (New Jersey's first official electronic newspaper) であると公認している。 ‥Joint Legislative Resolution の画像
(19)^ 呉、2008、p.11‥注1=p.30
(20)^ 増田覚 (2009年4月24日). “オーマイニュースが幕、市民ジャーナリズム目指すも3年足らずで”. Impress Watch Corporation. 2013年6月6日閲覧。
(21)^ “JanJanBlogとは”. JanJanBlog. 2013年6月6日閲覧。
(22)^ “PJ NEWS は2013年3月29日をもって終了しました。長い間のご愛顧ありがとうございました。”. PJ NEWS. 2013年6月6日閲覧。
(23)^ 呉、2008、p.20
(24)^ AnnArbor.com AnnArbor.com - Geoff Larcom. (retrieved 24 Aug. 2009).
(25)^ AnnArbor.com AnnArbor.com - About Us section. (retrieved 24 Aug. 2009).
(26)^ "newsletter." Merriam-Webster Online Dictionary. (retrieved 5 Feb. 2007).
参考文献[編集]
●呉明燕﹁日本におけるオンライン・ニュース研究の現状﹂︵PDF︶﹃メディアと文化﹄第4号、名古屋大学大学院国際言語文化研究科、2008年、11-32頁、2013年6月6日閲覧。
関連項目[編集]
●インターネット
●インターネットラジオ
●インターネットテレビ
●インターネット雑誌︵英語版︶
●ニュースサイト
●新聞
●World Wide Web
関連文献[編集]
●Herre van Oostendorp and Christof van Nimwegen (September 1998). “Locating Information in an Online Newspaper”. Journal of Computer-Mediated Communication 4 (1). http://usinfo.org/enus/media/internet/docs/newspapers_recreate.pdf.
●McAdams, Melinda (July 1995). “Inventing an Online Newspaper”. Interpersonal Computing and Technology 3 (3): 64–90. http://eric.ed.gov/?id=EJ510428.
●Hsiang Iris Chyi and George Sylvie (1998). “Competing With Whom? Where? And How? A Structural Analysis of the Electronic Newspaper Market”. Journal of Media Economics 11 (2): 1–18. doi:10.1207/s15327736me1102_1.
●CARINA IHLSTRÖM, MARIA ÅKESSON, an STIG NORDQVIST (2004-07-07) (PDF). FROM PRINT TO WEB TO E-PAPER — THE CHALLENGE OF DESIGNING THE E-NEWSPAPER. http://diginews.se/files/040627_elpub_carina_maria_stig.pdf.
●Hanluain, D. O. (2004-02-13). “Free content becoming thing of the past for UK's online newspaper sites”. Online Journalism Review. http://www.ojr.org/ojr/business/1067472919.php.
●Hsiang Iris Chyi and Dominic L. Lasorsa (2002). “An Explorative Study on the Market Relation Between Online and Print Newspapers”. Journal of Media Economics 15 (2): 91–106. doi:10.1207/S15327736ME1502_2.
外部リンク[編集]
●Online newspapers - Curlie︵英語︶
●Famous Online Newspapers of the world (All Media Link)
●Online Newspapers in all countries in the world (Newspaper Index)
●OurWebTV-News is a guide to the world of local, national and international press. (Newspaper Index)